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19 夏目と秋吉
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楽しい気分で二人と別れアパートに帰った俺はベッドに寝転がり明日の事を考えて少し憂鬱な気分になった。里香さんに会いたいのだけれど、会いたくはない。前回の俺の自惚れ勘違いの恥ずかしさで少し気が重い。
明日は前回の事など無かったことにして、爽やかに颯爽と登場しようなどと考えているうちにそのまま眠ってしまった。
次の日、昨日の服のまま目覚めた俺はシャワーを浴び着替えると午後一時前に着くように待ち合わせ場所に向かった。
今日は夏が最後の力を振り絞ったかのように暑い。真夏と言う程の暑さではないのだけれど。
大和相国寺駅に着き、ホームの階段を上がると相変わらずの人混みの中、既に到着している二人を見つけた。仲良く二人で待つ姿を見て、少しモヤモヤした気持ちになった。
二人は俺に気が付くと、夏目が大きく手を振り、隣で里香さんは小さく手を振っている。なんだかんだお似合いである。モヤモヤした気分を片手で振り払い、二人の元へ向かった。
自分の中では颯爽と現れ挨拶したつもりだが、出来ていたかどうかは不明である。
「やあ、久しぶり」
俺は片手を軽く挙げ挨拶をした。
「二か月ぶりだね。来てくれてありがとう」
もう手の届かない、いや元々手の届かない彼女の笑顔は俺には眩し過ぎる。
久しぶりに見た彼女は長かった髪を肩口辺りまで短くしていた。長い髪も似合っていたが今回も凄く似合っている。彼氏である夏目の手前そのことを褒めるのは違うような気がしたので、心の中で褒めちぎり賞賛した。
「ハルイチくん昨日はありがとう。本当に助かったよ」
夏目に改めて礼を言われ、少し照れた。
三人が一度に各々話した後、理香さんのアパートのある、天野川六丁目駅に移動した。
商店街の中にある割と広めの喫茶店に入り、一番奥のソファ席に通してもらった。二人は隣同士に、俺は二人の向かい側に座った。
里香さんはアイスコーヒーを、夏目はアイスココアを、俺はコーヒーを飲むとタバコが吸いたくなるかもしれないと思いメロンソーダを注文した。
禁煙は今のところ順調である。
俺がメロンソーダを注文した後、夏目が「いやあ、やっぱり俺もメロンソーダにしようかな」と迷っていたが女性店員は行ってしまった。
コイツの迷っていた声は絶対に聞こえていた筈だ、にも拘らず行ってしまった店員。
注文しただけで既にあの店員をイラつかせたのかと思うと可笑しくて仕方なかった。
そしてそんな人を腹立たせる名人夏目と付き合っている里香さんは俺の中で益々素敵な人になった。同時に名人は俺の中で憎めない奴になった。
流石だな、夏目名人と微笑ましく見ていると里香さんと目が合い、彼女がクスッと笑った。俺は慌てて真顔になりストーカーの事を尋ねた。
「で、どんな奴なのかな? その、そいつは」
俺が訊ねると彼女の顔から笑顔が消え、浮かない表情に変わった。
里香さんの説明では、気付いたのは先月の終わり頃からだと言う。
後をつけまわされると言うよりは、色んな場所で視線を感じる様になったと言う。そしてその視線の犯人は一人ではないそうだ。
彼女の様な美人ならしょっちゅう沢山の視線を感じる事だろう。ただ彼女が言うには見ていると言うよりは見張られていると感じるそうだ、それも複数の人間に。そして何の為にそんな事をするのか全く見当も付かないそうだ。
そんな立場になったら男の俺でも気味が悪いし、恐怖を感じるだろう。こんなに優しく可愛い彼女を怖がらせるなど絶対に許せないことだ。
「あの入り口の外にいる大きな男、ずっとこっち見てるんだけど………」
夏目が俺の後ろ側にある入り口を見ながら教えてくれた。
明日は前回の事など無かったことにして、爽やかに颯爽と登場しようなどと考えているうちにそのまま眠ってしまった。
次の日、昨日の服のまま目覚めた俺はシャワーを浴び着替えると午後一時前に着くように待ち合わせ場所に向かった。
今日は夏が最後の力を振り絞ったかのように暑い。真夏と言う程の暑さではないのだけれど。
大和相国寺駅に着き、ホームの階段を上がると相変わらずの人混みの中、既に到着している二人を見つけた。仲良く二人で待つ姿を見て、少しモヤモヤした気持ちになった。
二人は俺に気が付くと、夏目が大きく手を振り、隣で里香さんは小さく手を振っている。なんだかんだお似合いである。モヤモヤした気分を片手で振り払い、二人の元へ向かった。
自分の中では颯爽と現れ挨拶したつもりだが、出来ていたかどうかは不明である。
「やあ、久しぶり」
俺は片手を軽く挙げ挨拶をした。
「二か月ぶりだね。来てくれてありがとう」
もう手の届かない、いや元々手の届かない彼女の笑顔は俺には眩し過ぎる。
久しぶりに見た彼女は長かった髪を肩口辺りまで短くしていた。長い髪も似合っていたが今回も凄く似合っている。彼氏である夏目の手前そのことを褒めるのは違うような気がしたので、心の中で褒めちぎり賞賛した。
「ハルイチくん昨日はありがとう。本当に助かったよ」
夏目に改めて礼を言われ、少し照れた。
三人が一度に各々話した後、理香さんのアパートのある、天野川六丁目駅に移動した。
商店街の中にある割と広めの喫茶店に入り、一番奥のソファ席に通してもらった。二人は隣同士に、俺は二人の向かい側に座った。
里香さんはアイスコーヒーを、夏目はアイスココアを、俺はコーヒーを飲むとタバコが吸いたくなるかもしれないと思いメロンソーダを注文した。
禁煙は今のところ順調である。
俺がメロンソーダを注文した後、夏目が「いやあ、やっぱり俺もメロンソーダにしようかな」と迷っていたが女性店員は行ってしまった。
コイツの迷っていた声は絶対に聞こえていた筈だ、にも拘らず行ってしまった店員。
注文しただけで既にあの店員をイラつかせたのかと思うと可笑しくて仕方なかった。
そしてそんな人を腹立たせる名人夏目と付き合っている里香さんは俺の中で益々素敵な人になった。同時に名人は俺の中で憎めない奴になった。
流石だな、夏目名人と微笑ましく見ていると里香さんと目が合い、彼女がクスッと笑った。俺は慌てて真顔になりストーカーの事を尋ねた。
「で、どんな奴なのかな? その、そいつは」
俺が訊ねると彼女の顔から笑顔が消え、浮かない表情に変わった。
里香さんの説明では、気付いたのは先月の終わり頃からだと言う。
後をつけまわされると言うよりは、色んな場所で視線を感じる様になったと言う。そしてその視線の犯人は一人ではないそうだ。
彼女の様な美人ならしょっちゅう沢山の視線を感じる事だろう。ただ彼女が言うには見ていると言うよりは見張られていると感じるそうだ、それも複数の人間に。そして何の為にそんな事をするのか全く見当も付かないそうだ。
そんな立場になったら男の俺でも気味が悪いし、恐怖を感じるだろう。こんなに優しく可愛い彼女を怖がらせるなど絶対に許せないことだ。
「あの入り口の外にいる大きな男、ずっとこっち見てるんだけど………」
夏目が俺の後ろ側にある入り口を見ながら教えてくれた。
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