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最終章『番ではない私でよろしいのですか?』
3.《テリウェル・モーリャント》
「その木は、ユービィスト王国の森で自生するものだ」
「......なるほどな。いつ頃気づいた?」
「君が番の記憶を封じられたと知ってから、随分あとさ。
トリス・リーフェント公爵から、生命力溢れる木について、進言があった。
現在、娘のジャスミン嬢が試しに庭で育てていること。
うまくいけば、砂漠化した地域に植林し、緑化を進められるかもしれないこと。
驚いたよ。初めて知ったからね。
私は今まで砂漠化について様々な者と意見交換してきたが、誰一人としてそんな木を知る者はいなかった。
調べてみれば、貴国に自生する木だと判明したが、モーリャント王国ではその木の種子や苗を輸入している記録はなかった。
では、どうやって公爵はその木の種子を手に入れたのか。なぜそんな木があることを知っているのか、と疑問に思ってしまうのは自然なことだろう。
だって、公爵と少し話せばわかる。彼はそこまで植物に詳しいわけではない。
つまり、公爵の近くに、植物にとても精通した者がいて、
その人物が、木の種子か苗を入手してきたと考えるのが妥当だろう。
それも、国の有名な学者達、重鎮達を結集しても得られなかったほどの知識を持つ人物が。
公爵はなぜか屋敷で一番草木に詳しいであろう『庭師』ではなく、『娘が』育てていると言った。
そこまで考えた時ーー
公爵の淡い紫色の瞳が目に入った。
同時に、私の中で仮説が浮かんだ。
その時はまだ、まさかと半信半疑だったが.....
ジャスミン嬢は、王妃教育を受けていた。
過去、彼女の授業を担当した王城の家庭教師達は皆、口を揃えて褒め称えていたよ。
彼女のとても優秀な頭脳と、人柄を。
ジャスミン嬢は常に本を持ち歩いていて、
植物に関するものだったという情報まで入手した所で
私の中の仮説は、より色濃く主張し始めた。
甥のコーネルから婚約破棄を受けた、
ラベンダー色の瞳の、適齢期の娘ーー。
そして、
リーフェント公爵に世間話程度に聞き出した。
いつ頃からジャスミン嬢は木を育てているのかーー。
それは、フェンリルが番の記憶を失った頃と丁度重なった。
....まぁ、さすがに嫁入り前の娘だからな。
公爵とて、娘がーー
数日家を空けていたとは言いたくないだろう。
あくまで表面だけ尋ね、あとは私が勝手に予想した」
「.....お前らしいな」
種子は持ち帰ってから庭に植え、育ち具合や水加減などをノートをとり観察していた。
数ヶ月経ち、ある程度育った所で父に、陛下に進言してみてほしい旨を相談した。
まさか、それが私の正体へと繋がっていくとは。
そういえば、父に進言を依頼した日からほどなくして、フェンリル様との婚姻話が持ち上がった。
「おかしいと思っていたんだ」
フェンリル様の声に、テリウェル陛下が頷く。
「やっぱり引っかかっていたか。いくら『番』の存在を重要視する獣人達でも、王命ならば拒否できる者は少ないからな」
「ああ。例え、噂が広まっていようと相手を決めることはできただろう。
もちろん、あまり好きなやり方ではない。
獣人達の間では、実際、政略結婚はほとんどないしな。
獣人同士が王命で無理に結婚すれば、関係は最悪のまま生活を共にすることになる。
『番』同士であってもだ。なるべく王命なんてものは使わず、先に番の心を手に入れたい。『ミーナ』と出会った時のように。
今回は、シルヴァの王位継承のため、やむなく兄上に王命婚を申し出たがーー。
打診を受ける相手のことを考えると心の中は複雑だった。
しかし、
だからこそ隣国なのかと思って納得はしていた。
