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最終章
第八話 魔王杯への招待
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「シャワーライト! お前生きていたのか!」
「だから、シャワーライトではなくってシャワー仮面って、前も言ったじゃない!」
魔王杯に向けてのトレーニングを続けたある日、突然と仮面を付けた魔族の女の子がシェアハウスを訪ねてきた。
長いロングの黒髪に頭部には小さい2本の角が生え、背中からは黒い翼が生えているこの特徴は、どこからどう見てもシャワーライトにしか見えない。
彼女は魔王杯が行われる際のギミックなどを伝えるために、魔王プリパラの目を盗んで戻って来たのだが、肝心なところで見つかってしまい、強制的に別の場所に転移させられていたのだ。
最悪、処刑するために即死するような場所に飛ばされた可能性もあると思って、ずっと心配していたが、無事なようで安心した。
「本当に大丈夫なのか? 1度目は許されたのだろうけれど、またこんなことをしては2度目は許されないかもしれないぞ」
一度脱走した相手はまた同じことを繰り返す可能性がある。魔王プリパラもバカではない。この家の監視をしていてもおかしくはない。
「だから、シャワー仮面だって何度も! はぁ、まぁ良いわ。あなたに否定し続けるのもバカらしくなってきた。もうシャワーライトで良いわよ」
溜め息を吐くと、シャワーライトは顔に付けていた仮面を外す。
「安心しなさい。ちゃんと外出許可は取って来たわ。今回は前回のように強制送還されることはない。そもそも、今回こっちに戻って来たのは、これをあなたに渡すためだから」
シャワーライトが懐から何かを取り出し、俺に手渡す。
それは封筒だった。封を切り、中に入っている物を取り出す。
「招待状?」
封筒の中に入っていた物は魔王杯の招待状だった。そして手紙のようなものも添えてある。
『拝啓勇者シャカール。寒さが厳しくなりつつあるこの季節、いかがお過ごしでしょうか? 我は……やっぱりやめだ! こんなもの、我のキャラではない! シャカールと愉快な仲間たちよ! 我は魔族の中でも特に強い走者を揃えた。首を洗って待っておるが良い。魔王杯のギミックは盛り上がること間違いなしだ。魔王らしく正々堂々ではない走りを見せるが故、楽しみにしているが良い。思い出に残る良いレースをしようじゃないか。今回のレースで我が勝った場合、我の理想とする世界へとこの世界を作り変えるつもりだ。この世界を変えたくなければ、抗ってみせよ。ではな。当日体調を崩してレースに出られないようなことにならないように、病気には気を付けて、しっかり睡眠と食事を取って健康体で当日を迎えるようにしておくれ』
手紙を最後まで読むと、なんとも言えない気持ちになった。
魔王のはずなのに、どこか母親からの手紙のように思える。いや、俺には親と言う存在がいないが。
いや、これは俺を油断させるための、あいつの作戦なのかもしれない。
この手紙にも『我の理想とする世界へとこの世界を作り変える』と書いてある。魔王の理想とする世界なんて、混沌とした世界だと物語の中ではお決まりだ。実際にも、転生者がこの世界に来た時の魔王は人々が憎しみ合い、血で血を争う殺伐とした世界だったらしいじゃないか。
あの魔王プリパラが、転生者が封印した魂そのものだとすると、同じことをしようとしていても不思議ではない。
「シャワーライトも出るのか?」
彼女も出場するのかと訊ねる。
シャワーライトとは同じレースで走ったことはないが、彼女の走りは会場で見ていた。
油断できる相手ではない。彼女が出場する場合、それ相応の対策が必須となる。
「――わよ」
「え? 今なんて?」
「出ないわよ! 悪い!」
良く聞こえなかったので聞き返す。するとシャワーライトが顔を赤くしながら声音を強めて出場しないことを告げた。
「出ない? お前が? 何かの冗談だよな?」
「本当よ。寧ろ冗談だったらどれほど良かったか。運悪くウイニングライブさんと同じ予選ブロックになってしまったのよ。その結果2着で終わって予選敗退。だから出場メンバーから除外されたわ。違うブロックだったら、私も出られていたのに。本当にあの魔王ってバカよね。この私を出場メンバーから除外するなんて」
