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第29話 ソニックブーム
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ヒュゥウウ……、ザザッ
その時、サルサルと呼ばれる男がワイヤーを使って崖から降りてきた。
サルサルはコーの横へ来ると嬉しそうにコーに話しかけた。
「コーちゃん、楽しくなってきたな」
「ああ、あいつらエージェントだ。見たことある顔だ」
「まじ? エージェントとバトルすんの? そりゃ最高じゃん」
「現実世界で警察に手を出せば掴まるが、この世界じゃエージェント殺っても何のペナルティもねぇからな」
「そうだな、はっはー!」
「せっかく作ったアジトを封印しやがって。ったく」
2人が話していると、ライラが捜査令状を見せながらコーとサルサルに言った。
「聞かぬとは思うが念の為に言っておく。クッマクマ団には多数の苦情と損害賠償が届いている。しかし武器を置いて投降する者は処罰を軽くする」
「チッ」
「あ?」
「捜査令状の力が及ぶ範囲で力尽きれば、お前たちはエージェント・センターにリスポーンする。その後は取り調べが終わるまで拘束する。ログアウトすればアカウントは凍結だ」
それを聞いたコーはライラを睨みつけると、薄ら笑いを浮かべながら言った。
「じゃあ、要するに倒されなきゃいいんだろ?」
「試してみるか?」
ライラもコーを睨み返すと、コーはクッマクマ団のメンバーに指示を出した。
「おい! こいつらをぶち殺せ!」
ダダダダダダダダダダダ……
すると、クッマクマ団のメンバーと仲間の熊、そしてライラたちも同時に動き出し、急激にプログラムに負荷がかかった。
虎一郎も槍を構えると、突然視界に見たことのないメッセージが現れた。
--------------------------
!WARNING!
your program is overloaded 116%
(警告! 116%プログラム過負荷)
--------------------------
「ぐっ! 体が!!」
虎一郎の異変に気づいたライラは虎一郎に叫んだ。
「どうした、虎一郎!」
「体が……、動かぬ……」
「なんだと!」
虎一郎はかろうじて体を動かせたが、コマ送りのようにしか動かせなかった。
それを見たライラは海に指示を出した。
「海! 虎一郎の援護を!」
「すみません! 動けません!」
「なにっ!?」
海はサルサルと交戦中で、サルサルのトリッキーな動きと飛び道具の攻撃に防戦一方になっていた。
ブワッ!
その時、コーの剣がライラを狙った。
ガキン!
ライラは素早く盾で受けると、コーは笑いながらライラに言った。
「エージェントさんよ、ケンカ売っておいて逃げるなんて無いよな」
「なめるな若造。お前こそ逃げるなよ」
ライラはそう言い返すと、体を盾ごと回転させてコーの剣を弾き飛ばし、その勢いて後ろ回し蹴りを放った。
ドガッ!
「チッ!」
コーはライラの蹴りを食らうと、バックステップで距離を取った。
するとそこへ、ダイゴのビッグ・ベアーが襲いかかった。
ガァァアアアア!
「チッ、こいつら!」
コーはビッグ・ベアーの攻撃を下がりながらよけると、仲間の熊、ツキノワグマを出現させた。
ゴァァアアアアアア!!
ツキノワグマは大きく咆哮してビッグ・ベアーに襲いかかると、ビッグ・ベアーも眼光鋭くツキノワグマに飛びかかった。
ガァァアアアアアア!!
ガシッ!!
ツキノワグマとビッグ・ベアーはガッツリと組み合うと、慌ててダイゴが走っていった。
「ビッグ・ベアー! いま助ける!」
ダイゴは棍棒を振り上げると、ツキノワグマへ突進していった。
その頃、動きが止まった虎一郎を庇うように、お菊が大勢の熊たちと戦っていた。
ブモォォオオオオ!!
パーーン!!
バリバリバリバリ!
お菊は熊たちに落雷させると、頭を低くして突進した。
ブモォォオオオオ!!
ドガッ ドガッ!!
「お……、お菊……、すまぬ……」
虎一郎は必死に体を動かそうとしたが、プログラムの過負荷率がどんどん上がっていった。
「う……、ぅぅ……、こ、え、が、ガガガガ」
虎一郎はだんだんと薄れていく意識の中で周りを見渡すと、防戦一方の海、コーと戦うライラ、ツキノワグマに吹き飛ばされたダイゴが見えた。
「み……、みなナナナガガガガ」
その時、虎一郎は麻衣歌の言葉を思い出した。
……虎一郎様の身になにかありましたら何としてでも駆けつけますのでアイテム欄からロケーターを選択してくださいませ……
虎一郎は力を振り絞ってアイテム欄を操作すると、ロケーターを選択した。
パシュッ!
