エイミーとマンホール下のハロウィン界

Haru

文字の大きさ
12 / 24
第12章

【オオカミ男との遭遇】

しおりを挟む

じり…じり…

エイミー達は崖に追い詰められて行く。
ゾンビ達はゆっくりとエイミー達と距離を詰める。
エイミー達はここから落ちるのだろうかと絶望しながら崖の先端を振り返った。

「……?」

なにやら崖の先端に大きな影が見える。
眩しいくらいの満月に照らされ、逆光で見えない。
1つ、分かるのはその大きな影が4本足で立っていることだった。

その影は突如、大きな声で鳴いた。

「ウオーーーン…!」

遠吠えのような鳴き声だった。
その鳴き声を聞いて、エイミー達は確信した。

オオカミ男だ…!

エイミー達は一か八かの勝負だとオオカミ男のいる崖の先端まで全力で走った。

ピンと立った大きな耳に大きな体、尖った目をした毛むくじゃらのオオカミ男がゆっくりと振り向く。

ジャックは息を切らしながらオオカミ男に言った。

「頼みがある!
峠の魔女の城まで連れて行ってくれ!」

オオカミ男は、ゾンビがすぐそこまで迫っているのにも関わらずゆっくりと口を開く。

「……何故だ?」

ジャックは大きな声で叫んだ。

「今は話している時間は無い!
頼む!」

するとオオカミ男は崖の先に視線をやった。
向こう側にも崖が見える。
その先には赤紫色の不気味な山が見えていた。
しかし、ジャンプして渡るにはかなりの距離があり、崖下に落ちようものならまず命は無いだろう。
フレディとイヴ、そしてドクロも不安を隠せず動揺し出した。

オオカミ男はエイミー達を横目でチラリと見ると言った。

「……乗れ」

エイミーは決心して頷くと、フレディとイヴを急いで先に乗せてあげた。
そしてドクロとジャックと共にオオカミ男の大きな背中に慌てて乗った。

「歯を食いしばって、しっかり掴まっていろよ!」

エイミー達はオオカミ男の背中にしがみついた。
ゾンビ達の手がすぐにでも触れそうなほどギリギリのところまで伸びかかっていた。

オオカミ男は少しの助走をつけ地面を大きく蹴ると、高く高く、満月に重なるくらいに飛び上がった。

満月に手が届きそうだった。
エイミーは満月の眩しさに思わず目を瞑った。
ジャックとフレディ、そしてイヴとドクロがオオカミ男の背中にしがみつきながら後ろを見ると、ゾンビ達は手を伸ばしたまま恨めしそうに崖の先端からこちらを見ていた。

取り敢えず、助かったのだ。

ダンッ!!!!

オオカミ男は、さっきから見えているもう1つの崖に大きな音を立てて着地した。

砂煙が舞い上がる。
エイミー達はゴホゴホと大きな咳をした。
生きた心地がしなかった。
エイミーは心臓に手を当てた。
やはり、生きている。

エイミーは砂埃の中目をこすりながら言った。

「この世界には、危険がいっぱいなのね……」

フレディとイヴとドクロはゼイゼイと息を切らしている。
ジャックが疲れた表情で答える。

「峠の城まで行くのに他のルートも勿論あったんだが…。
それだとフレディやイヴ、ドクロにも会わせることは出来なかっただろう。
こればっかりは我慢してくれ」

「ええ…分かっているわ」

エイミーは頰に伝う汗を拭った。

オオカミ男はエイミー達に言った。

「まだ気を緩めずにしっかり掴まっていろ。
峠の城に出発する」

エイミー達は再びオオカミ男の背中に掴まった。

オオカミ男は赤紫色の不気味な山に向かって勢いよく走り出した。

エイミー達は、いよいよ峠の城へと向かっていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ

朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】  戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。  永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。  信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。  この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。 *ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

処理中です...