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52 迎撃用拠点
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帝国の飛行船による攻撃を皮切りに、王国と帝国の戦争はついに始まってしまったようだ。
元より帝国は王国と長いこと戦争をしていたらしいし、こうして戦争が起こること自体は対して珍しくも、それこそ今に始まったことでもないんだろう。
ただ、今回は色々と条件が違っていた。
まずは帝国の飛行船。今回、王国の国境まで迫ってきた飛行船は今までに見たことのないタイプのものだと言う。
エルダー大森林にやってきたあの無人と思わしき飛行船と情報が一致する辺り、あれは恐らく帝国の最新鋭ってことなんだろうな。
んで、もう一つ。今の王国には俺と言うイレギュラーがいると言うこと。
正直なところ、これは今までの戦争とはかなり大きな相違点だと王都の偉い人も言っていた。
なにせ今の俺は農家兼ポーション師。
有事の際に必要となる食料や薬を、この俺が直接用意してしまう訳なのだ。
転移魔法が一般ではないらしいこの世界だと輸送だってそう簡単じゃないはずだし、この俺の存在が後方支援の要となると言っても過言ではない……と、思っていただこう。
それに俺の畑の収穫量、なんかこう……おかしいので。
恐らくは肥料のレアリティと農耕系スキルが相乗効果でヤバみが凄みって感じ。
大きめの都市で一ヵ月に必要な食料を全部まかなえてしまえそうだ。いやそれは過言か。
なにはともあれそう言うことなので、俺は国境付近にある迎撃用拠点へとやってきている。
ちなみに戦いに巻き込まれるのも嫌なので皆にはエルダー大森林で待機してもらうことにした。
もしまた襲われたとしても、あそこの防衛能力はこの前のことで分かったし、もう充分過ぎるくらいに安全なのは確定的に明らかだ。
にしても、凄いなこの迎撃用拠点は。凄まじい、色々と。
国境付近とは言っても戦いに巻き込まれない程の距離はあるはずだが、それでもしっかり防衛用の魔術師やバリスタなんかが配備されている。
これならもし国境を越えて飛行船が入って来てもある程度は対処出来そうだ。
それだけじゃない。医療用の簡易テントなんかも大量にあるし、回復術師と思われる人たちもたくさんいる。
更にはかなりの人数が戦いに参加するからか炊き出しの規模もけた違いだ。
ふーむ、今でにも何度か同じような戦いがあったからなのか、色々と最適化されている拠点と言う訳だな。
よし、俺もこうしちゃいられないぞ。
用意してきた大量の食糧とポーションを渡したら俺も出来るだけのことをしなければ。
物資だけ渡して「ハイさよなら」とはいかないぜ、こんなものを見せられちゃあな。
……と言うかね。そもそもの話をしていいだろうか。
俺、回復魔法使えるじゃんって言うね。
メインキャラとは雲泥の差のスペックだし致命傷レベルだと難しいけど、そこそこの怪我をした数百人を一度に回復できるくらいの能力はあるよ?
いや確かに王国からの手紙にはポーションの用意を頼むってあったけどさ。
恐らく俺がポーションをユグド商会に売ったから、そう言ったツテがあるだろうって判断なんだろうけど。
よく考えたら王国側は俺がキャラチェンジできること、知らないからね。
まあ……下手に目立たないで済むことを考えたらこの方が良いのか。
この世界に来たばかりの時は他の日本人と……いやなんなら地球人であれば誰かしらと出会えたらなんて考えていたけど、帝国のことを考えると下手に異世界人として目立つのも不味そうなんだよな。
それこそ余計な争いに巻き込まれかねないし、危険が危ない。
一応は第五等級までの魔法を使えることはハイドラとの戦いについて話したから王国側も知っているし、何かあっても使うのはそこまでにしておいた方が良さそうだな。
なので俺はあくまで後方支援に徹することにする。
幸い、このハルと言うキャラはレベルの高さのおかげで肉体の能力も高い。雑用や肉体労働なら任せてくれってんだ。
――そんなこんなで迎撃用拠点で雑用をしていた時のことだった。
「おい、聞いたか。突然現れた魔物のせいで前線が崩壊寸前だってよ」
「はは……まさか。誤情報だろ……?」
「俺もそう思いたいよ。けど今、騎士隊長様が直接確認に向かっているらしい。こうなるとただの誤情報とは思えない……よな」
待機中の騎士から物騒な話が聞こえてきた。
突然現れた魔物……か。嫌な予感がするな。
いやだって間違いなくアレだろ。飛行船の墜落現場にいた、あのおかしな魔物だろうがよこれ絶対にさあ。
ただそうなるとその魔物、恐らくは帝国の差し金だ。
俺が前に出て戦っていいものなのか?
