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第十三章
第十八話 足元に広がる空
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最初のギミックを一番にクリアし、俺は先頭を走ることに成功した。だが、和の国の芝適性がない俺は、いつもよりも走る速度が遅い。
俺にとって、この芝自体がギミックのようなものだ。この芝、軽すぎるだろう。地面も普段の芝よりも硬く感じるし、感覚が掴めない。
走りに苦戦をしつつも、可能な限り前に出て時間を稼ぐことを試みる。
『ここでルビー走者も突破だ! 多少苦戦したが、1番人気だけあって早めのクリアをすることができました』
実況者の言葉が耳に入り、歯を食い縛る。
ルビーのやつが最初のギミックをクリアしたか。でも、ある程度は引き離しているはず。もう少しは時間を稼げるはずだ。
次のギミックエリアに向かって走っていると、それっぽいものが視界に入る。
だが、俺は自身の目を疑った。
「足場がない!」
どう言う魔法で作られたギミックなのか不明だが、足場がなく、床下にはなぜか空が広がっていた。
地面の下が上空になっているって、意味が分からないじゃないか。
可能性として考えられるとすれば、この先の空間は転移魔法の様なものになっており、入りこめば上空へと移動させられ、そのまま地面に叩き落とされると言うものが考えられる。
確証はないが、試してみるか。
「ロックアモウ!」
体内の魔力回路に魔力を流し込み、魔法を発動させて直径1センチの石を作り出すと、コースの底に広がる空に向けて放り投げた。
「いてっ」
その後頭に何かが落下し、その反動で芝の上に落ちる。
それに視線を向けると、先ほど投げた石が足元に転がっていた。
やっぱり、この広がる空は、上空を映したものだ。踏み入れると上空へと転移させられ、落下させられてしまう仕様になっているようだ。これって、飛行能力がない者は詰んでいないか?
まぁ良いさ。俺には空を飛ぶ魔法がある。こんなギミックなんて、さっさとクリアしてみせるさ。
「ウイング!」
飛行魔法を発動させると、背中に羽が現れ、それを羽ばたかせると浮遊させた。
これで一気にこのギミックをクリアだ。
飛行魔法でギミックである転移空間のギミックの上を通る。
これで俺は更に後方の走者たちと差を広げることができるはずだ。
そう思っていると、俺の体は急に霧に覆われ始めた。
いや、足場は上空と繋がっている。つまり、これは雲だ。
そもそも、霧も雲海も雲も同じ現象であり、同一の存在だ。場所や見え方によって名前が違うだけ。
地上にまで降りて来たものが霧で、山などに登った時に足元に広がるものを雲海、そして上空に発生するものが雲だ。
いや、この際呼び名なんてものは重要ではない。今は雲? に覆われて視界が悪く先が見えない状態だ。気を付けなければ、自身の身に何かが迫っても気付くことができない。
そう思った瞬間、いきなり頭部に痛みを覚え、気が付くと芝のコースに向かって落下していた。
くそう。いったい何が起きた?
芝の上に叩き付けられる前に羽を羽ばたかせて体勢を立て直し、芝の上に着地する。
どうやらコースの始めの方に戻されたみたいだ。
いったい俺の身に何が起きたんだ? その原因を究明しないと、同じことを繰り返してしまう。
「あら? こんなところで道草を食っていたのですか? 随分と余裕ですね。その余裕が仇となければ良いのですが?」
後方から聞き覚えのある声が聞こえて振り返る。そこには馬の耳と尻尾を生やしたケモノ族の女の子が立っていた。
ルビーに追い付かれてしまったか。引き離すチャンスを失ってしまったな。
「一度チャレンジして失敗した。今、何が原因でクリアできなかったのかを考えていたところだ」
「そうですか。それは良い心掛けですね。原因が分からずに闇雲に突っ込んでしまっては、同じことを繰り返すだけ。さすが三冠王だけあって、その辺のバカとは違うみたいですね」
多少トゲのある言葉を言われるが、今は彼女の挑発に乗っている場合ではない。まずは何が原因で失敗したのかを考えなければ。
思考を巡らせている間にも、最初のギミックをクリアした走者たちが近付いて来ているのが見えた。
『ギャオオオオオオォォォォォォォン!』
足場に広がるギミックの空と、上空の二箇所から何かの叫び声が聞こえてきた。
このギミックは上空を映した転移装置。つまり、この声の主は上空にいる。
顔を上げた瞬間、緑色の蛇の様な姿をした生物が、上空に浮遊しているのが確認できた。
続いて前を見直すと、目を大きく見開く。
赤い瞳に無数の牙、そしてナマズのように長いヒゲが2本あり蛇の様な動体を持っているが、前脚と後脚があり、四足歩行も可能そうな巨大な生物が居たのだ。
こいつが、俺を叩き落としたのか!
『ついに姿を現しました。第二のギミックの主の登場です。このギミックは、転生者の世界で伝わる日本昔話のオープニングで登場する龍がモデルとなっております』
巨大な龍、こいつを倒さないと先に進めないって訳か?
