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8 看板娘の恋の行方
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言いたいことは山ほどあって、まだ納得できないこともあるというのに、マリスの心を占めるのは好きだという気持ちばかりだ。
「…………条件、とは言いませんけど」
長い沈黙の後、ようやく話し始めたマリスは、息を飲むようにして待っているディオンと目を合わせる。散々振り回されて、焦らされて、惑わされた身としては、彼も同じ目に遭えばいい、と少しだけ意趣返しの意味を込めて。
「私が好きになったのは、ギオさんですから」
その答えにディオンが自分の唇を噛んだ。何かに耐えているようにも見えるが、しばらくの間目を閉じた後、苦しそうな声で小さく呟く。
「それは、仕方ない……が、私は本来ディオンであって、いや、ギオも紛れもなく自分の一面なんだが」
がくりとうな垂れたディオンは、渋々という風にギオの姿に変わった。乱れた前髪の隙間から、マリスをちらりと見る。まるで拗ねているような彼の顔に、彼女は微笑みかけた。
「騎士様も素敵だけど、初めての口付けとかはギオさんがいいかなぁ……って、え? や、待って」
と言った途端に、マリスはそのギオから唇をふさがれていた。彼の柔らかな唇が啄むように何度か彼女の唇を食み、応えるように開いた隙間から熱い舌がぬるりと入り込む。初めての口付けだというのに、遠慮なく蹂躙されてすぐに息が上がった。
「ふあっ、待って、ま……んっ」
「全く、このお転婆め……いつから俺の秘密を知っていたんだ?」
「に、二年前の春、ふぅ、ん」
「ほぼ初対面の頃じゃないか」
「だって……」
「好きな人のことだもん」と息も絶え絶えに正直に言ってしまったマリスは、さらに激しく執拗に熱に翻弄される。
「マリス、マリス、あまり可愛いことを言うな」
「だって、ん、は、激し」
「わかった、君が望むままに、優しくしよう」
目の端に映るのは金色だ。あまりにも簡単に姿を変えるので、もうギオなのかディオンなのかわかったものではない。
「へ、変装って、はふっ、性格まで、変わるものなんですか?!」
「多少は影響されるが、心配せずとも大差はない」
これではまるで本当に二人いるかのようだ。目を白黒させながらも必死で口付けに応えようとするマリスに、彼が幸せそうな笑みを浮かべた。
「潜入捜査はバレてはいけない。だから変装すると同時に人格を変える訓練をしたんだ」
「でも、私はすぐにわかりましたよ?」
「そうだな……それは君がとても優秀な看破能力を持っていたか、それとも本当は私の方が君に気づいて欲しかったのかもしれないな」
ぽってりと腫れて赤くなったマリスの唇をペロリと舐め、ディオンがその青い目に欲望の火を灯す。甘えるように頬に鼻先を擦り付けてきて、蕩けるような甘い声で囁いた。
「君が好きだ、きっと優しくする……初めての口付けはギオにやったんだ……これからの初めては、私にくれないだろうか」
◇◇◇◇◇◇◇◇
自分以外誰も足を踏み入れたことのない寝室で、マリスはディオンの熱を全身で受け止めた。作法がよくわからないので身を任せていると、あっという間に服を脱がされて寝台に仰向けに倒される。当然彼も裸になったので、どこを見ていいのかわからずに枕で顔を隠すと、その枕も早々に剥がされた。
どこもかしこも触れられただけでじんじんと熱を孕み、経験したことのない甘い刺激に声が漏れる。首筋をチロチロと舐めていたディオンが、真っ赤な顔でそっぽを向くマリスの耳元で囁いてきた。
「マリス……君の肌は甘いな」
「甘い?!……そんなはずは、あっ」
「とても甘いさ。癖になりそうだ」
「は、やっ……そこ、やぁっ」