すると、虎一郎の手から垂直に赤い光が飛び上がり、高い高度で静止した。
そして虎一郎は、その場に倒れた。
―― 虎一郎のプライベート・エリア ――
麻衣歌は頭にねじり鉢巻きを巻きながら、柱に釘を打っていた。
トントントントン、トンッ!
「うふふ。我ながら見事なトンカチさばきですわ。もうほとんど完成ですわね」
『ロケーターが発射されました。座標1992.2960』
その時麻衣歌の視界にメッセージが現れ、麻衣歌は驚いて声をあげた。
「ああっ、虎一郎様がピンチですわ! すぐに参ります!!」
麻衣歌は金槌を投げ捨ててプライベート・エリアの外へ向かって走り出すと、ツバキが必死に追いかけてきた。
「わんわんわん!」
ツバキに気づいた麻衣歌は慌てて立ち止まってツバキを抱え上げた。
「そうですわ、わたくしの任務はツバキちゃんのお世話。……それにあなたも虎一郎様が心配ですわよね」
「くぅぅ……」
「わかりましたわ」
麻衣歌はツバキを抱えながら走り出すとリュックを出現させてツバキを中に入れ、背中に背負った。
ツバキがリュックから顔を出すと、麻衣歌はツバキに笑顔で言った。
「ツバキちゃん、一緒に虎一郎様を助けに参りますわよ!」
「わんわん!」
麻衣歌はそう言って一気に山を走りおりると、パブリック・エリアまで走り出た。
「教習所に5000万、機体に1億プクナかけた、あれを使うときが来ましたわね」
麻衣歌はそう言うと、アイテム欄からイーグル・ジェットというモービルを選択した。
ボワン!
すると、スポーツバイクのような形の乗り物に翼の付いた、小型のジェット機が現れた。
バッ!
麻衣歌はイーグル・ジェットに跨ると、タッチパネルを操作した。
「座標1992.2960。よし! エンジン点火!」
キィィィイイイイ……
パシュッ パシュパシュゥゥゥゥウウ
イーグル・ジェットのジェットエンジンが点火されると、機体の底から圧縮空気が排出されて機体が持ち上がった。
そして徐々に機体の頭が持ち上がって空へ向くと、タッチパネルに「Ready」の文字が現れた。
「ツバキちゃん、行きますわよ! リュックの中に入って!」
「わん!」
ゴソゴソゴソ
ツバキがリュックの中に潜ると、麻衣歌はヘルメットを出現させて被り、シールドを降ろした。
「障害物なし! 上空視界よし! 行きますわよ! 発進!!」
バシュゥゥゥゥゥウウウウ!!!
ドパァーン!!
イーグル・ジェットは一瞬で空高く飛び立つと、一気に音速を超えて加速していった。
その時、サルサルと呼ばれる男がワイヤーを使って崖から降りてきた。
サルサルはコーの横へ来ると嬉しそうにコーに話しかけた。
「コーちゃん、楽しくなってきたな」
「ああ、あいつらエージェントだ。見たことある顔だ」
「まじ? エージェントとバトルすんの? そりゃ最高じゃん」
「現実世界で警察に手を出せば掴まるが、この世界じゃエージェント殺っても何のペナルティもねぇからな」
「そうだな、はっはー!」
「せっかく作ったアジトを封印しやがって。ったく」
2人が話していると、ライラが捜査令状を見せながらコーとサルサルに言った。
「聞かぬとは思うが念の為に言っておく。クッマクマ団には多数の苦情と損害賠償が届いている。しかし武器を置いて投降する者は処罰を軽くする」
「チッ」
「あ?」
「捜査令状の力が及ぶ範囲で力尽きれば、お前たちはエージェント・センターにリスポーンする。その後は取り調べが終わるまで拘束する。ログアウトすればアカウントは凍結だ」
それを聞いたコーはライラを睨みつけると、薄ら笑いを浮かべながら言った。
「じゃあ、要するに倒されなきゃいいんだろ?」
「試してみるか?」
ライラもコーを睨み返すと、コーはクッマクマ団のメンバーに指示を出した。
「おい! こいつらをぶち殺せ!」
ダダダダダダダダダダダ……
すると、クッマクマ団のメンバーと仲間の熊、そしてライラたちも同時に動き出し、急激にプログラムに負荷がかかった。
虎一郎も槍を構えると、突然視界に見たことのないメッセージが現れた。
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!WARNING!
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(警告! 116%プログラム過負荷)
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「ぐっ! 体が!!」
虎一郎の異変に気づいたライラは虎一郎に叫んだ。
「どうした、虎一郎!」
「体が……、動かぬ……」
「なんだと!」
虎一郎はかろうじて体を動かせたが、コマ送りのようにしか動かせなかった。
それを見たライラは海に指示を出した。
「海! 虎一郎の援護を!」
「すみません! 動けません!」
「なにっ!?」
海はサルサルと交戦中で、サルサルのトリッキーな動きと飛び道具の攻撃に防戦一方になっていた。
ブワッ!
