戦国時代の武士、VRゲームで食堂を開く

オイシイオコメ

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第43話 決闘! 麻衣歌vsサクラ

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「じゃあ、麻衣歌まいかさーん! わたし退社しますねー!」

 愛芽めめが1階から2階の麻衣歌まいかに言うと、麻衣歌まいかは階段に顔を出して笑顔で手を振りながら答えた。

「承知しましたわ。夜はお任せを」

「はーい。じゃあ、おねがいしまーす」

 愛芽めめはそう言うと手を振りながら消えていった。

 ―― 夜 ――

 コスギは夜勤が始まるので副隊長のサクラにリーダーを任せて現実世界へ戻って行くと、夜勤の忍者たちと昼勤の忍者たちが数人入れ替わった。

 麻衣歌まいかは1階の大広間に降りてくると忍者たちの前に立って話をはじめた。

「みなさん。これからとても大事な事をお話し致しますわ。お聞きくださいませ」

「「はい!」」

 忍者たちはひざまずいて頭を下げると、麻衣歌まいかは話を始めた。

「実は、虎一郎様はプログラムの関係で大勢おおぜいで戦うと動きが止まってしまいますの。これは技術的な問題ですぐには解決できませんわ」

 ざわざわざわざわ……

「ですから何かあった時には、忍者隊は虎一郎様から離れてください。わたくしが忍者隊の指揮しきをおりします」

 ざわざわざわざわ……

 すると麻衣歌まいかは少しだけ悔しそうにサクラに言った。

「サクラさん。先ほど虎一郎様からお聞きしましたわ。腕が立つそうね」

「え、あ、は、はい。ありがとうございます」

「あなたは何かあったらコスギさんと一緒に虎一郎様をお守りくださいませ」

「えっ! ほんとですか!? やった!!」

 しかし麻衣歌まいかは喜ぶサクラをせいするように言った。

「ですがサクラさん。その前に虎一郎様をお守りする大役たいやく、本当にたせるのかどうか、試させて頂きますわ」

「えっ?」

「忍者のみなさん。戦闘可能エリアをお願いできるかしら」

「「はい!」」

 ◆

 麻衣歌まいかとサクラは戦闘可能エリアの上に立つと、麻衣歌まいかがサクラに説明した。

「サクラさん。わたくしが虎一郎様の世話役として、あなたの実力を判断致しますわ。真剣(本物の刀)でかまいません。わたくしも本気で魔法を放ちますわ」

「わかりました! 虎一郎様のために頑張ります!」

「虎一郎様のため? あら、それは虎一郎様が望んでいるのかしら」

 バチバチバチ!!

 麻衣歌まいかとサクラはバチバチににらみ合うと、気の弱そうな忍者が2人に言った。

「あ……、あの……、では、試合を開始しても……」

「もちろんですわ!」
「早くして!」

「あ、はっ、ははっ! はいっ! 試合開始!!」

 ボォァァアアアア

「あーっはっはっは!」
「くっ!」

 麻衣歌まいかは即座に炎の魔法陣を展開してサクラに炎を浴びせると、サクラは背面はいめんジャンプでそれを避けた。

「あら、なかなかやりますわね!」

 ババッ!

