Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳

文字の大きさ
29 / 191
第三章

第十一話 ダンジョンに住み着いた魔族

 スカルナイトを倒した俺たちは、更に一本道を歩き、先に進む。

 すると前方に扉が見えた。

 あの先に魔族がいるのだろうな。なら、油断をしないようにしないと。

 扉の前に来ると、俺はドアノブに手をかける。

 一応警戒はしていたが、ドアノブに触れた瞬間に、罠が発動するような素振りはなさそうだ。

「今から扉を開ける。心の準備はいいか?」

「もちろんですわ。シロウがいる限り、負ける気がしませんもの」

「ええ、シロウさんは勝利するに決まっているよ。私は信じているもの」

 彼女たちに尋ねると、二人は俺の勝利を信じているようで、怖気づくような素振りは見せない。

 期待されている以上は、それに応えないといけないよな。女の期待に応えるのも、男の甲斐性らしいし、頑張ってみるとしますか。

 ドアノブを捻り、扉を開ける。

「ブラボー!」

 扉を開けた瞬間、部屋の中にいる白衣の男から称賛する声と拍手が送られる。予想していない展開に、俺は困惑してしまった。

「いやーお見事、まさか私の実験動物がこうも簡単に負けてしまうとは思ってもいなかったですよ」

 男は眼鏡のブリッジを上げる。

「実験動物だと」

「そうです。モルモットと言ったほうがよかったですか? 私の新しい研究所にのこのこと人間が入って来たので、実験動物として捕獲させてもらったのです」

 男はニヤリと不気味な笑みを浮かべる。

「どうですか? 私の実験結果のゾンビは? 驚かれたでしょう? 魔物の中から魔物が生まれる。私はこの研究をしているのですよ」

「まぁ、こんなパターンは、今まで見たことも聞いたこともなかったからな。正直に驚いたよ」

「それはよかった。あなたが協力してくれたお陰で、私もいいデータが取れました。やはり、弱い人間はいくら魔物になったとしても、弱いまま。蛙の子は蛙という結果が出ましたよ」

「どうしてあんなことをするのですか! 冒険者を殺しただけではなく、魔物に変えてしまうなんて!」

「くくく、アハハ、アハハハハハハハ! これは面白いことを言う。まさかそんなことを言うやつがいるなんて」

 マリーの言葉に、突如男は笑い出す。

 どうして、あの男は急に笑い出した? 別にマリーは可笑しなことは言っていないよな?

「いやー、失敬、失敬。そう言えば、あなたたちは人間でしたね。お隣にいる男が異常だったので、つい魔族と同様な扱いをしてしまいましたよ」

 男がいきなり笑ったことに対して謝罪の言葉を述べると、表情を変える。それは弱者を見下す強者の目をしていた。

「人間などと言う下等生物は、モルモットにするにしか使い道はない。それが魔族の常識ですよ、お嬢さん」

「な、何を言っているのですか! 人間は下等生物なんかではないですわ! 訂正をしなさい!」

「どうして訂正をしなければならない。まぁ、自分が下等生物であることを自覚できないから下等生物なのでしょうね。よく考えれば、当たり前の発言かもしれません」

 やれやれと言いたげに、男は肩をすくめる。

「では、己が下等生物だということを認識してもらいましょうか? そうですね、では、ゴブリンの子でも孕んでもらうとしましょうか。人間とゴブリンの間にできた子どもがどんな形で生まれるのか、非常に気になる。いい研究テーマになりそうです。そちらのエルフの女性は、別の魔物の子を孕んでもらいましょう」

「アイシクル」

「おっと」

 俺が氷の魔法を唱えた瞬間、男の足下に水分子を集めて気温を下げ、下から突き上げるように氷柱を出現させる。

 しかし、男は咄嗟に気づき、後方に下がって躱す。

「もう、それ以上喋るな。聞いていて気分が悪い。殺すぞ!」

「あれ? 怒った? でも、私が言っていることは事実だよ。男は魔物に、女は種を繁栄させるための〇便器に、これが下等生物である人間に対しての魔族の考え方だ」

「ショック」

「がああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 男が警告を無視して言葉を連ねた瞬間、俺は失神魔法を唱えた。

