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水の国編
ガーロ森林
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リヴォルグがライデュスに到着したのはアルフィスが出発した次の日だった。
部隊は聖騎士、魔法使い合わせて精鋭50人ほど。
ライデュスの噴水前の騒ぎはリヴォルグにも聞こえ、またその人の多さにただ事ならざるを感じていた。
リヴォルグは最初にライデュスに到着していた聖騎士と魔法使いに状況を報告してもらった。
「そうか……"白銀"はラタムに出たか。恐らくアルフィス君達が戦ったことで、もっと北へ行ったな」
「あとメルティーナ様ですが、グレイ様と一緒にダイナ・ロアを目指しているそうです。セシリア総隊長の指示で安全確保のための先陣隊だそうで……」
「なるほどな。獲物は釣れたようだ……アルフィス君達はグレイを追いかけたんだね?」
「はい。昨日急いで身支度をして出ました」
リヴォルグはその報告を聞いて少し考えていた。
部隊には荷馬車もあるため、恐らくここにいる全員で行けばアルフィス達に追いつくことはできない。
「アルフィス君達に追いつくには数人で行くしかあるまい。ダイナ・ロア前にあるガーロ森林に入る前に追いつければいいが」
リヴォルグはすぐに少数精鋭の部隊を作った。
聖騎士2人、魔法使い2人、リヴォルグの5名で急いでガーロ森林へ向かった。
_______________________
アルフィス達はガーロ森林に到達していた。
雪は降り積もり、風も強く吹雪とまではいかないが勢いよく雪が舞っている。
ロールの故郷のラタムからさらに二日ほど北上したところに森林はあった。
さらにここから森林を二日掛けて進む。
都会っ子のアルフィスは流石にこの雪には驚いた。
防寒具があってもかなり寒い。
「なんて寒さだ……さすが北国。それに、この森林の中だと馬は走らせられないな」
「僕もここまでは来たことないから、こんなに雪が深いとは思わなかった。この先、魔物もいるようだから用心して進まないと」
リヴォルグの言う通り、生半可な装備でここに入るのは危険だろうと思った。
だが一刻も早くメルティーナと合流しなければならないという焦りもあってかアルフィスとロールは意を決してガーロ森林へと足を踏み入れた。
アルフィス達が森林に入って半日ほど経った頃だった。
アルフィスは周囲に気配を感じた。
「結構いるな……しかもなんかデカい気配を感じるが……」
「え……まさか……」
周りの木々がカサカサと音を立てている。
その後すぐに、ドン、ドン、という地鳴りが聞こえると周りの小さな気配は消えていった。
「ロール、俺が前衛をやる。後衛を頼む」
「わ、わかった!」
ちょうど正面にそれはいた。
アルフィスは今まで魔獣といえば犬型しか見たことがなかった。
だが目の前の漆黒で包まれた巨大な存在は今までの魔獣のイメージを払拭させた。
それは真っ黒な大熊だった。
3メートルを超える大きさと手の巨大な爪にアルフィスとロールは息を呑んだ。
「で、でけぇ……これは倒さねぇと前に進めんか……」
「あ、ああ……」
アルフィスは左太もものバックを開けて火の魔石を握る。
ロールも杖を構えると、杖からオーラが放たれた。
「グウオオオォォォォォ!!!」
大熊の咆哮が森を揺らす。
この大熊が明らかにこの森のヌシであることが伺えた。
アルフィスは火の魔石を宙に投げる。
「複合魔法・下級魔法強化!」
アルフィスの足元に魔法陣が展開し、同時に右ストレートを溜める。
そして魔法陣が消え、魔石がアルフィスの目の前に落ちてきた。
それを全力の右拳で打ち出した。
そして、アルフィスは右太もものバッグから火の魔石を取り出して、一気に大熊の前に移動した。
