推しが必ず死ぬゲームのモブに転生した俺は、彼女を救うためにシナリオブレークします〜俺の推し活は彼女を生かすための活動です〜

仁徳

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第一章

第四話 推しとの関係に進展が!

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「ユニークスキルが未来予知ではなく【推し愛】?」

 カレンの言葉に、俺は頷く。

「ああ」

「それってどんな効果なの? そんなユニークスキル聞いたことがないのだけど?」

 カレンが小首を傾げる。

 それもそうだろう。【推し愛】は俺が考えたユニークスキルで、物語の本編には存在していないスキルなのだから。

「ユニークスキル【推し愛】って言うのは、推しへの愛を力に変え、その愛で他のユニークスキルを手に入れることを可能にするスキルなんだ」

 カレンへの愛を推しへの愛と言い換え、ユニークスキルの効果を彼女に教える。

 流石にスキルの効果を馬鹿正直に隅々まで教えたら、いくらカレンでも引いてしまうだろう。せっかく嫌われない程度に好感度を上げられたのに、これ以上下げて嫌われてしまうのだけは避けたい。

 推しから嫌われることの方が、死ぬよりも何倍も辛いからな。

「推しって言うのが何のことを表しているのか、私には分からないけれど、素敵なスキルね。愛の力であなたが強くなるってことでしょう。物語の主人公みたいで格好良いわね」

 カ、カレンから格好良いって言われた! ヒャッホーイ! めちゃくちゃ嬉しい! もう、彼女の言葉一つ一つが嬉しくて堪らないのだけど。

 マジやばい。俺の推しは天使すぎる。

「あれ? でも、そしたらどうして私の未来のことを知っているの? 未来予知でないのなら、そんなことは分からないわよね?」

「そ、それは……」

『この世界がゲームの世界であり、俺はこの世界に迷い込んだ転生者なんだ』

 そう言おうとするが、途中で言葉がつっかえて続きが言えない。

 言え! 言うんだ! 彼女には隠し事をしないって決めたばかりじゃないか!

「それは――」

「お待たせしました。紅茶二人前です」

 タイミングが悪く、ウエイトレスが注文の品を持ってきた。

 テーブルの上に置かれたものは、大きめのグラスに入った紅茶だ。そして二つのストローが入っている。

 どうみても、カップルが飲む用のやつだ。

「ちょっと、これってどう言うことなの? 私は紅茶を二つ頼んだでしょう?」

「あら? そうでしたか。ごめんなさい。こちらサービスとさせてもらいますので、どうぞお召し上がりください」

 ウエイトレスがニヤニヤとしながら紅茶を飲むように促す。

 この人、絶対にわざとだな。厚意は嬉しいけど、やりすぎだ。

 さすがにこれは恐れ多すぎる。俺がカレンと同じ飲み物を飲む訳にはいかない。

 でも、彼女は先ほどもこの店の紅茶を飲んだと言っていた。なら、ここは俺が男を見せて、一人で飲むべきだ。

「この紅茶は俺が飲むよ」

「ありがとう。助かるよ」

 カレンが安心したように微笑む。彼女に感謝されるだけで、紅茶を五杯どころか十杯は飲んでしまえそうな気がした。

 ウエイトレスが再び厨房へと向かい、俺たちはもう一度向き合う。

「それで、話しを戻すけど、どうして私が聖神戦争で必ずリタイアすることを知っているの?」

 もう一度訊ねられ、俺は生唾を呑み込む。

「そ、それはだな。えーと、そ、そう。もう既に未来予知を手に入れているからなんだ。だからカレンの未来が分かったってことなんだ」

 咄嗟に出任せを言ってしまう。

 俺のチキン野郎! どうして真実を言えないんだよ!

 その原因は既に分かっていた。大きな理由はカレンを悲しませたくない。そんな自己中心的な理由だ。

 この世界がゲームであり、彼女はその世界の登場人物の一人にすぎないって分かったら、最悪の場合、心が崩壊するかもしれない。悲しむ彼女の姿を見たくはなかった。

「なるほど、これで全てがつながったわ。うん、納得した。それじゃ、疑問が解消したから次のお題に入るけど。今も私のことが好きって言う気持ちは変わらないの?」

「当たり前だ! 何があろうと、俺がカレンを愛している気持ちは永遠に変わらない!」

 咄嗟に彼女の質問に答える。するとカレンは口元に人差し指を持ってきた。その動作を見て、俺が大声を出したことに気付き、口を覆う。

 口元に人差し指を持ってくるカレン、可愛い。

「わ、分かったわ。でも、告白の返事は保留にさせてね。今日あったばかりの人に簡単にOKを出すほど、お尻は軽くないから」

 それって友達以上、恋人未満ってことじゃないか! 敵対状態から一気に進展しすぎだろう!

「やったー!」

 思わず声を上げてしまう。

「ちょっと、まだ付き合ってはいないのよ。分かっているよね?」

「ああ、分かっている。恋人じゃなくとも、心の距離が縮まったってことが分かっただけで大満足だ。ありがとうカレン」

 嬉しさのあまりに、俺は変なテンションになっていることに気付く。でも仕方がない。嫌われても当然だと思い込んでいただけに、嬉しさが何倍にもなってしまう。

 ああ、今の俺はなんて幸せなんだろう。こんな気持ちがいつまでも続けばいいのに。

 幸せな気持ちになっていると、喉が渇いた。

 まぁ、あれだけ幸せな気持ちを声に出せば、喉くらい乾くだろう。

 ストローに口をつけ、紅茶を飲む。

 口内に紅茶の甘みが広がり、香りが鼻から抜けていくのが分かった。

 うん、設定どおりの美味しさだ。本当に隠れた名店なんだな。

 そんな風に思っていると、次第に瞼が重くなってきた。

 あれ? どうしてこんなに眠くなるんだ? あまりの嬉しさに絶叫したせいで、疲れたのかな?

 我慢ができず、両の瞼を閉じる。





「あれ? ここはどこだ?」

 次に目が覚めると、俺は知らない場所にいた。周辺は薄暗いが、どこに何があるのか分かる。

「ここはゲームの中にあった道具屋のような建物だな」

 自分の居場所が何となくわかり、次に状況を確認する。俺は椅子に座らされ、なぜか縛られていた。

「これはいったいどう言うことだ? どうして俺は縛られている」

「あら? どうやら目が覚めたみたいですね。ようこそ、愛の神カーマが経営するスキルショップへ」

 カウンターから顔を出して姿を見せたのは、紫色のロングヘアーに花の髪飾りをしている女性だった。











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