ステータス無双~異世界に転生した俺に授けられた能力は、ステータスウィンドウを表示する能力でした~

遠野紫

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ステータス無双~異世界に転生した俺に授けられた能力は、ステータスウィンドウを表示する能力でした~

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「危ないッッ!!」

 この俺、斎藤拓夢はとあるレジャー施設のジェットコースター清掃員である。
 今日もいつもと同じく清掃をしていた俺は、安全用の縄が外れてしまった同僚を庇い地面へと落下した。
 すぐに訪れるであろう衝撃と痛みに備えるが、それはいつまで経ってもやってくることは無い。代わりに女性の声が聞こえてきた。

「拓夢よ。聞こえていますか」

「あ、あなたは……?」

 恐る恐る目を開けると、そこには絶世の美女が立っていた。楊貴妃やクレオパトラといった世界に名を遺す美女にも勝るであろうその女性は何故か俺の名を知っていた。しかしこのような女性と面識も無ければ話したことも無い。

「私はこの世界を管理する女神、ルテナです」

 女神様だったか。そりゃ美しい訳だぜ。ってそんなこと信じられるか!

「信じられないと言った顔をしていますが、真実なのです。残念ながら貴方は亡くなってしまったのです」

 俺が……死んだ?
 いや、確かに俺の担当していたジェットコースターは日本で2番目に高いと有名なものだ。そのてっぺん近くから落ちたのだから命を落とすのも当然か……。

「しかし貴方は同僚を救うためにその命を使いました。その正義感に感銘を受けた私たちは、貴方に第二の生を授けることにしました」

「それはありがたい!」

「ですが、元の世界でという訳には行きません。貴方の世界の人類に似た知的生命体の存在する別の世界での転生と言うことになってしまいますが、それでも構いませんか?」

 ……もう元の世界には戻れないのか。それでもこのまま何も残らず終わるくらいなら、別の世界でもう一度やり直そうじゃないか。

「はい、それでも構いません。是非よろしくお願いいたします」

「わかりました。貴方には転生特典として能力を授けておきますので、うまく活用してくださいね」

 目の前が光に包まれる。別の世界か。ラノベやアニメで良く見る概念だが、まさか自分が行くことになるとは思わなかった。
 こうなったのならもう異世界を満喫するのみだ。待ってろ異世界!



 意識がはっきりしてきた時、俺は赤ん坊だった。
 な、なんだこれはぁぁ!? って「転生」なのだから当然か。この世界で生まれこの世界で育つこの世界の住人として生まれ直したんだ。
 しかしこれではしばらくの間満足には動けんな……。それどころか話すことも出来ない。どうやら体の成長を待つしか無いようだ。

「さあアル、絵本のお時間ですよー」

 母親は俺のことを『アル』と呼ぶが、正式名はアルバートである。きっと俺の世界における英語圏のような文化形態なのだろう。
 特にやることも無いので、母親の読み聞かせてくれた本の内容からこの世界の情報を取り入れようとした。しかしその内容はおとぎ話のような伝説の英雄の冒険譚であって、この世界についての情報は全くわからずじまいだった。この時はそう思っていた。
 しかしある時家の中に小型の魔物が現れ、今までの考えは全て吹き飛ぶこととなる。

「アイシクルショット!!」

 父親はそんな中二な叫びと共に、手の平から拳ほどの大きさの氷の塊を撃ちだしたのだ。まさしくそれは魔法。ラノベやアニメで良く見るファンタジーなそれだった。この時俺は、この世界が剣と魔法の世界であることを確信したのだった。

 それから数年が経ち、俺は8歳になった。
 以前魔法を使ったことから薄々予想していたが、俺の父親は元冒険者だ。その父親がこの世界で生きていくための能力を身に付けさせるということで魔法を俺に教え始めたのが1年前くらいのこと。それから魔法の練習を続けた俺は、今では初級魔法をほぼ完ぺきに扱うことが出来るようになっている。