獣人でなく、人間との婚姻となれば、番関連の複雑な問題は避けられる。
それがーー
まさかお前の謀だったとはな」
「まぁな」
◇
実はーー
ヴォルフ陛下よりテリウェル陛下が相談を受け、リーフェント公爵家へ婚姻の打診があったのではなかった。
番の見当をつけたテリウェル陛下が密かにヴォルフ陛下へ、二人の婚姻の提案を申し出たのだ。
丁度、王位継承の激化で、フェンリル様本人が政略結婚を願い出た時期だったから、ヴォルフ陛下はその提案を受けた。
テリウェル陛下の行動には、何かしら意味が隠されていることを、長年共に過ごした経験から知っていたから。
そしてーー
テリウェル陛下からの提案であることは、フェンリル様にも私にも、伏せられていた。テリウェル陛下の厳命で。
◇
「確信はなかったんでな。....まぁ、お前なら自分でチャンスを掴むだろうと信じていたからな」
テリウェル陛下が、ニッと笑みを深める。
フェンリル様は、瞼を重くして呆れた声を出す。
「.......お前、本当に性格悪いぞ」
「ははは、褒めてくれて嬉しいよ」
「褒めてない」
「....結局、いつまで経ってもフェンリルから報告は届かないし、先にヴォルフ兄から真偽を確かめる手紙が届いて、ヤキモキしたぞ」
「なら、さっさと教えろよ」
「君たちが先に仕掛けてきたんだろう」
「はぁ。はいはい。俺らが悪かった」
フェンリル様は諦めたようにため息を漏らした。
「お前からの提案であることは秘密にしろと、兄上を脅したのか」
「ひと聞きが悪いな。ちょっとばかし、昔の出来事を話題に出しただけさ。私が、モーリャント王国の新国王に即位した時のことをね」
「出来事じゃなくて、恨みだろう。それを脅しっていうんだよ」
「ふん。元はと言えば君たち兄弟が私を嵌めたのが悪い」
テリウェル陛下は、子供みたいに唇を突き出した。
この二人が何の話をしているのかさっぱりだったが、話は続いていく。
「あれは嵌めたんじゃない」
「どうだかね」
「お前は、先に言ったら逃げるだろう。モーリャント王国のために仕方なく、事後報告にしただけだ」
「それを嵌めたと言うんだ」
「何とでも言え」
二人睨み合っている。
フェンリル様の腕の中で私は、二人の顔を交互に見遣った。
◇◆
テリウェルは、元々王位に興味がなかった。
才能故に、兄・オズウェルは勝手に弟を目の敵にして、留学へ追いやった。
だが、テリウェルにとってむしろ好都合だった。
これ幸いとばかりに好きなことを学び、自由に知識を深めていた。
そんな中、シルヴァの留学中に起きた一件で、二国間で戦が勃発した。
テリウェルは、全く話を聞かされていなかった。
到底、新国王にまつりあげられるなんて、夢にも思っていなかった。
それが、あっという間に声明が出され、知らぬうちにモーリャント王国の新国王になっていたのだ。
その時点でやっと、ヴォルフやフェンリルから知らせを受けた。
ここまで話が進んでいれば、もう拒否などできまいと諦め、王位に就いた。
「お前なら、どういう経緯で国王となっても....最後は国民のために奔走すると信じていたからな」
「はぁ。それだよ。....だから、私も信じていたんだ。確信がなかったから、というのも本当だがな」
「わかっている」
信じていたと言われては、文句を言えなくなったテリウェルは、いつものごとくフェンリルにやり返した。
君ならチャンスを掴むと信じていたから、と。
友を思う心と、やり返す心とーー
誠に友の力を信じる心。
色々と複雑に絡み合った結果、なんと時間がかかったことかーー。
「くっ、くくく。本当、食えない奴」
「はははっ、君もな」
笑い合って、どうやら和解したらしい二人に、ジャスミンはホッと胸を撫で下ろした。
