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第十三章
第十九話 アドベンチャーゲーム
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転移ギミックの中を動き回る巨大な龍の姿に、俺は絶句してしまう。
俺を叩き落としたのはこいつか。さっきのわんこそばのギミックと比べて難易度が跳ね上がりすぎじゃないか。
だが、あの龍がギミックの一部と言うのであれば、やつの動きに注視しつつ転移エリアの上を飛行すれば問題ない。
ギミックをクリアする方針を決め、俺は再び魔法で生み出した羽を羽ばたかせて、ギミックに再チャレンジする。
龍の動きに気をつけつつ飛行を行い、ギミックのゴールと思われる芝のコースが視界に入る。
よし、今回こそは大丈夫そうだ。
『正しい攻略法でクリアせよ。不正は許さない』
どこからか低い声が聞こえ、前回と同様に雲に覆われる。そのせいで視界の先まで真っ白になり、奥がどうなっているのか分からない状態に陥る。
『さぁ、裁きの時間だ』
「ガハッ!」
再び何かがぶつかったかのような衝撃が体に走り、俺の体は重力に引っ張られる。
落下した俺の体はそのまま転移エリアのゲートに入り、上空に転移させられた状態で頭から真っ逆様に落ちる。
くそう。また失敗か。
芝の上に激突する前に体制を立て直し、羽を羽ばたかせて着地に成功する。
「どうやらまた失敗したようですね」
俺に追い付いていたルビーが声をかけてくる。
「どうやら飛行魔法は不正扱いされるみたいだ。正しい方法でこのギミックをクリアしないと強制的に上空に転移させられる」
「そうですか。情報ありがとうございます。ですが、良いのですか? 敵である私に塩を送って?」
「どっちにしろ、チャレンジをすれば分かることだ。それに、お前は上空に転移させられた際に、無事に着地する手段はあるのか?」
俺の問いに、ルビーは暫し考える動作を取った後、首を横に振った。
「いえ、ないでしょうね。助言感謝します。ですが、できた借りはきっちり返すタイプなので、何か気付いたことがあればその時に教えましょう」
俺たちはギミックをクリアするために思考を巡らせる。すると、後方から次々と走者が追い付いてきた。
「次のギミックは龍か。こんなの、俺様の飛行魔法でひとっ飛びだ!」
「このギミックは、飛行魔法を使っては――」
飛行魔法を使うのは愚策であることを告げる。だが、そいつは俺の忠告を聞くことなく飛行魔法を発動して転移エリアの上を飛んだ。
「へへ、何も起きないじゃないか。脅かしやが……ぶへええええええええぇぇぇぇぇぇぇ」
転移エリアの上を飛行した走者の上に、龍の尻尾が振り落とされる。まるでハエ叩きに叩かれるハエのように、叩き落とされた走者は転移ゲートに入っていく。
俺もあんな感じだったのか。
上空を見上げると、先程転移ゲートに入った走者が落ちてきた。
気を失っているのか、やつは飛行魔法を使う気配がない。そのまま芝の上へと落下した走者は白目を剥いていた。
『オックス走者、競争中止により失格です』
どうやら競争中止扱いをされたみたいだな。転移ゲートに入ってしまった後は確実に着地を決めないと大変なことになりそうだ。
さて、問題はいかにして正しい攻略法を見つけ、このギミックをクリアするかだ。
あの龍は正規の方法でしかクリアを認めないようだし。
龍を観察しつつギミックをクリアする方法を考えていると、龍は規則的な動きをしていることに気付く。
あの龍、さっきから同じ場所で同じように上下に動いているな。そしてある地点で体の一部を転移ゲート内に入れている。
この龍の動き、以前どこかで聞いたことがあるような? いったいどこだっただろうか?
