巫女で自分嫌いな腐男子の俺が異世界で色々勘違いされて愛される話

ひつじ

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第4章 反政府組織VS政府(国)編

第50話 再会

誰も座っていない車椅子を、皆が見つめること数秒。

「ナツがいない! まさか、また誰かに連れ去られたのか!?」

レイが焦って辺りを見回すも、扉も窓も固く閉ざされたままだった。

「俺たちに囲まれているここで人さらいなんてできるわけがないだろう!」

エヴァンも動揺はあるものの、団長としての経験が、自身を無理やり落ち着かせていた。

「だからナツが自分で歩いていった以外には考えられない」

そうであって欲しい。希望が絶たれた今、ナツが歩いているところをまた見られたらという、ただの願望かもしれない。魔法使いのエルフにも、もう直らないと言われてしまった。諦めるべきなんだろうが、ナツの笑顔をまた見られるなら何だってする。だから——神様、ナツを救ってください。

「ナツ……」

そう神に祈っていた時、ふと、何よりも聞きたかった声が聞こえた気がした。

「痛たた、足に全然力が入らない、ずっと寝てたせいかな……」

そう言いながら車椅子の下から這い上がろうとしている、一人の華奢な黒髪。

「まさか……ナツ、なのか……?」
「あ、エヴァン! もう、さっきからみんなを呼んでるのに誰も気づいてくれないんだから」

恥ずかしそうに頭を掻きながら、少し頬を膨らませて拗ねる姿は——まさに、半年前のナツそのものだった。

今、皆が神の奇跡を見た。

ナツが、意識を取り戻したんだ。

レイも、他の皆も、幽霊でも見たかのようにナツを見たまま固まっていた。

「みんな、長い間俺の世話をしてくれてありがとうございました。おかげで何とか戻れたみたいです。」

そうか、やはりナツは神に愛された子だ。その恩恵に与れることに、感謝を。

「ナツ、本当によかった……!」

衝動的に、強く抱きしめた。今のナツはひどく痩せていたが、生きている人間の温かさが全身からしっかりと伝わってきて、これが夢ではないことを決定づけてくれた。

「俺も、もう会えなくなるんじゃないかって怖かった。でもエヴァン達なら絶対に待っていてくれるって信じていたよ」

本当に、今回は危なかった。一瞬の油断で三途の川を渡りかけることになるとは……。

「ナツ……!! ちょっとちょっと! 俺もナツとハグしたい!」

レイが突進のような勢いで抱きついてきて、俺はエヴァンとレイ、それぞれと再会のハグをすることになった。

俺は、異世界に来て、エヴァンやレイ、他の皆と出会えた。嫌だった巫女の力が人を助けられる力だと、初めて自信を持てた。自分嫌いを少しは克服できたんじゃないかな、と思う。これからは、エヴァン達の気持ちにもゆっくり応えていきたい。

神様、ありがとう。俺はここで好きな自分でいられるように——これからも、巫女の力でたくさんの人の助けになります。




ーーーーーーーーーーー
何年も続きを待ってくださった方、ありがとうございます。
これにて本編完結となりますが、
ナツを巡ったエヴァン達とのラブコメは番外編で続きます。
感想 20

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