火の魔石が大熊の胸付近に着弾し炎が上がる。
アルフィスは右ストレートの動作に入っていた。
だが、大熊は全く怯まず、アルフィスに右手の引っ掻き攻撃をしてきた。
アルフィスはすぐに反応して後ろにバックステップをする。
大熊の爪の鋭さは凄まじく地面を軽く切り裂いた。
「マジか……こいつ……」
アルフィスは驚いているが、ロールは冷静だった。
アルフィスが攻撃している時に詠唱は完了させていたのだ。
「アルフィス、木の上へ!!水刃!!」
アルフィスがその言葉に反応して長い木の枝に瞬間移動した。
ロールは縦に杖を振った。
水刃は縦一線に伸び、5メートルほどだった。
さらに爆風も纏っている。
猛スピードで大熊の胸に直撃し、その巨体を数メートル後退させた。
周りの木々は爆風で切り裂かれている。
「すげぇ威力だな……」
その威力は周りの状況を見ればよくわかった。
だが、大熊には傷一つ無い。
「これでダメなら!水刃・風爆!」
ロールの叫びで水刃が青い球体となり、熱を持ちはじめた。
青い球体が真っ赤になった瞬間、大爆し周りの木々を大きく揺らした。
大熊も吹き飛び地面を転がるが胸の傷は浅かった。
「な、なんてやつだ……」
大熊は何事もなかったように起き上がり、四足歩行でロールへ向かってきた。
そのスピードは凄まじい速さだった。
「やべぇ!ロール!」
「大丈夫だ!アルフィス!構わず火の魔石を打て!」
アルフィスは何がなんだかわからなかったが、いつものロールとは違うことを察した。
「了解した!」
アルフィスは木から降りて着地し、走る大熊の背中を見ている。
そして左太もものバッグから火の魔石を取り出した。
両手に火の魔石を持っているが、左手の魔石を宙に投げる。
そしてそれを右ストレートで打ち出した。
すると右手に握っていた火の魔石が握力で割れ右のグローブは炎を纏った。
そのままアルフィスは大熊へ瞬間移動した。
打ち出された火の魔石は大熊の背中に直撃し炎が上がる。
大熊はお構いなしにロールを自慢の爪で切り裂いた。
……が、ロールは一瞬で水となり大熊の背後にワープしていた。
「なるほど、水で消えるやつか」
アルフィスは大熊の背中目掛けて左ストレートを溜めていた。
燃える大熊から炎が左グローブに吸収され、一瞬で左拳は炎を纏った。
そのまま左ストレートを大熊の背中に打ち込んだ。
ドン!という轟音と共に周囲に熱波が広がる。
そして大熊は背を仰け反らせ、拳から放たれる熱で背中をジリジリと焼かれた。
大熊は振り向きざまに大爪での切り裂き攻撃をしてきたが、アルフィスは体制を低くして回避し、そのまま灼熱の右ボディブローを腹に叩き込んだ。
これもドン!という轟音が森に響く。
熱はすぐに大熊の皮膚を焼き、さらにその体は炎で包まれ燃え上がった。
さすがの大熊も後ずさり、悶え苦しんでいる。
アルフィスは再度、左右の太もものバッグから魔石を取り出し両手に握った。
そしてアルフィスは両手を前に突き出し、大熊の体の炎を両手のグローブで全て吸収する。
燃え盛る両手を腰に構え、鋭い眼光で大熊を睨む。
「これで終わりだ……炎嵐……」
アルフィスは一歩踏み出し大熊との距離を詰めて、腹に灼熱の左ボディブローを打つ。
ズドンという轟音が響き渡るが今度は爆発も加わり、あまりの威力に大熊は少し宙に浮く。
「……イーグル・ストライク!!」
さらにアルフィスはその場から消え、大熊の背を超えるほどの空中に瞬間移動した。
一瞬で落下したアルフィスは大熊の後頭部に灼熱の右ストレートを叩き込むと、これもズドンと爆発し大熊の頭は勢いよく地面に叩きつけられた。
着地するアルフィスは息を切らしている。
煙が上がる大熊の頭を見ると、それはもう原形をとどめていない。
「ハァハァ、今度こそやったか……」
「大丈夫か?アルフィス!」
ロールがアルフィスに走り寄る。
