75 / 93
74話「黒髪の秘密ととある組織と一夜脱走劇と」
しおりを挟むイーディスの中へ入っていく一同。
深夜ということもあり、道行く人は少なかった。街は広く、ところどころに路地裏へと続く道や大通りに並ぶ大きな建物。建物と言ってもビルのようなものはなく、レンガ造りの3階くらいの建物が多く見られた。そんな建物の一角に、カラスを先頭にフクロウ、ハトが入っていく。ニケもその後に続くが見える先は行き止まり。何もないのにどうして入るのだろうか。と思っているとカラスが行き止まりの右側の建物の排水溝のような小さな穴へと入っていく。渋々中を覗くと、そこは地下室へと繋がっていた。
入ると同時に、地下室特有のかび臭いにおいや湿気が充満していた。カラス達は地下室に長年放置されているだろうほこりを被った荷物の間を抜け、奥に見えていた扉へと進んでいく。
扉の横には、蝋燭が天井から吊り下げられており灯りを灯していた。扉は重いらしく、カラスがあけるとギィっと金具の錆びている音がした。扉の先には生活観のある空間が広がっている。中央に木箱に布をかぶせた机だろうか、その奥には二段ベットが2つ見える。
それ以外の家具はなく、寝食をするのみといった感じだった。
「適当に掛けてくれ」
「適当にって……」
カラスに声を掛けられても、座るところなんて見当たらない。椅子もなく、地に座れとでも言っているのだろうか。木箱の机の横にフクロウがちょこんと座ると、ハトも向かい合うように座った。
どうやら普通に座ったほうがいいらしい。
ニケは、カラスの正面に座る。カラスも座り机に両肘をつきながら両手を合わせた。
「単刀直入に聞く。ニケはなぜ競売所に?」
「黒髪の血が高く売れるとかで、さらわれてここまで連れてこられたんだ」
「最近多いもんね、黒髪狩りとか……」
ハトがフードをとった。フードをとるまでわからなかった。ハトが黒髪だということに。
同じくフクロウもフードをとる。ハトと同じくフクロウも黒髪だった。
「俺達は全員黒髪なんだ」
「黒髪黒髪って聞くけど髪の色と何か関係あるのか?」
「そうだな、今わかっていることを教えてやろう」
「カラス、それ大丈夫かな」
「どういうことだ?」
なにやら訳有りな会話にも聞こえた。だが、カラスはハトに目伏せすると、両肘を机から離し立ち上がった。
「俺達黒髪は……異世界転生者ってことだ」
「異世界転生……ってことは俺以外みんなも現実世界から?」
「うん」
ハトが頷きながら答えると、フクロウも一緒に頷いた。
どうやらニケ以外にも、アテナはこの世界に転生者を送り込んでいたようだ。自分以外にも転生者がいたと言うことに、ニケは驚きを隠せなかった。だが、黒髪が女性にしか魔法を使えない世界で錬金術や、召喚術の類を使えるわけがない。そう考えると一通りの説明がつく。
「俺は転生するときに錬金術を望んだ」
「私は魔法が使いたいってお願いしたわ」
「あー、フクロウは何も望んでなかったらしい」
カラスがフクロウを見ながら言うと、フクロウは頷いていた。
これまで聞いていた『黒髪』と言う単語。ニケ以外の異世界転生者。アテナは一体何を考えているのか。悩むことが増える一方、やらなきゃいけないこともあった。
「ニケは何を望んだんだ?」
「俺は転生するとき、記憶を消すように望んだらしくて覚えてないんだ……」
「なんだそれ、んじゃぁ質問を変えよう。魔法は何が使えるんだ?」
急に目つきが変わるカラス、どうやら信頼関係上ニケが使える魔法を知っておきたいらしい。
ニケは、どう答えればいいのかわからずに自分の手を見た。左手にはめている錬金術の手袋、右手に見えるシロの指輪。どれも魔法の類なのだが、以前ミーチェに言われた言葉が蘇る。
「余計なことは言うな」っと、それを思い出したニケ。
「錬金術がちょっと使えるくらいかな」
「そうか、ニケも錬金術を」
「錬金術ならカラスと同じだね」
他に質問はないらしい。会話が終わるとカラスが座り込んだ。なにやら深刻そうな顔をしながら。
フクロウが心配して顔を覗き込むが、カラスは反応しなかった。それほど深刻なことなのだろうか。と、カラスは何かを決心したらしく話を切り出した。
「俺達は、王都のとある組織に所属している」
「カラス!それ話していいのッ!?」
カラスの一言に、ハトが身を乗り出して驚いた。どうやらその組織とやらは秘密結社のようなもののようだ。ハトの反応を見れば一目瞭然だった。フクロウは口をあけたまま固まっている。
なんだろうこの空間は。と、ニケはふと思うのだった。
「この都での調査を依頼されて潜伏していたのだがな。競売所で黒髪の少年が出品されると聞いて、いても立ってもいられなかったんだ」
「そう、私も聞いたときは驚いたわ。奴隷ならまだわかるけど、黒髪が出品されるなんて初めてだったから」