ディオンの指が背筋をスーッと撫で下ろし、マリスは柔らかな肢体をクッと反らした。既にはだけていた胸元からポロリと白くまろびやかな乳房がこぼれ出る。羞恥のあまりに隠そうとした手を掴まれ、彼の唇が柔らかく実る乳房に落とされた。
「あぁっ、そんな風に、しないで」
「だが、気持ち良さそうだ」
「ん、意地悪」
未知なる快楽に期待と不安と少しの恐怖が混ざり、マリスは唇が白くなるほど噛んでやり過ごそうと目をつむる。その度にディオンの優しい手に阻まれ、請われるがままに嬌声を上げた。
「ここに迎え入れてくれるか?」
豊かな乳房を揉みしだき、チュパチュパと胸の頂に吸い付きながら、ディオンはマリスの下生えの辺りを円を描くように触れる。下着は既に剥ぎ取られており、指先の熱にお腹の真ん中がキュッと締まった。
「し、知らないから……あの、お好きなように、よくしてください」
「そんな煽るようなことを言うと、どうなっても知らないが」
「優しくするって言ったの、信じてますから」
マリスの無意識の殺し文句に、ディオンは柔らかい胸の上に突っ伏した。いきなり倒れ込んできた彼を心配して、彼女は額にかかる彼の髪を掻き分けて心配そうに撫でる。
「君は、ディオンには素直なんだな」
面白くはないと含みを持たせたような呟きに、マリスはその意味がわからずキョトンとする。ずりずりと這い上がってきてむくれるディオンの頭を捕まえて、その口端に軽く口付けを落とした。彼の特徴である笑窪に、前々からずっと口付けてみたかったのだ。
「……拗ねてます?」
「だ、誰が」
「ディオンさんって、可愛いですよね」
可愛いと思ったのは嘘ではない。マリスからの口付けに顔を赤くしたディオンが本当に可愛いかったのだ。しかし、本当のことを言うのではなかった、と彼女はすぐに後悔した。ギラギラした青い目を細め、口だけで笑った彼が、ガシッと彼女のたおやかな腰を掴む。
「マリス……これでも俺が可愛いと言えるか?」
ギオの姿でニヤリとした彼が唇を落としたのは、マリスの下生えの真上だった。
「ひあっ、あぁ……ん」
「可愛い、可愛いなぁ、お前」
さっきまで胸を舐めていたギオの舌が、信じられないことに、マリスの股の間に這わされている。そしてさらに信じられないことに、舐められる度にずくんと気持ちよい衝撃が広がった。
「あっ、何、何が……ギオさんっ!」
「きっちりほぐしておかないと、これから少しきついんだよ……ほら、ここがわかるか?」
「やだっ……やっ、あっ」
「大丈夫だ。指が一本入っただけだからな」
グチュっという水音に、股の奥に違和感が走る。話には聞いていたが、本当にそこに入るらしい。気になるものの直視することを避けていた、ギオの中心にある猛りがマリスのここに収まるのだ。
「ギオさんっ、あのね、わからないけど、わからないけど、頑張るから」
「だからっ、煽るな!」
「だって、ちゃんとできなくて、嫌われたくない」
「あぁぁぁ、なんだってこんな時だけ素直なんだよっ! わかった、しっかり掴まってろ……いくぞ」
がばりと顔を上げたギオは、くしゃくしゃと髪をかき混ぜてから腰を落ち着ける。そして、先ほどまで指が入っていたそこに、指とは比べ物にならないくらいの質量のモノがあてられ、中に入ってきた。
「ああっ、あー、い、いたっ」
「がんっ、ばれ……大丈夫だ。マリス、マリス、好きだ、愛してるから奥まで受け入れてくれ」
「痛い……けど、頑張る……好きだもん」
何故か天井を向いて吼えたギオは、今まさに繋がっている場所の、少し上の方を指で探ってきた。
「あっ、あっ、熱い、そこ、何、これ」
ぐにぐにと押しつぶすような動きに合わせ、マリスの腰が勝手に揺れる。強烈なほどの快感に腰が浮き上がり、結合部からはたくさんの液体が溢れ出た。
「ん、んんんーー」
「奥まで入った……か。よく頑張ったな」
「ほ、本当? やだ、そこ、触ったら足が、勝手に」
