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1 追放
5 真実を知ると良くないことになる(追放側視点)
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「サザン……どうして……」
サザンがいなくなった日のことを今でも思い出してしまう。
私がもっと警戒していれば、もっと気にかけていれば、サザンを死なせてしまうことも無かったかもしれないのに。
「メル、一人で抱え込まないで……?」
「リア……。悔やんでも悔やみきれないの。私たち、Sランクになったばかりで浮かれてたんだわ」
Sランク冒険者パーティになって初めてのダンジョン探索でこんなことになってしまうなんて、どう考えても油断以外の何物でもない。
「サザンは命をかけて俺を救ってくれたんだ。彼自身も、自分のしたことに悔いはないだろうさ」
「グロス……」
サザンは魔物からグロスをかばって死んでしまったのだと言う。だけどその時、少し違和感があったのを今でも覚えている。
魔物に襲われたというのにグロスには一切の怪我も装備の汚れも無く、サザンと二人きりになる前と同じ姿だった。
「グロス、少し良いかしら?」
「どうした?」
私はリアに聞こえないようにテントの中にグロスを連れていき、疑問を投げかける。
「グロス、魔物に襲われた時のこと覚えてる? 聞きたいことがあるのだけど」
「ああ、覚えてるさ。忘れるはずが無いだろ?。あの時、巨大な蛇型の魔物ジャイアントスネークに襲われたんだ。俺たち二人で倒そうとしたんだが、思いのほか強敵だった。このままでは二人ともやられるってなった時、お前だけでも逃げろってサザンは身代わりになり……そのまま……」
やっぱりそう。魔物と戦ったにしては、戻って来た時のグロスの姿は奇麗すぎた。これが遠距離攻撃を主体とする魔術師や弓使いならわからなくもない。けどグロスはタンクであり、魔物と戦えば盾や鎧に必ず痕跡が残るはず。
「グロス……本当に魔物と戦ったのよね?」
「何を言っているんだ? 確かに戦ったぞ。それに、俺が嘘を付く理由も無いだろ?」
「そう……。あの時、戻って来たグロスの装備は魔物と戦ったにしては奇麗すぎたように思えたのだけ……うぐっっ!?」
「メル……いつから気付いていた?」
突如グロスは私を押し倒し、両腕を拘束する。屈強なグロスに抑えられていては、ひ弱なアタックキャスターである私にはどうすることも出来ない。
「グロス、どういうこと!?」
「おっと、あまり大きい声を出すなよ。外のリアに聞かれたら、二人まとめてどうなるかはわかるよな?」
グロスは今までの優しい表情から一変、欲望を表に曝け出したかのような醜いものへと変わっていた。
「グロス……?」
「うまく騙せたと思ってたんだけどな。まさか気付かれていたとは……。このことはリアには勿論、他のヤツらにも他言無用だ。もし言えば、お前だけじゃなくリアも悲しいことになるぜ?」
「やめて……リアには手を出さないで」
「それじゃあリアに手を出さないようにメル、お前で処理させて貰おうか」
グロスは私のローブを脱がせ、下着姿にさせる。これもリアのため。私が我慢すればリアを守れる……。
「俺はお前らがあんな弱っちいサザンに良くしてやっているのが気に食わなかった。俺みたいに強い者こそが慕われるべきなんだ」
「そんな……。ならあなたがサザンに優しくしていたのは何だったのよ……」
「そんなの、お前らに良い顔見せるために決まってんだろ。誰が好き好んであんなヤツのことを……」
「……酷い。サザンのことをそんな風に思ってたのね」
「事実だろ? このSランクパーティにあんな弱いのは必要ない」
グロスの本性が見えてきた。彼には友情だとか信頼だとかそういうものは無かった。あるのは女への欲と地位や名誉への渇望。きっと私とリアも、最初から自分のものにするためだけにパーティを結成したのだろう。
「くっ……」
「ほらほら、もう下着だけになっちまったな。俺の見立て通り、相当な上玉に育ったぜお前とリアは。お前とリアは村の中でもずば抜けて美少女だったからな。他のヤツらに取られる前にパーティに誘っておいて正解だったぜ。サザンとか言うのがくっついてきたのは想定外だったが」
私の大事なところを守っている下着をグロスは容赦なく外そうとする。これが外されてしまえば、私はもう純潔ではいられないのだろう。
「やめ……」
「メル! グロス! 何か草むらで物音がしたよ!!」
リアがテントに向かってそう叫ぶ。その声を聞き、グロスは私の拘束を解き装備を身に付け始めた。
「ちっ……良いところで邪魔すんなよな。続きはまた別の機会にでも楽しませてもらうから、覚悟してろよ」
