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最終章
第六話 魔王杯に向けてのトレーニング
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魔王杯に向けてのメンバーは俺、タマモ、クリープ、マーヤ、アイリン、ナナミ、そしてルビーの計7名となった。
シャワーライトが残した言葉、それはギミックが俺たちにとって不利に働く内容になっていること。そのことを考慮すれば、並大抵のトレーニングでは勝てなくなるだろう。
魔王軍たちと競って勝つには、通常以上のトレーニングが必要だ。
「――と言う訳で、これからみんなには厳しいトレーニングをやってもらう。まずは足腰を鍛えるために、砂コースを走ってもらう。砂は芝と違ってパワーが要求される。長い距離を走っても問題ない体力作りを始めるぞ」
ルーナがトレーニング内容を説明すると、彼女は俺の腰にロープを巻きつけた。その先にはタイヤが括り付けられている。
「三冠を達成したシャカールには、重さ10キログラムのタイヤを引っ張りながら走ってもらう。一応全員が同時にゴールできるような設定となっているが、もしシャカールよりも遅くゴールした場合には罰ゲームを受けてもらう」
「罰ゲーム?どんな罰ゲームだ?」
「罰ゲームの内容、それは実際に罰ゲームが始まってからのお楽しみだ。楽しみにしていろ。そしてシャカールがみんなよりも1秒差を付けられてゴールした場合には、お前にも専用の罰ゲームが用意されてある」
「それも内容は教えてくれないのだよな?」
「無論だ」
罰ゲームの内容が開示されないと聞き、生唾を飲み込む。
ルーナのやつのことだ。そこまで酷い罰ゲームにはならないだろう。でも、精神的苦痛を感じるような罰ゲームを受ける可能性がある。
だが、不安を煽ると言うのは決して悪いとは言えない一面もある。未来がどうなるのか分からないからこそ、良い方向に傾くように努力をすることができるからな。
不明な罰ゲームに恐怖を感じ、罰ゲームを受けたくない一心で、全力で走ることができるだろう。
「あ、ヒントだけはあげておいても良いだろう。ヒントは、お前たちが頭の中で考えているもっとも嫌だと思う罰ゲームだ」
ルーナの言葉を聞いた瞬間、女性陣の顔色が一斉に悪くなった。
「こ、これは何が何でも罰ゲームだけは避けないと」
「ダメです。あんな罰ゲームはママにとって苦痛でしかありません」
「嫌だー! 罰ゲームなんてマーヤは受けたくない」
「罰ゲームなんて嫌です。休みのない走者生活なんて地獄ではないですか」
「私も罰ゲームなんて嫌だよ。せっかくゼロナ兄と再会できたのに」
「もし、私の頭の中にある通りの罰ゲームだったのなら、屈辱ですね。下手をすれば死んだ方がマシと思えるでしょう」
タマモたちが口々に言葉を漏らす。
彼女も中々やるな。あやふやな言葉でありながらも、的確に相手の不安を煽ってやる気を出させている。
でも、本当にそれぞれの嫌な罰ゲームを用意しているかもしれないからな。本気で走らないといけない。
「もちろん、手を抜いていると判断したやつには、合格ラインに達していたとしても罰ゲームを受けてもらう。罰ゲームを受けたくなければ、全力で走れ! では、スタート位置に移動してもらう」
スタート位置に移動するように促され、俺たちは砂コースに移動した。
「今回のコースは坂道となっている。ゴールに近付けば近付く程、急勾配になっているから気を付けるように。それと魔法でズルするのは禁止だ。魔法を発動した段階で罰ゲームを受けてもらう」
強調するかのように、ルーナが罰ゲームと言う言葉を連呼する。それだけ俺たちに気合いを入れて走ってもらいたいのだろう。
スタート位置に立ち、いつでも走れる体勢を取る。
「みんな準備は良いか! では、スタート!」
開始の合図が行われ、地面を蹴って走る。
芝のコースとは違い、砂を踏む際に体が僅かに沈み、そして砂を蹴り上げて前に進む際にも力を入れる必要がある。
芝とは違い、走り辛さを感じた。しかも俺には重さ10キログラムのタイヤを引いている。このハンデは彼女たちに取っては有利に働くだろうな。
俺の前をタマモが走るが、彼女の蹴り上げた砂が舞い、俺の顔面に当たりそうになる。
実際の砂コースのレースでもそうだが、前を走る走者が有利だ。後から追いかける者は、前を走っている者が蹴り上げた砂をかけられることが多い。そのため横にズレて走る必要があるが、そうした場合、横にスライドした分だけ走る距離が長くなってしまう。
当然走る距離が長くなった分、スタミナの消費が激しくなる。
でも、砂を被って怯んでしまうよりかはマシか。
横にズレて砂を被らないように心がける。だが、タマモの隣をクリープが走っているので、然程変わらない結果に終わった。
最初の直線では無理か。みんな砂を被らないようになるべく横一直線に走っている。
それにしても、みんな意識しているかのように横一直線に走っているな……もしかして!
