魔族に愛される私(※聖女)

諫山杏心

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5話 名前も知らない※

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「あ、あ…」
「俺の大きいだろ? ハハッ、もう欲しくてたまらないって顔してる。…かわいい」

 そう言って微笑んで、私の上に覆い被さる彼の体はとても大きい。そしてそのまま逃さないとでも言いたげに私の腰を掴む。
 彼の大きな陰茎の先端が、私のおまんこにくっつくのを感じた。

「あっ!?」
「感じるか? お前のまんこに、俺のちんこがキスしてんの。…ハッ、何その顔。エロすぎんだけど」

 私は今どんな顔をしているんだろう。それは分からないが、私はもうすでに彼のおちんぽが欲しくて欲しくて堪らなかった。熱くて固いそれをおまんこに入れようとして腰が勝手に動いてしまう程に。

「こらこら、今から入れてあげるから…なっ!」
「やああああん!」

 彼の大きなモノが一気に私を貫いた。私は与えられた刺激でまたイってしまい、彼の大きなモノをギュッと締め付けてしまう。

「くっ…お前、挿れただけでイったの? 俺のちんこ、めちゃくちゃ締め付けてくるんだけど」
「ぁ、や、ちがう…ちがうのっ…!」
「なんも違くないだろ。本当、エロくて最高っ…!」

 パンパンと音を鳴らしながら彼は律動を始めた。それは優しいのに私の体の中を抉ろうという意志を感じる動きで、ずっと私のいい所に当たっている。私はずっとイきっぱなしで、気持ちいいを通り越して頭がおかしくなりそうだ。

「あ、だめっ、も、ずっとイってるのに…!」
「気持ちいいな? オラ、もっとイけよ」

 そう言うと彼はその律動を今までよりも激しいものにした。意識が飛びそうになる。こんな快感、私は知らない。

「だめ、イく、イっちゃう…っ!」
「出すぞ…!」

 その動きはまるでこちらを孕ませようとする獣の様で。一際強く腰を打ち付けられた瞬間、私の頭は真っ白になった。
 そうして私は意識を失った。







 ゆっくり目を開くと、そこにはこちらを心配そうに覗き込むイケメンの顔があった。

「えっ!?」
「おい、まだ寝てろ!」

 私は驚いてしまって、バッと勢いよく起き上がる。すると、目の前のイケメンが慌てた様に私の体を倒した。…どうやら私はベッドに寝かされているらしい。そっか、私、セックスして気を失ったんだっけ。
 それを思い出して、また恥ずかしくなってしまった。セックスが気持ち良すぎて気を失うなんて事をもう二回も経験してしまっている。私はこんなに淫乱だったのか。

「…気分はどうだ?」

 私が悶々としていると、頭上から声がかかる。そこを見上げれば、青髪のイケメンが心配そうにこちらを見ている。…セックス中は俺様な事をばかり言っていたのに、案外優しい人なのかもしれない。私は大丈夫だという意志を伝えるために少し微笑んだ。

「大丈夫だよ。…どっかの誰かさんのせいで気絶しただけだし」

 少し意地悪がしたくなってそう言えば、「うっ」という声がイケメンから漏れる。その顔はどうにも気まずそうな申し訳なさそうな顔だ。

「わ、悪かった。…ヤってる時のお前が、かわいいいからつい」
「なっ…」

 カァっと顔に熱が集まるのが分かった。この人は何を言ってるんだ!? 名前も知らないのに、こんな事を飄々と…!
 そんな事を思って、私ははっとした。…そう言えば私、この人の名前すら知らない。
 私は恐る恐る口を開いた。

「あ、あの」
「? なんだ」
「名前、聞いてないんだけど」
「……………」

 沈黙が広がった。…え、何この沈黙。気まずすぎる。背筋に冷たい汗が流れる。
 そんな時だった。彼は俯いて、その肩を震わせていた。

「あ、あのー」
「っ…い、いや、すまん。そういえば俺達名前すら知らないんだよな…ククッ…!」

 どうやら笑いを堪えているようだ。よかった、怒ってるとかじゃなくて。
 彼はふーっと深呼吸をすると、穏やかな笑みを浮かべた。

「俺はラピス、魔王の臣下をしている。…君の名前は?」
「ラピスね。私はアイリ・ミマサカ。アイリって呼んで」
「アイリ…アイリか。美しい名だな。人間である君が、どうして魔王城に?」
「それは…」

 私はラピスに説明した。聖女としてこの世界に召喚された事。リールに襲われた事。犯されている時に気を失って、気付けば魔王城に連れてこられていた事。魔王とその臣下である魔人に身も心も捧げる約束をした事…。
 一連の流れを聞いたラピスは、なるほどなと頷いてはーっとため息を吐いた。

「なんでお前みたいな美人な人間がいるかと思ったら、またリールの思いつきか」
「こういう事、よくあるの?」
「ああ。前は目の見えない人間の女を連れてきたが、そいつはお前みたいに気持ちよさそうにしなかったから人間界に返した」
「な、ちょっと! 私が淫乱みたいな言い方するのやめてよ!」
「実際そうじゃねーか」

 ラピスはニヤリと笑った。…くそぅ、馬鹿にされているのは分かっているけど、そんな顔もかっこいい。

「し、仕方ないじゃない! リールもそうだけど、ラピスもすごいかっこいいから、そんな人に触られたら誰だって…」
「…は?」

 ラピスの口から、何とも間抜けな声が漏れた。顔を見てみると、彼はポカンといった様な顔をしている。

「リールと俺が、かっこいい? …おい、それ、嘘吐いてるんじゃねーよな」
「嘘じゃないよ! 私の美的感覚は、この世界とずれてるの!」
「…マジか。お前の世界じゃ俺、かっこいいの?」
「うん、めっちゃかっこいい。…シてる時も、その、すごくかっこよかった」

 恥ずかしいけど、これは事実だ。彼らは昔からブサイクとしてこの世界に生きているという事が何だか悲しくって、貴方達はちゃんとかっこいい、という事を伝えたくて私はそれを伝えたつもりだ。

「…マジ、か」

 ぽつり、呟いたラピスの顔はこれほどないまでに真っ赤になっている。そして赤いまま何かを考え様な仕草をすると、何を思ったのか私の頬にその大きな手を添え、その端正な顔を近づけてきた

「ら、ラピス?」
「……こういう事されたら、俺を男として意識するって事?」
「あ、当たり前、じゃん」

 何だか恥ずかしくなって、私は彼から視線を外した。視界の端で、ラピスの口角が上がるのが見えた。

「そっか。じゃあ、アイリを口説いて恋人にする事もできるって事だ」
「………は!? な、ななな何を言って」
「アイリ。…これから、よろしくな」

 そう言って、彼は私の頭に優しくキスをした。
 顔が熱くなっている私を、ラピスは頬を染めて見下ろしていた。
 





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