5 / 7
三条橋二番辻
しおりを挟む
ゆらり、ゆらりと下段に構えた瑶太の手の滅魔刀が揺れている。
「あいつは一人だぞ。巫女も札使いも居やしねえ!剣士一人でこれだけの人数の魔族に勝てる訳がねえ!!」
「そうだそうだ!ちょうど良いタイミングで食事が増えたな。あいつも、とっ捕まえて食べてしまいましょう。良いですか?先生?」
十六人ほど周りに控えて居た魔族が騒ぎ出し、そのうちの一人が老人に向かってそう言った。
この老人は魔族達のリーダー格らしい。
先生と呼ばれた老人は薄気味悪い笑いを浮かべながら
「うん。食べてしまえ。若い男の脳みそも、それほど悪い物でもない。女の物よりは美味くはないが」
「分かりやした。あの若いの、英雄気取りで飛び込んできて不幸なこった。本堂の壁を壊すためにわざわざ爆弾まで用意しやがって」
「ああ。それで格好つけて飛び込んできたら、俺らがいた。あいつ、恐怖で今動けなくなってるんだろうよ」
「違いねえ」
魔族達が瑶太に対し嘲笑を浴びせる。
「おい。滅魔士の若造。お前は俺たちが誰だか知っているか?俺たちは皆二十輪は超えてる殺しのプロの魔族だぜ?驚いたか?お前は直ぐに死ぬことになる」
「輪」というのは魔族の強さの評価方法であり、それまでに殺した人の人数と等しい。
一般的な魔族達は自ら食料調達をすることはまずない。
人間を殺すとその死体を調べられて死体に付着した唾液で魔族個人を断定できる。
個人を断定されると黒鐘滅魔隊の滅魔対象となり死の危険性が跳ね上がる。
なので一般的な魔族達は殺した人の死体を完全に処理するか、「狩人」と呼ばれる人間の脳を売りさばく魔族達から脳を買う。
(この寺に居る魔族達は狩人だな)と瑶太は先の魔族のセリフから判断した。
「輪」で評価される魔族は皆、自分が殺した人間の死体が黒鐘滅魔隊によって鑑識されて初めて手配書が出て、「輪」の評価が知れ渡るからだ。
大和族の人々は人間は死ぬと花になると考えているので死体の単位は「輪」で数える。
魔族の強さを表す「輪」もそこから来ている。
「殺人数」=「魔族の強さ」とするのは少々語弊が生じているように感じるかも知れないが、「それだけ黒鐘滅魔隊の滅魔を逃れている」という事になるので大体は「殺人数」は「魔族の強さ」に比例する。
「ギャアギャアうるさいな、雑魚が。二十輪?その程度でのぼせ上がっているとは黒鐘滅魔隊も舐められたものだな。僕は600丁は超えている滅魔士なんだが……」
「丁」は滅魔士の強さを表す。それまでに滅魔した魔族の「輪」を合計したものだ。
「600丁?こんな若造が?あり得ねえな!!嘘ついてやがる」
「嘘ではないと嫌でも直ぐに分かるよ」
老人が子分達と瑶太のやりとりを見て
「もう良いじゃないか。殺してしまえ。早く儂は脳を喰いたいのじゃ」
「分かりました。先生!」
まず、8人の魔族が束になって瑶太に向かっていった。
手を硬化させて手刀にしている者や刀を持っている者など多彩である。
一斉に瑶太に斬りかかった魔族達は「殺った」と思った。
しかし、全員の攻撃は虚しく空を切った。
瑶太はそこにはすでに居ない。素早くしゃがんで横に大きく跳躍し、移動していたのだ。
瑶太がどこに行ったのか分からず、魔族の動きが一瞬止まった。
瑶太は自分から一番近くに居た魔族の首を下から切り上げた。
閃光の如き速度で一気に間合いに詰め込まれた魔族は動けない。
「ビュッ」という短い音がしたと思った時にはその魔族の首は宙に舞っていた。
「や、野郎っ!!」
仲間を殺されて激情した魔族達は今度はバラバラに襲いかかってくる。
初めに刀を横殴りに振りかざしてきた魔族はがら空きになっている左腕を瑶太の刃に切断された。
右手のみが刀を振ることになり斬撃の速度が遅くなった隙を瑶太は見逃さない。