「お前たち、もしかして協力しているな! 俺を前に行かせないように!」
「あら、気付いたみたいね」
「ごめんなさい。ママは罰ゲームを受けたくないのです。シャカール君を甘やかせてあげられませんので」
「シャカールちゃんのお嫁さんになれない未来なんて嫌だもん。そんな罰ゲームを受けるくらいなら、一旦シャカールちゃんに嫌われてでも抜かせる訳にはいかない」
「休日なしのトレーニングの日々なんて嫌ですぅ。わたしは平凡でも良いから楽しく走者生活を送りたいのです」
「ゼロナ兄と離れ離れになりたくないもん!」
「兄さんに見下されるとか、死んだ方がマシです。そうならないためにも、あなたを抜かす訳にはいきません。あなたと1秒差を付ければ、私たちは罰ゲームを受けずに済みますので」
それぞれが協力し合っていることを暴露されると、俺は歯を食い縛る。
くそう。このままでは俺が罰ゲームを受けることになる。
何とかして突破口を見出さないと。
シャワーライトが残した言葉、それはギミックが俺たちにとって不利に働く内容になっていること。そのことを考慮すれば、並大抵のトレーニングでは勝てなくなるだろう。
魔王軍たちと競って勝つには、通常以上のトレーニングが必要だ。
「――と言う訳で、これからみんなには厳しいトレーニングをやってもらう。まずは足腰を鍛えるために、砂コースを走ってもらう。砂は芝と違ってパワーが要求される。長い距離を走っても問題ない体力作りを始めるぞ」
ルーナがトレーニング内容を説明すると、彼女は俺の腰にロープを巻きつけた。その先にはタイヤが括り付けられている。
「三冠を達成したシャカールには、重さ10キログラムのタイヤを引っ張りながら走ってもらう。一応全員が同時にゴールできるような設定となっているが、もしシャカールよりも遅くゴールした場合には罰ゲームを受けてもらう」
「罰ゲーム?どんな罰ゲームだ?」
「罰ゲームの内容、それは実際に罰ゲームが始まってからのお楽しみだ。楽しみにしていろ。そしてシャカールがみんなよりも1秒差を付けられてゴールした場合には、お前にも専用の罰ゲームが用意されてある」
「それも内容は教えてくれないのだよな?」
「無論だ」
罰ゲームの内容が開示されないと聞き、生唾を飲み込む。
ルーナのやつのことだ。そこまで酷い罰ゲームにはならないだろう。でも、精神的苦痛を感じるような罰ゲームを受ける可能性がある。
だが、不安を煽ると言うのは決して悪いとは言えない一面もある。未来がどうなるのか分からないからこそ、良い方向に傾くように努力をすることができるからな。
不明な罰ゲームに恐怖を感じ、罰ゲームを受けたくない一心で、全力で走ることができるだろう。
「あ、ヒントだけはあげておいても良いだろう。ヒントは、お前たちが頭の中で考えているもっとも嫌だと思う罰ゲームだ」
ルーナの言葉を聞いた瞬間、女性陣の顔色が一斉に悪くなった。
「こ、これは何が何でも罰ゲームだけは避けないと」
「ダメです。あんな罰ゲームはママにとって苦痛でしかありません」
「嫌だー! 罰ゲームなんてマーヤは受けたくない」
「罰ゲームなんて嫌です。休みのない走者生活なんて地獄ではないですか」
「私も罰ゲームなんて嫌だよ。せっかくゼロナ兄と再会できたのに」
「もし、私の頭の中にある通りの罰ゲームだったのなら、屈辱ですね。下手をすれば死んだ方がマシと思えるでしょう」