 サクラは着地すると、一気に麻衣歌まいかの元へ飛び込んだ。

「やーー!!」
「あら、速いわね」

 ブンッ!
「えっ!」

 麻衣歌まいかはサクラの刀の速さに魔法陣の準備が間に合わなかったが、華麗かれいにステップをんで上へかわした。

 刀を空振りしたサクラは上を見ると麻衣歌まいかが飛び上がりながら魔法陣を展開していた。

「やばい!」
「あーっはっはっは! これで決着ですわ!」

 ブォォオオオオ!
 『HIT!』

 麻衣歌まいかは魔法陣から炎を吹き出すとサクラは刀を振り回して炎に突っ込んでいった。

 ブンブンブンブン!
「負けない!!」

 サクラのHPはどんどん減っていったが、サクラは眼光鋭く麻衣歌まいかへ向かっていった。

 麻衣歌まいかはそれを見ると、ニヤリと笑ってさらにもう1つ炎の魔法陣を出現させた。

「サクラさん、これで最後ですわ。諦めてくださいませ」

 ブォォオオオオ!
 『HIT!』

 新たな魔法陣から炎が放たれると、サクラの足は止まってしまった。

 すると、それを見た麻衣歌まいかはサクラに言った。

「あら、弱いのね。やっぱり虎一郎様をお任せできませんわね」

「う、うぅぅぅうううう!」

 ババッ!

「負けないっ!!」

 麻衣歌まいかの言葉を聞いたサクラは麻衣歌まいかに飛び込んだ。

 それを見た麻衣歌まいかは嬉しそうに叫んだ。

「あーっはっはっは! そうですわサクラさん、良い根性ですわ!」

 しかし、サクラが麻衣歌まいかに飛び込んだ瞬間、

 ドガッ
 『HIT!』

 麻衣歌まいか膝蹴ひざげりがサクラの鳩尾みぞおちに決まった。

「うっ!」
「ごめんあそばせ」

 ドサッ……

 サクラのHPは残り2まで一気に減ってしまった。

 麻衣歌まいかはサクラから離れて魔法の杖を構えると、サクラに言った。

「悪くはありませんね。でも、弱いですわ」

 麻衣歌まいかは魔法陣を消滅させると、サクラはその場に座り込んだ。

「あたし刀には自信あるけど魔法の敵が苦手で……。でも、そんなの言い訳で……。これじゃ虎一郎様を守れな……、ううっ! うわぁーん!」

 サクラはその場で泣き出した。

 すると、それを見た麻衣歌まいかは少し驚きながら言った。

「いえ、あ、サクラさん。……ええと、なにも泣かなくても……」

「あたし麻衣歌まいかさんみたいに美人じゃないし、お金持ちじゃないし!」

「えっ、サクラさん??」

「なのに麻衣歌まいかさん、あたしより強いし! あたしだって虎一郎様をお助けしたいのに麻衣歌まいかさんに勝てない……し……。うっ、ううっ……」

 サクラはそういうと、両手を前について頭を下げた。

 それを見た麻衣歌まいかは、サクラの前にしゃがんでサクラの涙をぬぐいながら言った。

「サクラさん、ごめんなさい。あなたは、とっても正直ね。……わたくし、あなたを誤解していましたわ」

「えっ?」

「サクラさん、あなたは虎一郎様に何かあった時にはコスギさんと一緒に虎一郎様をお守りくださいませ」

「……い、いいの?」

「ええ。まだ力不足ですが、コスギさんよりは戦えるでしょう」

「う、うん。ありがとうございます! えへへ」

 サクラが嬉しそうに笑うと、麻衣歌まいかもつられて笑った。


 その頃、麻衣歌まいかに気に入られたい幼馴染おさななじみの守山田もりやまだは秘書と一緒に1軒のラーメン店を訪ねていた。

「たのもう!」

「え? あ、いらっしゃ~い!」

 すると守山田もりやまだはカウンター越しに店主に言った。

「店主! この店、1億で売ってくれ!!」

「ええっ? って、お客さん冷やかしはやめてくださいよ~。ここ賃貸だし。ははは」

「じゃあ、2億だ!」

「はぁっ!? いやいや、ははは。動画の配信者さんかなんかですかい? まぁ、とりあえずウチの自慢のラーメン食べてってよ!」

「おぉ……、それもそうだな」

 それを聞いた守山田もりやまだは納得した表情でカウンターに座って店主に注文した。

「店主。では、この店で一番うまいラーメンを2つ頂こう」

「あいよっ!」

 店主は笑顔で答えると、厨房に戻って麺をで始めた。
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