 初級魔法は火球を飛ばしたり氷のつぶてを生み出したりと言った小規模な魔法だ。それでもあるのと無いのとでは大きな差があり、魔物が蔓延るこの世界では初級魔法が使えるだけでも命を落とす確率がぐっと縮まるのだ。
 以前父親が使用したアイシクルショットは氷属性の中級魔法であり、父が言うには熟練の冒険者でも習得には苦労すると言った代物らしい。それをかの本人は20代前半で習得していた。つまるところ、俺は魔法にそれなりに長けた血筋の子供と言うことになる。
 女神様は転生特典の能力を授けたと言っていたけど、きっとこれのことだろう。この世界で不自由なく暮らすための能力として、魔法の才能を与えてくださったのだ。

「凄いぞアル! この年で既に初級魔法をマスターするなんてな! 流石は俺の息子だ」

「いやあ、父さんの教え方が上手なだけだよ」

「よし、せっかくだから中級魔法にも挑んでみるか?」

 いやいや流石にそれは無理でしょ。普通は長いこと鍛錬を積んでやっと習得できるものらしいし、そう簡単に使えるものでは無いはずだ。まあ挑むだけならタダだし、やってみるだけやってみるか。

 結論から言うと、駄目だった。まあわかってはいたんだけども。
 初級魔法とはまるで違う。術式構築に必要な精度も必要な魔力の量も、何もかもが初級魔法とは桁が違ったのだ。どうせならもっと抜群に強い能力を授けて欲しかったものだが、初級魔法をマスター出来るだけでもこの世界では十分なのだろう。



「冒険者登録が完了いたしました! こちらが鉄ランクの証となりますので、肌身離さずお持ちください。有事の際の身分証明になりますので、どうか失くすことの無いようにお願いします」

 14歳になり、俺は冒険者になれる年齢となった。あれから中級魔法の特訓を続けた結果、回復魔法だけだが使用できるようになったのは幸いだ。このまま冒険者として自らの力を強めて行き、いつかは中級魔法をマスターしてやるぞ!

 しかしこの世界にはステータスという概念があるのには驚いた。冒険者ギルドに設置されている装置を使うと己の能力が数値化されるのだ。もっと驚いたのはその装置によって可視化された俺の能力だ。
 結論から言うと俺の能力は同年齢帯では少し抜けているくらいで、『チート能力!』だとか、『強すぎ能力で無双!』だとか言うラノベ的なずば抜けた能力では無かったのだ。
 てっきり女神様から魔法の才能を授けれられたのかと思っていたが、転生特典というにはいささかパワーが足りない気がする。純粋に俺の転生先の血筋が良かっただけのようだった。いや、実はそこも女神パワーなのかもしれないが。

 まあそれを気にしても仕方が無い。ひとまず依頼を受けてみようじゃないか。
 こうして俺の冒険者としての活動が始まるのだった。

 最初に受けたのは薬草の採集であるため、街の近くの森へとやって来た。初っ端から魔物と戦うのはお勧めしないと受付嬢に言われたため、まずは簡単な採集依頼から受けて行くことにした。まるで某モンスターを狩るゲームを思い出す。ああ、最新作をやることなく死んでしまうとは残念だ。
 とか思っている間にそれなりに集まったのでギルドへ戻ろうとした時だった。近くで悲鳴が聞こえた。それも若い女性。これは行かざるを得ないだろう。
 ……俺の能力でなんとかなるかはわからないが。

 声の方へ向かうと、大きな牙が目立つ大型の狼のような魔物が冒険者パーティを襲っていた。悲鳴を上げたと思われる女性は、血を流して倒れている男性の近くで泣き崩れている。そしてそれを庇うように二人の冒険者が前に出て魔物と戦っていた。

 前に出ている内の一人は武闘家の女性。強化魔法で拳を強化させて戦っているものの出血があまりにも多く、恐らく限界が近い。
 もう一人は剣士の男であり、ロングソードを構えている。しかしあの魔物には強度が足りていないのか、刃が欠けてしまっている。このままあの剣で戦っても勝機は無いだろう。
 倒れている男性は魔力を高めるローブを纏い杖を握っているため、魔法使いであることは確実だ。恐らく回復役がやられてしまいジリ貧となってしまったのだろう。弓を背負っている女性があの状態では遠距離攻撃による援護は無いと思っても良い。

「な、なんなのよコイツ! この辺りにはこんな強い魔物は出ないはずでしょ!?」

「俺だって知らねえよ! キノコ採集の簡単な依頼のはずなのに何だってこんなことに!!」

 あの狼の魔物はこの辺りにはいないものだと言う。実際俺も見たことが無い。父親と一緒に狩りに出かけた時も、あのレベルの魔物は見たことが無かった。

 しかし、だからと言って彼らを見殺しにするわけには行かない!