王国は冒険者を戦争に参加させる気はないみたいだし、俺が下手に動くべきじゃないのかもしれない。
けど……本当にあの魔物だとしたら、騎士隊長さんの身の危険が危ないのではなかろうか。
こう言ってしまうのは何とも申し訳ないが、騎士隊長さんは多分あの魔物には勝てないぞ。
噂に聞く限り、実力はあの白銀の翼と同等くらいらしいからな。
それが確かなら間違いなく勝てないし、最悪逃げ帰れるかどうかも怪しい。
あぁクソッ、仕方ない。
こうなりゃ後の事はどうだっていい。今俺に出来ることはただ一つ、助けに行くことだけだ。
結局のところ、助けられる力を持っているのに見捨てるのが一番心にくるからな。
なので何か問題でも起こったら、その時は未来の俺にお任せしよう。
元より帝国は王国と長いこと戦争をしていたらしいし、こうして戦争が起こること自体は対して珍しくも、それこそ今に始まったことでもないんだろう。
ただ、今回は色々と条件が違っていた。
まずは帝国の飛行船。今回、王国の国境まで迫ってきた飛行船は今までに見たことのないタイプのものだと言う。
エルダー大森林にやってきたあの無人と思わしき飛行船と情報が一致する辺り、あれは恐らく帝国の最新鋭ってことなんだろうな。
んで、もう一つ。今の王国には俺と言うイレギュラーがいると言うこと。
正直なところ、これは今までの戦争とはかなり大きな相違点だと王都の偉い人も言っていた。
なにせ今の俺は農家兼ポーション師。
有事の際に必要となる食料や薬を、この俺が直接用意してしまう訳なのだ。
転移魔法が一般ではないらしいこの世界だと輸送だってそう簡単じゃないはずだし、この俺の存在が後方支援の要となると言っても過言ではない……と、思っていただこう。
それに俺の畑の収穫量、なんかこう……おかしいので。
恐らくは肥料のレアリティと農耕系スキルが相乗効果でヤバみが凄みって感じ。
大きめの都市で一ヵ月に必要な食料を全部まかなえてしまえそうだ。いやそれは過言か。
なにはともあれそう言うことなので、俺は国境付近にある迎撃用拠点へとやってきている。
ちなみに戦いに巻き込まれるのも嫌なので皆にはエルダー大森林で待機してもらうことにした。
もしまた襲われたとしても、あそこの防衛能力はこの前のことで分かったし、もう充分過ぎるくらいに安全なのは確定的に明らかだ。
にしても、凄いなこの迎撃用拠点は。凄まじい、色々と。
国境付近とは言っても戦いに巻き込まれない程の距離はあるはずだが、それでもしっかり防衛用の魔術師やバリスタなんかが配備されている。
これならもし国境を越えて飛行船が入って来てもある程度は対処出来そうだ。
それだけじゃない。医療用の簡易テントなんかも大量にあるし、回復術師と思われる人たちもたくさんいる。
更にはかなりの人数が戦いに参加するからか炊き出しの規模もけた違いだ。
ふーむ、今でにも何度か同じような戦いがあったからなのか、色々と最適化されている拠点と言う訳だな。
よし、俺もこうしちゃいられないぞ。
用意してきた大量の食糧とポーションを渡したら俺も出来るだけのことをしなければ。
物資だけ渡して「ハイさよなら」とはいかないぜ、こんなものを見せられちゃあな。
……と言うかね。そもそもの話をしていいだろうか。
俺、回復魔法使えるじゃんって言うね。
メインキャラとは雲泥の差のスペックだし致命傷レベルだと難しいけど、そこそこの怪我をした数百人を一度に回復できるくらいの能力はあるよ?
いや確かに王国からの手紙にはポーションの用意を頼むってあったけどさ。
恐らく俺がポーションをユグド商会に売ったから、そう言ったツテがあるだろうって判断なんだろうけど。
よく考えたら王国側は俺がキャラチェンジできること、知らないからね。
まあ……下手に目立たないで済むことを考えたらこの方が良いのか。
この世界に来たばかりの時は他の日本人と……いやなんなら地球人であれば誰かしらと出会えたらなんて考えていたけど、帝国のことを考えると下手に異世界人として目立つのも不味そうなんだよな。
それこそ余計な争いに巻き込まれかねないし、危険が危ない。
一応は第五等級までの魔法を使えることはハイドラとの戦いについて話したから王国側も知っているし、何かあっても使うのはそこまでにしておいた方が良さそうだな。
なので俺はあくまで後方支援に徹することにする。
幸い、このハルと言うキャラはレベルの高さのおかげで肉体の能力も高い。雑用や肉体労働なら任せてくれってんだ。
――そんなこんなで迎撃用拠点で雑用をしていた時のことだった。
「おい、聞いたか。突然現れた魔物のせいで前線が崩壊寸前だってよ」
「はは……まさか。誤情報だろ……?」
「俺もそう思いたいよ。けど今、騎士隊長様が直接確認に向かっているらしい。こうなるとただの誤情報とは思えない……よな」
待機中の騎士から物騒な話が聞こえてきた。
突然現れた魔物……か。嫌な予感がするな。
いやだって間違いなくアレだろ。飛行船の墜落現場にいた、あのおかしな魔物だろうがよこれ絶対にさあ。
ただそうなるとその魔物、恐らくは帝国の差し金だ。
俺が前に出て戦っていいものなのか?
王国は冒険者を戦争に参加させる気はないみたいだし、俺が下手に動くべきじゃないのかもしれない。
けど……本当にあの魔物だとしたら、騎士隊長さんの身の危険が危ないのではなかろうか。
こう言ってしまうのは何とも申し訳ないが、騎士隊長さんは多分あの魔物には勝てないぞ。
噂に聞く限り、実力はあの白銀の翼と同等くらいらしいからな。
それが確かなら間違いなく勝てないし、最悪逃げ帰れるかどうかも怪しい。
あぁクソッ、仕方ない。
こうなりゃ後の事はどうだっていい。今俺に出来ることはただ一つ、助けに行くことだけだ。
結局のところ、助けられる力を持っているのに見捨てるのが一番心にくるからな。
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