エイミーとマンホール下のハロウィン界

Haru

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第2章

【ガラクタだらけの部屋】

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目が覚めると、真っ暗な場所にいた。
エイミーは暗がりのなか、まだもうろうとする意識で目を擦った。
どうやらしばらくの間、意識を失っていたようだ。
意識を失っていたらしいが、一つ覚えていることがあった。
マンホールの下にドスンと落ちて意識を失おうとしている時、もうろうとする意識の中で何かが何処かへ飛んで行くのをみたのだ。
しかし、暗がりだけあってエイミーが見たのはその影のみだった。
立ち上がろうとして、エイミーは自分が何か沢山のものに埋もれていることに気付いた。
「……?」
手でその感触を確かめると、ゴツゴツしていて、少し固い。
いや、柔らかいものもある。
ふと、エイミーの脳裏を恐ろしい考えがよぎった。
(もしかするとここには、あの女の子の絵本のようにワニが潜んでいるんじゃ。)
そのワニが、今は寝ているだけだとしたら。
エイミーはそれを想像し、絶望した。
自分はワニが目を覚ました時、ここで死ぬのだと。

その時だ。

ガチャン。何かが右手に当たった。
エイミーはそれをじっと見つめた。
しばらく見つめていると、暗がりに目が慣れてきた。
どうやらそれは大きなロウソクのようだ。
何故、こんなところに?
エイミーは疑問に思いながらそのロウソクを手に取った。
そして
「マッチが無いんじゃ、仕方ないじゃない」
と半ば諦めた顔でため息をついた。

そしてまたロウソクを見て、目を疑った。
何もしていないのに、ロウソクの先に火が灯っているのだ。
そして、今まで見えなかった暗がりが全て照らし出された。
エイミーが今まで埋もれていたのはワニの群れではなかった。
そこには、たくさんのガラクタが壁に囲まれた部屋いっぱいに転がっていて、エイミーはそれらに埋もれていたのだ。
大きな包み紙に包まれたキャンディ。
どことなく懐かしい板形チョコレート。
不気味な顔をしたジャックオランタンの置きもの達に、カラフルな風船。

とりあえず、それらの正体がマヌケなガラクタだったことにエイミーは安堵した。
そして心から首を傾げた。
マンホールの下に何故こんな部屋が?
とにかく、ここを脱出しなければ。
エイミーは上を見上げた。
どこまで続いているのか分からない。
生きているのが不思議なぐらい、よほどの高さから落ちてきたようだ。
とにかく上から落ちてきたことだけは分かっている。
エイミーは腕の時計を見た。
あまりの高さから落ちたので、壊れてしまったのだろう。
表面はひび割れて、時計の針はちょうど0時を指したままぴったり止まっていた。

ここを登らなければ、出られない。
エイミーは腕を捲り上げ、ロウソクを掲げて壁のくぼみに足をかけた。

………
………

どれだけ時間が経ったことだろう。
エイミーは疲れきった、諦めた顔でガラクタの中に横たわっていた。
どれだけ高くまで登っても先が見えない。
地上の月の明かりすら、見えなかった。
何度登ってもしまいには疲れ果て、ずるずるとこの部屋に落ちてしまう。
エイミーは腹の底から地上に向かって叫んだ。
「誰か!誰か聞こえますか!下に落ちてしまったんです!助けてください!」
エイミーはしばらく叫び続けた。
しかし、その声は一向に届かなかった。

エイミーはまたガラクタの中に横たわった。
大量のガラクタは足元だけでなく、壁までをも埋めつくしていた。
ジャックオランタンの置き物達が、地上には逃がすまいとこちらを見つめているようで薄気味悪い。
エイミーは小腹が空いてきた。
しかしマンホールの下に落ちているような汚いキャンディやチョコレートを食べる気にはならなかった。
そしてなんとなくキャンディを手に取って、しばらく見つめ、スカートのポケットに入れた。
そのキャンディの色は虹色で、エイミーにはなんだか宝石のように見え、癒しになった。

そうだ。ふとエイミーは思いついた。
上に登れないなら、壁を壊せばいいんだ。
通路になっているかもしれない。
エイミーはジャックオランタンを拾い上げた。
持ち上げると、ずっしりと重い。
これなら壁を壊せそうだ。
エイミーは力いっぱいにジャックオランタンを壁にぶつけた。
ガツン!!と鈍い音が聞こえるとともに、壁を埋めつくしていたガラクタ達がガラガラと崩れ落ちた。

それを見てエイミーは驚き、目を見開いた。

今まで壁を埋めつくしていたガラクタが崩れ落ちた後に、錆び付いた大きな鉄のドアが現れたのだ。
錆び付いているとはいえ、このドアはエイミーの目を引いた。
縁取りがレトロな、オレンジ色の鉄の扉だ。

開けたら何があるのだろう。
何もないのだろうか。
はたまた扉の向こうもまた壁なのだろうか。
とにかく、上に登れないならこの扉に頼るしかない。
それに、さっきどこかへ飛び立った謎の影の正体が分かるかもしれない。

先には何があるのだろうと、エイミーはこの扉の先に好奇心が湧いた。
エイミーは両手で、その重い鉄の扉を思いっきり押した。

ガガ、ガガ、ガガ、ガガ、ガガ………

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