思考を巡らせていると、過去にアイリンから聞かされた話しを思い出す。
「とう! りゃあ! えい!」
「アイリン何をしているんだ?」
俺はアイリンが跳躍しつつ、ちょっとずつ前に進むと言う意味の分からない行動に対して疑問に思い、つい声をかけてしまった。
「あ、シャカールトレーナー。私は今、龍に乗って落とされないようにしているのです」
「はぁ?」
「なんですか! その『はぁ?』は! バカにしていますね! 今、龍に乗ってステージエリアのクリアを目指す遊びをしていたのですよ」
アイリンは地面に落ちている木の枝を拾い、地面に絵を描いて説明し始める。
「転生者がいた世界では、テレビゲームと言うものがありまして、アドベンチャーと呼ばれるジャンルのギミックに、このようなものがあるのですよ。強制スクロールの中、プレイヤーは龍の体に乗って移動するのですが、その龍は体を沈ませたり、浮かせたりしながらプレイヤーのクリアを阻みます。プレイヤーは上手く龍の体が沈む前にジャンプして移動し、ステージのクリアを目指す。そのゲームを再現していたのです」
「お前、そんなに暇なら、次のレースに備えて訓練すれば良いのに」
そうだ。アイリンが前におかしなジャンプをして遊んでいた時に言っていたことに似ている。
もし、このギミックもそのアドベンチャーゲームのギミックを採用したものだとしたら、正規の攻略法はそこだ。
成功するかどうかは一か八かだが、試してみる価値はある。
俺は失敗する覚悟で龍の体に飛び乗った。
俺を叩き落としたのはこいつか。さっきのわんこそばのギミックと比べて難易度が跳ね上がりすぎじゃないか。
だが、あの龍がギミックの一部と言うのであれば、やつの動きに注視しつつ転移エリアの上を飛行すれば問題ない。
ギミックをクリアする方針を決め、俺は再び魔法で生み出した羽を羽ばたかせて、ギミックに再チャレンジする。
龍の動きに気をつけつつ飛行を行い、ギミックのゴールと思われる芝のコースが視界に入る。
よし、今回こそは大丈夫そうだ。
『正しい攻略法でクリアせよ。不正は許さない』
どこからか低い声が聞こえ、前回と同様に雲に覆われる。そのせいで視界の先まで真っ白になり、奥がどうなっているのか分からない状態に陥る。
『さぁ、裁きの時間だ』
「ガハッ!」
再び何かがぶつかったかのような衝撃が体に走り、俺の体は重力に引っ張られる。
落下した俺の体はそのまま転移エリアのゲートに入り、上空に転移させられた状態で頭から真っ逆様に落ちる。
くそう。また失敗か。
芝の上に激突する前に体制を立て直し、羽を羽ばたかせて着地に成功する。
「どうやらまた失敗したようですね」
俺に追い付いていたルビーが声をかけてくる。
「どうやら飛行魔法は不正扱いされるみたいだ。正しい方法でこのギミックをクリアしないと強制的に上空に転移させられる」
「そうですか。情報ありがとうございます。ですが、良いのですか? 敵である私に塩を送って?」
「どっちにしろ、チャレンジをすれば分かることだ。それに、お前は上空に転移させられた際に、無事に着地する手段はあるのか?」
俺の問いに、ルビーは暫し考える動作を取った後、首を横に振った。
「いえ、ないでしょうね。助言感謝します。ですが、できた借りはきっちり返すタイプなので、何か気付いたことがあればその時に教えましょう」
俺たちはギミックをクリアするために思考を巡らせる。すると、後方から次々と走者が追い付いてきた。
「次のギミックは龍か。こんなの、俺様の飛行魔法でひとっ飛びだ!」
「このギミックは、飛行魔法を使っては――」
飛行魔法を使うのは愚策であることを告げる。だが、そいつは俺の忠告を聞くことなく飛行魔法を発動して転移エリアの上を飛んだ。
「へへ、何も起きないじゃないか。脅かしやが……ぶへええええええええぇぇぇぇぇぇぇ」
転移エリアの上を飛行した走者の上に、龍の尻尾が振り落とされる。まるでハエ叩きに叩かれるハエのように、叩き落とされた走者は転移ゲートに入っていく。
俺もあんな感じだったのか。
上空を見上げると、先程転移ゲートに入った走者が落ちてきた。
気を失っているのか、やつは飛行魔法を使う気配がない。そのまま芝の上へと落下した走者は白目を剥いていた。
『オックス走者、競争中止により失格です』
どうやら競争中止扱いをされたみたいだな。転移ゲートに入ってしまった後は確実に着地を決めないと大変なことになりそうだ。
さて、問題はいかにして正しい攻略法を見つけ、このギミックをクリアするかだ。
あの龍は正規の方法でしかクリアを認めないようだし。
龍を観察しつつギミックをクリアする方法を考えていると、龍は規則的な動きをしていることに気付く。
あの龍、さっきから同じ場所で同じように上下に動いているな。そしてある地点で体の一部を転移ゲート内に入れている。
この龍の動き、以前どこかで聞いたことがあるような? いったいどこだっただろうか?
思考を巡らせていると、過去にアイリンから聞かされた話しを思い出す。
「とう! りゃあ! えい!」
「アイリン何をしているんだ?」
俺はアイリンが跳躍しつつ、ちょっとずつ前に進むと言う意味の分からない行動に対して疑問に思い、つい声をかけてしまった。
「あ、シャカールトレーナー。私は今、龍に乗って落とされないようにしているのです」
「はぁ?」
「なんですか! その『はぁ?』は! バカにしていますね! 今、龍に乗ってステージエリアのクリアを目指す遊びをしていたのですよ」
アイリンは地面に落ちている木の枝を拾い、地面に絵を描いて説明し始める。
「転生者がいた世界では、テレビゲームと言うものがありまして、アドベンチャーと呼ばれるジャンルのギミックに、このようなものがあるのですよ。強制スクロールの中、プレイヤーは龍の体に乗って移動するのですが、その龍は体を沈ませたり、浮かせたりしながらプレイヤーのクリアを阻みます。プレイヤーは上手く龍の体が沈む前にジャンプして移動し、ステージのクリアを目指す。そのゲームを再現していたのです」
「お前、そんなに暇なら、次のレースに備えて訓練すれば良いのに」
そうだ。アイリンが前におかしなジャンプをして遊んでいた時に言っていたことに似ている。
もし、このギミックもそのアドベンチャーゲームのギミックを採用したものだとしたら、正規の攻略法はそこだ。
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俺は失敗する覚悟で龍の体に飛び乗った。
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