タマモたちが口々に言葉を漏らす。
彼女も中々やるな。あやふやな言葉でありながらも、的確に相手の不安を煽ってやる気を出させている。
でも、本当にそれぞれの嫌な罰ゲームを用意しているかもしれないからな。本気で走らないといけない。
「もちろん、手を抜いていると判断したやつには、合格ラインに達していたとしても罰ゲームを受けてもらう。罰ゲームを受けたくなければ、全力で走れ! では、スタート位置に移動してもらう」
スタート位置に移動するように促され、俺たちは砂コースに移動した。
「今回のコースは坂道となっている。ゴールに近付けば近付く程、急勾配になっているから気を付けるように。それと魔法でズルするのは禁止だ。魔法を発動した段階で罰ゲームを受けてもらう」
強調するかのように、ルーナが罰ゲームと言う言葉を連呼する。それだけ俺たちに気合いを入れて走ってもらいたいのだろう。
スタート位置に立ち、いつでも走れる体勢を取る。
「みんな準備は良いか! では、スタート!」
開始の合図が行われ、地面を蹴って走る。
芝のコースとは違い、砂を踏む際に体が僅かに沈み、そして砂を蹴り上げて前に進む際にも力を入れる必要がある。
芝とは違い、走り辛さを感じた。しかも俺には重さ10キログラムのタイヤを引いている。このハンデは彼女たちに取っては有利に働くだろうな。
俺の前をタマモが走るが、彼女の蹴り上げた砂が舞い、俺の顔面に当たりそうになる。
実際の砂コースのレースでもそうだが、前を走る走者が有利だ。後から追いかける者は、前を走っている者が蹴り上げた砂をかけられることが多い。そのため横にズレて走る必要があるが、そうした場合、横にスライドした分だけ走る距離が長くなってしまう。
当然走る距離が長くなった分、スタミナの消費が激しくなる。
でも、砂を被って怯んでしまうよりかはマシか。
横にズレて砂を被らないように心がける。だが、タマモの隣をクリープが走っているので、然程変わらない結果に終わった。
最初の直線では無理か。みんな砂を被らないようになるべく横一直線に走っている。
それにしても、みんな意識しているかのように横一直線に走っているな……もしかして!
「お前たち、もしかして協力しているな! 俺を前に行かせないように!」
「あら、気付いたみたいね」
「ごめんなさい。ママは罰ゲームを受けたくないのです。シャカール君を甘やかせてあげられませんので」
「シャカールちゃんのお嫁さんになれない未来なんて嫌だもん。そんな罰ゲームを受けるくらいなら、一旦シャカールちゃんに嫌われてでも抜かせる訳にはいかない」
「休日なしのトレーニングの日々なんて嫌ですぅ。わたしは平凡でも良いから楽しく走者生活を送りたいのです」
「ゼロナ兄と離れ離れになりたくないもん!」
「兄さんに見下されるとか、死んだ方がマシです。そうならないためにも、あなたを抜かす訳にはいきません。あなたと1秒差を付ければ、私たちは罰ゲームを受けずに済みますので」
それぞれが協力し合っていることを暴露されると、俺は歯を食い縛る。
くそう。このままでは俺が罰ゲームを受けることになる。
何とかして突破口を見出さないと。
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