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黒岩大吾

セクハラ教師

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「いいか?縦四方固めていうのはこうやるんだ!」
「おおおっ!すごいっ!先生、勉強になります!!」
光輝は体育の授業で柔道を選択している。そして、目の前で起こっていることに困惑していtあ。
柔道を教える体育科の教師である黒岩大吾が生徒の一人を指名し。その生徒を横にならせ、自分の股間を彼の顔に押し付けて自分は彼の股間に顔をうずめているのだ。
(たしかに縦四方固めってそうだけど……)
完全にセクハラである。それをされている生徒が嬉しがっているというのがまたたちが悪い。
大吾は柔道部の顧問でもあり、今の柔道部は大吾が生徒にセクハラを働き、そして大吾のことが好きな生徒たちがそれを喜んで受け入れる、というまさに発展場のような光景になっている。そのためそれを受け入れられない生徒たちは次々と辞めていき、少数の変態だけで構成されたどうしようもない部活になり果てているのだ。
(いや、気持ちはわかるよ?わかるんだけどさ)
大吾は身長190cm超えの大柄な体格をしており、年齢は30代前半だが20代の前半にしか見えないほど若く見える。そして、顔もなかなか整っており、いわゆるイケメンだ。さらに声もよく、授業中はよく冗談などを交えて話をしてくれるため一部の生徒たちからの人気も高い。
彼は今年赴任してきたばかりの新任教師であり、この学校の卒業生でもある。元々は柔道も強かったのだが、とある事情により今は柔道をやめてしまっているらしい。そんな彼が再び柔道を始めた理由はただ一つ。それは……。
(でも、これはちょっとやりすぎだよなぁ……)
しかし、光輝としてはそんな彼が生徒に性的行為を働いていることは許せなかった。
(まあ、俺には関係ないけどね。それにしてもあの先生ほんとに上手いな。こりゃあ将来有望だぞ)
光輝は完全に傍観者になっていた。大吾のテクニックに興味津々だった。
「よし、もう立ってもいいぞ」
しばらくして、大吾が技を解く。技をかけられていた男子生徒は立ち上がるとすぐに大吾に抱き着いた。
「先生、ありがとうございました!」
「おう、いつでも来てくれていいぜ?」
二人は熱い抱擁を交わしている。もはや見慣れた光景だ。
(俺も同性愛者だから……それもかなり変態的な同性愛者だからああいうのを見ると興奮するんだよな)
光輝は自分の性癖について考える。光輝は男なら誰でも……というわけではないが、筋肉質以上に筋肉があって顔がよければだれでも好きになってしまう、所謂『ホモ』と呼ばれる人種であった。竜也や隼人のような極上の男たちとのまぐわりあいに興奮を覚えるような人間なのだ。
「じゃあ次はお前やってみるか」
大吾に指名される。
「え!?俺ですか?」
「そうだ。せっかくなんだから経験しておけ。それにお前、結構強いだろう?この間の試合見たぞ?」
実は先日行われた授業中の練習試合で光輝は柔道部員の生徒と戦い、勝っていたのだ。「いやーあれはまぐれですよ」
「謙遜すんなって。ほら、相手しろよ」
光輝は仕方なく大吾と組み合うことになった。
「よろしくお願いします」
「おう、こちらこそ頼むぜ」
光輝たちは向かい合って礼をする。すると大吾はいきなり光輝の胸を揉み始めた。
「ちょっ!何やってんですか!?」
「いやぁ、やっぱりお前おっぱいあるなと思ってさ」
「そりゃありますけど……」
大吾は巨乳好きだ。よく女子生徒を性的な目で見ていることを知っている。
「よし、じゃあ始めるぞ」
そういうと今度は大吾が光輝を押し倒す。大吾はそのまま光輝の上に覆いかぶさると、両手を使って光輝の両乳首を責め始めた。
「うひぃ!!」
突然の刺激に思わず変な声が出てしまう。大吾は器用に両方の人差し指を使い、光輝の小さな突起物を転がし始めた。そのたびに光輝は体をびくつかせる。
「おいおい、感じてんのか?可愛い奴だな」
大吾はさらに激しく愛撫を続ける。「あっ!!せんせぇ……だめですってばぁ……」
光輝の声にも余裕がなくなってきた。それを見た大吾は満足げに笑う。
「どうだ?気持ちいだろ?もっとしてやるよ」
大吾の手の動きが激しくなる。
「いやだぁ……やめてくださぁい!!」
光輝は必死に抵抗するものの全く意味はない。大吾はさらに追い打ちをかけるように耳元に口を近づけ囁いた。
「このままだとお前、イっちまうんじゃないか?我慢せずにイッちまえよ」
その瞬間、光輝の中で何かが弾けた。
「ああ?てめえなにふざけてんだよ。授業中にんなことしていいと思ってんのか!?俺はな、TPOをわきまえられないやつは大っ嫌いなんだよ!そんなにいきたきゃ、俺がてめえをイかせてやるよ!!」
気が付くと光輝は大吾の股間を蹴り上げていた。
「ぎゃんっ!!」
痛みに悶える大吾。しかし、それでも光輝の怒りは収まらない。
「オラァッ!」
光輝は倒れたままの大吾に飛び乗った。そして、彼の顔面を思いっきり殴りつける。
「死ねやボケェッ!!!」
さらに何度も拳を叩き込む。
「ぐふぅ……もう……ゆるし……て」
大吾はすでに意識を失っているようだった。しかし、光輝は攻撃をやめない。
「まだまだぁ!」
今度は馬乗りになって思い切り顔を殴る。
「ぶっ殺ぉす!!!」
完全に理性を失っていた。その時だった。
「そこまでだ、紀ノ國!!」
体育教師が止めに入った。光輝の腕を掴み、そのまま引き離される。
「あ……」
我に返った光輝は自分が何をしていたのか理解した。
(俺、今何やってたんだ?)
自分でも信じられなかった。まさかこんなことになるとは思わなかったのだ。
(ヤバいなこれ。停学かな)
そんなことを考えながら、光輝は保健室へと運ばれていった。
その後、光輝は大吾に謝りに行った。彼は笑って許してくれたのだが、光輝は二度とあんなことをしないと心に誓ったのだった。
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