推しが必ず死ぬゲームのモブに転生した俺は、彼女を救うためにシナリオブレークします〜俺の推し活は彼女を生かすための活動です〜

仁徳

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第三章

第二話 監視の中でのデート

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「どうしてアリサがここに来ているんだよ!

「どうしてって昨日も言ったでしょう。監視よ、監視。安心なさい。あなたがカレンを襲わない限りは、遠くから見守っているだけだから。でも、百歩譲って手を繋ぐ程度は血の涙を流して許すわ。でも、それ以上のことをしようとしたら、アタシの鉄拳制裁をお見舞いするからね」

 百歩譲っても血の涙を流すのかよ。

 彼女の言葉に苦笑いを浮かべる。

「安心しろ。カレンの方から迫って来ない限りは、手を繋ぐ行為以外に発展しないから」

「そう、あなたがチキンで良かった。でも、カレンの方から手を繋ぐこと以上のことはしないから、期待しないでよね」

 アリサが安堵の表情を浮かべるが、俺は少しだけ彼女に苛つく。

 誰がチキンだよ。カレンのことを一番に大事にしているからこそ、彼女が傷付くようなことをしたくないだけだ。

「それじゃ、アタシは離れて尾行しているから、デートを楽しみなさい。あと、どうせあなたはデートをしたことがないと思うから言っておくけど、カレンが来たら褒めるのよ」

 余計なお節介をアリサがやくと、彼女はこの場から離れて行く。

 そんなこと言われなくても分かっている。俺にはカーマからサービスで得た【知識の本ノウレッジブックス】のユニークスキルの影響で、様々な知識を有している状態だ。

 恋愛関連の知識も、一応身につけている。

 噴水に背中を向け、カレンが訪れるのを待つこと約三十分。噴水にクリーム色の髪の女の子がやってくる。

「ごめん、遅くなった。待ったよね?」

 彼女が声をかけてくるも、言葉が出て来なかった。

 カレン、メチャクチャ可愛いじゃないか!

 俺の推しは、普段と違った髪型をしていた。三つ編みとハーフアップの組み合わせではなく、サラツヤミディアムヘアーになっていた。

 外ハネのくびれミディアムヘアーになっており、顔まわりにレイヤーを入れているからか、普段以上に小顔に見える。

 カレンの可愛いがパワーアップした!

「怒っている? ごめんね。準備に時間がかかってしまって」

「いや、いや、いや。全然怒っていないから。寧ろ、カレンの普段とは違った髪型に見惚れて、言葉を失ったと言うか。とにかく、メチャクチャ可愛い」

「あ、ありがとう。そう言ってもらえると頑張ったかいが……あったかな」

 カレンが頬を朱に染めながら、恥ずかしそうに視線を逸らす。

 その動作一つ一つが可愛らしく、思わず抱き締めたい衝動に駆られる。

 やばい。始まったばかりでドキドキする。普段以上に可愛らしいカレンを見られて、心が満たされる。

 だけど落ち着け俺、ここで感情の赴くまま行動したら、アリサの鉄拳が飛んで来るぞ。

 自身を落ち着かせるためにその場で一度深呼吸をする。

「スー、ハー、よし」

「それで、これからどこに行くの?」

「ああ、取り敢えずはショッピングをしよう」

 カレンの趣味はお店巡りで、隠れた名店を探すのが得意だからな。取り敢えずショッピングをしながら街中をぶらつければ満足してくれるはず。

「それじゃあ、行こうか」

 俺たちは二人で横に並び、町中を歩く。背後から突き刺さる様な視線を感じてしまうが、今は無視だ。アリサの言葉を信じるのなら、普通にデートを楽しめば、妨害はしてこない。

 しばらく歩くと洋服屋が見えてきた。

「あのお店に入ろうか。ギルドでの報酬もあるし、カレンが気に入った服を買おう」

「え! 良いの! やったー!」

 洋服をプレゼントすると言った瞬間、カレンの表情が緩んで笑みを浮かべる。

 店の扉を開けて中に入ると、店内には様々な服が展示されてあった。

 店の奥へと進み、女性用の服を眺める。

 ゲームでは、店に入った瞬間に画面が切り替わって、衣装の項目を閲覧するのだったが、さすがにゲームが現実になっている異世界だけあって、自分達で服を探す必要がある。

 カレンの似合う服ってなんだったかな? 色々と試したことがあったけど、どれも似合っていたはずだ。

「ねぇ、こっちとこっち、どっちが似合うと思う?」

 左右両方の手に服を持ち、カレンが訊ねてくる。

 右手に持っているのは、白いオフショルダーだ。中央に大きいリボンが付いており、肩が見える代物だ。上品に肩をチラ見せできるので、カレンをあざとくも可愛らしい姿にさせることができる。

