追放騎手の霊馬召喚〜トウカイテイオーを召喚できずに勘当された俺は、伝説の負け馬と共に霊馬競馬界で成り上がる!

仁徳

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第七章

第十一話 天皇賞・春

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 ~東海帝王トウカイテイオウ視点~





 天皇賞・春が開催されるその日、学園内はある意味大騒ぎだった。

 通常では考えられない程の警備員が各場所に配置されており、不審者や不審物がないか目を光らせている。

 流石に天皇陛下が霊馬競馬を見に来ると言うのであれば、この騒ぎとなってしまっても仕方がないだろう。

『あーあ、せっかくの天皇賞・春なのに帝王が選ばれないなんて』

「まぁ、俺は入学したばかりの新人だからな。それにこれまで出たレースはクラシック路線のレースばかりだし、選ばれないだろうとは思っていた」

 残念がるハルウララに言葉を返しつつ、VR競馬場へと歩いて行く。

 会場入りした瞬間、最新の技術により、脳がここは京都競馬場だと錯覚し、目に見えるものは京都競馬場の構造となっている。

「あ、奇跡の名馬さん! こっちですぅ!」

 観客席に入り、辺りを見渡す。すると、先に場所取りをしてくれていた明日屯麻茶无アストンマーチャンが声をかけてきた。

 彼女の居る場所に向かうと、思わず首を傾げる。

 どうして、間を開けてクロが座っているんだ?

 俺の場所を開けて、その隣をクロが座り、俺の席の後になぜか大和鮮赤ダイワスカーレットが座っていると言う不思議な配置となっていた。

『帝王、女の子に囲まれているね』

「そうだな? どうしてそんな変な配置で座っているんだ?」

「くじ引きですぅ。くじ引きで決めた結果、このような配置となってしまいましたぁ」

 なるほど、くじ引きで座席を決めたのか。それなら一応納得できる……のかなぁ?

 取り敢えず自分の座席に座り、ハルウララを俺の膝の上に乗せる。

『それにしても、天皇賞ってどうして天皇賞なんだろうね。だって、天皇陛下が直接、賞を出す訳でもないのに?』

「天皇賞のルーツは、エンペラーカップと呼ばれて、後に帝室御賞典ていしつごしょうてんに改名されたのだけど、日本も戦争を行うようになって、中止となり、終戦後に平和賞と言う名で再会されたんだ。その後同年の秋に天皇賞に改名され、今に至る」

『戦争か。その時のお馬さんは競馬ができなくって暇だっただろうね』

「いや、馬も兵隊さんたちと戦争に出向いていたからな。もちろん、競走馬もだ」

『ウソ! 競走馬も戦場に出ていたの!』

 ハルウララが驚きの声をあげる。

「もともと日本の競馬は、戦争に行く兵を乗せて戦場を駆け巡るための育成施設だったんだ。戦場では長い距離を全力で駆け抜ける必要があったから、それに適応できる長距離を走る馬を作るために、馬同士を競い合わせていた」

『それじゃ、時代が違っていたら、私も戦争に出ていたかもしれないんだね』

 ハルウララがどこか遠い目をしているように見えた。

「まぁ、ハルウララだったら、途中で飽きて戦死していたかもな」

『んな! 失礼だぞ! いくら自分勝手で飽きっぽい性格でも、自分の命を最優先するよ! きっと安全な場所に一目散で逃げて生き残っているはず!』

 ハルウララの発言に、思わずため息を吐く。

 そこは嘘でも格好良いことを言ってくれよ。まぁハルウララが平和になった世界に生まれていて良かったな。

 戦争に出た競走馬が、戦場で亡くなって帰って来ることができなかった馬もいる。更に競走馬の血を使って血清を作ると言うことが戦時中に行われ、騎手や調教師たちは、苦楽を共にして生きてきた愛馬の血を全て抜き取ると言うこともされていたらしい。

 馬一頭で何百万の命が救われるのならと言う気持ちで、愛する馬を自分たちの手で殺す所業をしていたことを想像すると、胸が締め付けられる思いだ。

 本当に今生きているこの時代が平和で良かったと心から思える。

『もう良いよ! それより、せっかくだから賭けようよ! 大穴を狙ってガッポリ儲けよう!』

「いや、賭け事は簡単には儲けることができないから。馬券が当たっても所持金が減ることなんて普通にあるからな」

『何それ怖い! 馬券が当たってもお金が減るなんて! きっと妖怪お金抜き取りの仕業だ!』

「お前はまた変なことを言い出したな。妖怪なんてもの居るわけがないだろう。トリガミと言われる現象だ」

『トリガミ? 鳥の神様?』

「鳥の神様じゃない。例えばそうだな」

 タブレットを取り出し、目の前に空中ディスプレイを表示させる。

「2024年のオークスで例題を出す。この時は1着チェルビニア、2着ステレンボッシュ、3着ライトバックだった」

 説明をしつつ、払い戻し金額を表示する。

 単勝460円

 複勝12番140円、7番110円、14番190円

 枠連4―6 640円

 馬連7―12 590円

 ワイド7―12 260円、7―14 380円 12―14 760円

 単勝12―7 1300円

 三連単7―12―14 1690円 

 三連複12―7―14 860円

「まず、単勝を100円買った場合、ここでは460円の儲けだ。だけど、例えば複勝で7番とそれ以外のハズレ馬券を買って200円の出費をしたとしよう。7番の複勝が当たって110円は戻ってくるが、ハズレ馬券はマイナスとなってしまう。つまり90円分損をしているんだ。これが馬券が当たっても所持金が減ると言うトリガミと呼ばれる現象」

『なるほど、妖怪の仕業ではなかったんだね』

「競馬が好きな人はトリガミなんてものは考えないで賭けているだろうけれど、本当に所持金がマイナスになることを考えている人は、あまり多くの馬券を買わずに、安全牌の馬券を買って、小銭を増やしていると思う」

『大きくデカイものを当てるか、それとも堅実に少しずつお金を増やす目的で狙うか、馬券の買い方によって、性格が出てきそうだね。それで、帝王は今回どの馬にかけるの?』

「そうだな――」






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