戦国時代の武士、VRゲームで食堂を開く

オイシイオコメ

文字の大きさ
78 / 89

第78話 アルマジロちゃん、これからもよろしくね

しおりを挟む
 その頃、茜衣あいたちはララ太郎とララ次郎とツバキ、そして菜七海ななみの母親のナミと合流していた。

 菜七海ななみは母親のナミに驚くとナミに尋ねた。

「ぉ母さん、ゲームでひさしぶり。どうしたの?」

「アルマジロが、わたしを呼んだから」

 ナミはそう言うと頭の上のアルマジロを優しく撫でた。

 そして手で何かを操作すると菜七海ななみに言った。

菜七海ななみ。アルマジロの連絡先を菜七海ななみにした。こんどはアルマジロが助けを呼んだら菜七海ななみに連絡がくる」

「いぃの? アルマジロ、ママのぉ友達なのに」

「ぅん。これからは菜七海ななみのぉ友達」

 それを聞いたアルマジロは心の中で呟いた。

 ……ナミは、ぼくに菜七海ななみを守ってほしいんだ。ぼく、菜七海ななみを守る……

 するとアルマジロは体を反らせて手をパタパタさせ始めた。

 それに気づいたナミは頭の上のアルマジロを撫でながら言った。

菜七海ななみのほうに行きたいんだね」

 ナミはアルマジロを頭から下ろすと菜七海ななみの頭の上に乗せた。

 するとアルマジロは落ち着いたように菜七海ななみの頭の上で目をつむり、それを見たナミは嬉しそうに菜七海ななみに言った。

「アルマジロ、菜七海ななみを守ってくれるって」

「ぅれしぃ。アルマジロちゃん、これからもよろしくね」

「きゅぅきゅぅ」

 菜七海ななみが頭の上のアルマジロを撫でるとアルマジロは嬉しそうに鳴いた。

 ドガァァアアアンン!!

 するとその時突然ホテルの外壁が爆発した。

 そして支配人が操縦する赤い戦闘ロボと、支配人の戦闘ロボから指令を受けて行動するグレーの戦闘ロボが5機、合計6機が現れた。

 支配人はアーボンたちを指差すと、2機のグレーの戦闘ロボに指令を出した。

「1号2号! あいつらを全滅させろ!」

「ビッ!」
「ビビッ!」

 それを見たアーボンは驚いて声をあげた。

「やべぇ逃げろ! あれはマジで最大攻撃力15万の戦闘ロボだ! 機銃で撃たれたら即死だぞ!」

「「「わーーーー!!!」」」

 アーボンたちが一斉に逃げ出すと、2機のグレーの戦闘ロボは背中のジェットエンジンを点火させて一気にアーボンたちへ向かっていった。

 支配人はその様子を見ていると、突然背後から声がした。

「ほう、巨大なカラクリ人形か」

「だっ、誰だ!」

 支配人が振り向くと、なんと虎一郎が立っていた。

 虎一郎は刀を抜くと支配人に言った。

斑白はんぱく(白髪交じり)の御方おんかた、彼らは私の大切な友人でござる。事情によっては容赦いたしませぬぞ」

「……すみません。私もできれば戦いたくはないんです」

「ほぅ。貴殿きでんはただの悪人ではござらるな。名をお聞きしたい。私は越中後藤家の武士、虎一郎」

「私はかつてアーボンさんと共に戦ったタケチ。まさか……、アーボンさんを倒さなくてはならないなんて……」

「そうでござったか。貴殿も色々とご事情があるご様子。だがアーボン殿は素晴らしきお方。貴殿も我らの仲間になりませぬか」

 それを聞いたタケチは少し目に涙を浮かべながら答えた。

「今はVRゲームが現実世界を越えようとしています。この世界で働いて仮想通貨を稼ぎ、そのお金で現実世界で暮らしている人たちもたくさん居ます」

 虎一郎はタケチの話に耳を傾けた。

「私はこのホテルの支配人。従業員の生活を守らなければなりません。だから大口の取引先の意向には逆らえません!」

 タケチはそう言うと、自らの戦闘ロボで虎一郎に襲いかかった。

「私は支配人としての責務を果たすのみ!!」

 タケチは戦闘ロボの左腕の機銃を虎一郎に向け、引き金を引いた。

 ズダダダダダダダダダ!!