「ファイアボール!」

 俺は火属性の初級魔法を放ち、魔物の注意をこちらに向ける。

「だ、誰だ!?」

「話は後だ! あの魔物は俺が引き付けるから、ひとまず彼を回復させてやれ!」

 前に出ていた男性冒険者にそう言い、俺は魔物の側面へと走る。あの冒険者パーティから引き離さなければ再度標的にされてもおかしくは無いため、何としてでも魔物の攻撃の矛先を俺に向けさせる必要がある。

「グァァァアアッッ!!」

 近づいて行ったのが功を奏したのか、魔物は俺を追ってくる。後は逃げながら距離を取り初級魔法を当て続けるだけだ。
 だが現実はそんなに簡単な話では無かった。
 
「あぐぁっ!?」

 魔物は俺よりも遥かに足が速かったのだ。当然だ。人間が狼に勝てるはずが無い。追いつかれるなり魔物は俺の足を噛む。それにより俺はバランスを崩し、そのまま地面を転がる。
 足から痛みが伝わってくる。噛まれた場所を見ると肉が噛みちぎられており、このままでは歩くことすら困難だ。

「はぁ……はぁ……回復魔法を習得しておいて良かったぜ……」

 中級回復魔法を使用して傷を癒す。初級魔法では完全には治せなかっただろうが、中級魔法であればこの程度の傷ならすぐに完治出来る。
 魔物は嚙みちぎった俺の肉を咀嚼しているため、回復するための隙があったのも不幸中の幸いだ。
 この隙に攻撃を畳みかけ、一刻も早く終わらせよう。これ以上攻撃を受ければ俺の命も危ない。

「ファイアボール! アイスショット! サンダーボルト!」

 初級魔法を次々に撃ち出していく。しかしそのどれもが致命傷を与えるには至らなかった。魔法が当たるたびに魔物は歩みを止めるものの、少しするとまたこちらへと歩み始める。このままでは確実に殺される。
 魔物が俺に向かって飛び掛かった時、度重なる魔法の影響か大きく立派な牙が折れた。それだけならこの絶体絶命の状況は何も変わらないだろう。だがその瞬間、どう考えても現実では起こり得ないことが起こったのだ。

[部位破壊ボーナスを獲得 レベルが上昇しました]

 そう書かれた黒い板が俺の前に現れ、魔物からの攻撃を防いだのだ。

「……なんだ、これは?」

 なんとなくこれが何を示しているのかはわかっていた。あの魔物の牙を折ったことによりボーナスを得たのだろう。書かれている通りのことだ。
 ただそれが書かれた板が空中に現れたというのが問題なのだ。この世界ではこれまでそのようなことは起こらなかった。そんなゲームみたいなこと……。そう考えた俺は、ある言葉を口にする。

「……ステータスオープン」

 その言葉と同時に、色々な数値が表示された板が俺の前に現れた。
 ラノベやアニメで良く見る光景。この世界にはそう言ったものは無いものだと思っていた。恐らくこのステータスウィンドウの表示こそが女神様によって授けられた能力なのだ。
 きっとこの世界の人たちは自分でステータスを確認する手段を持たない。そうでなければわざわざギルドにあんな装置を置く必要が無い。俺の転生特典は、いつどんなタイミングでも己の能力を確認することが出来るというものなのだ。

「グルルルゥゥ……」

 得体のしれないものに攻撃を防がれた魔物は警戒しているようだ。
 しかしどうしたものか。ステータスを確認出来たところであの魔物には恐らく勝てない。何か手は無いだろうかとステータスウィンドウを見る。しかしレベルが上昇したと表示されているものの、上昇した数値は少しだけだった。これではあの魔物には敵わない。一応アイテムウィンドウやスキルウィンドウなどもあるようだが、今この状況においては意味を持たないだろう。

