Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳

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第五章

第三話 町を救って英雄になったけど、まさか王様から城に招待されることになるとは思わなかった

「あー、頭が痛い」

 連続による飲み会の影響で軽い二日酔いを感じながらも、俺たちは本日受ける依頼を探していた。

「フン、フン、フフーン」

 隣で依頼を探しているマリーは、機嫌がいい。鼻歌を口遊くちずさみながら、張り出されている依頼書を見ている。

「シロウ、これなんかどうですの?」

 ご機嫌な様子で、依頼の紙を見せてくる。

「うーん、そうだな。悪くはないけど、もう少し金額が高いやつがいいかな」

「わかりましたわー!」

 持って来た依頼書を断ると、彼女は納得したようだ。紙を元の場所に戻す。その際に先ほどまで鼻歌を歌っていたからか、言葉の語尾が伸ばされ、ミュージカル出演者のような喋り方になっていた。

「今日のマリーさん。凄くご機嫌ですね。何かいいことでもあったのでしょうか?」

 俺の左側で依頼を探していたクロエが、話しかけてくる。

「さぁ? 俺にも分からない」

 どうして彼女があそこまでご機嫌なのか、それは俺も非常に気になるところだ。だけどご機嫌過ぎて、逆に訊きづらい。

「気になるのなら、クロエが訊いてみればいいじゃないか」

「それもそうですね。マリーさーん!」

 本人に直接訊いてみればいいじゃないかと言うと、クロエはマリーのところに向かう。彼女の行動の速さは、正直見習いたい。

「クロエ? 何ですの?」

「どうして今日はそんなにご機嫌何ですか? 何かいいことでもあったのですか?」

「ああ、それはですね――」

 マリーが言いかけたところで、勢いよくギルドの扉が開かれ、十数人の男たちが入って来た。彼らの装備している鎧には、この国の紋章が描かれてあった。

 先頭にいる男がロビー内を見渡し、俺と目が合うとこちらに近づく。

「お前がシロウ・オルダーだな」

「そうだが、あなたは?」

「俺はこの国の騎士団長、プルタルコス」

 騎士団長と名乗ったプルタルコスの顔を見ると、俺はどこかで見たような気がした。

 うーん。この男、どこかで見たことがあるんだよなぁ? 直接は見ていないような気がするのだけど、間接的に見たような?

「レオのお父様ですわ」

 首を傾げていると、俺の動作に対して察したようだ。マリーが耳元で教えてくれた。

 あ、そうか。どこかで見たことがあると思ったら、レオに似ているからか。

「シロウ、この前は愚息が迷惑をかけた。息子に代わり、謝罪させてもらう」

 プルタルコスは頭を下げ、謝罪の言葉を言う。

「頭を上げてください。別に俺はもう、恨んではいませんので」

「そうですわ。シロウは心がこの世界のように広いお方ですわ。なので、頭を下げるようなことはしないでいいですわよ」

「そう言ってくれると助かる。正直、この町の英雄に迷惑をかけてしまったので、首を刎ねられる覚悟でこの場に赴いていた」

 彼の言葉に、俺は苦笑いを浮かべる。さすが騎士団の頂点に立つ男と言うべきか。考えがぶっ飛んでいやがる。

「あのう、あの後レオから何か連絡がありましたか? ギルドが財政難のせいで、くだらないことで多額の借金を背負ったあと、一度も会っていないのですが」

 俺は嘘を吐きつつ彼に尋ねる。レッサーデーモンの件にレオも関わっていたが、その件に関してはギルドに報告していない。なので、このような会話の切り出し方をするしかなかった。

「ああ、借金を作ったから金をくれと言ってきたのでな。怒鳴って追い返した。息子の借金を肩代わりしてやりたかったが、ここで甘えさせては、まともな大人にならないような気がして突き放したよ。まぁ、息子が頑張って返済し、それでも間に合わないってなったときは、残りは俺が支払うつもりだ」

「そうだったのですね」

 彼の言葉を聞き、俺は内心ホッとする。レオは、元々は真直ぐな性格だ。頑張って返済をするだろう。

 万が一間に合わなくても、彼の父親が残りを清算してくれるのならば安心だ。

「あのう、プルタルコス騎士団長」

「どうかされましたか? マリーお嬢」

「シロウのところに来た要件を、まだ話してはいないのですが、どのようなご用件ですの?」

「おおっと、そうだった。この前の件は助かった。本来であれば、我々騎士団が赴き、魔物の大群と戦うはずだった。しかし、その知らせが届くのが遅くなり、最終的には間に合わなかったことは申し訳ない。重ねて謝罪をさせてもらう」

 プルタルコスが再び頭を下げると、後方にいた兵士たちまでもが一斉に頭を下げる。

「王様は君の活躍をお喜びだ。なので、急であるが町の英雄である君を城に招待したいと王様がおっしゃっている」

「す、凄いですよシロウさん! 王様直々にお声がかかるなんて、並大抵の冒険者でも王様と謁見するのは難しいですよ! これはもう、勇者クラスです!」

「さすがワタクシのシロウですわ! まさか王様から声をかけられるなんて」

 王様が会いたがっていると騎士団長が言った途端に、クロエとマリーは喜びの声を上げる。

 何で俺以上に二人はそんなに喜んでいるんだよ。

 しかし、王様の呼び出しかぁ。正直面倒臭いんだよなぁ。なんだか面倒ごとに巻き込まれそうな気がしてならないんだよ。どうしたものか。だけど、断ればプルタルコスの立場がないだろうし、ここは気分が乗らなくても、ついて行くべきだよなぁ。

「わかった。こうして遠路はるばる迎えに来てもらったし、お呼ばれに応じるよ」

 俺が城に向かう意思を示すと、彼の後方にいた兵士たちが喜びの声を上げながらも、安堵している表情を浮かべているのが見えた。

「ありがとう。感謝する。では、外に馬車を用意しているので乗ってくれ」

「わかった」

 プルタルコスの後ろを歩き、ギルドの外に向って行く。

「おい、マジかよ。シロウが王様にお呼ばれだってよ」

「さすがこの町の英雄様だぜ。俺たちとは格が違う」

「俺もいつかはお城に呼ばれたいぜ」

「ムリムリ、お前では一生かかっても呼ばれることはないって。シロウだからこそ呼ばれるんだ」

 そんな言葉が耳に入る中、俺はギルドを出て行く。

「さぁ、乗ってくれ」

「わかりましたわ」

「はーい!」

 プルタルコスが馬車の扉を開けると、俺より先にマリーとクロエが中に乗り込む。

 呼ばれたのは俺のはずだぞ、どうして二人が馬車に乗る?

 彼女たちが着いてきたのは、てっきり見送りのためだと思っていたが、どうやらついてくるつもりのようだ。

「なぁ、マリーたちもついて行っても問題ないのか?」

「まぁ、彼女たちはシロウの仲間だからな。王様も特に咎めることはないだろう」

 プルタルコスは苦笑いを浮かべた。

 あの表情を見る限り、本当のところはどうなるのか分からないのだろうな。でもまぁ、俺がお願いして付いて来てもらったという設定にすれば、王様も文句は言わないだろう。

 そんなことを思いつつも、俺は馬車に乗る。

 これから俺たちは、王様のいる城に向かう。いったい何が起きるのだろうか。不安であり、楽しみでもある心境の中、俺は窓から見える風景を眺めた。











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