膝から下がビクビクと痙攣して、お腹全体が燃えるように熱い。ギオが腰を動かせば、さらにその感覚が広がった。しかし、未知なる衝撃は嫌なものではなく、腰を打ち付けてくるギオに、助けを求めるようにすがりつく。
「つ、次に、何が起こる、の」
「次か。そうだな、俺に任せていけばいい」
「いくって、どこに」
「あ、いいところに、決まっている!」
ギオが言っている意味はいまいちわからなかったが、マリスのお腹の熱はもう限界だった。
(気持ちいい、気持ちよすぎて、破裂しそう)
口から出る言葉は不明瞭になり、どちらのものともつかない汗で手が滑る。ギオの背中に爪を立ててしまったかもしれないが、それどころじゃなくて彼の腰に脚を絡めた。
「ギオさんっ、ギオさんっ、あっ、好き、ディオンさん、も、好き……好き、あんっ」
「マリスっ、後悔はさせないから、頼む、一生、ギオもディオンも掴まえていてくれっ!」
「うんっ、やっ、ああ、ああぁ、あーー!!」
収縮していた熱が、一気に放出される。繋がった部分のさらに奥がギュッと締まり、身体がバラバラになるような熱い衝撃が駆け抜けた。
「マリス、よく頑張ったな……流石は、私の優秀な生徒だ」
「あ、ディオンさん……」
「疲れただろう。しばらく眠るといい。私が起こしてあげよう」
「……ん」
ディオンの低い声に導かれ、ふわふわとした微睡みに落ちていくマリスは幸せそうに微笑む。労わるように背中を撫でられ、安心しきった彼女は眠りについた。
「やれやれ。前途多難だな……ギオはしばらく封印するか」
ようやく手に入れたマリスの寝顔をうっとりと眺めながら、ディオンはこれからについて思案する。
まずは、徐々にギオの出番を減らし、ディオンに慣れさせなければならない。
顎に手をやると、ざらりとした感触が手に残って顔をしかめる。朝剃ってきたのにもう生え始めており、実は密かに悩みだったのだが、彼女が好きならば常にひげを伸ばすことも視野に入れよう。
ディオン自身も緊張続きで眠りが浅かったこともあり、自然と欠伸が漏れる。
「ゆっくりおやすみ、私のマリス」
スヤスヤと眠るマリスを抱きしめるようにして身体を横たえると、ひと眠りするためにディオンは目を閉じた。
「…………条件、とは言いませんけど」
長い沈黙の後、ようやく話し始めたマリスは、息を飲むようにして待っているディオンと目を合わせる。散々振り回されて、焦らされて、惑わされた身としては、彼も同じ目に遭えばいい、と少しだけ意趣返しの意味を込めて。
「私が好きになったのは、ギオさんですから」
その答えにディオンが自分の唇を噛んだ。何かに耐えているようにも見えるが、しばらくの間目を閉じた後、苦しそうな声で小さく呟く。
「それは、仕方ない……が、私は本来ディオンであって、いや、ギオも紛れもなく自分の一面なんだが」
がくりとうな垂れたディオンは、渋々という風にギオの姿に変わった。乱れた前髪の隙間から、マリスをちらりと見る。まるで拗ねているような彼の顔に、彼女は微笑みかけた。
「騎士様も素敵だけど、初めての口付けとかはギオさんがいいかなぁ……って、え? や、待って」
と言った途端に、マリスはそのギオから唇をふさがれていた。彼の柔らかな唇が啄むように何度か彼女の唇を食み、応えるように開いた隙間から熱い舌がぬるりと入り込む。初めての口付けだというのに、遠慮なく蹂躙されてすぐに息が上がった。
「ふあっ、待って、ま……んっ」
「全く、このお転婆め……いつから俺の秘密を知っていたんだ?」
「に、二年前の春、ふぅ、ん」
「ほぼ初対面の頃じゃないか」
「だって……」
「好きな人のことだもん」と息も絶え絶えに正直に言ってしまったマリスは、さらに激しく執拗に熱に翻弄される。
「マリス、マリス、あまり可愛いことを言うな」
「だって、ん、は、激し」
「わかった、君が望むままに、優しくしよう」
目の端に映るのは金色だ。あまりにも簡単に姿を変えるので、もうギオなのかディオンなのかわかったものではない。