「ガゥッッ!!」

「うわっ!?」

 魔物は再度飛び込んでくるものの、ステータスウィンドウにまたもや防がれる。しかしあの巨体で飛び掛かって来ていると言うのに、このステータスウィンドウには傷一つ付かないどころか1ミリたりとも動いていない。もしかしたらこのステータスウィンドウ、この世界の理とは別の概念で動いているのかもしれない。
 俺はある可能性に賭けて、アイテムウィンドウやスキルウィンドウなど手あたり次第に他のウィンドウを表示させた。そしてそれを移動させる。どうやら俺自身はウィンドウを動かせるようだ。

「よし、いける……!」

 俺は魔物の四方にウィンドウを配置し、逃げ出さないように取り囲む。そしてそれを徐々に縮めて行く。

「ウガァッガァァ!!」

 ウィンドウは暴れる魔物を押しつぶしていく。立派な牙も折れ、四肢は変な方向へと曲がる。そして最終的には血や内臓を吹き出しながら、手の平程のサイズに圧縮された。

[グレートファングウルフを討伐 レベルが上昇しました]

 なんとも惨い倒し方だが、ひとまず命の危機からは脱することが出来た。しかしこれで安心している場合では無い。出血していた男性のことが心配であるため、俺は急いで先ほどの冒険者パーティの元へ戻った。




 戻った時、女性は相変わらず泣き崩れておりパーティ全員の表情は暗いものであった。

「あの魔物は倒してきた。……彼の容態は?」

「回復ポーションを飲ませて止血もしたけど、それでも意識が戻らないんだ……」

「なるほど。じゃあ俺が回復魔法を使ってみよう」

 俺は寝かされている男に中級回復魔法を使用した。しかし出血は止まらず意識は戻らないままだった。傷が深すぎる上に出血量も多いためだろう。

「中級回復魔法……! そんな、その年でどうやって!?」

「中級魔法だろうが何だろうが治らねえじゃねえか。……もう駄目なんだよ」

「やっぱり司祭様の使う上級回復魔法じゃなきゃ駄目なのね……」

 俺の魔法ではこの男を治すことは出来ない。彼女が言うように司祭のところまで連れて行くしかないだろう。それなりに大きな街には必ず上級以上の回復魔法を使える司祭と呼ばれる者が存在する。もっと大きな王国などにはさらに強力な回復魔法を使える司教という者も存在するようだが、ここから王国まではどんなに急いでも一週間はかかるだろう。
 とは言えここから最寄りの街へ向かうにしても1時間はかかるだろう。それまでこの男性の体がもつかどうかはわからない。せめて出血さえどうにかなれば……。

 先ほどの魔物を倒した時のように何か抜け道が無いか考えた結果、一つの方法を思いついた。俺はウィンドウを表示し、それを小さくして男の出血部分に当てた。予想通り、出血はウィンドウによって無理やり抑えられた。あまりにも想定されていないウィンドウの使い方な気もするが、贅沢は言っていられない状況なので許して欲しいものだ。

「なんだよそれ!?」

「今は一刻も早く彼を司祭様の所へ運ぼう」

「あ、ああわかった……」

 俺たちは彼の傷口が広がらないように慎重に街に戻り、司祭の所へと連れて行った。




「この間は本当にありがとうございました!」

「いや、良いんだよ。同じ冒険者同士、助け合うのは当然だよ」

 うーんくっせえセリフ。でも人助けも悪くはない。

「いえ、何かお礼をしなければ!」

 そう言って彼はお金の入った袋を渡してくる。だが彼らはこれから、失った道具の補填や摩耗した装備の新調をしなければならないはずだ。俺はあの時倒した魔物から得た素材を売ったためしばらくは金には困らない。なのでこの金は彼らに返すことにした。

