推しが必ず死ぬゲームのモブに転生した俺は、彼女を救うためにシナリオブレークします〜俺の推し活は彼女を生かすための活動です〜

仁徳

文字の大きさ
31 / 41
第四章

第一話 神をコケにしてただで済むとは思うなよ!

しおりを挟む
~ゼウス視点~



 おや? どうして俺様は仰向けで倒れているんだ?

 俺様ことゼウスは、気がつくと冷たい地面の上に倒れていた。

 体を動かそうとするも、起き上がることができない。全身に痛みが走り、火傷を負っているのか熱を感じていた。

 くそう。人間の体は本当に脆いな。俺様が憑依していることで加護を得ていなければ、この肉体は消滅していたに違いない。


「【治療大メガヒール】」

 回復スキルを使い、人体の細胞を活性化させて肉体の治療を開始する。回復力の高いスキルを使用したことで、数秒で体中に走る痛みから解放された。

 起き上がると、俺様は怒りの感情が湧き上がった。おそらく鏡を見れば、酷く顔を歪めているかもしれない。

「おのれ、おのれ、おのれ! 下等生物如きが、俺様に膝を付かせるどころか無様に気絶させるとは! 絶対に許さねぇ!」

 上空を見上げ、大声で叫ぶ。

 だが、正直驚きを隠せなかった。いくら全力の十分の一しか出していなかったとはいえ、俺様がこうも無様に倒されるとは思っていなかったからだ。

 これはあまりにも可笑しすぎる。何度も時を巻き戻し、幾度も聖神戦争を繰り返していたが、こんなケースは初めてだ。

 やはり今回は何者かが介入している。いったい誰だ? どの神が俺様の娯楽を邪魔しようとしている。

 この聖神戦争と言う願いを叶えるゲームに参加している神々は、一応把握している。つまり、まだ介入していない神が、俺様に申請もなしに勝手に転生者をこの世界に送り込んでいると言う訳だ。

