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第84話 この虎一郎、まだまだ精進せねば
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その頃、アーボンたちは残り2機となった戦闘ロボに押されながらも、なんとか持ちこたえていた。
メイは戦闘ロボと戦っている麻衣歌とサクラ、そしてそれをサポートするカオリと師匠を見ながら、後ろでアワアワしているアーボンに声をあげた。
「ちょっとパパ! みんな戦ってるじゃん! 攻撃力あるんだからパパも戦いなよ!」
「えっ、ちょっ! おれの武器は動きの遅い両手剣だぞ! 近づいたら撃たれるって!」
「なによ、2、3発くらい当たっても大丈夫でしょ!? ほら、ちょっと行って、ササッと切っちゃってよ!」
「お、おいおい! 『ちょっとスーパー行って、ササッとタマゴ買ってきてよ』みたいに言うなよ! ……ったくもう、しょうがないなぁ」
アーボンはそう言うと、渋々と青白く光る鎧と赤く光る両手剣を装備した。
「じゃあママ、行ってくるから防御頼むね」
「大丈夫よパパ、防御は愛芽がやってくれるから」
「そっか。じゃあ愛芽、頼むな」
「わかった、任せて!」
アーボンはやる気なく走り出すと、戦闘ロボへと向かっていった。
「あぁあ。また、やられるんだろうなぁ……」
アーボンがそう呟いた瞬間、2機の機銃が同時にアーボンを捉えた。
ズダダダダダダダダ!
ズダダダダダダダダ!
「ほら、やっぱり!! なんでいつも、おれだけ狙われるんだよ! いてて!」
しかし突然、戦闘ロボの動きが止まった。
「ガガガ」
「ガゴゴ」
すると戦っていた麻衣歌たちは異変に気づいて戦いを止め、動かなくなった戦闘ロボを見上げた。
「止まりましたわね……」
「はい、そうみたいですね」
「止まった?」
動かなくなった戦闘ロボを見たアーボンは、腰に手を当てながらドヤ顔で言った。
「なんだなんだぁ? おれ様の防具が硬すぎて、ビビッて止まっちまったのか? はっはっは!」
しかし、そこに居た全員は「それは無い」という冷ややかな目でアーボンを見た。
「皆、無事であったか!?」
「あっ、虎一郎様!」
「虎一郎様」
「コイちゃん!」
「コイっち!」
「コイっち」
「あ、虎一郎くん」
「クルル!」
「クルッ!」
「わんわん!」
虎一郎が駆け足でやってくると、みんなは一斉に走っていって虎一郎を取り囲んだ。
「皆、無事であったか! ん? コスギとダイゴは……」
それを聞いたアーボンは虎一郎に答えた。
「あいつらは命がけでロボットと心中した……」
「……そうであったか」
虎一郎はそう言って空を見上げると、コスギとダイゴが笑っている星座が見えたような気がした。
―― 翌日 ――
ワイハー島グルメ・イベントは大盛況となり、とら食堂のコーナーには大行列ができていた。
コスギとダイゴ、そして守山田はエージェントセンターからの報告によって無償でワイハー島に戻り、厨房では虎一郎とアーボンが忙しく働いていた。
「アーボン殿、これは驚いたでござるな!」
「ああ、予想以上の大繁盛でバッタバタだな!」
虎一郎とアーボンは笑顔を見せながら肉煮込みうどんを用意していると、愛芽が厨房に飛び込んできた。
「速報出たよ! とら食堂がトップで、守山田ラーメンが2位だって! でも差を縮めてきてるって!」
「おぉ、それは誠か!」
「差を縮めてるって?」
「うん。でも、ここは逃げ切らないとね!」
「もうひと頑張りでござるな!」
「だな!」
虎一郎とアーボンは目を合わせて頷くと、守山田ラーメンのカオリとクリリが店に飛び込んできた。
「培養肉マシーンをお借りしに来ましたー!」
「かりるにゃ!」
それを聞いたアーボンは無理やり余裕の笑顔を作りながら厨房から顔を出した。
「お、おー、カオリちゃんにクリリ。に、2位で追い上げてきてるんだってな」
カオリは培養肉マシーンを操作しながら笑顔でアーボンに答えた。
「いえいえ、アーボンさん。アーボンさんの素晴らしい手打ちうどんには勝てませんよ。うふふ」
「えっ、そ、そう? へへへ」
「ええ。この店の近くにいるお客さんたち、アーボンさんのうどんを凄く褒めていますよ」
「ま、まじか! おっしゃ!」
アーボンはカオリの言葉に機嫌を良くすると、ホクホクの笑顔でカオリに言った。
「あ、そうだカオリちゃん。良かったらそこの『肉の元LV5』使ってよ。おれ様たちのうどんには、それくらいの肉で勝負してもらわないとな!」
「えっ! いいんですか!?」
「もちろん! アーボンに二言はない!」
「ありがとうございますぅー」
「かかったにゃ」
クリリがニヤリと笑うと、カオリはご機嫌で肉の元LV5を培養肉マシーンに投入した。
―― 夕方 ――
ワイハー島グルメ・イベントは大盛況のうちに閉幕し、結果発表を残すのみとなった。
会場に設置されたステージに会長が現れると、会場からは大きな拍手がおこった。
パチパチパチパチパチパチパチパチ!!
