Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳

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第四章

第一話 何だって! 千体の魔物が来ているだと!  

 ~ギルドマスター、オルテガ視点~



 俺こと、ギルドマスターのオルテガは、いつものようにギルマス室で仕事に追われていた。

「まったく、ギルドの本部は財政難のくせに、面倒臭い仕事は全部支部に持ってきやがって」

 若干のイラつきを覚えつつ、頭を掻く。

 心を落ち着かせるために、紅茶を一口飲む。

 よし、気分的に落ち着いたし、仕事を進めるか。

 書類を見ながら書かれてある内容を黙読していると、鳥が羽ばたく音が聞こえ、俺はそちらに顔を向ける。

 一羽のリピートバードが開いている窓から入ってきた。

 リピートバードはフクロウに似た鳥だが、フクロウとは違い、人間の言葉を話すことができる。なので、連絡係としてよく使われる鳥だ。

『ギルド本部からメッセージがあります』

 本部からメッセージだと? 普段は書類で済ませるのに、どうしてわざわざリピートバードを使って俺にメッセージを送る? なんだかいやな予感がしてならない。

「わかった。本部からのメッセージを教えてくれ」

 鳥にメッセージを言うように伝えると、リピートバードはギルド本部長のメッセージを口にする。

『オルテガ! 聞こえているか! 大変なことになった!』

 リピートバードは大声を上げる。その声量の高さに、俺は思わず両手で耳を塞いだ。

 リピートバードはその名のとおり、言葉を真似する鳥だ。一度聞いた言葉の口調や声量までも当時を再現する。

 相変わらずバカでかい声だ。まるで本人が直接言っているように聞こえやがる。

『いいか! 一度しか言わないから聞き逃すなよ! お前のいる大陸に向けて、およそ千体の魔物が向かっているのが確認された! 進行方向からして、お前のいる町に向っている! 健闘を祈る!』

 せ、千体の魔物? いったいどういうことだ?

「おい! もっと具体的に教えろ! 千体の魔物ってどういうことだ!」

 声を荒げるも、鳥は俺の問いに答えない。

 それもそうだ。リピートバードは聞いた言葉を繰り返す鳥、聞かされたこと以上の言葉を言うことはできない。

「くそう。いったいどういうことなんだ。どうして千体もの魔物が俺の町に来やがる」

 額に手を置いて考える。すると、冷や汗を掻いていたようで、額に触れた手から湿り気を感じた。

「とにかく、直ぐに行動に出ないとヤバイことは事実。こうしてはいられない」

 部屋からでると階段を下りて一階に降りた。

 そして受付嬢のもとに向かう。

「ギ、ギルマス! 怖い顔をしてどうしたのですか! 何かあったのですか?」

「ギルドに登録している冒険者全員に召集をかけろ! 一大事が起きた!」

「あ、はい! わかりました」

 俺の口調が荒々しかったからか、受付嬢は一瞬萎縮した態度を見せる。しかし、俺の表情を見てただ事ではないことを理解してくれたようだ。彼女は気を引き締めた顔をすると、席から立ち上がる。

 招集を呼び掛けて一時間が経った。ギルド内には、ほとんどの冒険者が集まってくれた。

 彼らを見渡す。しかし、この場にはシロウたちの姿はない。

 なんて間の悪い。そう言えば、シロウたちには行方不明者の捜索と、原因解明の依頼をお願いしていた。

 あの男がいないだけで、こんなに不安な気持ちになるとはな。今まで彼をどれだけ頼りにしていたのかが身に染みる。

「ギルマス、そろそろお時間です」

「そうか」

 受付嬢の言葉に、歯を食い縛る。この場にいないのは仕方がないことだ。こうなったら、俺たちだけでどうにかする方法を考えないといけない。

 弱気になるな。俺が弱気を見せたら、集まってくれた冒険者にも不安にさせることになる。

 一度深呼吸をして気持ちを切り替えると彼らを見る。

「冒険者の諸君、今日は俺の招集によく応えてくれた! お前たちに集まってもらったのはほかでもない! 君たちに緊急クエストを発令する」

「緊急クエストだって?」

「こんなこと、今までなかったよな?」

 冒険者たちに依頼を告げると動揺が広がり騒めき出す。

 それもそうだ。俺自身、ギルドマスターを務めて長いが、こんなことは初めてだ。マニュアルに沿って言っているだけで、本当に上手く全員を纏められるのか不安だ。

 だけど、ここで俺が引く訳にはいかない。

「依頼内容は町の防衛! この町におよそ千体の魔物が押し寄せてきたとの情報を得た。やつらからこの町を守ることがお前たちの任務となる」

「せ、千体だと」

「おいおい、マジかよ。どう考えたって人数に差がありすぎる」

「勝てる訳がない。俺たちのギルドはランクAの冒険者がほとんどいないんだぞ」

 ギルドの会員たちは次々と弱音を吐き出す。

 彼らの言葉に、俺は歯を食い縛る。

 戦力の差は歴然、勝てる見込みがほとんどないのは明白だ。それなのに、緊急クエストで戦いに赴けなど、死に行けと言っているようなものだ。

 俺は拳を強く握る。

 いったいどうすればいい? どうすれば彼らのやる気に火がつく。

 考えれば考えるほど、頭の中が真っ白になって何も考えられなくなる。

「ああーくそう! 何弱気になっていやがる! お前らそれでも冒険者か! 冒険者なら、冒険者らしく、戦って死ぬような気迫でいなくてどうする!」

 とうとう俺は感情的になり、ギルドマスターとしては相応しくないような暴言を吐いてしまった。

「くそう。俺死ぬのか」

「こうなるのなら、あいつに告白しておけばよかった」

「母ちゃんと喧嘩していたんだよ。ごめん母ちゃん。親不孝な息子で」

 彼らの姿を見て、俺は絶望のどん底に叩きつけられる。

 冒険者たちはとうとう心を折ってしまった。その原因を作ってしまったのは俺だ。ギルドマスターとして不甲斐無い。

 もうお終いだ。もうこの町は終わってしまう。

 そう思ったとき、突然扉が開き、三人組の男女が入って来た。










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