二人は体から炎が上がる大熊を見て胸を撫で下ろした。
二人はここまで強い魔獣はこの先、現れないことを祈りながら、さらに森林奥へ進んだ。
部隊は聖騎士、魔法使い合わせて精鋭50人ほど。
ライデュスの噴水前の騒ぎはリヴォルグにも聞こえ、またその人の多さにただ事ならざるを感じていた。
リヴォルグは最初にライデュスに到着していた聖騎士と魔法使いに状況を報告してもらった。
「そうか……"白銀"はラタムに出たか。恐らくアルフィス君達が戦ったことで、もっと北へ行ったな」
「あとメルティーナ様ですが、グレイ様と一緒にダイナ・ロアを目指しているそうです。セシリア総隊長の指示で安全確保のための先陣隊だそうで……」
「なるほどな。獲物は釣れたようだ……アルフィス君達はグレイを追いかけたんだね?」
「はい。昨日急いで身支度をして出ました」
リヴォルグはその報告を聞いて少し考えていた。
部隊には荷馬車もあるため、恐らくここにいる全員で行けばアルフィス達に追いつくことはできない。
「アルフィス君達に追いつくには数人で行くしかあるまい。ダイナ・ロア前にあるガーロ森林に入る前に追いつければいいが」
リヴォルグはすぐに少数精鋭の部隊を作った。
聖騎士2人、魔法使い2人、リヴォルグの5名で急いでガーロ森林へ向かった。
_______________________
アルフィス達はガーロ森林に到達していた。
雪は降り積もり、風も強く吹雪とまではいかないが勢いよく雪が舞っている。
ロールの故郷のラタムからさらに二日ほど北上したところに森林はあった。
さらにここから森林を二日掛けて進む。
都会っ子のアルフィスは流石にこの雪には驚いた。
防寒具があってもかなり寒い。
「なんて寒さだ……さすが北国。それに、この森林の中だと馬は走らせられないな」
「僕もここまでは来たことないから、こんなに雪が深いとは思わなかった。この先、魔物もいるようだから用心して進まないと」
リヴォルグの言う通り、生半可な装備でここに入るのは危険だろうと思った。
だが一刻も早くメルティーナと合流しなければならないという焦りもあってかアルフィスとロールは意を決してガーロ森林へと足を踏み入れた。
アルフィス達が森林に入って半日ほど経った頃だった。
アルフィスは周囲に気配を感じた。
「結構いるな……しかもなんかデカい気配を感じるが……」
「え……まさか……」
周りの木々がカサカサと音を立てている。
その後すぐに、ドン、ドン、という地鳴りが聞こえると周りの小さな気配は消えていった。
「ロール、俺が前衛をやる。後衛を頼む」
「わ、わかった!」
ちょうど正面にそれはいた。
アルフィスは今まで魔獣といえば犬型しか見たことがなかった。
だが目の前の漆黒で包まれた巨大な存在は今までの魔獣のイメージを払拭させた。
それは真っ黒な大熊だった。
3メートルを超える大きさと手の巨大な爪にアルフィスとロールは息を呑んだ。
「で、でけぇ……これは倒さねぇと前に進めんか……」
「あ、ああ……」
アルフィスは左太もものバックを開けて火の魔石を握る。
ロールも杖を構えると、杖からオーラが放たれた。
「グウオオオォォォォォ!!!」
大熊の咆哮が森を揺らす。
この大熊が明らかにこの森のヌシであることが伺えた。
アルフィスは火の魔石を宙に投げる。
「複合魔法・下級魔法強化!」
アルフィスの足元に魔法陣が展開し、同時に右ストレートを溜める。
そして魔法陣が消え、魔石がアルフィスの目の前に落ちてきた。
それを全力の右拳で打ち出した。
そして、アルフィスは右太もものバッグから火の魔石を取り出して、一気に大熊の前に移動した。
火の魔石が大熊の胸付近に着弾し炎が上がる。
アルフィスは右ストレートの動作に入っていた。
だが、大熊は全く怯まず、アルフィスに右手の引っ掻き攻撃をしてきた。