「「わーーー!!!」」
会長は拍手に笑顔で答えると、軽く咳払いをしてマイクを握った。
「ワイハー島グルメ・イベントにお越し頂いた皆様、おまたせ致しました! ではこれより、今大会の優勝店舗を発表致します!」
「「「わーーーーー!!!」」」
「……今大会の優勝店舗は……」
会場にいた虎一郎たちと守山田たちは固唾を飲んで会長を見上げた。
「守山田ラーメン!!」
「「「わぁーーーーー!!!」」」
「そして同着で、とら食堂! ダブル優勝です!!」
「「「おぉぉーーーー!!!」」」
「あっぶね! あっぶね! おっしゃ!」
アーボンが思わず声をあげると隣にいた愛芽がアーボンの脇腹を小突いた。
「もぅ。お父さんが調子に乗って『肉の元LV5』あげるからだよ」
「え、あ、いやぁ、ははは……」
こうしてワイハー島グルメ・イベントは無事に終わり、とら食堂の名はVR世界中に知れ渡った。
そして虎一郎は会長からも腕前を認められ、さらに広い土地と感謝状、そして広い店舗が贈られた。
―― 虎一郎のプライベートエリア ――
夜、ワイハー島から戻った虎一郎は広々とした畑の前に腰を下ろし、寄ってきたお菊を撫でながら静かに呟いた。
「将軍様に認められ、広い土地と店まで賜るとは、なんたる名誉か。この虎一郎、まだまだ精進せねばな」
虎一郎は柔らかな笑顔をこぼすと、さらなる精進の決意を固めたのだった。
メイは戦闘ロボと戦っている麻衣歌とサクラ、そしてそれをサポートするカオリと師匠を見ながら、後ろでアワアワしているアーボンに声をあげた。
「ちょっとパパ! みんな戦ってるじゃん! 攻撃力あるんだからパパも戦いなよ!」
「えっ、ちょっ! おれの武器は動きの遅い両手剣だぞ! 近づいたら撃たれるって!」
「なによ、2、3発くらい当たっても大丈夫でしょ!? ほら、ちょっと行って、ササッと切っちゃってよ!」
「お、おいおい! 『ちょっとスーパー行って、ササッとタマゴ買ってきてよ』みたいに言うなよ! ……ったくもう、しょうがないなぁ」
アーボンはそう言うと、渋々と青白く光る鎧と赤く光る両手剣を装備した。
「じゃあママ、行ってくるから防御頼むね」
「大丈夫よパパ、防御は愛芽がやってくれるから」
「そっか。じゃあ愛芽、頼むな」
「わかった、任せて!」
アーボンはやる気なく走り出すと、戦闘ロボへと向かっていった。
「あぁあ。また、やられるんだろうなぁ……」
アーボンがそう呟いた瞬間、2機の機銃が同時にアーボンを捉えた。
ズダダダダダダダダ!
ズダダダダダダダダ!
