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魔法学校編
テンペスト
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野営地の出入り口。
ノッポとデブが立ちすくんで動けなくなっていたが、アルフィスは魔人へ向かって歩みをやめなかった。
「複合魔法……」
アルフィスの足元に魔法陣が展開し、すぐに消える。
魔人との距離は数メートルでアルフィスも魔人の動きに警戒し、すぐには飛び込まない。
魔人の周囲には黒いモヤが漂っており、それが何なのか不明だった。
体格は2メートルほどで人間にしてはかなり大きく全身が黒い。
顔は無く口だけがあり、その口は頬まで裂けている。
"化け物"と形容しても差し支えのない見た目だった。
「どんだけ強いか知らんが、殴ってみりゃわかるだろ」
その言葉と同時にアルフィスはその場から一瞬で消え魔人の前まで移動していた。
右のボディブローを打ち込み、左のショートアッパーで顎を突き上げる。
最後に渾身の右ストレートを顔面に叩き込んだ。
「な、なんだこの感触は……しかも魔法が解除されちまった!」
「ガガがガぎが」
声というよりも、妙な音が口元から聞こえた。
魔人はアルフィスの右ストレートを受けて、顔を少し捻っていたが正面に戻し、口を開けてアルフィスに噛みつこうとしていた。
魔人の歯は尖《とが》り、噛まれようものならひとたまりもないことは容易に想像できた。
「この黒い煙はエンブレムか!」
「ウオオオオオ!」
アルフィスは魔人の噛みつきを横にダッキングして交わし距離を取ろうとするが、魔人のスピードも速い。
すぐさま振り向き引っ掻きによる攻撃は、空間を歪めるほど鋭かった。
「複合魔法!」
引っ掻き攻撃を間一髪のところで瞬間移動し数メートル距離をとって回避した。
「こいつ……ヤバすぎる……」
アルフィスは魔人を殴った時の感触の時点で、その危険さを悟っていた。
その鉄を殴ったような感触は魔法で強化されていたはずのアルフィスの拳に痛みを残していた。
「アニキ!」
「逃げて下さい!」
舎弟二人の悲痛な叫びが聞こえるが、魔人がアルフィスへ向かってスタスタと近づき、徐々にスピードを増した。
そして高速ダッシュへ変わり、アルフィスめがけて飛びつこうとしていた。
「逃げる?俺が逃げたら誰がこいつをぶっ飛ばすんだよ」
アルフィスは瞬間移動して一気に魔人の懐に潜り、左ショルダータックルを胴に当てた。
そのままゼロ距離の右のショートフックを魔人の左脇腹に叩き込む。
魔人の体は"くの字"に曲がり、アルフィスのフック振り抜きと同時に数メートル吹き飛ばされ、地面を転がる。
アルフィスの魔法は解除された。
「これでどうだ……」
ここにいる全員が、これでもう立ち上がらないでくれと願った。
しかしその願いは虚しく魔人はゆっくりではあるが立ち上がりアルフィスの方を見る。
裂けた口を大きく開くが、その表情は笑っているようだ。
「なるほど」
「なにがなるほどなんですか!!」
「早く逃げましょうアニキ!!」
アルフィスはこの状況で不敵な笑みを浮かべていた。
しかし魔法はあと一回しか使えない。
「今のが効かなかったらどうしようかと思ったが……まだ勝機はあるな……」
アルフィスは目を閉じて深呼吸する。
そして開眼後、今日唱えられる最後の魔法を発動する。
「複合魔法……下級魔法強化……」
アルフィスの足元に魔法陣が展開するが、その大きさが今までと違い倍以上あった。
「これをやるのは久しぶりだぜ……耐えてくれよ俺の体……」
展開された魔法陣が消えるとアルフィスの真っ黒な髪に少し赤みが掛かる。
また、魔人を睨む鋭い眼光が赤く染まり発光する。
「……嵐」
魔人はアルフィスのその姿を見ても動じず、ただ無感情に走り出す。
アルフィスは一瞬でその場から消える。
眼光が歪な赤い線となり、その線は猛スピードで魔人の懐へ向かった。
それはあまりにも刹那だった。
アルフィスの姿は見えないが魔人の胴に五つ拳大の大きさの穴が空く。
その穴はもう最初からそこに何もなかったように空洞だった。
その後すぐに凄まじい早さで、あたり一帯に五回轟音が響く。
次に姿を現したアルフィスは空中にいた。
魔人に背を向けバク宙の途中動作をしていた。
「ラピット・ファイア!!」
その動作から放たれたのはオーバーヘッドキックだった。
アルフィスの脚は魔人の頭を直撃し、それを割る。
魔人が立つ地面四方に亀裂が入り、その範囲の広さがこの蹴りの威力を物語っていた。
「複合魔法を解除!」
アルフィスが叫ぶと魔法が解除され、空中にいる体制のまま力無く地面に落ちる。
魔人も膝から倒れ、起き上がる気配は無かった。
いつの間にか魔人から漂っていたモヤが消えており、それが魔人の戦闘不能を意味していた。
「か、体が……痛い……」
「ア、アニキー!」
アルフィスは大の字で地面に倒れており、すぐさまそこにノッポとデブが駆け寄る。
二人はアルフィスの勇姿に号泣していた。
「すごい!すごいっすよ!」