どうやら魔王プリパラは、集めた魔族の中からさらに篩にかけてメンバーを絞ったようだ。彼女からしたらお気の毒だが、俺たちからしたら、魔王軍の全体的なレベルが弱体化した感じになるので助かったとも言えるが。
「まぁ、そんな訳で私は出場しないから。でも、油断はしないことね。あ、そうそう。あなたの知り合いからメッセージを受け取っていたわ」
「俺の知り合いからメッセージ?」
いったい誰からだろうか? おそらく相手は魔族だろうが、知り合いの魔族はそんなに多くはない。もし、ウイニングライブからだったのなら、俺の知り合いなんて言い回しはしないはず。
シャワーライトが一度咳払いをすると、その人物のモノマネをしたのか、口調が変わる。
「よぉ! シャカール久しぶりだな! 走者界の怪盗、コールドシーフことコルシーちゃんだ! 今回の魔王杯、アタシも出るからよ、楽しみにしておいてくれよな! 今回もあたしのアイテムでシャカールを妨害してやる! だって、魔王様が言ってくれたんだもん! もし、魔王軍が魔王杯に勝って世界を作り替えたら、世界中のお宝がアタシの物になるんだぜ! こんな夢みたいなことがあるかよ! てな訳で、アタシは全力でお前の妨害をするぜ! コルシーちゃんのお楽しみボックスから出るアイテムをお楽しみに!」
リピートバードではないため、声までは同じではないものの、頑張って特徴を捉えているのが感じられた。
コールドシーフまでが魔王軍のメンバーか。あの時も苦戦させられたからな。魔王杯でも色々と妨害がされそうだ。
「そう言う訳だから。これで私の要件は全てよ。ウイニングライブさんのサポートをしないといけないから、これで失礼するわ」
そう告げると、シャワーライトはくるりと踵を返す。
「あ、そうそう。シャカール。敵側となった私の言える言葉ではないけれど、頑張ってね」
「シャワーライト」
「2番目に応援してあげる。もちろん1番はウイニングライブさんよ。でも、魔王軍には勝ってほしくない。だから、ウイニングライブさんに恥をかかせないようにしつつ、最後は勝ちなさい! 良いわね!」
己の要求を告げると、彼女はそのまま出て行く。
今回の魔王杯、色々な走者が己の目指したい未来のために走ることになるだろう。俺も、平和な世界になるように、全力で後悔がないように走らせてもらう。
「だから、シャワーライトではなくってシャワー仮面って、前も言ったじゃない!」
魔王杯に向けてのトレーニングを続けたある日、突然と仮面を付けた魔族の女の子がシェアハウスを訪ねてきた。
長いロングの黒髪に頭部には小さい2本の角が生え、背中からは黒い翼が生えているこの特徴は、どこからどう見てもシャワーライトにしか見えない。
彼女は魔王杯が行われる際のギミックなどを伝えるために、魔王プリパラの目を盗んで戻って来たのだが、肝心なところで見つかってしまい、強制的に別の場所に転移させられていたのだ。
最悪、処刑するために即死するような場所に飛ばされた可能性もあると思って、ずっと心配していたが、無事なようで安心した。
「本当に大丈夫なのか? 1度目は許されたのだろうけれど、またこんなことをしては2度目は許されないかもしれないぞ」
一度脱走した相手はまた同じことを繰り返す可能性がある。魔王プリパラもバカではない。この家の監視をしていてもおかしくはない。
「だから、シャワー仮面だって何度も! はぁ、まぁ良いわ。あなたに否定し続けるのもバカらしくなってきた。もうシャワーライトで良いわよ」
溜め息を吐くと、シャワーライトは顔に付けていた仮面を外す。
「安心しなさい。ちゃんと外出許可は取って来たわ。今回は前回のように強制送還されることはない。そもそも、今回こっちに戻って来たのは、これをあなたに渡すためだから」
シャワーライトが懐から何かを取り出し、俺に手渡す。
それは封筒だった。封を切り、中に入っている物を取り出す。
「招待状?」
封筒の中に入っていた物は魔王杯の招待状だった。そして手紙のようなものも添えてある。
『拝啓勇者シャカール。寒さが厳しくなりつつあるこの季節、いかがお過ごしでしょうか? 我は……やっぱりやめだ! こんなもの、我のキャラではない! シャカールと愉快な仲間たちよ! 我は魔族の中でも特に強い走者を揃えた。首を洗って待っておるが良い。魔王杯のギミックは盛り上がること間違いなしだ。魔王らしく正々堂々ではない走りを見せるが故、楽しみにしているが良い。思い出に残る良いレースをしようじゃないか。今回のレースで我が勝った場合、我の理想とする世界へとこの世界を作り変えるつもりだ。この世界を変えたくなければ、抗ってみせよ。ではな。当日体調を崩してレースに出られないようなことにならないように、病気には気を付けて、しっかり睡眠と食事を取って健康体で当日を迎えるようにしておくれ』
