大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫

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4 王国の危機

26 作戦会議②

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 一通り名乗り終わったところで、各々が持っているイル・ネクロについての情報を共有した。

 俺があの冒険者から聞いた情報以外にも重要そうなものはいくつかあった。
 まず一つは遠距離攻撃を無効化する壁を張ることが出来るということだ。
 必然的にそれを張られる前にどれだけ攻撃を当てられるかが大事となって来る。一度張られてしまえば遠距離攻撃が主体の者たちは機能停止してしまうだろう。

 そしてもう一つはレベルが300相当であると言うこと。
 俺の即死付与は対象が俺以下のレベルで無いと効かない。そのため即死で一発撃破とはならないようだ。

 後者はともかく前者の情報は無いとほぼ終わりな情報であった。
 遠距離攻撃が効くか効かないかの違いは雲泥の差となる。

「それではこれから部隊を三つに分けようと思う。遠距離攻撃部隊と近接攻撃部隊、そして補助部隊だ」

 ガルドはそれぞれの得意戦法に応じて部隊を分ける方式を取ろうとする。しかし見知ったパーティメンバーと離れ、今日初めて会う者たちとの連携を前提とするのは如何なものか。
 普段のパーティとしての動きが出来ないと言うのは、そのまま命の危険に繋がるのではないのだろうか。

「パーティを分断するって正気か? ただでさえ手ごわい相手だって言うのに、今日会うまで名前も知らなかったヤツらと連携すんのは無理だと思うがなぁ」

「バーンの言うことも理解は出来る。しかしイル・ネクロが遠距離攻撃を無効化出来る以上、似通った戦法の者たちは纏めておくべきだと考える」

 バーンの言うことも、ガルドの言うこともどちらも正しいだろう。
 俺はバーンと同じ意見を持っているから、彼の言いたいことが伝わって来る。
 だがガルドの言うことも理に適ってはいるのだ。
 遠距離攻撃をそれぞれのパーティがバラバラに行えば、恐らく効果的な攻撃を行えずに壁を張られてしまうだろう。
 そしてこれは補助部隊にも言える。補助役のいないパーティも少なくはないため、補助能力のあるものがある程度固まって補助を行う必要がある。

「ちっ……。お前の言いたいことはわかった。その代わり、しっかり作戦は練ってくれよ?」

「理解ある判断、感謝する。作戦についても心配しないでくれ」

 バーンは無理やり自身に言い聞かせるようにそう言い、ガルドから離れて行った。
 彼は熱血漢と言った雰囲気があったが、案外冷静な判断が出来るようだ。
 
 考えてみれば、完全に感情論で動く者はレベル50に到達する前に死んでいる可能性が高い。
 彼はそのあたりまで思慮が及ぶ人間なのだろう。

「サザン、君に聞いておきたいことがある」

「なんだ?」

 ガルドに呼び止められる。
 俺に聞いておきたいこととなると、保有している付与魔法についてとかだろうか。

「君のパーティにいるファルという少女。彼女はレベルが低いようだが、前線に向かわせるのは危険じゃないのか?」

 そう言われ思い出した。ファルは魔人という正体を隠すために色々と詐称しているということを。
 ギルドのレベル計測器に出る数値を詐称することが出来る付与魔法を作り、ファルにエンチャントしたのだが、その設定レベルが低すぎたのだ。
 良かれと思って設定したレベル30は冒険者として目立たずそれでいて弱すぎないといったところを狙ったのだが、俺たちのパーティの平均レベルと比べると低すぎる。
 心配されるのならまだいい。しかし怪しまれたら弁解のしようが無い。
 
 今だってどうするべきか悩む。彼女は近接戦闘主体。しかしこのレベルで前衛へ出させるのは不自然に思われる可能性がある。

「我の話しか? それなら心配はいらない。サザンのエンチャントがあればレベル50相当まで能力が伸びるだろうからな」

 頭を悩ませていた時、ファル本人が話に入って来た。
 彼女は俺のエンチャントによって強化されるために心配はいらないと言った。ナイスだ。それなら怪しまれずに前衛へ出してもらえる。

「そうなのか? それならばSランクパーティの平均も超えているし十分に戦えるか……」

 ガルドは少し考えたが、とりあえず大丈夫だろうと言うことで話を終え戻っていった。
 
「さて、これは対策をしないとな」

「そうであるな。我の本来の力を無暗に出すわけには行かないが、かと言ってレベル30で通すのも難しいかもしれん」

 ……ひとまずは不自然でないペースで設定レベルを上げて行くとするか。

 その後少し経った後、部隊の割り当てがそれぞれに伝えられた。
 と言っても各々得意戦法によって察してはいたようだが。
 まず俺とリアが補助部隊。メルが遠距離部隊。そしてランとファルが近接部隊に割り当てられた。

 皆とは一時別行動となるが、これが一番適した作戦であるということは理解しているため一時の我慢だ。
 
「皆、まずは自分の命を大事にな」

「わかっているさ。サザンこそ補助をよろしくな」

「ああ」

「メルと一緒に詠唱共有した方がいいと思ったんだけど、回復役が少ないから私は補助部隊になったんだって」

「リアの回復能力が認められている証拠ね。担当は違うけど一緒に頑張りましょうね」

「うん!」

 それぞれの部隊ごとの戦法も伝えられ、この日は解散となった。
 イル・ネクロは明日、このルガレア王国から捕捉できる位置にたどり着くらしい。
 明日の決戦に向けて、今夜は皆英気を養うようにとのことだった。

 しかしその夜、皆普通に酒を浴びるように飲んでいたのは気のせいか。本当に明日大丈夫なのだろうか。
 そんな心配をしつつ就寝したのであった。
 ……俺は飲んでないからね?
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