 その瞬間、男の神経を活性化させ、心臓に戻る血液の量が減少させる。これにより失神を促した。

「俺はしゃべるなと言ったよな? 聞こえなかったのか?」

「がはっ、がはっ。なんだ今の魔法は? 心臓を鷲掴みされた感じだったぞ」

 チッ、腐っても魔族ということだけはある。失神魔法を一回使っただけでは、気を失わせることはできなかったか。

「この魔法は無敵貫通だ。絶対に回避することはできない。ショ――」

「させるか! フラッシュ」

 再び失神魔法を唱えようとした瞬間、俺の視界が真っ白になり、何も見えなくなる。

 油断した。目くらましをしてくるとは思わなかった。

 光を受けたせいで、目の細胞が切り替わってしまったようだな。しばらくは何も見えなさそうだ。

「アハハハハハハハ。どうやらその魔法は、対象者が見えていないと発動できないようだねぇ。私の予想が当って本当によかったよ」

 学者を思わせるような発言をしていただけに、あの男は頭がキレるようだな。一回の攻撃を受けただけで、俺の魔法を分析し、対抗策を導き出しやがった。

「私の生み出した光の影響で、しばらくは何も見えないだろう。下等生物とは思えないほどの力に驚かされた。もっと君の力というものを知りたくなってきたよ。そうだな。まずは君が連れてきた女二人を殺すとしよう。目が見えるようになった瞬間、目の前に広がるのは血みどろの肉塊になった仲間の姿だ」

 男の声が耳に入る。目が見えないのであれば、やつの居場所が把握できない。

「アハハハハハハハ死ね!」

「シロウさん三時の方角です」

「ウォーターカッター」

 クロエの声が耳に入り、俺は三時の方角に向けて切断力のある魔法を唱える。

「ぎゃああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。わ、私の腕がああああああぁぁぁぁぁぁ」

 男の悲鳴が聞こえた瞬間、目の細胞が切り替わったようで、周囲の光景がよく見えるようになった。

 右側を見ると、右手首から先が吹き飛ばされ、鮮血を噴き出している男の姿が見えた。

 クロエはエルフだ。人間とは違い、些細な音も聞き取ることができる。

 きっと、男が動いた際に発生した僅かな音を聞き取ったのだろうな。

 彼女のお陰で助かった。

 男は白衣を脱ぐと、口と左手を使って器用に切断された右手を縛る。

「く、くそう。誤算だった。まさかエルフがここまで微細な音を聞き取るとは思えなかった」

「クロエがいる限り、俺たちに目くらましは通じない。終わりにしよう。ウォーターカッター」

 再び切断する力のある水の魔法を唱える。

 水分子が集まり、一ミリほどの大きさにすると男に向けて放つ。

 細い水は男の腹に当たると風穴を開け、彼は口と腹から鮮血をぶちまけると地面に倒れた。











最後まで読んでいただきありがとうございます。

面白かった! この物語は期待できる! 続きが早く読みたい!

など思っていただけましたら、【感想】や【お気に入り登録】をしていただけると、作者のモチベが上がり、更新が早くなります。

【感想】は一言コメントや誤字報告でも大丈夫です。気軽に書いていただけると嬉しいです。

何卒宜しくお願いします。
感想 41

あなたにおすすめの小説

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった

仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜

まさき
ファンタジー
異世界転生した最強の金持ち嫡男、 専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活   現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。   しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。   彼は大陸一の富を誇る名門貴族―― ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。   カイルに与えられたのは ・世界一とも言える圧倒的な財力 ・財力に比例して増大する規格外の魔力   そして何より彼を驚かせたのは――   彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。   献身的なエルフのメイド長リリア。 護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。   さらに個性豊かな巨乳メイドたち。   カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。   すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――   「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」   領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、 時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、   最強の御曹司カイルは 世界一幸せなハーレムを築いていく。 最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!