「まぁ、時間は要したが、想いは通じたんだろう?」
「ああ」
「....改めて、結婚おめでとう。フェンリル」
今度は満足気に笑って、祝福した。
その言葉に、フェンリルはやっとテリウェルに向き直り、心から礼を言った。
「ああ。....世話になった」
ジャスミンは抵抗しても下ろしてもらえず、抱きかかえられたまま「感謝申し上げます」と一緒に頭を下げた。
◇
「ところで、夫人に頼みたいことがあるのだが」
一段落した所で、テリウェル陛下が神妙な面持ちになった。
「.....直接話しかけるな」
「えっ」
だが、フェンリル様はまた陛下に背を向け、私を隠してしまう。陛下の残念なものに向けるような声が、こだました。
「フェンリル....。嫉妬深い男は嫌われるぞ」
「っ.....嫌いに、なるか?」
陛下の言葉に、フェンリル様がうかがうように尋ねてきた。
「え....えっと....嫌い、には....」
「...........」
二人の視線を感じて狼狽える。
フェンリル様は縋る目で私を見つめていた。
「.....ならない、ような?」
「っ、うむ」
決断を迫られ、声を裏返しながら何とか答えると、フェンリル様はパッと耳を立て目を輝かせて、頬擦りしてきた。
尻尾が、ボフン、ボフン、と横抱きにされている私の腰や足をリズミカルに打っていく。
「.....最初から甘やかしていると、後が大変だぞ、夫人。締めるところは、締めた方がいい」
呆れ混じりに言われて、何となく意味を察する。私は有り難く助言を受け取って、真面目に頷いた。
それから、私も陛下と直接お会いできたこのタイミングで、お話ししたいことがあったので、フェンリル様にお願いした。
「フェンリル様。私も陛下とお話ししたいことがございます」
「.....わかった」
真剣に言い募ると、渋々だが頷いてくれる。
「夫人の話は....もしかして砂漠化についてだろうか?」
「そうなのです。陛下のお話しもでしょうか?」
「ああ。....先に聞いても?」
「はい、もちろんでございます」
そうして、私は陛下にずっと考えていたことをゆっくりと説明し始めたーー。
*****
※この回の文末の会話の結果は、5.のシーンの途中で触れています。この次のお話では、場面切り替わっていていますが、続いてお読み頂けると、お話が繋がるかと思います。
「......なるほどな。いつ頃気づいた?」
「君が番の記憶を封じられたと知ってから、随分あとさ。
トリス・リーフェント公爵から、生命力溢れる木について、進言があった。
現在、娘のジャスミン嬢が試しに庭で育てていること。
うまくいけば、砂漠化した地域に植林し、緑化を進められるかもしれないこと。
驚いたよ。初めて知ったからね。
私は今まで砂漠化について様々な者と意見交換してきたが、誰一人としてそんな木を知る者はいなかった。
調べてみれば、貴国に自生する木だと判明したが、モーリャント王国ではその木の種子や苗を輸入している記録はなかった。
では、どうやって公爵はその木の種子を手に入れたのか。なぜそんな木があることを知っているのか、と疑問に思ってしまうのは自然なことだろう。
だって、公爵と少し話せばわかる。彼はそこまで植物に詳しいわけではない。
つまり、公爵の近くに、植物にとても精通した者がいて、
その人物が、木の種子か苗を入手してきたと考えるのが妥当だろう。
それも、国の有名な学者達、重鎮達を結集しても得られなかったほどの知識を持つ人物が。
公爵はなぜか屋敷で一番草木に詳しいであろう『庭師』ではなく、『娘が』育てていると言った。
そこまで考えた時ーー
公爵の淡い紫色の瞳が目に入った。
同時に、私の中で仮説が浮かんだ。
その時はまだ、まさかと半信半疑だったが.....