 本当に許し難いことだ。まずはその神を見つけ出すところから始めるべきだ。あの男をリタイアさせるのは、その後からでも良いだろう。

「【瞬間移動テレポーテーション】」

 転移スキルを発動すると、俺様の視界は町から城の玉座の間へと移り変わる。

 黄金で作られた玉座に座り、頬杖を付く。

 いったい誰だ? どの神が疑わしい。

 空中に水晶の球体を出現させ、神々のリストを眺める。

「あー、調べていてイライラするではないか! どうして神々はこんなに多すぎるんだ!」

 八百万やおよろずの神々と呼ばれているように、この世の神は数多く存在する。それに神が神を産む他にも、人間が神となるケースもある。

 本当にせないことだ。下等生物が神と同等になるなんて。

「くそう! これでは時間がかかってしまうではないか!」

 イライラが募り、思わず声を上げる。

「あらあら? どうしましたか? そんなに声を荒げて? あんまり興奮されますと、脳血管が切れてしまいますよ?」

 声を荒げていると、一人の女が俺様の前に現れた。ピンクの髪をツインテールにしており、頭にはキツネ耳のカチューシャを嵌めて、巫女服を着ている。

 こいつは確かタマヨ・ミコマイだったな。

「なんだ? タマヨ、俺様に指図する気か?」

 苛立っていることもあり、仲間道具を睨み付ける。

「そんなに怖い顔をしないでくださいまし。それとワタクシは、タマヨではなくマリアとお呼びくださいませ」

 睨みに動じることもなく、彼女は堂々と俺様に要求をしてきた。

 この女も肝が据わっている。まぁ、そんなところは気に入っているのだがな。

「それで、何をそんなに苛立っておりますの?」

「サクとコワイがやられた。そして十分の一しか力を使っていなかったとはいえ、俺様が気を失ってしまう出来事が起きた」

「みこーん! なんと!」

 苛立っている理由を教えてやると、彼女は奇妙な言葉で驚く。

「そ、そんな人が居られるのですか! サクとコワイを倒し、カムイ様を無様に叩きのめす程の強者が!」

 俺様の言葉が意外だったのか、タマヨが興奮して訊ねて来る。

「その人物とはいったいどこのどなたなのですか! お名前を教えてくださいまし!」

 珍しくも、タマヨがこの話題に食い付いてきた。

 くそう。そんなに俺様を一度倒したやつのことが気になるのか。

 まぁ、いい。名前くらいは教えてやってもいいだろう。

 えーと、確か名前は……そうだ。確か一緒にいた女たちがユウリと言っていたな。

「ユウリだ」

「ユウリと言うお方なのですね。覚えましたわ」

 やつの名を教えてやると、彼女は踵を返して俺様に背を向ける。

「おい、まさか」

「ええ、あなた様を倒すほどの人物に興味があります。同胞を倒された仇でもありますので、報復として接近を試みてみます」

「待て、あやつにはまだ手を出すな! ユウリを裏で操っているやつを見つけ出すまでは、あの男に手を下すのを禁じる! これは命令だ!」

 勝手な行動を止めるように言い、殺気を放つ。

 こうすれば、いくらタマヨであっても俺様の言うことを聞くだろう。彼女も叶えたい願いを持っているはずだからな。

「分かりました。では、報復を止めて監視をいたしましょう。それなら許して頂けますよね」

 タマヨは言葉を吐き捨てると、俺様の返答を待たずに廊下に繋がる扉へと向かって行く。

 彼女は去り際にステップを踏みながら軽やかな足取りで歩いていた。

 あいつも何かを企んでいるような気がするな。

 あの女、絶対に監視だけでは済まさないだろうな。まぁ、仮に裏切ったとしても俺様には勝てない。ユニークスキル【不死身イモータリティー】がある限り、俺様は絶対にリタイアしないようになっている。

 そして何度も俺様がこの聖神戦争を優勝し、願いとして時を巻き戻す。

 俺様は飽きるまで、下等生物やバカな神々共をオモチャにして遊ぶのだ。

「クハハ! クァハハハハ!」

 笑い声を上げ、俺様は水晶玉にユウリの姿を映し出す。

「さて、タマヨの監視も兼ねて、ユウリが今どうなっているのかをしばらく見物するとしよう」

 水晶玉を注視していると、ユウリの姿が映り出される。

「ほう、あやつがユウリに接触したか。面白い。お前たちが手を組むのか、それとも手を組まずに別々の道を選ぶのか。それを酒の肴にして見届けてやるとしよう」

 指をパチンと鳴らすと空中にワインの入った瓶とグラスが現れる。ビンのコルクを外してグラスに注ぎ、匂いを堪能してから口に含む。

「さぁ、ユウリよ。貴様はこの選択肢に対してどっちを取る? 貴様の選択肢によって、俺様の行動も変えてやろうではないか」

 ニヤリと笑みを浮かべながら、俺様は事の顛末を見守る。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

学年一可愛いS級の美少女の令嬢三姉妹が、何故かやたらと俺の部屋に入り浸ってくる件について

マカロニ
恋愛
名門・雄幸高校で目立たず生きる一年生、神谷悠真。 クラスでは影が薄く、青春とは無縁の平凡な日々を送っていた。だがある放課後、街で不良に絡まれていた女子生徒を助けたことで、その日常は一変する。救った相手は、学年一の美少女三姉妹として知られる西園寺家の次女・優里だった。さらに家に帰れば、三姉妹の長女・龍華がなぜか当然のように悠真の部屋に入り浸っている。名門令嬢三姉妹に振り回されながら、静かだったはずの悠真の青春は少しずつ騒がしく揺れ始める。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話

家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。 高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。 全く勝ち目がないこの恋。 潔く諦めることにした。

RPGのストーリー開始前に殺されるモブに転生した俺、死亡フラグを回避してラスボス助けたら女主人公が現れてなぜか修羅場になった。

白波 鷹(しらなみ たか)【白波文庫】
ファンタジー
――死亡フラグのあるモブに転生した。なぜか男主人公の姿で。 王国に孤児院の子供達を殺された少女ミュライトがラスボスのRPG『プリテスタファンタジー』。 物語後半でミュライトと主人公は互いに孤児院出身であることが分かり、彼女を倒した主人公がその死を悲しむ絶望的なエンディングからいわゆる「鬱ゲー」と呼ばれているゲームでもある。 そして、そんなゲームの物語開始前にミュライトと同じ孤児院に住んでいた子供に転生したが…その見た目はなぜか男主人公シュウだった。 原作との違いに疑問を抱くものの、このままストーリー通りに進めば、ミュライトと主人公が戦って悲惨なエンディングを迎えてしまう。 彼女が闇落ちしてラスボスになるのを防ぐため、彼女が姉のように慕っていたエリシルの命を救ったり、王国の陰謀から孤児達を守ろうと鍛えていると、やがて男主人公を選んだ場合は登場しないはずの女主人公マフィが現れる。 マフィとミュライトが仲良くなれば戦わずに済む、そう考えて二人と交流していくが― 「―あれ? 君たち、なんか原作と違くない?」 なぜか鉢合わせた二人は彼を取り合って修羅場に。 こうして、モブキャラであるはずのシュウは主人公やラスボス達、果ては原作死亡キャラも助けながらまだ見ぬハッピーエンドを目指していく。 ※他小説投稿サイトにも投稿中

荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました

夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。 スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。 ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。 驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。 ※カクヨムで先行配信をしています。

処理中です...