 そして左手に持っているのは、デニムのジャケットだ。クールで格好いい印象を持たせることができ、この服もカレンのこれまでの印象を変えるには十分すぎる。

 どちらかと言えば、俺の好みとしてはあざ可愛いオフショルダーだな。

 でも【知識の本ノウレッジブックス】によると、こういうときの選択肢では、すでに女性の中では決まっていることが多いらしい。

 どっちがいいのかを問われた場合の女心としては、相手の意見が欲しい、相手の好きなほうを選びたい、相手の好みを知りたい、相手のリアクションを楽しんでいるといったものがある。

 そしてもちろんこの問題には正解、不正解があり、不正解な解答をすると機嫌を損ねてしまう。

 一応不正解、正解の回答は知っている。

 不正解の回答としては、『どっちも似合う』や『好きなほうにすれば』などだ。解答を面倒臭がって適当なことを言うと、間違いなく不機嫌になってしまう。

 正解とされるのは、状況にもよって変わるが、大きくわけて二種類ある。

 ひとつは、質問者がまだ決まっていない場合『どっちも可愛いね』や『どっちもセンスがある』や、『どっちもステキだから迷うな』といい、相手のセンスを褒めたうえで自分の意見をいうパターン。

 そしてもう一つが既に決まっていたが、念のために聞いてきたときのパターンだ。

 こっちの対処としては、質問者に選ばせる。

『君はどっちがいいと思う?』と質問者に問い、『私はこっちがいいと思っているけど』と答えたら『そうだね、自分もそう思うよ』と同意をするパターン。

 だが困ったことに、場の雰囲気で判断ミスをしてしまうと、正解を答えたとしても機嫌を損ねてしまうケースもあるのだ。

 それだけ女心は複雑ということ。

 まずは、カレンが既に決まっているかどうかを判断しないと。

「どっちもセンスがあるから迷うな。カレンはどっちが良いと思っているの?」

「決めきれないから聞いているのだけどなぁ?」

 カレンが声音を弱めて寂しそうに言う。

 しまった! まだ決まっていなかったパターンか。これがギャルゲーだったら、好感度が一下がってしまっている状況だ。

 だけどまだカバーできるはず。そうなると、俺の意見が知りたいってことになる。だけど正直に言って良いのか? ドン引きされて逆に好感度を下げないだろうか。

 だけど、ここで俺が照れ隠しで適当なことを言えば、余計に悪くなることは明白だ。なら、ここは玉砕覚悟で俺の思ったことを言ってやる。

「そんなもの、白のオフショルダー一択に決まっているじゃないか! 白がカレンの清楚さを引き立ってくれるし、上品に肩をチラッと見せるところがあざとくって可愛い。この可愛さのある服を着れば、すれ違う男はみんな振り返って見るに決まっている! それに、俺は白のオフショルダーを着ているカレンが好きだ!」

 全力でカレンに白のオフショルダーをお勧めする。

 正直、引かれるかもしれない。そう思っていたが、俺の予想とは裏腹に、カレンは頬を朱色に染めていた。

「もう、そんなに大声で力説しないでよ。聞いているこっちが恥ずかしいじゃない」

 プイッと顔を横に向け、カレンは左手に持っていたデニムのジャケットを直す。

 そして白のオフショルダーを持って更衣室に入って行く。

 まさか、あの服を着たところを俺に見せてくれるのか!

 心臓の鼓動が高鳴る中、更衣室の前でカレンが出てくるのを待った。

 しばらくするとカーテンが開かれ、着替えた推しが姿を見せる。

「ど、どう? 変じゃないかな?」

「控えめに言って、メチャクチャ可愛い」

 俺は親指を突き出してグッドのポーズを取る。

 予想以上にメチャクチャ似合いすぎるだろう! ゲームで見るよりも破壊力がエグい!

「よし、買おう。店員さーん! この服くださーい」

 感極まった俺は、店員さんに声をかけ、推しへのプレゼントを購入する。

 もちろん、一々着替えさせるのは申し訳なかったので、白のオフショルダーを着たままにしてもらっている。

 洋服屋を出ると、俺たちはまた別の店に向かった。





 楽しい時間はあっという間に過ぎ去り、時刻は夕方となっていた。今は中央広場のベンチに座って風景を眺めている。

「夕日が綺麗だね」

「そうだな」

 カレンの問いに返事をしつつも、アリサからの妨害がなかったことに安堵する。

「ねぇ、聞いてもいい? 今日のデートでユウリは強くなった?」

「正直に言ってまだかな?」

 まだカーマが俺を呼んでいない。彼女が俺の魂を呼び出さないと、欲しいユニークスキルは手に入らない。

「そう。なら」

 カレンは赤い瞳でジッと俺のことを見る。そしてゆっくりと俺に顔を近付けてきた。

 え、ええ、えええ! こ、これってもしかしてキス!

「動かないで」

「は、はい!」

 心臓の鼓動が早鐘を打つ中、推しの柔らかそうな唇が近付く。

 視界の端にアリサが全速力で走ってくるのが見えた。

 あ、これ、アリサに邪魔されるパターンだ。

 そう思った瞬間、俺の意識が遠退く。

「アリサが邪魔をすると思った? 残念! 邪魔をするのはカーマちゃんでした!」

「お前が邪魔するんかい!」










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