手紙を最後まで読むと、なんとも言えない気持ちになった。
魔王のはずなのに、どこか母親からの手紙のように思える。いや、俺には親と言う存在がいないが。
いや、これは俺を油断させるための、あいつの作戦なのかもしれない。
この手紙にも『我の理想とする世界へとこの世界を作り変える』と書いてある。魔王の理想とする世界なんて、混沌とした世界だと物語の中ではお決まりだ。実際にも、転生者がこの世界に来た時の魔王は人々が憎しみ合い、血で血を争う殺伐とした世界だったらしいじゃないか。
あの魔王プリパラが、転生者が封印した魂そのものだとすると、同じことをしようとしていても不思議ではない。
「シャワーライトも出るのか?」
彼女も出場するのかと訊ねる。
シャワーライトとは同じレースで走ったことはないが、彼女の走りは会場で見ていた。
油断できる相手ではない。彼女が出場する場合、それ相応の対策が必須となる。
「――わよ」
「え? 今なんて?」
「出ないわよ! 悪い!」
良く聞こえなかったので聞き返す。するとシャワーライトが顔を赤くしながら声音を強めて出場しないことを告げた。
「出ない? お前が? 何かの冗談だよな?」
「本当よ。寧ろ冗談だったらどれほど良かったか。運悪くウイニングライブさんと同じ予選ブロックになってしまったのよ。その結果2着で終わって予選敗退。だから出場メンバーから除外されたわ。違うブロックだったら、私も出られていたのに。本当にあの魔王ってバカよね。この私を出場メンバーから除外するなんて」
どうやら魔王プリパラは、集めた魔族の中からさらに篩にかけてメンバーを絞ったようだ。彼女からしたらお気の毒だが、俺たちからしたら、魔王軍の全体的なレベルが弱体化した感じになるので助かったとも言えるが。
「まぁ、そんな訳で私は出場しないから。でも、油断はしないことね。あ、そうそう。あなたの知り合いからメッセージを受け取っていたわ」
「俺の知り合いからメッセージ?」
いったい誰からだろうか? おそらく相手は魔族だろうが、知り合いの魔族はそんなに多くはない。もし、ウイニングライブからだったのなら、俺の知り合いなんて言い回しはしないはず。
シャワーライトが一度咳払いをすると、その人物のモノマネをしたのか、口調が変わる。
「よぉ! シャカール久しぶりだな! 走者界の怪盗、コールドシーフことコルシーちゃんだ! 今回の魔王杯、アタシも出るからよ、楽しみにしておいてくれよな! 今回もあたしのアイテムでシャカールを妨害してやる! だって、魔王様が言ってくれたんだもん! もし、魔王軍が魔王杯に勝って世界を作り替えたら、世界中のお宝がアタシの物になるんだぜ! こんな夢みたいなことがあるかよ! てな訳で、アタシは全力でお前の妨害をするぜ! コルシーちゃんのお楽しみボックスから出るアイテムをお楽しみに!」
リピートバードではないため、声までは同じではないものの、頑張って特徴を捉えているのが感じられた。
コールドシーフまでが魔王軍のメンバーか。あの時も苦戦させられたからな。魔王杯でも色々と妨害がされそうだ。
「そう言う訳だから。これで私の要件は全てよ。ウイニングライブさんのサポートをしないといけないから、これで失礼するわ」
そう告げると、シャワーライトはくるりと踵を返す。
「あ、そうそう。シャカール。敵側となった私の言える言葉ではないけれど、頑張ってね」
「シャワーライト」
「2番目に応援してあげる。もちろん1番はウイニングライブさんよ。でも、魔王軍には勝ってほしくない。だから、ウイニングライブさんに恥をかかせないようにしつつ、最後は勝ちなさい! 良いわね!」
己の要求を告げると、彼女はそのまま出て行く。
今回の魔王杯、色々な走者が己の目指したい未来のために走ることになるだろう。俺も、平和な世界になるように、全力で後悔がないように走らせてもらう。
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