「これは君たちが使ってくれ。俺は受け取れないよ」

「でも!」

 困った。何としてでもお礼をしないと気が済まないようだ。

「それなら、何か良さそうな依頼があったら教えてくれよ。俺が見逃しちゃうこともあるかもしれないしさ」

「そんなことで良いんですか……?」

「ああ」

 結局彼らはしぶしぶながらも俺の提案を受け入れてくれた。
 宿へと戻った後、服のポケットが何か膨らんでいたため中を確認したのだが……そこには金の入った袋がねじ込まれていた。

「クソッやられた!!」

 俺の気付かぬうちに彼はあの袋を俺のポケットへとねじ込んでいたのだ。
 その手口はまるで盗賊のようだった。気づかれぬように物をねじ込む……さながら、逆盗賊とでも言うべきだろう。



 冒険者になって早数年。最低ランクの鉄ランクだった俺は、今では最上級ランクのひとつ下である白銀になっている。
 冒険者ランクは下から鉄、銅、銀、金、白銀、アダマンといった順に上がっていく。
 ……ツッコミどころが多すぎる。

 何故金の上に白銀があるのか。金の下に銀あるじゃん。銀が二つあることになるじゃん。あと白銀のことをプラチナって呼んでいるのにも問題がある。プラチナは白銀じゃないだろう。あとなんで最後だけアダマンなの!? 金剛とかあったでしょうに! そもそも金の上に金剛を置く必要があるのかもわからない。きっと最初は金までだったのだろうが、後にインフレしてしまったのだろう。もしくはこのランクシステムを作ったのが俺の元居た世界からの転生者説有り……? だとしたら一度会ってみたいところだが。

 それはそれとして、ここまで来れたのもすべてはウィンドウの力によるものである。ウィンドウの力は凄まじく、どんな強力な魔物の攻撃も防ぐことが出来る。いわゆる破壊不能オブジェクトというヤツであり、これがあれば俺はほとんど攻撃を受けることが無い。そしてグレートファングウルフを倒した時のように、ウィンドウを使えば格上であろうと容赦無く倒すことが出来る。こうなると後はやりたい放題であった。
 ただ、レベルアップで上昇するのは能力値だけでありスキルは生まれ持った才能の面が大きいようだ。あれから魔法の特訓を続けたが、結局中級魔法はマスター出来無かった。恐らく俺の才能がそこまで高くは無いのだろう。

 そんなわけで、俺は白銀ランクになったことでめでたく勇者パーティに迎え入れられることとなったのだった。中級魔法も満足に使えないが、とにかく高い能力値と白銀という高いランクから俺はかなり腕の立つ冒険者として推薦されたのだ。
 勇者パーティの目的は魔王を倒すこと。めちゃくちゃにテンプレである。思えば幼い頃に母に読み聞かされたあの話は空想のものでは無く、きっと勇者と魔王の戦いの話しなのだろう。あれはかつて実在した伝承だったのだと今更ながら理解した。

 俺の加入することになった勇者パーティはなんと全員が白銀ランク以上と言う英傑の集まりだ。魔王を討伐するためのパーティなのだから当然と言えば当然ではあるのだが。
 リーダーである勇者の名はリト。彼は幼いころから剣の才能が有り、その才能に目を付けた王国の騎士長から剣術を教わりアダマンランクへと上り詰めた超が付くほどの天才剣士だ。
 同じく剣士であるリアは、元は小さな村に住んでいた村娘だった。ある日慕っていた兄を魔物に殺され、魔物やその頭領である魔王に強い恨みを持つようになった。それからと言うもの、死に者狂いで剣の鍛錬を行い白銀ランクまで上り詰めたのだと言う。リトが天才だと言うのなら彼女は超が付くほどの秀才だろう。
 そしてパーティの回復役であるアルは凄腕の神官だ。彼女は上級回復魔法を扱うことが出来、回復さえ間に合えばほとんど死ぬことは無いだろう。ただ問題は俺の愛称と同じ『アル』であるため、最初の内はどちらに話しかけているのかわからなくなってしまっていた。そこで、俺は正式名称のアルバートと呼ばれることとなった。
 こうして俺の新たな冒険が、ここから始まったのだ。




