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第20話 伝説のフレンド
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虎一郎と麻衣歌は一緒に協力しながら人参の種を蒔き終えると、虎一郎はグッと腰を伸ばしなが言った。
「よし、これで人参は終わりであるな」
「虎一郎様とご一緒に種を植えられるなんて嬉しいですわ」
「妖術使い殿、大変助かった。少し休もう」
「はい。あ、麻衣歌です」
「おお、そうであった。茶でも出して差し上げたいのだが、水しかないのだ。すまぬ」
虎一郎は家に水を汲みに行こうとすると、麻衣歌が嬉しそうに言った。
「虎一郎様、お待ち下さい! ぜひ、こちらを!」
ボワン!
麻衣歌は茶会セットを出現させると、虎一郎は驚いて麻衣歌に言った。
「おお! 赤い敷物に大きな番傘、それにこれは茶釜であろうか? 殿様の茶会のようであるな」
「はいっ! 虎一郎様のためにお茶をご用意いたしますので、ぜひお座りくださいませ」
「ううむ……。しかし私のような者が茶会などをしても良いのであろうか……」
「もちろんですとも! ささ、こちらへ!」
虎一郎は茶会セットの座布団に案内されると、麻衣歌は一礼して前に座り、虎一郎に落雁(室町時代に中国経由で伝わったお菓子)を差し出した。
「これは何であろうか」
「落雁でございます。どうぞお召し上がりください」
「うむ」
シャリッ シャリッ
虎一郎は甘いお菓子に驚いた。
「なんと! これは美味い!」
「うふふ、喜んで頂けて光栄ですわ。ですが、これからもっと素晴らしいお茶を差し上げますので」
「おお、それは楽しみであるな」
麻衣歌は美しく一礼すると、優雅な所作でお茶の用意を始めた。
スッ ササササッ カチャッ カツッ
ジャァァ コツン ジャァ ススッ
カパッ スッ ファサッ スイッ ジャァァ
シャッ……、シャ、シャシャシャシャシャ……
スッ クルッ クルッ
「虎一郎様、どうぞ……」
虎一郎は座ったまま寝ていた。
「こ、虎一郎様! お茶でございます!」
「お、おお! すまぬ」
虎一郎は慌てて茶碗を持ち上げると一気に飲み干した。
んぐっ んぐっ んぐっ……
ぷはっ! ゴンッ!
「これは美味い!」
「え、ほ、ほんとですか! 嬉しい! でしたらもう一服」
「ただいまー!」
その時、愛芽が現れた。
「おお、愛芽殿」
「た……、高橋さん、おかえりなさい」
「え、すごい! これ麻衣歌さんのですか?」
「ええ、そうですわ。今、虎一郎様にお茶を差し上げて、美味しいと言って頂いたんですの」
「すごい! 麻衣歌さん、やっぱり女子力高い!」
「い、いえ、それほどでも、うふふ。良かったら高橋さんもいかがですか?」
「いいんですか!? やった、楽しみ!」
愛芽は靴を脱いで赤い敷物の上にあがると、虎一郎の隣に座った。
それを見た麻衣歌は一礼すると、お茶の用意に取りかかった。
スッ ササササッ カチャッ カツッ
ジャァァ コツン ジャァ ススッ
カパッ スッ ファサッ スイッ ジャァァ
シャッ……、シャ、シャシャシャシャシャ……
スッ クルッ クルッ
「どうぞ……、って寝てる! なにこれ、デジャブですの!?」
愛芽は麻衣歌の声で目を覚ますと慌てて謝った。
「あ、ご、ごめんなさい! お腹いっぱいで、つい眠くなっちゃって!」
愛芽は深々と頭を下げると、麻衣歌は気を静めながら静かに自分に言い聞かせた。
「怒っちゃだめだ、怒っちゃだめだ、怒っちゃだめだ。彼女は上司、彼女は上司、彼女は上司……」
ズズッ……
するとその時、麻衣歌差し出されたお茶を飲んだ愛芽は驚いて声をあげた。
「えっ、甘苦くておいしい! すごい麻衣歌さん!」
「え、あ、うふふ。当然ですわ」
麻衣歌は一瞬で機嫌を直すと、愛芽に尋ねた。
「高橋さん、お聞きしたいのですが……。頂いたレポートにクッマクマ団のアジトに22時って……」
「え、うん、そうなんです。討伐というか……」
「なんですって!? クッマクマ団へは虎一郎さん1人で?」