わんこそばとギミックの差が激しいじゃないか。いきなり難易度が上がり過ぎだろう。
目の前に現れた巨大な龍の姿に、俺は絶句してしまう。
俺にとって、この芝自体がギミックのようなものだ。この芝、軽すぎるだろう。地面も普段の芝よりも硬く感じるし、感覚が掴めない。
走りに苦戦をしつつも、可能な限り前に出て時間を稼ぐことを試みる。
『ここでルビー走者も突破だ! 多少苦戦したが、1番人気だけあって早めのクリアをすることができました』
実況者の言葉が耳に入り、歯を食い縛る。
ルビーのやつが最初のギミックをクリアしたか。でも、ある程度は引き離しているはず。もう少しは時間を稼げるはずだ。
次のギミックエリアに向かって走っていると、それっぽいものが視界に入る。
だが、俺は自身の目を疑った。
「足場がない!」
どう言う魔法で作られたギミックなのか不明だが、足場がなく、床下にはなぜか空が広がっていた。
地面の下が上空になっているって、意味が分からないじゃないか。
可能性として考えられるとすれば、この先の空間は転移魔法の様なものになっており、入りこめば上空へと移動させられ、そのまま地面に叩き落とされると言うものが考えられる。
確証はないが、試してみるか。
「ロックアモウ!」
体内の魔力回路に魔力を流し込み、魔法を発動させて直径1センチの石を作り出すと、コースの底に広がる空に向けて放り投げた。
「いてっ」
その後頭に何かが落下し、その反動で芝の上に落ちる。
それに視線を向けると、先ほど投げた石が足元に転がっていた。
やっぱり、この広がる空は、上空を映したものだ。踏み入れると上空へと転移させられ、落下させられてしまう仕様になっているようだ。これって、飛行能力がない者は詰んでいないか?
まぁ良いさ。俺には空を飛ぶ魔法がある。こんなギミックなんて、さっさとクリアしてみせるさ。
「ウイング!」
飛行魔法を発動させると、背中に羽が現れ、それを羽ばたかせると浮遊させた。
これで一気にこのギミックをクリアだ。
飛行魔法でギミックである転移空間のギミックの上を通る。
これで俺は更に後方の走者たちと差を広げることができるはずだ。
そう思っていると、俺の体は急に霧に覆われ始めた。
いや、足場は上空と繋がっている。つまり、これは雲だ。
そもそも、霧も雲海も雲も同じ現象であり、同一の存在だ。場所や見え方によって名前が違うだけ。
地上にまで降りて来たものが霧で、山などに登った時に足元に広がるものを雲海、そして上空に発生するものが雲だ。
いや、この際呼び名なんてものは重要ではない。今は雲? に覆われて視界が悪く先が見えない状態だ。気を付けなければ、自身の身に何かが迫っても気付くことができない。
そう思った瞬間、いきなり頭部に痛みを覚え、気が付くと芝のコースに向かって落下していた。
くそう。いったい何が起きた?
芝の上に叩き付けられる前に羽を羽ばたかせて体勢を立て直し、芝の上に着地する。
どうやらコースの始めの方に戻されたみたいだ。
いったい俺の身に何が起きたんだ? その原因を究明しないと、同じことを繰り返してしまう。
「あら? こんなところで道草を食っていたのですか? 随分と余裕ですね。その余裕が仇となければ良いのですが?」
後方から聞き覚えのある声が聞こえて振り返る。そこには馬の耳と尻尾を生やしたケモノ族の女の子が立っていた。
ルビーに追い付かれてしまったか。引き離すチャンスを失ってしまったな。
「一度チャレンジして失敗した。今、何が原因でクリアできなかったのかを考えていたところだ」
「そうですか。それは良い心掛けですね。原因が分からずに闇雲に突っ込んでしまっては、同じことを繰り返すだけ。さすが三冠王だけあって、その辺のバカとは違うみたいですね」
多少トゲのある言葉を言われるが、今は彼女の挑発に乗っている場合ではない。まずは何が原因で失敗したのかを考えなければ。
思考を巡らせている間にも、最初のギミックをクリアした走者たちが近付いて来ているのが見えた。
『ギャオオオオオオォォォォォォォン!』
足場に広がるギミックの空と、上空の二箇所から何かの叫び声が聞こえてきた。
このギミックは上空を映した転移装置。つまり、この声の主は上空にいる。
顔を上げた瞬間、緑色の蛇の様な姿をした生物が、上空に浮遊しているのが確認できた。
続いて前を見直すと、目を大きく見開く。
赤い瞳に無数の牙、そしてナマズのように長いヒゲが2本あり蛇の様な動体を持っているが、前脚と後脚があり、四足歩行も可能そうな巨大な生物が居たのだ。
こいつが、俺を叩き落としたのか!
『ついに姿を現しました。第二のギミックの主の登場です。このギミックは、転生者の世界で伝わる日本昔話のオープニングで登場する龍がモデルとなっております』
巨大な龍、こいつを倒さないと先に進めないって訳か?
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