左手を切って振り下ろしていた滅魔刀を直ぐに反して魔族の腹のへそ辺りに突き刺し、そこから一気に切り上げた。
魔族の身体は上半身が唐竹割り(脳天部から腹にかけて切られて縦に半分になっている)となり、鮮血を吹き出して灰となった。
瑶太は切り上げて上半身を真っ二つにした滅魔刀を中段に構え直して背後から迫ってきていた魔族を振り返りざまに右肩から左腹部まで切り払った。
「やはり、大したことは無いな。二十輪の魔族など所詮こんなものだ」
「くっ。こんな筈は……」
一瞬の内にして仲間を三人失った魔族は歯ぎしりをしながらそう言った。
「直ぐにお前達も仲間の所に送ってやる。僕の滅魔刀の錆になれ」
「く、くそう!!皆でかかれ。バラバラに行くと切られるぞ!!」
「どっちみち、切る。さっきお前等は僕が爆弾を使って本堂の壁を破壊したといったな。爆裂系統の斬撃も知らないとはよっぽど我々黒鐘滅魔隊と殺りあった回数が少ないみたいだな」
「黙れえ!本堂を斬撃のみで破壊するなんて出来るわけがねえ!!」
「そんなに信じられないなら、お前等を爆裂斬撃で滅魔してやる」
残っていた老人以外の全ての魔族達が気迫の声と共に斬りかかってくる。
「はあ。よっぽど馬鹿なんだな」
と呟き、瑶太は脇構えに滅魔刀を構え、
「地爆斬!」と言いながら刀を地面に擦らせながら切り上げた。
彼の滅魔刀の切っ先が地面から離れた途端、彼の前方で大爆発が起こった。
爆発の炎と黒い煙の中で、魔族達は悲鳴をあげる間もなく、灰となって消えた。
「可哀想に」
瑶太がそう言ったときには彼の斬撃していた方向の地面は放射状にえぐられ、黒く焼き焦げており、黒い煙が上がるばかりとなっていた。
本堂の端の角に寄って一部始終を観察していた老人に向かって瑶太は
「後は、爺。お前だけだ」
普段は優しそうな瑶太の目が今は釣り上がっている。
「その子を放せ」
「む、分かった」
老人は子分達を全て殺されて堪忍したのか、ゆきを放した。
ゆきが涙を流しながら瑶太の方に駆け寄ってくる。
が、その背後から老人が棒手裏剣を投げた。
「じじい!」
叫びながら瑶太は凄まじい力で地面を蹴り、即座にゆきの背後に移動して刀を横振りし、その風圧でそれらを落とした。
「何のつもりだ……」
と、瑶太は老人に問う。
「お前、若いのに中々やるのい」
「放した子供の背後に攻撃を浴びせるとは、魔族魔族らしい卑怯な手だな」
「小僧、かかってきなさい」
「言われなくてもそうするさ」
瑶太は老人の右目に向かって閃光の如き突きを浴びせた。
しかし、その突きは老人の人差し指と中指に挟まれて止められた。
「なっ」瑶太は驚きを隠せない。
「さっきは子分どもが随分と世話になったのう……」
老人は目を閉じ、そしてゆっくりと開けた。
それまでは人間と同じように白目と黒い瞳孔で出来ていた眼が、全部分濃い赤色に変わった。
瑶太はそれを見て驚きを隠しきれずに、
「お、お前……その眼は……魔眼……さては二つ名持ちかっ?!」
「二つ名?ああ滅魔士どもが勝手に儂ら魔族を初めに出没した地名で呼ぶあれか……」
「名を言え」
「儂は三条橋二番辻」
「お、お前がだとっ?三条橋二番辻は史上最悪最凶の魔族だぞ……」
「ああ。儂は500年は生きて居るがその間負けたことは一度も無いからそう言われておるかもな……」
「嘘だろ……」
「儂の名を聞いた滅魔士は皆そんな絶望的な顔をする。その後直ぐ死ぬからな」
瑶太は三条橋二番辻に挟まれていた刀を力任せに抜き取って飛び退き、間合いをとった。
そして深刻そうな声色で、後ろで震えていたゆきに言った。
「この寺を出て、誰かに黒鐘家の屋敷までの道を聞いてそこまで行き、黒鐘宗佑様に三条橋二番辻が出たと伝えてくれ。黒鐘滅魔隊、最精鋭の黒鐘班ならばこの爺を切れる」