ジャスミン嬢は、王妃教育を受けていた。
過去、彼女の授業を担当した王城の家庭教師達は皆、口を揃えて褒め称えていたよ。
彼女のとても優秀な頭脳と、人柄を。
ジャスミン嬢は常に本を持ち歩いていて、
植物に関するものだったという情報まで入手した所で
私の中の仮説は、より色濃く主張し始めた。
甥のコーネルから婚約破棄を受けた、
ラベンダー色の瞳の、適齢期の娘ーー。
そして、
リーフェント公爵に世間話程度に聞き出した。
いつ頃からジャスミン嬢は木を育てているのかーー。
それは、フェンリルが番の記憶を失った頃と丁度重なった。
....まぁ、さすがに嫁入り前の娘だからな。
公爵とて、娘がーー
数日家を空けていたとは言いたくないだろう。
あくまで表面だけ尋ね、あとは私が勝手に予想した」
「.....お前らしいな」
種子は持ち帰ってから庭に植え、育ち具合や水加減などをノートをとり観察していた。
数ヶ月経ち、ある程度育った所で父に、陛下に進言してみてほしい旨を相談した。
まさか、それが私の正体へと繋がっていくとは。
そういえば、父に進言を依頼した日からほどなくして、フェンリル様との婚姻話が持ち上がった。
「おかしいと思っていたんだ」
フェンリル様の声に、テリウェル陛下が頷く。
「やっぱり引っかかっていたか。いくら『番』の存在を重要視する獣人達でも、王命ならば拒否できる者は少ないからな」
「ああ。例え、噂が広まっていようと相手を決めることはできただろう。
もちろん、あまり好きなやり方ではない。
獣人達の間では、実際、政略結婚はほとんどないしな。
獣人同士が王命で無理に結婚すれば、関係は最悪のまま生活を共にすることになる。
『番』同士であってもだ。なるべく王命なんてものは使わず、先に番の心を手に入れたい。『ミーナ』と出会った時のように。
今回は、シルヴァの王位継承のため、やむなく兄上に王命婚を申し出たがーー。
打診を受ける相手のことを考えると心の中は複雑だった。
しかし、
だからこそ隣国なのかと思って納得はしていた。
獣人でなく、人間との婚姻となれば、番関連の複雑な問題は避けられる。
それがーー
まさかお前の謀だったとはな」
「まぁな」
◇
実はーー
ヴォルフ陛下よりテリウェル陛下が相談を受け、リーフェント公爵家へ婚姻の打診があったのではなかった。
番の見当をつけたテリウェル陛下が密かにヴォルフ陛下へ、二人の婚姻の提案を申し出たのだ。
丁度、王位継承の激化で、フェンリル様本人が政略結婚を願い出た時期だったから、ヴォルフ陛下はその提案を受けた。
テリウェル陛下の行動には、何かしら意味が隠されていることを、長年共に過ごした経験から知っていたから。
そしてーー
テリウェル陛下からの提案であることは、フェンリル様にも私にも、伏せられていた。テリウェル陛下の厳命で。
◇
「確信はなかったんでな。....まぁ、お前なら自分でチャンスを掴むだろうと信じていたからな」
テリウェル陛下が、ニッと笑みを深める。
フェンリル様は、瞼を重くして呆れた声を出す。
「.......お前、本当に性格悪いぞ」
「ははは、褒めてくれて嬉しいよ」
「褒めてない」
「....結局、いつまで経ってもフェンリルから報告は届かないし、先にヴォルフ兄から真偽を確かめる手紙が届いて、ヤキモキしたぞ」
「なら、さっさと教えろよ」
「君たちが先に仕掛けてきたんだろう」
「はぁ。はいはい。俺らが悪かった」
フェンリル様は諦めたようにため息を漏らした。
「お前からの提案であることは秘密にしろと、兄上を脅したのか」
「ひと聞きが悪いな。ちょっとばかし、昔の出来事を話題に出しただけさ。私が、モーリャント王国の新国王に即位した時のことをね」
「出来事じゃなくて、恨みだろう。それを脅しっていうんだよ」
「ふん。元はと言えば君たち兄弟が私を嵌めたのが悪い」
テリウェル陛下は、子供みたいに唇を突き出した。
この二人が何の話をしているのかさっぱりだったが、話は続いていく。
「あれは嵌めたんじゃない」
「どうだかね」
「お前は、先に言ったら逃げるだろう。モーリャント王国のために仕方なく、事後報告にしただけだ」