「やっとたどり着いたな。ここが魔王の住まう城……魔王城か」

「ここまで長かったわね」

「ああ。しかしここまで乗り越えてこられたのは、私たちのチームワークが本物だからだ」
 
 勇者パーティと共に旅をすること数か月。ついに俺たちは魔王城の前へとやって来た。魔の王と言うだけあって魔王城は立派なものであった。
 魔王城の中へと入ると、早速魔物たちが襲ってくる。だがこれまで多くの強敵と戦ってきた俺たちの敵では無い。

「うおぉぉぉ!!」

 ここまで来た以上負ける訳には行かない。皆気合が入っているようだった。ただ、それが空回りしなければ良いのだが。
 
 そのまま奥へと進んでいくと大きな扉が見えてくる。明らかに他の部屋とは違う豪華な装飾。恐らくこの部屋が魔王の部屋だ。
 その扉を開け中へ入る。いくら大きな扉と言えど白銀ランク以上の冒険者にとっては苦でも何でもない。

「よくぞ参ったな勇者よ」

「お前が魔王だな。お前さえ倒せば魔物は大人しくなり人類は救われる……」

「はははっ人類のためにその身を犠牲にして戦うとは何とも健気なものよ。どれ、その苦行から解き放ってやろう」

 魔王は玉座から降り、リトの前に立つ。同時に俺たちは臨戦態勢を取り、動くタイミングを見計らっていた。
 
「はぁッ!!」

 最初に動いたのは魔王。両手に巨大な火球を生み出し俺たちへと放ってくる。上級魔法であるヘルメテオを両手で同時に発動させるなど、白銀ランクの冒険者でも簡単なことではない。それも無詠唱での発動をしている。あの魔王は実力的にはアダマンランクの冒険者を大きく超えているだろう。
 だからと言って俺たちが為すすべもなく負けると言うわけでも無い。洗練されたチームワークは時にランクを大きく超えた結果をもたらす。

「な、なんだそれは!?」

 俺の出したウィンドウによってヘルメテオはかき消され、その下からリトとリアが飛び出る。そのまま魔王に連撃を与え、反撃される前に一度下がる。
 それを見計らって俺はヘルメテオにも負けず劣らずの大きさのファイアボールを数十個程発射する。ステータスの高い俺は初級魔法でも絶大な威力を誇り、かつ保有魔力量も高いため連発が可能だった。

「なんだこの数のヘルメテオは!?」

 来た!

「今のはヘルメテオでは無い。ファイアボールだ」

 くぅ~一度言ってみたかったんだよこれ!

「なに……?」

「よそ見をしている場合じゃないぜ!」

 魔王が俺の言葉に驚いている隙にリトが再度斬りかかる。それに合わせてリアも斬りこみ、無数の斬撃を食らわせることに成功した。

「……どうやら本気を出す時が来たようだな」

「何だって?」

 魔王はそう言い、形態を変化させた。先ほどまでは人に近い形をしていた魔王は、今や龍のような巨体に変貌している。
 どこかで見たことのある形態変化だが、異世界ではよくあることなのだろう。

「我のブレスを受けるが良い」

 魔王は炎のブレスを吐く。速度が速く、俺のウィンドウ展開が間に合わない。結果、リトとリアは大きな火傷を負ってしまった。だがこっちにはアルがいる。彼女の回復魔法ならばこの程度の火傷は怖いものでは無かった。

「ふむ……回復役は厄介なものだな」

 魔王は執拗にアルを狙い始める。回復役を倒すことは定石であるため、その行動は予想出来た。だからアルの防衛は俺が集中して行い、その間にリトとリアに攻撃を任せる。こちらが倒される前に魔王を削り切るという作戦だ。というより、こちらにはその手しか無い。

「はぁ……はぁ……」

 ブレス自体はウィンドウによって防ぐことが出来るが、それによって発生した熱までは遮断することが出来ない。このままではそう遠くない内に熱中症と脱水症状を引き起こしてしまうだろう。

「リト! リア! まだなのか!? もうアルが限界だ!」

「わかってる! でも魔王の体力があまりにも多すぎるんだ!」

 俺もウィンドウを操作しつつ魔法を放つ。龍と化した魔王に対して俺の魔法は致命傷にこそならないが、何も無いよりはマシだろう。
 その後もしばらくの間両者での削り合いが続いた後、衝撃で崩れた魔王城の一部が魔王の頭に直撃した。

