地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件

フランジュ

文字の大きさ
94 / 200
風の国編

ケルベロス

しおりを挟む

ノア・ノアールはレイメルからセントラルに向かう途中だった。
ノアは馬車に乗りながら考えていた。

もし、山の上にいる魔人を二つ名達が処理できなかった場合。
また、もしそのままカゲヤマと戦闘になってしまった場合。
なによりも村に残った3人とカゲヤマが出会ってしまった場合を懸念していた。

なにかの不祥事が起こる可能性はあった。
これは極秘任務ではあったが、ノアはすぐにレイメルに早馬を出した。

"かなり危険な魔人がいる可能性がある、レイメルの精鋭全員でアーサル村まで行け"

この伝言はすぐにレイメルの聖騎士宿舎に届けられた。

魔人とは方便だった。
ノアが一番気掛かりだったのは"エリス"の安否だ。
もし村に残った3人とカゲヤマと戦闘になった場合がどうしても心配だった。

ノアはその心配をどうしても拭い去りたかったのだ。


________________


セントラル 聖騎士宿舎前


ノアがセントラルの聖騎士宿舎前に到着すると、その門の前に1人の魔法使いがいた。

異様な大きな杖を持ち、ローブを着た短髪で垂れ目の魔法使いだった。

「お前がリヴォルグの使いか?」

「は、はい!ロール・アベリアです!」

ノアは鋭い視線を向け、それを見たロールは息を呑んだ。
一般の魔法使いがシックス・ホルダーと会う機会なんてそうそう無いからだ。

「アベリア?聞かぬ家柄だが、"強運"の花言葉か……大層な名前だな。それで、会って報告したいとは一体どういうことだ?」

「はい。私達が捕らえた"グレイ"という土の国の魔法使いがブラック・ケルベロスという組織の人間のようで……」

「ケルベロス……久しぶりに聞く名だ……それで?」

「え、ええ、どうやら水の国だけでなくて風の国にも入り込んでると。10年ほど前にグレイが一人、土の国から密入国させたとのことです」

ノアはそれを聞いて驚く。
昔、土の王カインから聞いた話を思い出していた。
ブラック・ケルベロスという魔女崇拝組織を数百年前に潰したと。
だいぶ昔の話で、今ではこの組織の名前を知っている人間はもうほとんどいないだろう。

「その組織はもう無いはずだが……」

「それが……今、徐々に勢力を拡大みたいです。それで誰が内通しているのわからなかったので会ってご報告を。グレイの話だと風の国で"実験"があると……」

「実験?なんだそれは」

「風の国では"最強のシックス・ホルダー"を生み出すことが目的だそうです」

ノアは"風の国では"という言葉に引っかかったが、それ以上に最強のシックス・ホルダーを生み出すということに驚いた。
それが転生者カゲヤマリュウイチなのだろうと思った。

「なんて連中だ……そんな実験に10年も費やす?イカれてるな……その密入国させたやつはどんなやつなんだ?」

ノアの問いに、ロールはローブから一枚の紙を急いで取り出して読んだ。

「え、えーと、初老で上品な髭の男だったとののことです」

「なるほど。で、そいつの名前は?」

「名前は"ラムザ・サードケルベロス"だそうです……」

ノアはその名前を聞いて絶句した。
それは"クローバル家の執事"の名前だった。
さらにこの苗字は以前、土の王から聞いたことがあった。

"サードケルベロス"は組織に3人いるトップの一人に与えられる名前。

ラムザという男は"銀の獣"の1人だった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  ブックマーク・評価、宜しくお願いします。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

処理中です...