「いえ、エージェント・リーダーのライラさんと、エージェントの海さんも一緒です」
「えっ、あのライラさんと!?」
「はい」
「すごいわ。あの沈着冷静、完全無欠、美しきアンドロイドと言われるライラさん……。憧れですわ」
「え、ライラさんって結構抜けてるところがありますよ。そこがカワイイんですけど。ははは」
「えっ!? 高橋さん、ライラさんを良くお知りになっているのですか?」
「あたしのお母さんがライラさんと友達で、小さい頃は海おじさんと一緒に良く遊んでくれたんです」
「なっ! なんですって!? あの有名なエージェントの海さんも!? 高橋さんのお母様って……」
「あ、メイです。認定英雄の」
「えっ!」
認定英雄とはゲームが旧バージョンの時に、社内反乱によるゲーム崩壊の危機を救ったプレイヤーに与えられた称号だった。
「まさか高橋さんのお母様は、豪炎の大司教メイさん……!?」
「あ、はい。ははは」
「じゃ、じゃあ、あの老齢の三英雄、ひろしさん、大熊笹さん、茂雄さんにもお会いしたことが!?」
「あ、はい。まだ小さかったんでキッズモードでプレイしていた時ですけど」
「ええっ、すごい!」
「3人とも、とっても優しいおじいちゃんで……。思い出すなぁ、ははは」
「え、じゃあ伝説のエージェントでピンデチ知事のレディ・イリューシュには……」
「あ、ははは。それは、しょっちゅうです。たぶんアイアイとナナミン……、あ、友人たちは後でイリューシュさんの家に行くんじゃないかなぁ」
「えええっ!? じゃぁ黒豹の美咲さんとか、光の女神ルルさんとか、一撃のベンドレさんとか、撲殺紳士さんとか……」
「あ、その人たちは忙しいんで会うのは年に数回くらいなんですけど、マユさんとナミさんなら現実世界でも良くウチに来ますよ」
「ちょっ! 舞踏のマユさんと初代テイムマスターのナミさん!?」
「あ、そうです。ちなみに、エージェント司令官のゆぅさんとミツさんとか、特別顧問のアカネさんやめぐさんにも良くしてもらってます」
「ええっ!?」
「あ、それ言ったら会長と社長もフレンドだった。ははは」
「な、なな、なんですって!?」
麻衣歌は愛芽のフレンドの顔ぶれがレジェンドすぎて動揺を隠せなかった。
「よし、これで人参は終わりであるな」
「虎一郎様とご一緒に種を植えられるなんて嬉しいですわ」
「妖術使い殿、大変助かった。少し休もう」
「はい。あ、麻衣歌です」
「おお、そうであった。茶でも出して差し上げたいのだが、水しかないのだ。すまぬ」
虎一郎は家に水を汲みに行こうとすると、麻衣歌が嬉しそうに言った。
「虎一郎様、お待ち下さい! ぜひ、こちらを!」
ボワン!
麻衣歌は茶会セットを出現させると、虎一郎は驚いて麻衣歌に言った。
「おお! 赤い敷物に大きな番傘、それにこれは茶釜であろうか? 殿様の茶会のようであるな」
「はいっ! 虎一郎様のためにお茶をご用意いたしますので、ぜひお座りくださいませ」
「ううむ……。しかし私のような者が茶会などをしても良いのであろうか……」
「もちろんですとも! ささ、こちらへ!」
虎一郎は茶会セットの座布団に案内されると、麻衣歌は一礼して前に座り、虎一郎に落雁(室町時代に中国経由で伝わったお菓子)を差し出した。
「これは何であろうか」
「落雁でございます。どうぞお召し上がりください」
「うむ」
シャリッ シャリッ
虎一郎は甘いお菓子に驚いた。
「なんと! これは美味い!」
「うふふ、喜んで頂けて光栄ですわ。ですが、これからもっと素晴らしいお茶を差し上げますので」
「おお、それは楽しみであるな」
麻衣歌は美しく一礼すると、優雅な所作でお茶の用意を始めた。
スッ ササササッ カチャッ カツッ
ジャァァ コツン ジャァ ススッ
カパッ スッ ファサッ スイッ ジャァァ
シャッ……、シャ、シャシャシャシャシャ……
スッ クルッ クルッ
「虎一郎様、どうぞ……」
虎一郎は座ったまま寝ていた。
「こ、虎一郎様! お茶でございます!」
「お、おお! すまぬ」
虎一郎は慌てて茶碗を持ち上げると一気に飲み干した。
んぐっ んぐっ んぐっ……
ぷはっ! ゴンッ!