「ぐあぁぁっぁ!?」

「なんだ!?」

「見て見ろリト! あの水晶、魔王が変身する前には胸にあったものだ!」

 リアの言葉を聞き、魔王の頭を見る。確かにどす黒い色をした水晶が付いている。そしてその水晶は先ほど崩れた天井によるものか、小さなひびが入っていた。

「私たちの攻撃でも大きなダメージを与えられなかったのに、天井の崩落程度であれほどのダメージが入るのは不自然だ。もしやあれが魔王の弱点なのでは無いか?」

「だとしても、あんなに高いところを攻撃する手段は無いぞ」

「なら、俺に任せてくれ」

 俺はアルを二人に任せ、ウィンドウを空中に出しそれを足場にして次々とジャンプしていく。

「なんだその能力は!! おのれ、やらせはせん!」

 躍起になる魔王。だが今までにない程焦っていることから、あの水晶が弱点なのはまず間違いない。

「くらえええぇぇ!!」

「やめろぉぉ!!」

 俺は全魔力を使い魔法を水晶に向かって叩き込む。

「砕けろォォォ!!」

「グアァァアアアアァァ!!」

 魔法を受け魔王の水晶は砕け散った。その瞬間、魔王は龍の姿から人の姿に戻る。

「我が……負けるのか……? 魔王である我が……?」

「ああ。お前の負けだ」

「そうか……だが忘れるな。我が倒されようと、いつかまた新たな魔王が現れる……。その時を楽しみにしているんだな……」

 魔王は捨て台詞のような言葉を残して灰と化したのだった。

「終わったか……。それにしても、アルは良くあんな高いところまで登って行って平気だったよな」

「ああ、高所には慣れているからな」

 ジェットコースターの清掃員経験がこんなところで役に立つとは、人生何が起こるかわからないものだ。……まあこの人生二回目だけども。

「さて、魔王も倒したし街へ戻るか」

「これで人類は救われるのだな」

 俺たちは魔王城を後にし、街へと向かった。



「よくぞ無事に戻られたな勇者パーティよ。魔王を倒し人類を救った功績は大きい。何か褒美をくれてやろう」

 王様は魔王を倒した俺たちに何かしらの褒美をくれるのだと言う。ただ褒美と言っても何を願えば良いのかわからない。魔王を倒せるだけの能力がある以上、さらなる力は必要が無いだろう。金も冒険者としての依頼でたんまりと稼いだ分がある。領地を貰ったところでそこを統治できるだけの才が俺にあるとは思えない。どうしたものか。

「この何でも願いをかなえると言うマジックアイテムの使用を許可しよう。あまりにも非道徳的な願いは許されないがね」

 てっきり王や国から何か貰えるものかと思っていたが、何かとんでもないものが出てきたぞ。何d目御願い事が叶うとかヤバい代物でしょそれ。現実改変とか出来ちゃうじゃん。むしろよく今まで盗賊とか悪い奴に盗まれなかったな。

「このマジックアイテムの存在はどうか他言無用で頼むぞ」

「あの、一つよろしいでしょうか」

「何だね?」

「そのアイテムで魔王を倒すことは出来なかったのでしょうか」

「ふむ。言いたいことはわかるが、魔王は防御魔法を使っておりこのアイテムでは倒せなかったのだ。出来ているのなら既にしておる」

 なるほど。願いによって影響が出る側は或る程度対策が可能と。それなら悪用されても最悪の事態は免れそうだ。

 リトとリアは共に願いを決め、既にアイテムを使用した。リトはさらなる剣の腕を願ったため、自分に合わせて際限なく強くなる自動人形を手にした。リアは死んだ兄を生き返らせることを願ったが、生きている者は生き返らせることが出来ないという事をアイテムにより伝えられたようだ。その衝撃の事実を知り、どこかで生きている兄を探す方法をアイテムに願った。

 俺は……どうするべきか。
 その時、ふと元の世界の事が頭によぎった。このアイテムならば、俺を元の世界に戻せるのでは無いか。
 そう考えてしまい、俺はアイテムに『元の世界に戻りたい』……そう願ったのだった。