その時、コーの剣がライラを狙った。
ガキン!
ライラは素早く盾で受けると、コーは笑いながらライラに言った。
「エージェントさんよ、ケンカ売っておいて逃げるなんて無いよな」
「なめるな若造。お前こそ逃げるなよ」
ライラはそう言い返すと、体を盾ごと回転させてコーの剣を弾き飛ばし、その勢いて後ろ回し蹴りを放った。
ドガッ!
「チッ!」
コーはライラの蹴りを食らうと、バックステップで距離を取った。
するとそこへ、ダイゴのビッグ・ベアーが襲いかかった。
ガァァアアアア!
「チッ、こいつら!」
コーはビッグ・ベアーの攻撃を下がりながらよけると、仲間の熊、ツキノワグマを出現させた。
ゴァァアアアアアア!!
ツキノワグマは大きく咆哮してビッグ・ベアーに襲いかかると、ビッグ・ベアーも眼光鋭くツキノワグマに飛びかかった。
ガァァアアアアアア!!
ガシッ!!
ツキノワグマとビッグ・ベアーはガッツリと組み合うと、慌ててダイゴが走っていった。
「ビッグ・ベアー! いま助ける!」
ダイゴは棍棒を振り上げると、ツキノワグマへ突進していった。
その頃、動きが止まった虎一郎を庇うように、お菊が大勢の熊たちと戦っていた。
ブモォォオオオオ!!
パーーン!!
バリバリバリバリ!
お菊は熊たちに落雷させると、頭を低くして突進した。
ブモォォオオオオ!!
ドガッ ドガッ!!
「お……、お菊……、すまぬ……」
虎一郎は必死に体を動かそうとしたが、プログラムの過負荷率がどんどん上がっていった。
「う……、ぅぅ……、こ、え、が、ガガガガ」
虎一郎はだんだんと薄れていく意識の中で周りを見渡すと、防戦一方の海、コーと戦うライラ、ツキノワグマに吹き飛ばされたダイゴが見えた。
「み……、みなナナナガガガガ」
その時、虎一郎は麻衣歌の言葉を思い出した。
……虎一郎様の身になにかありましたら何としてでも駆けつけますのでアイテム欄からロケーターを選択してくださいませ……
虎一郎は力を振り絞ってアイテム欄を操作すると、ロケーターを選択した。
パシュッ!
すると、虎一郎の手から垂直に赤い光が飛び上がり、高い高度で静止した。
そして虎一郎は、その場に倒れた。
―― 虎一郎のプライベート・エリア ――
麻衣歌は頭にねじり鉢巻きを巻きながら、柱に釘を打っていた。
トントントントン、トンッ!
「うふふ。我ながら見事なトンカチさばきですわ。もうほとんど完成ですわね」
『ロケーターが発射されました。座標1992.2960』
その時麻衣歌の視界にメッセージが現れ、麻衣歌は驚いて声をあげた。
「ああっ、虎一郎様がピンチですわ! すぐに参ります!!」
麻衣歌は金槌を投げ捨ててプライベート・エリアの外へ向かって走り出すと、ツバキが必死に追いかけてきた。
「わんわんわん!」
ツバキに気づいた麻衣歌は慌てて立ち止まってツバキを抱え上げた。
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「くぅぅ……」
「わかりましたわ」
麻衣歌はツバキを抱えながら走り出すとリュックを出現させてツバキを中に入れ、背中に背負った。
ツバキがリュックから顔を出すと、麻衣歌はツバキに笑顔で言った。
「ツバキちゃん、一緒に虎一郎様を助けに参りますわよ!」
「わんわん!」
麻衣歌はそう言って一気に山を走りおりると、パブリック・エリアまで走り出た。
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麻衣歌はそう言うと、アイテム欄からイーグル・ジェットというモービルを選択した。
ボワン!
すると、スポーツバイクのような形の乗り物に翼の付いた、小型のジェット機が現れた。
バッ!
麻衣歌はイーグル・ジェットに跨ると、タッチパネルを操作した。
「座標1992.2960。よし! エンジン点火!」
キィィィイイイイ……
パシュッ パシュパシュゥゥゥゥウウ
イーグル・ジェットのジェットエンジンが点火されると、機体の底から圧縮空気が排出されて機体が持ち上がった。
そして徐々に機体の頭が持ち上がって空へ向くと、タッチパネルに「Ready」の文字が現れた。
「ツバキちゃん、行きますわよ! リュックの中に入って!」
「わん!」
ゴソゴソゴソ
ツバキがリュックの中に潜ると、麻衣歌はヘルメットを出現させて被り、シールドを降ろした。
「障害物なし! 上空視界よし! 行きますわよ! 発進!!」
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