「それで助けに来てくれたのか。そこは素直に感謝しているよ、だけどその組織の話とどう関係が」
それ以上踏み込んでいいのかわからないが、ニケは気になったので聞くことにした。カラスは、何も言わず再度両肘を机につくと、頭を抱え込み始めた。ふと、フクロウに見られていることに気がついた。フクロウは何かを言いたいのか、それともただ見ているだけなのか。喋れないのだからどっちかなのだろう。
「その組織にはな、この世界に転生した人が多く所属している。ニケもそこに来ないか?」
どうやら組織への勧誘らしい。悩みに悩んでの結論なのか、カラスは眉を寄せながら難しい顔をしていた。ハトはなにも言わずにニケを見ている。同様にフクロウも。
「気持ちはありがたいけど。俺は俺の居場所に戻らなきゃいけないんだ」
ミーチェとアシュリーを置き去りにして、一人さらわれて見知らぬ都に連れてこられてしまった。不安と申し訳なさがニケの中で渦巻いている。何かを悟ったのか、カラスは目を瞑り深呼吸をした。
「わかった。これからどこに行くとかの予定はあるのか?」
「とりあえず王都に向かうよ。旅をしながら王都を目指してたから、みんなそこに行くと思うし」
当初の目的の地、王都へ向かえばミーチェたちに会えるだろう。それ以外に行く先も聞いてないし、王都に行って探せばいいのだ。と、ニケは心のどこかでミーチェとアシュリーの事を信じているのだった。
フクロウが外を見ながら立ち上がった。フクロウは耳が良いようで、ニケも先ほどから気になっていた足音を聞き取ったようだ。遅れてカラスたちも足音を聞き取った様子で扉の方を見始めた。
人数は複数だろう。こんな夜中に地下室に誰かが来るなんて事まずない。察するに、住民以外の誰か。可能性として考えられるのはカラス達の仲間か、先ほどの競売所にいた誰かが送り込んできた刺客だ。
足音が扉の前で止まり、鞘から剣を抜く音が聞こえる。
「話の途中だったが、俺達は今夜ここを発つ。ニケを助けたことで、俺達の居場所がバレたみたいだ」
そういうとカラスは立ち上がり、左手の籠手に魔力を送り込んだようだ。左手が光り始め、右手を合わせると剣を練成した。フクロウも腰にぶら下げている剣を引き抜く。
緊張感が走る。扉が開けられた瞬間に戦闘が始まるだろう。考えるよりも先に身体が動いていた。左手に魔力を送り込み、ニケは刀を練成した。
ニケが練成を終えると同時に、扉が蹴破られた。そこにいたのは騎士なんて生易しいものではなく、髭がのびきっている大男だった。その後ろには痩せた男もいる。
その薄汚れた格好を見るに、彼らは盗賊の類だと思われた。目が合うと同時にニケは駆け出す。大男の懐目掛け一目散に。懐に近づくとすぐさま剣を振り下ろされる。屈みこみながら剣を避けると同時に、身体を捻り刀を振るう。刀は大男の右腕を切り落とすと扉に刺さった。刀を引き抜こうとすると、振り下ろされた剣が目の前を掠めた。いつもだったら反応できるものが、反応に遅れ危うく喉元を切り裂かれるところだった。やはり食事をまともにとれなかったのか、ニケの身体は思っていたより衰弱しているようだ。刀を捨て、急いで距離を置く。その脇をカラスと、フクロウが駆け抜ける。腕を切り落とされた大男の胸元にカラスの剣が突き刺さる。その後ろにいた男目掛けフクロウの振り下ろした剣が襲い掛かった。
男はフクロウの剣を剣で受け止めると、後ろへと下がっていった。カラスとフクロウが男の後を追う。扉の先で剣の弾き合う音とが聞こえはじめる。ハトが立ち上がり扉へと向かっていく。ニケもその後に続いて扉をから地下室へ向かおうとすると同時に、カラスとフクロウが男を仕留めたらしく地下室は静まり返っていた。
フクロウは返り血を浴びたようで服の胸部あたりが赤く染まっていた。カラスは剣を片手に、排水溝の入り口から外に出て行った。どうやら急いでここを出たほうがいいらしい。フクロウが痩せた男の骸からマントを脱がすと、そのマント羽織った。
カラスに続き、フクロウとハトが外に出て行く。ニケは少しながら感じる空腹を我慢しながら後に続いた。
外に出て気づく違和感、先ほどまで静まり返っていた街が少し騒がしく感じた。
路地裏からみえる大通りには、何人かのフードを被った人たちが待ち構えていた。
「どうやら俺達をこの街から逃がさない気らしいな」
「これからどうするんだ?いくらなんでも敵が多すぎるだろ」
「とりあえず入ってきた北の橋から脱出する」
「わかった、脱出までは協力するよ」
「王都に行くんだろ?なら俺達と来いよ」
「一人よりみんなって言うもんね!」
「っと、話している場合ではなさそうだ」
ニケたち目掛けて男達が走り始めた。確かに話をしている場合ではない、フクロウを先頭に陣形を構える。ハトを中央に両側にニケとカラス。
「先に謝っとく、俺錬金術以外にも使えるんだ。ごめん」
「え?それは――」
「おいで、ガリィ!」