「これは美味い!」
「え、ほ、ほんとですか! 嬉しい! でしたらもう一服」
「ただいまー!」
その時、愛芽が現れた。
「おお、愛芽殿」
「た……、高橋さん、おかえりなさい」
「え、すごい! これ麻衣歌さんのですか?」
「ええ、そうですわ。今、虎一郎様にお茶を差し上げて、美味しいと言って頂いたんですの」
「すごい! 麻衣歌さん、やっぱり女子力高い!」
「い、いえ、それほどでも、うふふ。良かったら高橋さんもいかがですか?」
「いいんですか!? やった、楽しみ!」
愛芽は靴を脱いで赤い敷物の上にあがると、虎一郎の隣に座った。
それを見た麻衣歌は一礼すると、お茶の用意に取りかかった。
スッ ササササッ カチャッ カツッ
ジャァァ コツン ジャァ ススッ
カパッ スッ ファサッ スイッ ジャァァ
シャッ……、シャ、シャシャシャシャシャ……
スッ クルッ クルッ
「どうぞ……、って寝てる! なにこれ、デジャブですの!?」
愛芽は麻衣歌の声で目を覚ますと慌てて謝った。
「あ、ご、ごめんなさい! お腹いっぱいで、つい眠くなっちゃって!」
愛芽は深々と頭を下げると、麻衣歌は気を静めながら静かに自分に言い聞かせた。
「怒っちゃだめだ、怒っちゃだめだ、怒っちゃだめだ。彼女は上司、彼女は上司、彼女は上司……」
ズズッ……
するとその時、麻衣歌差し出されたお茶を飲んだ愛芽は驚いて声をあげた。
「えっ、甘苦くておいしい! すごい麻衣歌さん!」
「え、あ、うふふ。当然ですわ」
麻衣歌は一瞬で機嫌を直すと、愛芽に尋ねた。
「高橋さん、お聞きしたいのですが……。頂いたレポートにクッマクマ団のアジトに22時って……」
「え、うん、そうなんです。討伐というか……」
「なんですって!? クッマクマ団へは虎一郎さん1人で?」
「いえ、エージェント・リーダーのライラさんと、エージェントの海さんも一緒です」
「えっ、あのライラさんと!?」
「はい」
「すごいわ。あの沈着冷静、完全無欠、美しきアンドロイドと言われるライラさん……。憧れですわ」
「え、ライラさんって結構抜けてるところがありますよ。そこがカワイイんですけど。ははは」
「えっ!? 高橋さん、ライラさんを良くお知りになっているのですか?」
「あたしのお母さんがライラさんと友達で、小さい頃は海おじさんと一緒に良く遊んでくれたんです」
「なっ! なんですって!? あの有名なエージェントの海さんも!? 高橋さんのお母様って……」
「あ、メイです。認定英雄の」
「えっ!」
認定英雄とはゲームが旧バージョンの時に、社内反乱によるゲーム崩壊の危機を救ったプレイヤーに与えられた称号だった。
「まさか高橋さんのお母様は、豪炎の大司教メイさん……!?」
「あ、はい。ははは」
「じゃ、じゃあ、あの老齢の三英雄、ひろしさん、大熊笹さん、茂雄さんにもお会いしたことが!?」
「あ、はい。まだ小さかったんでキッズモードでプレイしていた時ですけど」
「ええっ、すごい!」
「3人とも、とっても優しいおじいちゃんで……。思い出すなぁ、ははは」
「え、じゃあ伝説のエージェントでピンデチ知事のレディ・イリューシュには……」
「あ、ははは。それは、しょっちゅうです。たぶんアイアイとナナミン……、あ、友人たちは後でイリューシュさんの家に行くんじゃないかなぁ」
「えええっ!? じゃぁ黒豹の美咲さんとか、光の女神ルルさんとか、一撃のベンドレさんとか、撲殺紳士さんとか……」
「あ、その人たちは忙しいんで会うのは年に数回くらいなんですけど、マユさんとナミさんなら現実世界でも良くウチに来ますよ」
「ちょっ! 舞踏のマユさんと初代テイムマスターのナミさん!?」
「あ、そうです。ちなみに、エージェント司令官のゆぅさんとミツさんとか、特別顧問のアカネさんやめぐさんにも良くしてもらってます」
「ええっ!?」
「あ、それ言ったら会長と社長もフレンドだった。ははは」
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