グロスはそれだけ言って、テントから出て行った。
サザンがいなくなった日のことを今でも思い出してしまう。
私がもっと警戒していれば、もっと気にかけていれば、サザンを死なせてしまうことも無かったかもしれないのに。
「メル、一人で抱え込まないで……?」
「リア……。悔やんでも悔やみきれないの。私たち、Sランクになったばかりで浮かれてたんだわ」
Sランク冒険者パーティになって初めてのダンジョン探索でこんなことになってしまうなんて、どう考えても油断以外の何物でもない。
「サザンは命をかけて俺を救ってくれたんだ。彼自身も、自分のしたことに悔いはないだろうさ」
「グロス……」
サザンは魔物からグロスをかばって死んでしまったのだと言う。だけどその時、少し違和感があったのを今でも覚えている。
魔物に襲われたというのにグロスには一切の怪我も装備の汚れも無く、サザンと二人きりになる前と同じ姿だった。
「グロス、少し良いかしら?」
「どうした?」
私はリアに聞こえないようにテントの中にグロスを連れていき、疑問を投げかける。
「グロス、魔物に襲われた時のこと覚えてる? 聞きたいことがあるのだけど」
「ああ、覚えてるさ。忘れるはずが無いだろ?。あの時、巨大な蛇型の魔物ジャイアントスネークに襲われたんだ。俺たち二人で倒そうとしたんだが、思いのほか強敵だった。このままでは二人ともやられるってなった時、お前だけでも逃げろってサザンは身代わりになり……そのまま……」
やっぱりそう。魔物と戦ったにしては、戻って来た時のグロスの姿は奇麗すぎた。これが遠距離攻撃を主体とする魔術師や弓使いならわからなくもない。けどグロスはタンクであり、魔物と戦えば盾や鎧に必ず痕跡が残るはず。
「グロス……本当に魔物と戦ったのよね?」
「何を言っているんだ? 確かに戦ったぞ。それに、俺が嘘を付く理由も無いだろ?」
「そう……。あの時、戻って来たグロスの装備は魔物と戦ったにしては奇麗すぎたように思えたのだけ……うぐっっ!?」
「メル……いつから気付いていた?」
突如グロスは私を押し倒し、両腕を拘束する。屈強なグロスに抑えられていては、ひ弱なアタックキャスターである私にはどうすることも出来ない。
「グロス、どういうこと!?」
「おっと、あまり大きい声を出すなよ。外のリアに聞かれたら、二人まとめてどうなるかはわかるよな?」
グロスは今までの優しい表情から一変、欲望を表に曝け出したかのような醜いものへと変わっていた。
「グロス……?」
「うまく騙せたと思ってたんだけどな。まさか気付かれていたとは……。このことはリアには勿論、他のヤツらにも他言無用だ。もし言えば、お前だけじゃなくリアも悲しいことになるぜ?」
「やめて……リアには手を出さないで」
「それじゃあリアに手を出さないようにメル、お前で処理させて貰おうか」
グロスは私のローブを脱がせ、下着姿にさせる。これもリアのため。私が我慢すればリアを守れる……。
「俺はお前らがあんな弱っちいサザンに良くしてやっているのが気に食わなかった。俺みたいに強い者こそが慕われるべきなんだ」
「そんな……。ならあなたがサザンに優しくしていたのは何だったのよ……」
「そんなの、お前らに良い顔見せるために決まってんだろ。誰が好き好んであんなヤツのことを……」
「……酷い。サザンのことをそんな風に思ってたのね」
「事実だろ? このSランクパーティにあんな弱いのは必要ない」
グロスの本性が見えてきた。彼には友情だとか信頼だとかそういうものは無かった。あるのは女への欲と地位や名誉への渇望。きっと私とリアも、最初から自分のものにするためだけにパーティを結成したのだろう。
「くっ……」
「ほらほら、もう下着だけになっちまったな。俺の見立て通り、相当な上玉に育ったぜお前とリアは。お前とリアは村の中でもずば抜けて美少女だったからな。他のヤツらに取られる前にパーティに誘っておいて正解だったぜ。サザンとか言うのがくっついてきたのは想定外だったが」
私の大事なところを守っている下着をグロスは容赦なく外そうとする。これが外されてしまえば、私はもう純潔ではいられないのだろう。
「やめ……」
「メル! グロス! 何か草むらで物音がしたよ!!」
リアがテントに向かってそう叫ぶ。その声を聞き、グロスは私の拘束を解き装備を身に付け始めた。
「ちっ……良いところで邪魔すんなよな。続きはまた別の機会にでも楽しませてもらうから、覚悟してろよ」
グロスはそれだけ言って、テントから出て行った。
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