「へ、変装って、はふっ、性格まで、変わるものなんですか?!」
「多少は影響されるが、心配せずとも大差はない」
これではまるで本当に二人いるかのようだ。目を白黒させながらも必死で口付けに応えようとするマリスに、彼が幸せそうな笑みを浮かべた。
「潜入捜査はバレてはいけない。だから変装すると同時に人格を変える訓練をしたんだ」
「でも、私はすぐにわかりましたよ?」
「そうだな……それは君がとても優秀な看破能力を持っていたか、それとも本当は私の方が君に気づいて欲しかったのかもしれないな」
ぽってりと腫れて赤くなったマリスの唇をペロリと舐め、ディオンがその青い目に欲望の火を灯す。甘えるように頬に鼻先を擦り付けてきて、蕩けるような甘い声で囁いた。
「君が好きだ、きっと優しくする……初めての口付けはギオにやったんだ……これからの初めては、私にくれないだろうか」
◇◇◇◇◇◇◇◇
自分以外誰も足を踏み入れたことのない寝室で、マリスはディオンの熱を全身で受け止めた。作法がよくわからないので身を任せていると、あっという間に服を脱がされて寝台に仰向けに倒される。当然彼も裸になったので、どこを見ていいのかわからずに枕で顔を隠すと、その枕も早々に剥がされた。
どこもかしこも触れられただけでじんじんと熱を孕み、経験したことのない甘い刺激に声が漏れる。首筋をチロチロと舐めていたディオンが、真っ赤な顔でそっぽを向くマリスの耳元で囁いてきた。
「マリス……君の肌は甘いな」
「甘い?!……そんなはずは、あっ」
「とても甘いさ。癖になりそうだ」
「は、やっ……そこ、やぁっ」
ディオンの指が背筋をスーッと撫で下ろし、マリスは柔らかな肢体をクッと反らした。既にはだけていた胸元からポロリと白くまろびやかな乳房がこぼれ出る。羞恥のあまりに隠そうとした手を掴まれ、彼の唇が柔らかく実る乳房に落とされた。
「あぁっ、そんな風に、しないで」
「だが、気持ち良さそうだ」
「ん、意地悪」
未知なる快楽に期待と不安と少しの恐怖が混ざり、マリスは唇が白くなるほど噛んでやり過ごそうと目をつむる。その度にディオンの優しい手に阻まれ、請われるがままに嬌声を上げた。
「ここに迎え入れてくれるか?」
豊かな乳房を揉みしだき、チュパチュパと胸の頂に吸い付きながら、ディオンはマリスの下生えの辺りを円を描くように触れる。下着は既に剥ぎ取られており、指先の熱にお腹の真ん中がキュッと締まった。
「し、知らないから……あの、お好きなように、よくしてください」
「そんな煽るようなことを言うと、どうなっても知らないが」
「優しくするって言ったの、信じてますから」
マリスの無意識の殺し文句に、ディオンは柔らかい胸の上に突っ伏した。いきなり倒れ込んできた彼を心配して、彼女は額にかかる彼の髪を掻き分けて心配そうに撫でる。
「君は、ディオンには素直なんだな」
面白くはないと含みを持たせたような呟きに、マリスはその意味がわからずキョトンとする。ずりずりと這い上がってきてむくれるディオンの頭を捕まえて、その口端に軽く口付けを落とした。彼の特徴である笑窪に、前々からずっと口付けてみたかったのだ。
「……拗ねてます?」
「だ、誰が」
「ディオンさんって、可愛いですよね」
可愛いと思ったのは嘘ではない。マリスからの口付けに顔を赤くしたディオンが本当に可愛いかったのだ。しかし、本当のことを言うのではなかった、と彼女はすぐに後悔した。ギラギラした青い目を細め、口だけで笑った彼が、ガシッと彼女のたおやかな腰を掴む。
「マリス……これでも俺が可愛いと言えるか?」
ギオの姿でニヤリとした彼が唇を落としたのは、マリスの下生えの真上だった。
「ひあっ、あぁ……ん」
「可愛い、可愛いなぁ、お前」