「それを嵌めたと言うんだ」
「何とでも言え」
二人睨み合っている。
フェンリル様の腕の中で私は、二人の顔を交互に見遣った。
◇◆
テリウェルは、元々王位に興味がなかった。
才能故に、兄・オズウェルは勝手に弟を目の敵にして、留学へ追いやった。
だが、テリウェルにとってむしろ好都合だった。
これ幸いとばかりに好きなことを学び、自由に知識を深めていた。
そんな中、シルヴァの留学中に起きた一件で、二国間で戦が勃発した。
テリウェルは、全く話を聞かされていなかった。
到底、新国王にまつりあげられるなんて、夢にも思っていなかった。
それが、あっという間に声明が出され、知らぬうちにモーリャント王国の新国王になっていたのだ。
その時点でやっと、ヴォルフやフェンリルから知らせを受けた。
ここまで話が進んでいれば、もう拒否などできまいと諦め、王位に就いた。
「お前なら、どういう経緯で国王となっても....最後は国民のために奔走すると信じていたからな」
「はぁ。それだよ。....だから、私も信じていたんだ。確信がなかったから、というのも本当だがな」
「わかっている」
信じていたと言われては、文句を言えなくなったテリウェルは、いつものごとくフェンリルにやり返した。
君ならチャンスを掴むと信じていたから、と。
友を思う心と、やり返す心とーー
誠に友の力を信じる心。
色々と複雑に絡み合った結果、なんと時間がかかったことかーー。
「くっ、くくく。本当、食えない奴」
「はははっ、君もな」
笑い合って、どうやら和解したらしい二人に、ジャスミンはホッと胸を撫で下ろした。
「まぁ、時間は要したが、想いは通じたんだろう?」
「ああ」
「....改めて、結婚おめでとう。フェンリル」
今度は満足気に笑って、祝福した。
その言葉に、フェンリルはやっとテリウェルに向き直り、心から礼を言った。
「ああ。....世話になった」
ジャスミンは抵抗しても下ろしてもらえず、抱きかかえられたまま「感謝申し上げます」と一緒に頭を下げた。
◇
「ところで、夫人に頼みたいことがあるのだが」
一段落した所で、テリウェル陛下が神妙な面持ちになった。
「.....直接話しかけるな」
「えっ」
だが、フェンリル様はまた陛下に背を向け、私を隠してしまう。陛下の残念なものに向けるような声が、こだました。
「フェンリル....。嫉妬深い男は嫌われるぞ」
「っ.....嫌いに、なるか?」
陛下の言葉に、フェンリル様がうかがうように尋ねてきた。
「え....えっと....嫌い、には....」
「...........」
二人の視線を感じて狼狽える。
フェンリル様は縋る目で私を見つめていた。
「.....ならない、ような?」
「っ、うむ」
決断を迫られ、声を裏返しながら何とか答えると、フェンリル様はパッと耳を立て目を輝かせて、頬擦りしてきた。
尻尾が、ボフン、ボフン、と横抱きにされている私の腰や足をリズミカルに打っていく。
「.....最初から甘やかしていると、後が大変だぞ、夫人。締めるところは、締めた方がいい」
呆れ混じりに言われて、何となく意味を察する。私は有り難く助言を受け取って、真面目に頷いた。
それから、私も陛下と直接お会いできたこのタイミングで、お話ししたいことがあったので、フェンリル様にお願いした。
「フェンリル様。私も陛下とお話ししたいことがございます」
「.....わかった」
真剣に言い募ると、渋々だが頷いてくれる。
「夫人の話は....もしかして砂漠化についてだろうか?」
「そうなのです。陛下のお話しもでしょうか?」
「ああ。....先に聞いても?」
「はい、もちろんでございます」
そうして、私は陛下にずっと考えていたことをゆっくりと説明し始めたーー。
*****
※この回の文末の会話の結果は、5.のシーンの途中で触れています。この次のお話では、場面切り替わっていていますが、続いてお読み頂けると、お話が繋がるかと思います。
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