ネックレスに手を添え、ニケは路地にガリィを召喚した。
路地はそこまで広くなく、ガリィの身体がギリギリ入れる程度だった。
「こ、こいつは……ッ!?」
「ガリィ、そいつらを蹴散らせ!」
ニケの合図と共に、ガリィのご自慢の触手を伸ばす。ガリィの姿を見て、男達は足を止め戸惑い始めた。カラス、フクロウ、ハトも同様に何が起きたのか理解できていなかったようだ。ただただ目の前に大きな花が出現したとしか解釈できてないのだろう。
ガリィが伸ばした触手を狭い路地で暴れさせる。両側の壁に激しく触手を打ちつけながら、ガリィは男たちを薙ぎ払い。壁に勢いよく叩きつけ。その太い触手を頭上から振り下ろし、首から嫌な音を立てさせながら地面に突っ伏させた。
「ありがとう、ガリィ」
ガリィが落ち着くと、ニケはガリィの花弁に触れながらガリィをネックレスへと戻した。
その一部始終を見ていた三人は唖然とした顔つきでニケを見た。
「ごめん、召喚術も使える……」
「それを先に言ってくれ……反応に戸惑った」
「私は驚きすぎてなにがなんだか」
フクロウはニケの前に足を踏み出すと、力強く何度も首を立てに振っていた。ごめんごめんとニケはフクロウに謝る。道を塞いでいた男たちは無残に倒れており、狭い路地の入り口は血と亡骸が転がっていた。
「ほら、行こうぜ」
骸の転がる路地裏をニケが先頭に歩き出した。他の三人は骸を可哀想に眺めながら、ニケはなんとも思わないのだろうかと考えていた。
路地裏から大通りへ、大通りから橋へと続く道は何事もないように思えた。
後方から「いたぞ!」と言う声と共に、かなりの人数の人だかりがこちらへと迫ってきた。先行した者たちが戻ってこないから確認しに来たところ、見つかってしまったのだろう。
「走れ!」
「言われなくても走ってるって!」
「私走りたくないんだけど!」
「走らなきゃ捕まってなにされるかわからんぞ!」
四人は北の橋を目指して走りだすのだった……
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】487222760年間女神様に仕えてきた俺は、そろそろ普通の異世界転生をしてもいいと思う
こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
異世界転生の女神様に四億年近くも仕えてきた、名も無きオリ主。
億千の異世界転生を繰り返してきた彼は、女神様に"休暇"と称して『普通の異世界転生がしたい』とお願いする。
彼の願いを聞き入れた女神様は、彼を無難な異世界へと送り出す。
四億年の経験知識と共に異世界へ降り立ったオリ主――『アヤト』は、自由気ままな転生者生活を満喫しようとするのだが、そんなぶっ壊れチートを持ったなろう系オリ主が平穏無事な"普通の異世界転生"など出来るはずもなく……?
道行く美少女ヒロイン達をスパルタ特訓で徹底的に鍛え上げ、邪魔する奴はただのパンチで滅殺抹殺一撃必殺、それも全ては"普通の異世界転生"をするために!
気が付けばヒロインが増え、気が付けば厄介事に巻き込まれる、テメーの頭はハッピーセットな、なろう系最強チーレム無双オリ主の明日はどっちだ!?
※小説家になろう、エブリスタ、ノベルアップ+にも掲載しております。
不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます
天田れおぽん
ファンタジー
ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。
ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。
サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める――――
※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
底辺から始まった俺の異世界冒険物語!
ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。
しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。
おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。
漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。
この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ
ファンタジー
夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる