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第七章
第九話 よくも俺様の子分を可愛がってくれたな! 落とし前つけさせてもらおう
~野盗の頭視点~
俺様はジュラの森を縄張りにしている野盗の頭だ。今日もアジトの中で、森の中で出くわした連中から奪った金品を見て、悦に浸っている。
「うーん、何度見ても前に奪った宝は見事な出来栄えだ。売ればきっと高い金額で買い取ってくれるだろう」
「お頭! 大変だ!」
「おい、どうした! そんなに慌てて? またいい獲物が見つかったのか?」
慌てた様子を見せる部下に、俺様は尋ねる。
「ああ、売れば大金になりそうな育ちのいい女を森の中で見つけた」
「ほう、それはいいな」
この男が生まれなが持つ素質は、モノの価値を見ることに特化しているところだ。こいつが慌てているということは、間違いなくその女を捕らえて売れば大金が入るだろう。
俺様の口角は自然と釣り上がった。
「だけど、そいつには強い護衛がついていて、仲間が何人もやられた。対等に戦えられるのはお頭しかいない!」
「何だと! お前たちは落ちぶれたとはいえ、元王国の精鋭部隊に所属していたではないか! そんなお前らをこてんぱんにするということは、勇者パーティーか?」
「いや、俺の知る限りでは勇者パーティーにあんな男はいなかった」
「わかった。どんなやつか興味があるな。それに護衛の対象となっている女を捕まえれば、大儲けにもなる」
俺様は棚に置いてある半透明の石を握った。
念のためにこいつを持っていったほうがいいだろう。
「この森に入ったということは、目的地はデンバー国領内だろうな。先回りをするぞ」
俺様はアジトに残っていた数人の仲間を引き連れ、そいつらが通るであろうと思われるルートを先回りした。
数十分かけて、俺たちは目的地にたどり着く。すると前方から一台の馬車がこちらへ向かってくる。
部下の話にはなかったが、おそらくアレに高く売れそうな女が乗っているのだろう。
「おっと、止まりな! 俺様たちはこのジュラの森を縄張りにしている野盗だ。御者の男よ、馬車の中にいる女を置いて逃げ帰るのであれば、命だけは助けてやる」
女と引き換えに、命だけは助けてやると御者の男に伝える。
まぁ、最初からそんなつもりはないけれどな。俺様は希望を見つけたときに、絶望に叩き落とされるやつをみる瞬間が大好きだ。無様に逃げる相手に背後から斬りつけ、絶望に顔を歪めた表情を見るのが堪らない。
さぁ、どっちを選ぼうと俺様と出会った段階でお前の運命は決まっている。
御者の反応を伺っていると、馬車の中から四人が出てきた。
一人は黒髪の男、もう一人は貴族なのではないかと思うほどの育ちの良さそうな女、もう一人は長い髪に尖った耳が特徴のエルフの女、最後は赤い髪をサイドテールに纏めた女だ。
「お頭、あいつが俺たちを邪魔した護衛の男です。だけど他の女は知らない」
部下の言葉に俺はニヤリとする。
俺様はなんてついているんだ! これだけの上玉の女が揃っているとは! 馬車の中にいるであろう女も含めれば、四人の女がいる。こいつらを売り捌けば、相当な金が手に入ること間違いなしだ!
特にエルフの女は高く売れる。人間よりも寿命が長い分、品乳好きの輩から性奴隷として重宝されているからな。全く、今日はなんて日だ。俺様にとって、とても運命的な日ではないか。
「お前が野盗を纏めている頭か?」
男が俺様に向けて訪ねてくる。
「ああ、そうだ。お前も命が欲しければ、そこにいる女たちを捨てて尻尾を巻いて逃げるんだな。そうすれば命だけは助けてやるからよ」
さぁ、どうする? お前が俺様に背を向けた瞬間、背後から切り捨ててやる。
「それは俺のセリフだ。お前たちには用はない。お前たちがここで何をしようとかってだが、俺たちの邪魔はしないでくれ」
「ちょっと、シロウ! あなた何を言っているのです!」
「そうですよシロウさん! 野盗は野放しにする訳にはいかないじゃないですか!」
「いや、だって依頼とは関係ないじゃないか。野盗の討伐とか面倒臭い」
「ハハハ、確かにシロウの性格からしたらそう言っても仕方がないね」
俺様たちを前にして、シロウと呼ばれた男とその連れの女たちが会話をしている。
だけどそんなことは関係ねぇ。あの男はなんて言った? それはこっちのセリフだぁ? ふざけるな! それではまるで俺様が、あのシロウとかいう男よりも下だと言っているようなものじゃねえか!
「ふざけやがって! 無惨に斬り倒してやる!」
俺様は腰に差している剣を鞘から抜き、上段に構えてシロウに突っ込む。
「全く、お前たちが道を塞ぐから、タダ働きをしないといけなくなったじゃないか。エンハンスドボディー」
「無様に切り裂かれろ!」
腕を振り下ろし、握っていた剣を振り下ろす。俺様の渾身の一撃は、奴の頭に当たった。
ざまああああああぁぁぁぁぁぁぁ! 余裕こいているからそうなるんだ! ギャハハ! 頭から血の雨を噴き出すがいい。
心の中で目の前の男を嘲笑う。
「うん? 今何かしたか?」
「何!」
表情を変えることなく淡々と言葉を口にする男に、俺様は驚かされた。
いったいどうなっていやがる? 俺様の一撃を受けて血の一滴も流していないなんて。
そう思った矢先、俺様の握っている剣の刀身にヒビが入る。
その亀裂は瞬く間に蜘蛛の巣状に広がり、俺の得物は砕け散っていった。
そんなバカな! 俺の剣はその変の武器屋に売っているような安物ではないんだぞ!
「わざと受けてやったがこの程度か。なら、こっちの番だ。歯を食い縛れ!」
シロウが拳を握って俺の顔面に叩きつけた。
殴られた衝撃で俺の身体は宙を舞い、何度も身体を回転しながら地面に落下していく。
「ブべべべべオボボロン」
地に身体が接触した後も地面を転がり続け、部下たちに接触する。そして俺様の身体はようやく止まった。
しかし、今度は俺様に代わって部下たちが吹き飛ばされる。
「ガハッ! ゴホッ!」
呼吸が苦しくなり、思わず咽せてしまう。
くそう! 俺様は悪い夢でも見ているのか? こんなことありえない。ただのパンチでこんな威力を発揮するはずがないんだ。
視界がぐるぐると回っていやがる。これじゃあ立ち上がったところで、無様な姿を曝け出すだけになってしまう。こうなったら、切り札を切るしかねぇ。
俺様は懐から半透明の石を取り出す。
この石はとある商人から買い取ったものだ。この石には召喚獣と呼ばれる獣が封印されているらしい。こいつを使えば、あの男もおしまいだ。お前を殺し、女どもを売り捌いてくれる。
「ギャハハハハハハ! アーハハハハ!」
「何が可笑しい!」
シロウが俺様に尋ねる声が聞こえてくる。やつの声を聞いた瞬間、俺様はニヤリと口角を上げた。
「お前もここまでだ。俺様にこいつを使わせるんだからな!」
上体を起こすと、半透明の石を地面に叩きつける。すると石から黒煙が舞い上がり、二足歩行の獣が姿を現した。
その姿に、俺は冷や汗を掻く。鋭利な牙を持つイノシシの頭部に膨れ上がった筋肉、片手には棘のある棍棒が握られてある。
「おいおい! あの男、全然話が違うじゃないか! どうして召喚獣じゃなくて魔物が出てきやがる!」
俺様は叫ぶように声を荒げる。
石から出現したのは、デスファンゴと呼ばれる魔物だ。やつはAランクに指定されており、同ランクの冒険者が数人でようやく対等に戦うことができる。
俺様の声に反応したのか、デスファンゴは振り向く。
「ち、違う! 敵は俺様ではない」
逃げなければ。このままではこいつに殺されてしまう。
本能的にそう悟った俺様は、この場から逃げ出そうとする。しかし、目が回っているせいで思うように身体を動かすことができない。
デスファンゴは、右手に握っている棍棒を振り上げていた。
「嫌だ! じにだくない! だ、誰かだずげで!」
死を目前にした俺様は、両の目から大粒の涙を流した。そして無様にも助けを求める。しかし、俺様の願いは誰にも届かなかったようだ。数秒後には棍棒を振り落ろされてしまった。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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俺様はジュラの森を縄張りにしている野盗の頭だ。今日もアジトの中で、森の中で出くわした連中から奪った金品を見て、悦に浸っている。
「うーん、何度見ても前に奪った宝は見事な出来栄えだ。売ればきっと高い金額で買い取ってくれるだろう」
「お頭! 大変だ!」
「おい、どうした! そんなに慌てて? またいい獲物が見つかったのか?」
慌てた様子を見せる部下に、俺様は尋ねる。
「ああ、売れば大金になりそうな育ちのいい女を森の中で見つけた」
「ほう、それはいいな」
この男が生まれなが持つ素質は、モノの価値を見ることに特化しているところだ。こいつが慌てているということは、間違いなくその女を捕らえて売れば大金が入るだろう。
俺様の口角は自然と釣り上がった。
「だけど、そいつには強い護衛がついていて、仲間が何人もやられた。対等に戦えられるのはお頭しかいない!」
「何だと! お前たちは落ちぶれたとはいえ、元王国の精鋭部隊に所属していたではないか! そんなお前らをこてんぱんにするということは、勇者パーティーか?」
「いや、俺の知る限りでは勇者パーティーにあんな男はいなかった」
「わかった。どんなやつか興味があるな。それに護衛の対象となっている女を捕まえれば、大儲けにもなる」
俺様は棚に置いてある半透明の石を握った。
念のためにこいつを持っていったほうがいいだろう。
「この森に入ったということは、目的地はデンバー国領内だろうな。先回りをするぞ」
俺様はアジトに残っていた数人の仲間を引き連れ、そいつらが通るであろうと思われるルートを先回りした。
数十分かけて、俺たちは目的地にたどり着く。すると前方から一台の馬車がこちらへ向かってくる。
部下の話にはなかったが、おそらくアレに高く売れそうな女が乗っているのだろう。
「おっと、止まりな! 俺様たちはこのジュラの森を縄張りにしている野盗だ。御者の男よ、馬車の中にいる女を置いて逃げ帰るのであれば、命だけは助けてやる」
女と引き換えに、命だけは助けてやると御者の男に伝える。
まぁ、最初からそんなつもりはないけれどな。俺様は希望を見つけたときに、絶望に叩き落とされるやつをみる瞬間が大好きだ。無様に逃げる相手に背後から斬りつけ、絶望に顔を歪めた表情を見るのが堪らない。
さぁ、どっちを選ぼうと俺様と出会った段階でお前の運命は決まっている。
御者の反応を伺っていると、馬車の中から四人が出てきた。
一人は黒髪の男、もう一人は貴族なのではないかと思うほどの育ちの良さそうな女、もう一人は長い髪に尖った耳が特徴のエルフの女、最後は赤い髪をサイドテールに纏めた女だ。
「お頭、あいつが俺たちを邪魔した護衛の男です。だけど他の女は知らない」
部下の言葉に俺はニヤリとする。
俺様はなんてついているんだ! これだけの上玉の女が揃っているとは! 馬車の中にいるであろう女も含めれば、四人の女がいる。こいつらを売り捌けば、相当な金が手に入ること間違いなしだ!
特にエルフの女は高く売れる。人間よりも寿命が長い分、品乳好きの輩から性奴隷として重宝されているからな。全く、今日はなんて日だ。俺様にとって、とても運命的な日ではないか。
「お前が野盗を纏めている頭か?」
男が俺様に向けて訪ねてくる。
「ああ、そうだ。お前も命が欲しければ、そこにいる女たちを捨てて尻尾を巻いて逃げるんだな。そうすれば命だけは助けてやるからよ」
さぁ、どうする? お前が俺様に背を向けた瞬間、背後から切り捨ててやる。
「それは俺のセリフだ。お前たちには用はない。お前たちがここで何をしようとかってだが、俺たちの邪魔はしないでくれ」
「ちょっと、シロウ! あなた何を言っているのです!」
「そうですよシロウさん! 野盗は野放しにする訳にはいかないじゃないですか!」
「いや、だって依頼とは関係ないじゃないか。野盗の討伐とか面倒臭い」
「ハハハ、確かにシロウの性格からしたらそう言っても仕方がないね」
俺様たちを前にして、シロウと呼ばれた男とその連れの女たちが会話をしている。
だけどそんなことは関係ねぇ。あの男はなんて言った? それはこっちのセリフだぁ? ふざけるな! それではまるで俺様が、あのシロウとかいう男よりも下だと言っているようなものじゃねえか!