 ザッ ザザッ!

 スパン!
『クリティカル! +20%』

「えっ!?」

 しかし虎一郎は目にも留まらぬ速さで飛び込み、機銃ごと戦闘ロボの関節から左腕を切り落としていた。


 その頃、アーボンたちはグレーの戦闘ロボから逃げていたが、菜七海ななみの母親のナミがアーボンに提案した。

「アーボン、ぁの速さだと逃げられなぃ。戦おぅ」

「そ、そうだな! ってかナミちゃん、相変わらず冷静だな」

 ザザッ!!

 みんなは立ち止まって一斉に戦闘体勢を整えると、アーボンはナミに尋ねた。

「ナミちゃん。おれハデスの寿命が近いから、できれば呼びたく無いんだけど、ナミちゃんララすけ呼べる?」

「ぅぅん。ララ助はさっき戦ってぉ休み中」

「まじか……。じゃあガチで戦えそうなのは、コスギとダイゴと……」

 すると突然ララ太郎がアーボンの足に噛み付いた。

 ガブッ!
「いてっ!」

 そしてララ太郎とララ次郎とツバキは自信に満ちた目でアーボンを見上げると、アーボンは真剣な眼差しになって尋ねた。

「まさか、お前らやる気なのか?」

「クルル!」
「クルッ!」
「わんわん!」

「おいおい、やめとけ。おれはお前たちの親父おやじもお婆ちゃんも知ってるけどケタ違いに強かった。お前らにかわわりができるのか?」

 ボワッ!

 するとララ太郎とララ次郎は体に炎をまとわせて大きく膨らませた。

「そうかそうか。まぁでも、そんな小さな炎じゃ負け確定だな。負けて親父に恥をかかせたいのか?」

「グルルルルル!」
「グルッ! グルルル!」

 シュゴォォオオオ!

 するとなんと、ララ太郎とララ次郎の炎が青白く輝き始めた。

「はっはっは! それだそれだ! お前らの親父が母親を超えたように、お前らも親父を超えるんだ!」

「グルルルルル!」
「グルッ! グルルル!」

 ゴォォォォオオオ!

 しかし、それを見た菜七海ななみは心配そうにアーボンに聞いた。

「ぁーぼん、あのコたち大丈夫?」

「……。やってみないと分からないけどダメかもな。なんたって相手が強すぎる」

「えっ、じゃぁ止めなぃと」

 するとその時、菜七海ななみの後ろから母親のナミが大弓を構えながら前へ出た。

「だからみんなで、このコたちを援護する」

 ナミはそう言うと大弓を引きしぼって戦闘ロボの頭を狙った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

癒し目的で始めたVRMMO、なぜか最強になっていた。

branche_noir
SF
<カクヨムSFジャンル週間1位> <カクヨム週間総合ランキング最高3位> <小説家になろうVRゲーム日間・週間1位> 現実に疲れたサラリーマン・ユウが始めたのは、超自由度の高いVRMMO《Everdawn Online》。 目的は“癒し”ただそれだけ。焚き火をし、魚を焼き、草の上で昼寝する。 モンスター討伐? レベル上げ? 知らん。俺はキャンプがしたいんだ。 ところが偶然懐いた“仔竜ルゥ”との出会いが、運命を変える。 テイムスキルなし、戦闘ログ0。それでもルゥは俺から離れない。 そして気づけば、森で焚き火してただけの俺が―― 「魔物の軍勢を率いた魔王」と呼ばれていた……!? 癒し系VRMMO生活、誤認されながら進行中! 本人その気なし、でも周囲は大騒ぎ! ▶モフモフと焚き火と、ちょっとの冒険。 ▶のんびり系異色VRMMOファンタジー、ここに開幕! カクヨムで先行配信してます!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。 ─────── 自筆です。 アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー

黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた! あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。 さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。 この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。 さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

処理中です...