推しが必ず死ぬゲームのモブに転生した俺は、彼女を救うためにシナリオブレークします〜俺の推し活は彼女を生かすための活動です〜

仁徳

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第三章

第九話 これならゼウスを圧倒することができる

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~ユウリ視点~



 カーマの世界から意識が戻った俺は、接近しつつある火球の熱で、敵の攻撃が迫っていることを思い出す。

 そうだった。カーマとの一件ですっかり忘れていたが、今はゼウスから攻撃をされている最中だ。

「【光の壁ライトウォール】!」

 接近する火球を目の当たりにした瞬間、直ぐに手に入れたばかりのスキルを発動する。

「何!」

 俺がスキルを発動した瞬間、ゼウスが驚きの声を上げる。

 彼が放った【死球デスボール】を包み込むように、光の壁が出現して火球を覆ったのだ。

 光の壁に阻まれ、凄まじい熱量を放つ火球は動きを止められる。

 ふぅ、どうにか間に合ったようだな。

 この【光の壁ライトウォール】は、空気中の光子を集めて気温を下げることにより、相転移を起こさせる。そして光子にヒッグス粒子を纏わりつかせることで、光に質量が生まれ、触れることのできる光の球体を生み出した。

「おのれ! 生意気にも俺様の攻撃を防ぐだと!」

 歯を食い縛り、悔しそうにするゼウスの表情を見る限りだと、あの一撃で全てを終わらせるつもりだったのだろう。

 運よくスキルの福袋の中に【光の壁ライトウォール】が入っていて良かった。あのスキルがなければ、今頃三人まとめてリタイアしていたかもしれない。

 しかもこの【光の壁ライトウォール】は、とある条件を満たした時に攻撃に繋げることも可能な有能なスキルだ。

 タイミングが重要だが、やつの【死球デスボール】と俺の【光の壁ライトウォール】を組み合わせれば、最上級のスキルへと合成することが可能だ。

 上手く敵の攻撃を利用させてもらう。

「見て、光の壁の中にあった火球がみるみる小さくなっていく!」

 カレンが封じ込まれた火球を見て、アリサに敵の攻撃が消滅したことを教える。

「本当! いったいどうなっているの?」

 カレンもアリサも、突然消えつつある火球に驚いているな。まぁ、正確にはまだ完全に封じ込めていないのだけどね。

「ほう、俺様の【死球デスボール】を消したか。確かに火が燃焼し続けるには、連鎖反応を生み出すよう、酸素が連続的供給される必要がある。火が燃え続けるには燃料と酸素の継続的供給が必要だからな。しかし光の壁により、密閉された内部は酸素供給が断たれ、炎の周囲に二酸化炭素を充満することによって炎は勢いが衰え、消えると言う訳か。中々考えたな」

 今目の前に起きている現象を、ゼウスは丁寧に説明してくれた。

 全知全能の神と名乗るだけあって、流石に理解しているか。

 俺は【知識の本ノウレッジブックス】のユニークスキルのお陰で、どうにか分かっていると言うのに。

 そうなると、俺がやろうとしていることも、やつにはお見通しなのかもしれない。

 なら、光の壁から意識を遠ざけるようにするべきだな。そのためには多少苦戦を演じる必要もある。

「【死球デスボール】は回避されたが、これならどうだ? 【落雷ライトニングストライク】!」

 ゼウスがスキルを発動した瞬間、空に暗雲が立ち込め、雷鳴と共に俺たちに向けて落雷が落ちる。

「そうはさせるか! 【水の守りアクアガード】! 二人とも、しばらくの間息を止めてくれ!」

 彼女たちに息を止めておくように言うと、スキルを発動させる。

 防御スキルを発動した瞬間、空気中の酸素と水素が磁石のように引き合い、電気的な力によって水素結合を起こす。これにより水分子間がつながり、水分子のクラスターが形成され、水の塊が出現。

 その水は俺たちを覆い、落ちてくる落雷を防ぐ。

 水の表面に雷が纏うと、敵の攻撃が止んだと同時に俺たちから引き剥がす。

「うそ、どうして水なのに感電しないの?」

「水は電気を良く通すって言うのに? こんなのおかしいわよ」

 一般常識の範囲で物事を考えている二人が驚く。

 まぁ、正確な知識がなければそんなふうに思ってしまうよな。

「別に驚くことはないさ。俺のスキルで生み出した【水の守りアクアガード】の水は、不純物の混じっていない純水だ」

「純水って不純物が混ざっただけで、そんなに変わってしまうものなの?」

 驚きと疑いが入り混じったアリサの言葉に、俺は頷く。

「アリサみたいに電気は水をよく通すと思っている人は多いが、純水のような水分子だけしかない状態だと、ほんの少ししか電気を通さない。電気を通すといった現象は電荷をもっている物質が移動することになる。なので、電荷を通す物体がない場合は電気を通すことはない」

 さて、【水の守りアクアガード】により、雷を纏った水が完成した。こいつも攻撃に利用できる。

「いやーこちらの手数を増やしてくれてありがとう。お陰でこんなに強い水と雷の合成スキルを使うことができた」

 ゼウスに礼を言うと、やつの顔が引き攣る。

 きっと神としてのプライドがズタズタにされているのかもしれない。

 こんなに早くゼウスが現れたときは正直驚いたが、もしかして勝てるんじゃないのか。

「一度ならず二度までも俺様の攻撃を防ぎやがって! お前のような下等生物は初めてだぞ!」

「いやーお前に褒められるとは思わなかったなぁ。なんなら、お前が俺の配下に加わるか?」

「そんな訳があるか! 俺様は全てのトップに立つ男だ。誰が下等生物の下につくか!」

「そうか。なら、こいつを食らえ! 合成スキル【稲妻水ライトニングウォーター】!」

 雷を纏った水をゼウスに向けて放つ。俺の攻撃はやつに向けて飛んで行くが、ゼウスは一歩も動かなかった。

「やった! このまま行けば倒せる!」

「やるじゃない。少しだけは見直してあげるわ」

 二人は喜びの声を上げるが、俺は安心しきることができない。あのゼウスがこんなものでやられえるとは思えなかったからだ。

 俺の攻撃が男のいた場所を通り過ぎるも、悲鳴はどこからも聞こえなかった。

「クハハ! クァアハハハハ!」

 背後からゼウスの声が聞こえ、俺たちは振り返る。そこには無傷の管理者が余裕の表情で立っていた。

 やっぱり予想どおり、ギリギリで転移スキルを発動したか。

「中々面白い攻撃をしやがる。俺様を楽しませたのはお前で二人目だ。だが、その程度では俺様には勝てぬぞ」

「ああ、そんなことは分かっていたさ。避けられることも計算の内だ。かかったな!」

「何!」

「【俊足スピードスター】【肉体強化エンハンスドボディー】!」











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