「ふざけやがって! 無惨に斬り倒してやる!」
俺様は腰に差している剣を鞘から抜き、上段に構えてシロウに突っ込む。
「全く、お前たちが道を塞ぐから、タダ働きをしないといけなくなったじゃないか。エンハンスドボディー」
「無様に切り裂かれろ!」
腕を振り下ろし、握っていた剣を振り下ろす。俺様の渾身の一撃は、奴の頭に当たった。
ざまああああああぁぁぁぁぁぁぁ! 余裕こいているからそうなるんだ! ギャハハ! 頭から血の雨を噴き出すがいい。
心の中で目の前の男を嘲笑う。
「うん? 今何かしたか?」
「何!」
表情を変えることなく淡々と言葉を口にする男に、俺様は驚かされた。
いったいどうなっていやがる? 俺様の一撃を受けて血の一滴も流していないなんて。
そう思った矢先、俺様の握っている剣の刀身にヒビが入る。
その亀裂は瞬く間に蜘蛛の巣状に広がり、俺の得物は砕け散っていった。
そんなバカな! 俺の剣はその変の武器屋に売っているような安物ではないんだぞ!
「わざと受けてやったがこの程度か。なら、こっちの番だ。歯を食い縛れ!」
シロウが拳を握って俺の顔面に叩きつけた。
殴られた衝撃で俺の身体は宙を舞い、何度も身体を回転しながら地面に落下していく。
「ブべべべべオボボロン」
地に身体が接触した後も地面を転がり続け、部下たちに接触する。そして俺様の身体はようやく止まった。
しかし、今度は俺様に代わって部下たちが吹き飛ばされる。
「ガハッ! ゴホッ!」
呼吸が苦しくなり、思わず咽せてしまう。
くそう! 俺様は悪い夢でも見ているのか? こんなことありえない。ただのパンチでこんな威力を発揮するはずがないんだ。
視界がぐるぐると回っていやがる。これじゃあ立ち上がったところで、無様な姿を曝け出すだけになってしまう。こうなったら、切り札を切るしかねぇ。
俺様は懐から半透明の石を取り出す。
この石はとある商人から買い取ったものだ。この石には召喚獣と呼ばれる獣が封印されているらしい。こいつを使えば、あの男もおしまいだ。お前を殺し、女どもを売り捌いてくれる。
「ギャハハハハハハ! アーハハハハ!」
「何が可笑しい!」
シロウが俺様に尋ねる声が聞こえてくる。やつの声を聞いた瞬間、俺様はニヤリと口角を上げた。
「お前もここまでだ。俺様にこいつを使わせるんだからな!」
上体を起こすと、半透明の石を地面に叩きつける。すると石から黒煙が舞い上がり、二足歩行の獣が姿を現した。
その姿に、俺は冷や汗を掻く。鋭利な牙を持つイノシシの頭部に膨れ上がった筋肉、片手には棘のある棍棒が握られてある。
「おいおい! あの男、全然話が違うじゃないか! どうして召喚獣じゃなくて魔物が出てきやがる!」
俺様は叫ぶように声を荒げる。
石から出現したのは、デスファンゴと呼ばれる魔物だ。やつはAランクに指定されており、同ランクの冒険者が数人でようやく対等に戦うことができる。
俺様の声に反応したのか、デスファンゴは振り向く。
「ち、違う! 敵は俺様ではない」
逃げなければ。このままではこいつに殺されてしまう。
本能的にそう悟った俺様は、この場から逃げ出そうとする。しかし、目が回っているせいで思うように身体を動かすことができない。
デスファンゴは、右手に握っている棍棒を振り上げていた。
「嫌だ! じにだくない! だ、誰かだずげで!」
死を目前にした俺様は、両の目から大粒の涙を流した。そして無様にも助けを求める。しかし、俺様の願いは誰にも届かなかったようだ。数秒後には棍棒を振り落ろされてしまった。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
面白かった! この物語は期待できる! 続きが早く読みたい!
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