さっきまで胸を舐めていたギオの舌が、信じられないことに、マリスの股の間に這わされている。そしてさらに信じられないことに、舐められる度にずくんと気持ちよい衝撃が広がった。
「あっ、何、何が……ギオさんっ!」
「きっちりほぐしておかないと、これから少しきついんだよ……ほら、ここがわかるか?」
「やだっ……やっ、あっ」
「大丈夫だ。指が一本入っただけだからな」
グチュっという水音に、股の奥に違和感が走る。話には聞いていたが、本当にそこに入るらしい。気になるものの直視することを避けていた、ギオの中心にある猛りがマリスのここに収まるのだ。
「ギオさんっ、あのね、わからないけど、わからないけど、頑張るから」
「だからっ、煽るな!」
「だって、ちゃんとできなくて、嫌われたくない」
「あぁぁぁ、なんだってこんな時だけ素直なんだよっ! わかった、しっかり掴まってろ……いくぞ」
がばりと顔を上げたギオは、くしゃくしゃと髪をかき混ぜてから腰を落ち着ける。そして、先ほどまで指が入っていたそこに、指とは比べ物にならないくらいの質量のモノがあてられ、中に入ってきた。
「ああっ、あー、い、いたっ」
「がんっ、ばれ……大丈夫だ。マリス、マリス、好きだ、愛してるから奥まで受け入れてくれ」
「痛い……けど、頑張る……好きだもん」
何故か天井を向いて吼えたギオは、今まさに繋がっている場所の、少し上の方を指で探ってきた。
「あっ、あっ、熱い、そこ、何、これ」
ぐにぐにと押しつぶすような動きに合わせ、マリスの腰が勝手に揺れる。強烈なほどの快感に腰が浮き上がり、結合部からはたくさんの液体が溢れ出た。
「ん、んんんーー」
「奥まで入った……か。よく頑張ったな」
「ほ、本当? やだ、そこ、触ったら足が、勝手に」
膝から下がビクビクと痙攣して、お腹全体が燃えるように熱い。ギオが腰を動かせば、さらにその感覚が広がった。しかし、未知なる衝撃は嫌なものではなく、腰を打ち付けてくるギオに、助けを求めるようにすがりつく。
「つ、次に、何が起こる、の」
「次か。そうだな、俺に任せていけばいい」
「いくって、どこに」
「あ、いいところに、決まっている!」
ギオが言っている意味はいまいちわからなかったが、マリスのお腹の熱はもう限界だった。
(気持ちいい、気持ちよすぎて、破裂しそう)
口から出る言葉は不明瞭になり、どちらのものともつかない汗で手が滑る。ギオの背中に爪を立ててしまったかもしれないが、それどころじゃなくて彼の腰に脚を絡めた。
「ギオさんっ、ギオさんっ、あっ、好き、ディオンさん、も、好き……好き、あんっ」
「マリスっ、後悔はさせないから、頼む、一生、ギオもディオンも掴まえていてくれっ!」
「うんっ、やっ、ああ、ああぁ、あーー!!」
収縮していた熱が、一気に放出される。繋がった部分のさらに奥がギュッと締まり、身体がバラバラになるような熱い衝撃が駆け抜けた。
「マリス、よく頑張ったな……流石は、私の優秀な生徒だ」
「あ、ディオンさん……」
「疲れただろう。しばらく眠るといい。私が起こしてあげよう」
「……ん」
ディオンの低い声に導かれ、ふわふわとした微睡みに落ちていくマリスは幸せそうに微笑む。労わるように背中を撫でられ、安心しきった彼女は眠りについた。
「やれやれ。前途多難だな……ギオはしばらく封印するか」
ようやく手に入れたマリスの寝顔をうっとりと眺めながら、ディオンはこれからについて思案する。
まずは、徐々にギオの出番を減らし、ディオンに慣れさせなければならない。
顎に手をやると、ざらりとした感触が手に残って顔をしかめる。朝剃ってきたのにもう生え始めており、実は密かに悩みだったのだが、彼女が好きならば常にひげを伸ばすことも視野に入れよう。
ディオン自身も緊張続きで眠りが浅かったこともあり、自然と欠伸が漏れる。
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