「魔法使いが一人で魔人倒すなんてありえないですよ!」
アルフィスは朦朧と"セレンは魔人を拳一発で倒す"という二人の言葉を思い出しながら昨日に引き続き、また気絶した。
ノッポとデブが立ちすくんで動けなくなっていたが、アルフィスは魔人へ向かって歩みをやめなかった。
「複合魔法……」
アルフィスの足元に魔法陣が展開し、すぐに消える。
魔人との距離は数メートルでアルフィスも魔人の動きに警戒し、すぐには飛び込まない。
魔人の周囲には黒いモヤが漂っており、それが何なのか不明だった。
体格は2メートルほどで人間にしてはかなり大きく全身が黒い。
顔は無く口だけがあり、その口は頬まで裂けている。
"化け物"と形容しても差し支えのない見た目だった。
「どんだけ強いか知らんが、殴ってみりゃわかるだろ」
その言葉と同時にアルフィスはその場から一瞬で消え魔人の前まで移動していた。
右のボディブローを打ち込み、左のショートアッパーで顎を突き上げる。
最後に渾身の右ストレートを顔面に叩き込んだ。
「な、なんだこの感触は……しかも魔法が解除されちまった!」
「ガガがガぎが」
声というよりも、妙な音が口元から聞こえた。
魔人はアルフィスの右ストレートを受けて、顔を少し捻っていたが正面に戻し、口を開けてアルフィスに噛みつこうとしていた。
魔人の歯は尖《とが》り、噛まれようものならひとたまりもないことは容易に想像できた。
「この黒い煙はエンブレムか!」
「ウオオオオオ!」
アルフィスは魔人の噛みつきを横にダッキングして交わし距離を取ろうとするが、魔人のスピードも速い。
すぐさま振り向き引っ掻きによる攻撃は、空間を歪めるほど鋭かった。
「複合魔法!」
引っ掻き攻撃を間一髪のところで瞬間移動し数メートル距離をとって回避した。
「こいつ……ヤバすぎる……」
アルフィスは魔人を殴った時の感触の時点で、その危険さを悟っていた。
その鉄を殴ったような感触は魔法で強化されていたはずのアルフィスの拳に痛みを残していた。
「アニキ!」
「逃げて下さい!」
舎弟二人の悲痛な叫びが聞こえるが、魔人がアルフィスへ向かってスタスタと近づき、徐々にスピードを増した。
そして高速ダッシュへ変わり、アルフィスめがけて飛びつこうとしていた。
「逃げる?俺が逃げたら誰がこいつをぶっ飛ばすんだよ」
アルフィスは瞬間移動して一気に魔人の懐に潜り、左ショルダータックルを胴に当てた。
そのままゼロ距離の右のショートフックを魔人の左脇腹に叩き込む。
魔人の体は"くの字"に曲がり、アルフィスのフック振り抜きと同時に数メートル吹き飛ばされ、地面を転がる。
アルフィスの魔法は解除された。
「これでどうだ……」
ここにいる全員が、これでもう立ち上がらないでくれと願った。
しかしその願いは虚しく魔人はゆっくりではあるが立ち上がりアルフィスの方を見る。
裂けた口を大きく開くが、その表情は笑っているようだ。
「なるほど」
「なにがなるほどなんですか!!」
「早く逃げましょうアニキ!!」
アルフィスはこの状況で不敵な笑みを浮かべていた。
しかし魔法はあと一回しか使えない。
「今のが効かなかったらどうしようかと思ったが……まだ勝機はあるな……」
アルフィスは目を閉じて深呼吸する。
そして開眼後、今日唱えられる最後の魔法を発動する。
「複合魔法……下級魔法強化……」
アルフィスの足元に魔法陣が展開するが、その大きさが今までと違い倍以上あった。
「これをやるのは久しぶりだぜ……耐えてくれよ俺の体……」
展開された魔法陣が消えるとアルフィスの真っ黒な髪に少し赤みが掛かる。
また、魔人を睨む鋭い眼光が赤く染まり発光する。
「……嵐」
魔人はアルフィスのその姿を見ても動じず、ただ無感情に走り出す。
アルフィスは一瞬でその場から消える。
眼光が歪な赤い線となり、その線は猛スピードで魔人の懐へ向かった。
それはあまりにも刹那だった。
アルフィスの姿は見えないが魔人の胴に五つ拳大の大きさの穴が空く。
その穴はもう最初からそこに何もなかったように空洞だった。
その後すぐに凄まじい早さで、あたり一帯に五回轟音が響く。
次に姿を現したアルフィスは空中にいた。
魔人に背を向けバク宙の途中動作をしていた。
「ラピット・ファイア!!」
その動作から放たれたのはオーバーヘッドキックだった。
アルフィスの脚は魔人の頭を直撃し、それを割る。
魔人が立つ地面四方に亀裂が入り、その範囲の広さがこの蹴りの威力を物語っていた。
「複合魔法を解除!」
アルフィスが叫ぶと魔法が解除され、空中にいる体制のまま力無く地面に落ちる。
魔人も膝から倒れ、起き上がる気配は無かった。
いつの間にか魔人から漂っていたモヤが消えており、それが魔人の戦闘不能を意味していた。
「か、体が……痛い……」
「ア、アニキー!」
アルフィスは大の字で地面に倒れており、すぐさまそこにノッポとデブが駆け寄る。
二人はアルフィスの勇姿に号泣していた。
「すごい!すごいっすよ!」
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