そう言われたゆきは直ぐに寺の階段に向かった。
「そうはさせぬぞ」
三条橋二番辻がゆきを追撃しようと襲いかかる。その手刀を瑶太がかろうじて刀で受け止めた。
「振り向かずに走れ!!」
ゆきの背にそう、瑶太が言った。
「ギリギリ」と刀と手刀が強く擦れ合う音がする。
「むんっ!」
三条橋が力を少しかけるだけで瑶太はその力に耐えきれなくなり、刀を傾けて下にその力をいなし、直ぐに三条橋の間合いから出た。
激しい斬撃が瑶太を襲う。
一つ一つの速度が異常に速く、重い。
刀で受けるたびに瑶太の手がビリビリと痺れた。
受けるのみしか瑶太には出来ない。
連撃の隙を見て、瑶太は後ろに下がり、大きく間合いを取った。
「ちょこまかとすばしっこい小僧だ。中々やりおる。儂とこれまで殺り合って初めの一撃で死なんかったのは黒鐘家の血筋を除くとお前だけかも知れぬな」
「そりゃどうも」
瑶太は平正眼に滅魔刀を構え直した。
(二つ名持ちと殺り合うのは初めてだが、これ程までに強いものなのか)瑶太は強く、柄を握った。
「小僧、行くぞ」
少し身体を捻り、三条橋は手を目にも止まらぬ速さで振った。
その手の先から、爪が五枚飛んでくる。極限の速度で放たれた硬化した爪はライフルの弾丸のように飛び、瑶太を襲った。
瑶太は切り払って二つを落とし、横によけようとしたが残り三つの凶弾は彼の身体を貫いた。
「あいつは一人だぞ。巫女も札使いも居やしねえ!剣士一人でこれだけの人数の魔族に勝てる訳がねえ!!」
「そうだそうだ!ちょうど良いタイミングで食事が増えたな。あいつも、とっ捕まえて食べてしまいましょう。良いですか?先生?」
十六人ほど周りに控えて居た魔族が騒ぎ出し、そのうちの一人が老人に向かってそう言った。
この老人は魔族達のリーダー格らしい。
先生と呼ばれた老人は薄気味悪い笑いを浮かべながら
「うん。食べてしまえ。若い男の脳みそも、それほど悪い物でもない。女の物よりは美味くはないが」
「分かりやした。あの若いの、英雄気取りで飛び込んできて不幸なこった。本堂の壁を壊すためにわざわざ爆弾まで用意しやがって」
「ああ。それで格好つけて飛び込んできたら、俺らがいた。あいつ、恐怖で今動けなくなってるんだろうよ」
「違いねえ」
魔族達が瑶太に対し嘲笑を浴びせる。
「おい。滅魔士の若造。お前は俺たちが誰だか知っているか?俺たちは皆二十輪は超えてる殺しのプロの魔族だぜ?驚いたか?お前は直ぐに死ぬことになる」
「輪」というのは魔族の強さの評価方法であり、それまでに殺した人の人数と等しい。
一般的な魔族達は自ら食料調達をすることはまずない。
人間を殺すとその死体を調べられて死体に付着した唾液で魔族個人を断定できる。
個人を断定されると黒鐘滅魔隊の滅魔対象となり死の危険性が跳ね上がる。
なので一般的な魔族達は殺した人の死体を完全に処理するか、「狩人」と呼ばれる人間の脳を売りさばく魔族達から脳を買う。
(この寺に居る魔族達は狩人だな)と瑶太は先の魔族のセリフから判断した。
「輪」で評価される魔族は皆、自分が殺した人間の死体が黒鐘滅魔隊によって鑑識されて初めて手配書が出て、「輪」の評価が知れ渡るからだ。
大和族の人々は人間は死ぬと花になると考えているので死体の単位は「輪」で数える。
魔族の強さを表す「輪」もそこから来ている。
「殺人数」=「魔族の強さ」とするのは少々語弊が生じているように感じるかも知れないが、「それだけ黒鐘滅魔隊の滅魔を逃れている」という事になるので大体は「殺人数」は「魔族の強さ」に比例する。
「ギャアギャアうるさいな、雑魚が。二十輪?その程度でのぼせ上がっているとは黒鐘滅魔隊も舐められたものだな。僕は600丁は超えている滅魔士なんだが……」