「……はっ!?」

 気が付いた時、俺の視界には知らない天井が広がっていた。しかし何か違和感があった。

「……電灯?」

 視界には確かに電灯があったのだ。そんなはずは無いと目をこすり何度も確認するが、その事実は何も変わりはしなかった。
 ありえなかった。電気どころかガスだって発展しない文明レベルだったはずだ。それも全て魔法で代用が効くために科学技術を発展させる必要が無いためだ。

「先生! 拓夢さんが!」

 拓夢……忘れかけていた記憶が蘇る。そうだ。俺は斎藤拓夢だ。日本生まれの日本人。俺をその名で呼ぶという事は、ここは日本なのか……?
 起き上がり、確認する。俺はどこかの病院のベッドに寝かされていた。テレビ、新聞、そして腕に刺されている点滴。どれもあの世界には存在しないものだ。
 
 俺は正真正銘、元の世界に戻って来たのだ。
 あのマジックアイテムは、元の世界に戻りたいと言う俺の願いを叶えてくれたのだった。

「本当に……戻って来たんだな。ステータスオープン……なんちっ……て……?」

 軽い冗談のつもりでそう言葉にした。元の世界に戻って来たのだから、俺のステータスウィンドウを表示する能力も失われたものだと思っていた。だが違ったのだ。
 今、目の前には確かにあの黒い板が表示されている。

「なんで……?」

「拓夢さん、速く逃げてください! 外が大変なことに!!」

 突如、医者を呼びに行っていたはずの看護師さんが戻って来てそう叫んだ。外が何だとか言っていたため窓から外を確認すると、その光景に絶句した。
 魔物が、あの世界の魔物がいたのだ。
 
 もしかしたら俺がこの世界に戻って来たのと関係があるのかもしれない。だとすれば、俺はとんでもないことをしでかしてしまったのかもしれない。
 実際ステータスウィンドウを確認すると名前の欄にはアルバート……向こうの世界での俺の名前が表示されているため、何かしら関係している可能性は0では無いだろう。

 ならば、今この騒ぎをどうにか出来るのは俺しかいない。俺しか戦えるものはいない。俺はベッドを降り、点滴を無理やり外して部屋を出た。




「来るな! 来るなぁ!!」

「ファイアボール!!」

 外へと向かう途中、警察と思われる男性がスライムに襲われているのを確認したため俺はファイアボールを放った。ステータスがそのままだったためかこの世界でも魔法は使えた。恐らく魔力さえあればこっちでも魔法は問題なく使えるのだろう。アイテムウィンドウの中には大量の魔力ポーションを詰め込んでいるため、しばらくは何とかなりそうだ。
 しかし警察の銃もスライムは効かないのか。これは本格的に世界が危ないかもしれない。

「ひぃ! き、君! 今のは何なんだ!?」

「スライムという魔物です。ここは危ないので下がってください」

「そっちもそうだが、今君が腕から出したものもだ!!」

「話せば長くなるので詳しくは言いませんが、俺は魔法が使えるんです。さあ早く避難を」

 何が起こっているのかわからないと言った様子の警察をとにかく避難させ、俺は建物内の魔物を探しながら外へと向かった。
 魔法が使えることがわかったため、回復魔法を使用して点滴によって出来た穴を回復させるのも忘れずに行った。

「き、君! ここから先は危ないから早く逃げなさい!」

「いえ、俺がやらないといけないんです」

 俺は警察の制止を無視し、魔物の前に出る。

「アイスショット!」

 拳よりも一回り程小さい氷のつぶてをスライムへと撃ちこんでいく。数は多いが、それでも数秒間撃ち続ければ大方掃討することが出来た。

「今のは……いったい君は何者なんだ……?」

「俺はアルバー……いや、異世界からの帰還者……斎藤拓夢と言う者です」

 この俺、アルバートの戦いは終わった。これからは斎藤拓夢の戦いが始まるのだ。

ステータス無双~異世界に転生した俺に授けられた能力は、ステータスウィンドウを表示する能力でした~
 完
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