「ほら、やっぱり!! なんでいつも、おれだけ狙われるんだよ! いてて!」
しかし突然、戦闘ロボの動きが止まった。
「ガガガ」
「ガゴゴ」
すると戦っていた麻衣歌たちは異変に気づいて戦いを止め、動かなくなった戦闘ロボを見上げた。
「止まりましたわね……」
「はい、そうみたいですね」
「止まった?」
動かなくなった戦闘ロボを見たアーボンは、腰に手を当てながらドヤ顔で言った。
「なんだなんだぁ? おれ様の防具が硬すぎて、ビビッて止まっちまったのか? はっはっは!」
しかし、そこに居た全員は「それは無い」という冷ややかな目でアーボンを見た。
「皆、無事であったか!?」
「あっ、虎一郎様!」
「虎一郎様」
「コイちゃん!」
「コイっち!」
「コイっち」
「あ、虎一郎くん」
「クルル!」
「クルッ!」
「わんわん!」
虎一郎が駆け足でやってくると、みんなは一斉に走っていって虎一郎を取り囲んだ。
「皆、無事であったか! ん? コスギとダイゴは……」
それを聞いたアーボンは虎一郎に答えた。
「あいつらは命がけでロボットと心中した……」
「……そうであったか」
虎一郎はそう言って空を見上げると、コスギとダイゴが笑っている星座が見えたような気がした。
―― 翌日 ――
ワイハー島グルメ・イベントは大盛況となり、とら食堂のコーナーには大行列ができていた。
コスギとダイゴ、そして守山田はエージェントセンターからの報告によって無償でワイハー島に戻り、厨房では虎一郎とアーボンが忙しく働いていた。
「アーボン殿、これは驚いたでござるな!」
「ああ、予想以上の大繁盛でバッタバタだな!」
虎一郎とアーボンは笑顔を見せながら肉煮込みうどんを用意していると、愛芽が厨房に飛び込んできた。
「速報出たよ! とら食堂がトップで、守山田ラーメンが2位だって! でも差を縮めてきてるって!」
「おぉ、それは誠か!」
「差を縮めてるって?」
「うん。でも、ここは逃げ切らないとね!」
「もうひと頑張りでござるな!」
「だな!」
虎一郎とアーボンは目を合わせて頷くと、守山田ラーメンのカオリとクリリが店に飛び込んできた。
「培養肉マシーンをお借りしに来ましたー!」
「かりるにゃ!」
それを聞いたアーボンは無理やり余裕の笑顔を作りながら厨房から顔を出した。
「お、おー、カオリちゃんにクリリ。に、2位で追い上げてきてるんだってな」
カオリは培養肉マシーンを操作しながら笑顔でアーボンに答えた。
「いえいえ、アーボンさん。アーボンさんの素晴らしい手打ちうどんには勝てませんよ。うふふ」
「えっ、そ、そう? へへへ」
「ええ。この店の近くにいるお客さんたち、アーボンさんのうどんを凄く褒めていますよ」
「ま、まじか! おっしゃ!」
アーボンはカオリの言葉に機嫌を良くすると、ホクホクの笑顔でカオリに言った。
「あ、そうだカオリちゃん。良かったらそこの『肉の元LV5』使ってよ。おれ様たちのうどんには、それくらいの肉で勝負してもらわないとな!」
「えっ! いいんですか!?」
「もちろん! アーボンに二言はない!」
「ありがとうございますぅー」
「かかったにゃ」
クリリがニヤリと笑うと、カオリはご機嫌で肉の元LV5を培養肉マシーンに投入した。
―― 夕方 ――
ワイハー島グルメ・イベントは大盛況のうちに閉幕し、結果発表を残すのみとなった。
会場に設置されたステージに会長が現れると、会場からは大きな拍手がおこった。
パチパチパチパチパチパチパチパチ!!
「「わーーー!!!」」
会長は拍手に笑顔で答えると、軽く咳払いをしてマイクを握った。
「ワイハー島グルメ・イベントにお越し頂いた皆様、おまたせ致しました! ではこれより、今大会の優勝店舗を発表致します!」
「「「わーーーーー!!!」」」
「……今大会の優勝店舗は……」
会場にいた虎一郎たちと守山田たちは固唾を飲んで会長を見上げた。
「守山田ラーメン!!」
「「「わぁーーーーー!!!」」」
「そして同着で、とら食堂! ダブル優勝です!!」
「「「おぉぉーーーー!!!」」」
「あっぶね! あっぶね! おっしゃ!」
アーボンが思わず声をあげると隣にいた愛芽がアーボンの脇腹を小突いた。
「もぅ。お父さんが調子に乗って『肉の元LV5』あげるからだよ」
「え、あ、いやぁ、ははは……」
こうしてワイハー島グルメ・イベントは無事に終わり、とら食堂の名はVR世界中に知れ渡った。
そして虎一郎は会長からも腕前を認められ、さらに広い土地と感謝状、そして広い店舗が贈られた。
―― 虎一郎のプライベートエリア ――
夜、ワイハー島から戻った虎一郎は広々とした畑の前に腰を下ろし、寄ってきたお菊を撫でながら静かに呟いた。
「将軍様に認められ、広い土地と店まで賜るとは、なんたる名誉か。この虎一郎、まだまだ精進せねばな」
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