「丁」は滅魔士の強さを表す。それまでに滅魔した魔族の「輪」を合計したものだ。
「600丁?こんな若造が?あり得ねえな!!嘘ついてやがる」
「嘘ではないと嫌でも直ぐに分かるよ」
老人が子分達と瑶太のやりとりを見て
「もう良いじゃないか。殺してしまえ。早く儂は脳を喰いたいのじゃ」
「分かりました。先生!」
まず、8人の魔族が束になって瑶太に向かっていった。
手を硬化させて手刀にしている者や刀を持っている者など多彩である。
一斉に瑶太に斬りかかった魔族達は「殺った」と思った。
しかし、全員の攻撃は虚しく空を切った。
瑶太はそこにはすでに居ない。素早くしゃがんで横に大きく跳躍し、移動していたのだ。
瑶太がどこに行ったのか分からず、魔族の動きが一瞬止まった。
瑶太は自分から一番近くに居た魔族の首を下から切り上げた。
閃光の如き速度で一気に間合いに詰め込まれた魔族は動けない。
「ビュッ」という短い音がしたと思った時にはその魔族の首は宙に舞っていた。
「や、野郎っ!!」
仲間を殺されて激情した魔族達は今度はバラバラに襲いかかってくる。
初めに刀を横殴りに振りかざしてきた魔族はがら空きになっている左腕を瑶太の刃に切断された。
右手のみが刀を振ることになり斬撃の速度が遅くなった隙を瑶太は見逃さない。
左手を切って振り下ろしていた滅魔刀を直ぐに反して魔族の腹のへそ辺りに突き刺し、そこから一気に切り上げた。
魔族の身体は上半身が唐竹割り(脳天部から腹にかけて切られて縦に半分になっている)となり、鮮血を吹き出して灰となった。
瑶太は切り上げて上半身を真っ二つにした滅魔刀を中段に構え直して背後から迫ってきていた魔族を振り返りざまに右肩から左腹部まで切り払った。
「やはり、大したことは無いな。二十輪の魔族など所詮こんなものだ」
「くっ。こんな筈は……」
一瞬の内にして仲間を三人失った魔族は歯ぎしりをしながらそう言った。
「直ぐにお前達も仲間の所に送ってやる。僕の滅魔刀の錆になれ」
「く、くそう!!皆でかかれ。バラバラに行くと切られるぞ!!」
「どっちみち、切る。さっきお前等は僕が爆弾を使って本堂の壁を破壊したといったな。爆裂系統の斬撃も知らないとはよっぽど我々黒鐘滅魔隊と殺りあった回数が少ないみたいだな」
「黙れえ!本堂を斬撃のみで破壊するなんて出来るわけがねえ!!」
「そんなに信じられないなら、お前等を爆裂斬撃で滅魔してやる」
残っていた老人以外の全ての魔族達が気迫の声と共に斬りかかってくる。
「はあ。よっぽど馬鹿なんだな」
と呟き、瑶太は脇構えに滅魔刀を構え、
「地爆斬!」と言いながら刀を地面に擦らせながら切り上げた。
彼の滅魔刀の切っ先が地面から離れた途端、彼の前方で大爆発が起こった。
爆発の炎と黒い煙の中で、魔族達は悲鳴をあげる間もなく、灰となって消えた。
「可哀想に」
瑶太がそう言ったときには彼の斬撃していた方向の地面は放射状にえぐられ、黒く焼き焦げており、黒い煙が上がるばかりとなっていた。
本堂の端の角に寄って一部始終を観察していた老人に向かって瑶太は
「後は、爺。お前だけだ」
普段は優しそうな瑶太の目が今は釣り上がっている。
「その子を放せ」
「む、分かった」
老人は子分達を全て殺されて堪忍したのか、ゆきを放した。
ゆきが涙を流しながら瑶太の方に駆け寄ってくる。
が、その背後から老人が棒手裏剣を投げた。
「じじい!」
叫びながら瑶太は凄まじい力で地面を蹴り、即座にゆきの背後に移動して刀を横振りし、その風圧でそれらを落とした。
「何のつもりだ……」
と、瑶太は老人に問う。
「お前、若いのに中々やるのい」
「放した子供の背後に攻撃を浴びせるとは、魔族魔族らしい卑怯な手だな」
「小僧、かかってきなさい」