アルフィスはすぐに反応して後ろにバックステップをする。
大熊の爪の鋭さは凄まじく地面を軽く切り裂いた。
「マジか……こいつ……」
アルフィスは驚いているが、ロールは冷静だった。
アルフィスが攻撃している時に詠唱は完了させていたのだ。
「アルフィス、木の上へ!!水刃!!」
アルフィスがその言葉に反応して長い木の枝に瞬間移動した。
ロールは縦に杖を振った。
水刃は縦一線に伸び、5メートルほどだった。
さらに爆風も纏っている。
猛スピードで大熊の胸に直撃し、その巨体を数メートル後退させた。
周りの木々は爆風で切り裂かれている。
「すげぇ威力だな……」
その威力は周りの状況を見ればよくわかった。
だが、大熊には傷一つ無い。
「これでダメなら!水刃・風爆!」
ロールの叫びで水刃が青い球体となり、熱を持ちはじめた。
青い球体が真っ赤になった瞬間、大爆し周りの木々を大きく揺らした。
大熊も吹き飛び地面を転がるが胸の傷は浅かった。
「な、なんてやつだ……」
大熊は何事もなかったように起き上がり、四足歩行でロールへ向かってきた。
そのスピードは凄まじい速さだった。
「やべぇ!ロール!」
「大丈夫だ!アルフィス!構わず火の魔石を打て!」
アルフィスは何がなんだかわからなかったが、いつものロールとは違うことを察した。
「了解した!」
アルフィスは木から降りて着地し、走る大熊の背中を見ている。
そして左太もものバッグから火の魔石を取り出した。
両手に火の魔石を持っているが、左手の魔石を宙に投げる。
そしてそれを右ストレートで打ち出した。
すると右手に握っていた火の魔石が握力で割れ右のグローブは炎を纏った。
そのままアルフィスは大熊へ瞬間移動した。
打ち出された火の魔石は大熊の背中に直撃し炎が上がる。
大熊はお構いなしにロールを自慢の爪で切り裂いた。
……が、ロールは一瞬で水となり大熊の背後にワープしていた。
「なるほど、水で消えるやつか」
アルフィスは大熊の背中目掛けて左ストレートを溜めていた。
燃える大熊から炎が左グローブに吸収され、一瞬で左拳は炎を纏った。
そのまま左ストレートを大熊の背中に打ち込んだ。
ドン!という轟音と共に周囲に熱波が広がる。
そして大熊は背を仰け反らせ、拳から放たれる熱で背中をジリジリと焼かれた。
大熊は振り向きざまに大爪での切り裂き攻撃をしてきたが、アルフィスは体制を低くして回避し、そのまま灼熱の右ボディブローを腹に叩き込んだ。
これもドン!という轟音が森に響く。
熱はすぐに大熊の皮膚を焼き、さらにその体は炎で包まれ燃え上がった。
さすがの大熊も後ずさり、悶え苦しんでいる。
アルフィスは再度、左右の太もものバッグから魔石を取り出し両手に握った。
そしてアルフィスは両手を前に突き出し、大熊の体の炎を両手のグローブで全て吸収する。
燃え盛る両手を腰に構え、鋭い眼光で大熊を睨む。
「これで終わりだ……炎嵐……」
アルフィスは一歩踏み出し大熊との距離を詰めて、腹に灼熱の左ボディブローを打つ。
ズドンという轟音が響き渡るが今度は爆発も加わり、あまりの威力に大熊は少し宙に浮く。
「……イーグル・ストライク!!」
さらにアルフィスはその場から消え、大熊の背を超えるほどの空中に瞬間移動した。
一瞬で落下したアルフィスは大熊の後頭部に灼熱の右ストレートを叩き込むと、これもズドンと爆発し大熊の頭は勢いよく地面に叩きつけられた。
着地するアルフィスは息を切らしている。
煙が上がる大熊の頭を見ると、それはもう原形をとどめていない。
「ハァハァ、今度こそやったか……」
「大丈夫か?アルフィス!」
ロールがアルフィスに走り寄る。
二人は体から炎が上がる大熊を見て胸を撫で下ろした。
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