システムの違う世界に転移した俺、どうやら世界最強みたいです。

遠野紫

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21 第二十一話

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「我は貴様と同じ世界からやってきたのだ。もちろん、貴様らが最弱であることも知っている」

 魔王は淡々とそう語る。
 嘘を言っているようにも思えない。それに俺たちが最弱のパーティだと知っている者はこの世界にはいないはずだ。

「アンタも女神に転生させられたのか?」
「違う。我はあの世界で死に、目覚めたらこの世界にいた。それだけだ。しかしここは良い。俺のような能力でもこの世界では最強なのだからな。なのにあの忌々しき女神は我を消そうと動いている。圧倒的な力で何でも手に入るこの世界を、この楽園を、我は失う訳には行かんのだ」
「……何とも身勝手な話だな」

 魔王が元の世界から来たのだとすれば、これほどまでの能力を持っていてもおかしくは無いだろう。
 
「ふっ、貴様にどう言われようとも関係は無い。力こそが正義。貴様らには我に勝てる力など無い。確かに貴様らの連携は見事だ。培った技術も大したものではある。だが悲しきかな。例えそう言った力があっても、根本の能力が足りていなければ超えられぬ壁があるのだ」
「……」
「どうした? 戦意を喪失したか?」
「……アンタは間違っている」

 確かに能力値で言えば差は凄まじいものがあるだろう。
 実際に魔王と戦ってそれは痛い程身に染みた。

 だが、それでも俺は……いや俺たちは諦めない。

「能力値ならアンタの方が遥かに高い。それは事実だ。だが、俺たちには仲間がいる!」
「何が仲間だ。どれだけ最弱が集まろうが最弱であることに変わりはない」
「そんなことは無い! 仲間と力を合わせれば、何倍にもなるんだ!」
「よく言ったアルバート!」
「うぉぁっ!?」

 その瞬間、レインが俺を抱えて魔王から離れた。

「今だカレン!」
「わかっています! 悪しき者を滅ぼす力を授けたまえ……!」
「その程度の魔法で何が……うぐっ、何だこれは……!?」

 カレンの放った対魔魔法は魔王に命中し、その体を地に伏せさせた。

「何故我がこの程度の魔法にぃぃッ……!」
「アンタは今魔族だ。対魔魔法に弱くなっている。まさか気付いていなかったのか?」
「何……?」

 どうやら本当に気付いていなかったらしい。
 信じられない話ではあるが、コイツは自身が人であると今の今まで思っていたのか。

「対魔魔法には膨大な魔力と長い詠唱が必要だ。だから時間を稼ぐ必要があった」
「まさか最初からこれが目的で……!」
「仲間に背中を預け、自分の出来ることをする。そんな単純なことを俺たちは繰り返して来た。そして最弱ながらも精一杯に生き延びてきたんだ。……仲間の重要さをバカにしたアンタの負けだ」
「馬鹿な……我が負ける……だと……」

 魔王はそのまま塵と化した。

『皆さん、無事でしょうか』
「……女神様?」
『良かった、皆さん無事の様ですね。魔王が消えたことで妨害が無くなりこうして通話が出来るようになりました』

 そう言えば以前そんな事を言っていたような気がする。

『皆さんのおかげで魔王はいなくなり世界に平和が訪れました……と言いたいところですが、まだ魔王の力を継いだ者は世界中に存在するのです』
「……もしかしなくとも、全員どうにかしてくれ……という話ですね?」
『話が早くて助かります。だ、大丈夫ですよ! 皆さんは魔王をも倒したのです!』

 まあ確かに女神の言う通り、俺たちは魔王を倒したんだ。 
 まだ実感は湧かないが紛れも無く事実。

「……ああ、大丈夫だ。俺たちならどんな奴が相手でも何とかなる」
「そうだな。四人揃ったんだ。もう心配することは無い」
「当たり前じゃない。今までだってそうしてきたのよ?」
「そうですね。これまでの全てが今の私たちを作り上げています。きっとこの先も私たちなら乗り越えて行けるでしょう」
「余もいることだしな」

 久々にこの四人で冒険が出来る。
 もちろん不安はある。それでも、嬉しさや希望が、俺たちの中に満ちている。

『頼もしい限りですね。それでは改めて、世界をよろしくお願いします』

 こうして俺たちの戦いは続く。
 だがそれは決して辛く苦しいだけのものでは無い。
 俺たちの前には常に希望が満ちている。
 この五人なら不可能なんか無い。今なら心からそう思えるんだ。

システムの違う世界に転移した俺、どうやら世界最強みたいです。 完
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