「言われなくてもそうするさ」
瑶太は老人の右目に向かって閃光の如き突きを浴びせた。
しかし、その突きは老人の人差し指と中指に挟まれて止められた。
「なっ」瑶太は驚きを隠せない。
「さっきは子分どもが随分と世話になったのう……」
老人は目を閉じ、そしてゆっくりと開けた。
それまでは人間と同じように白目と黒い瞳孔で出来ていた眼が、全部分濃い赤色に変わった。
瑶太はそれを見て驚きを隠しきれずに、
「お、お前……その眼は……魔眼……さては二つ名持ちかっ?!」
「二つ名?ああ滅魔士どもが勝手に儂ら魔族を初めに出没した地名で呼ぶあれか……」
「名を言え」
「儂は三条橋二番辻」
「お、お前がだとっ?三条橋二番辻は史上最悪最凶の魔族だぞ……」
「ああ。儂は500年は生きて居るがその間負けたことは一度も無いからそう言われておるかもな……」
「嘘だろ……」
「儂の名を聞いた滅魔士は皆そんな絶望的な顔をする。その後直ぐ死ぬからな」
瑶太は三条橋二番辻に挟まれていた刀を力任せに抜き取って飛び退き、間合いをとった。
そして深刻そうな声色で、後ろで震えていたゆきに言った。
「この寺を出て、誰かに黒鐘家の屋敷までの道を聞いてそこまで行き、黒鐘宗佑様に三条橋二番辻が出たと伝えてくれ。黒鐘滅魔隊、最精鋭の黒鐘班ならばこの爺を切れる」
そう言われたゆきは直ぐに寺の階段に向かった。
「そうはさせぬぞ」
三条橋二番辻がゆきを追撃しようと襲いかかる。その手刀を瑶太がかろうじて刀で受け止めた。
「振り向かずに走れ!!」
ゆきの背にそう、瑶太が言った。
「ギリギリ」と刀と手刀が強く擦れ合う音がする。
「むんっ!」
三条橋が力を少しかけるだけで瑶太はその力に耐えきれなくなり、刀を傾けて下にその力をいなし、直ぐに三条橋の間合いから出た。
激しい斬撃が瑶太を襲う。
一つ一つの速度が異常に速く、重い。
刀で受けるたびに瑶太の手がビリビリと痺れた。
受けるのみしか瑶太には出来ない。
連撃の隙を見て、瑶太は後ろに下がり、大きく間合いを取った。
「ちょこまかとすばしっこい小僧だ。中々やりおる。儂とこれまで殺り合って初めの一撃で死なんかったのは黒鐘家の血筋を除くとお前だけかも知れぬな」
「そりゃどうも」
瑶太は平正眼に滅魔刀を構え直した。
(二つ名持ちと殺り合うのは初めてだが、これ程までに強いものなのか)瑶太は強く、柄を握った。
「小僧、行くぞ」
少し身体を捻り、三条橋は手を目にも止まらぬ速さで振った。
その手の先から、爪が五枚飛んでくる。極限の速度で放たれた硬化した爪はライフルの弾丸のように飛び、瑶太を襲った。
瑶太は切り払って二つを落とし、横によけようとしたが残り三つの凶弾は彼の身体を貫いた。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―
Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!
柊
ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」
ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。
「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」
そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。
(やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。
※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる