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ミューレゲイト
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村の名前はファウスと名付けられた。
これは、ミューレゲイトが村の図面を一手に引き受けてくれたお礼だとして、アラギウスの家名をとったのである。
人手……魔手が増えて開発は順調だ。
魔物たちは、魔王直々に誘いを受けて喜び参加している。彼らは皆、魔王を殺されてから今日まで苦難の日々を過ごしていたらしい。
オーガの巨体が軽々と岩を運び、ゴブリンやコボルト達が家屋の組み立てを粛々と行う。多くの魔物が集まったので、当初の村では規模が足りなくなったが、ダークエルフ達が森の精霊を説得し、湖の周囲の木々に移動をしてもらうという離れ業をしてみせたことで、有効面積が当初の十倍となり、町造りへと進化している。
「魔王の城とか造るのか?」
アラギウスは、「もちろんだ」という返答を読んでいたので、すでに用意していた図面を広げながら質問したが、答えは違った。
「不要だ。わらわはあの家でいい」
「あの家?」
「木の家、居心地いいんだ」
「……なんだかお前のことを尊敬してきた」
「尊敬しろ! もっとしろ! うふふふふふ」
嬉しそうに笑うミューレゲイトはとても美しく、二人の近くで作業をしていたオーガの手がとまる。
「おい、さぼるな!」
魔王に叱られ、巨体を小さくしたオーガが岩を運ぶ。
町の中央に、神殿が作られているが、像などは置かない造りだ。ここは、魔物――といっても様々な種族、部族が同時に、それぞれの信仰する神への祈りを捧げる場として造られようとしている。
「この神殿は、いつでも誰でも入ることができるようにしよう」
ミューレゲイトの言葉に、アラギウスは頷く。
(ミューレゲイトは、それぞれの信仰を保護しようというのだな? 魔族だから竜王バルボーザを崇めろと強いるものばかりと思っていたけど違うんだな)
だが、そのほうがいいと彼も思った。ここで、懸念事項を話し合いたいと口を開く。
「今後の方針に関して相談がある」
「なんだ?」
「町を造り、国を創り……やらないといけないことがたくさんある。まず食料確保だ。今は森に入って自給自足しているが、魔物が集まれば足りなくなるし、森も枯れてしまうだろう」
「名案はないか?」
「農場を経営しようと思うんだが、どうだろう?」
「場所は?」
「森の南だ。森から流れ出た水が川となって……ローデシアの中でも豊かな土地だと思う。畜産など考えている」
「魔手がいるな……しかし畑をつくる知識をもつ者がいるかな? 魔族に」
「ホビット達を誘いたい」
アラギウスの提案に、ミューレゲイトは目を輝かせた。
「ホビットか。あいつらはいいな。おもしろい奴らだ……」
「賛成してくれるか?」
「する。だが、わらわが行けば脅えるかもしれん。お前のほうがいいかもしれない」
「……町を造る監督がいなくなる」
「……まずは手紙を出してみよう。ホビットの長(おさ)に、豊かな土地があるから移って来いと誘おう……彼らも人間達の結界で追いやられているから」
ミューレゲイトはそこで口を閉じ、チラリとアラギウスを見る。大魔導士は視線を送られて尋ねた。
「どうした?」
「すまん。お前も人間だった」
「気にしないでくれ。別になんとも思わない」
「……うん。それから、結界が出たからちょうどいい。結界の対策はどうする?」
ミューレゲイトが心配するのは、ローデシアに魔物の国をつくると、人間達はこれまでのように聖女を派遣し結界をはりめぐらして、魔物たちが暮らせなくなるようにしてしまうのではないかというものだ。
「その対策は、今はない」
アラギウスは答えたが、その表情を見たミューレゲイトは微笑む。
「でも、自信があるのだろう?」
「攻撃魔法と支援魔法……それは必ず交わるものだ。必ずみつける」
大魔導士は、責任をもって請け負うと魔王に伝えた。
-Myihlgeat-
過去、世界を震撼させた魔王の中の魔王ミューレゲイトは、多くの竜、人間、魔族の生命力を吸い取り最強となった竜とサキュバスのハーフである。念じた相手を魅了してしまう能力は戦う前から相手を敗北せしめる特殊さで、勇者隊が一五〇年前に現れなければ、本当に世界を制覇していたかもしれない。
彼女は前世、魔物たちのために人間を滅ぼそうと決めた。
しかし敗れた。
彼女は復活し、今度こそはと意気込んだが、敗れた原因を分析するなかで、過去の過ちを認め、違う方法で魔物たちを守ると決めた。
人間は外圧に対して強い。恐ろしいほどに強くなる。個体は弱いが、集団になるととても手強い。だから排除するのは非常に難しい。
であれば、人間が暮らさない土地に、魔物が暮らす国をつくり、完全なる棲み分けを行うことで両者は共存できるのではないかと期待したのだ。
だが方法がわからない。奪うことしか知らなかったからである。
どうしたものかと悩む日々で、彼女は現れた男に感謝した。
アラギウス・ファウスだ。
その力と知識を彼女は熟知していた。
なにせ、自分を倒すほどの力をもつ大魔導士なのだから。
勇者隊も、彼がいなければ魔王を倒すことなど不可能だっただろう。
運よく、これはミューレゲイトにとって運よく、アラギウスは人間の国家から追放された。そして、敗れた腹いせに不老不死の呪いをかけたミューレゲイトを恨んでいる様子がない。
魔道書を読ませるという条件で、アラギウスは協力してくれるという。
彼女は喜び、魔物集めを担当すると、忙しくあちこちと移動し、出会った魔物たちをかたっぱしから誘った。
魔王に誘われて、嫌がる魔物はいない。
コボルト、ゴブリンの複数の部族が募集に応じて移住を決めた。そしてオーガやオークといった力仕事を得意とする部族も加わり、ダークエルフ達もローデシアの森に集まり始めた。
増え始めた数をまかなうのに、前世では略奪でよかったが今回はそうもいかない。
農場を始めたい。
アラギウスがホビット達を誘うと提案してくれたことで、ミューレゲイトは手紙を書いた。
前世ではミューレゲイトの方針によって戦いを好まない者達は阻害された。その時のことがあるので、彼女は彼らに身の安全を保障し、財産も保証する約束を記した。
「まだ足りないな」
アラギウスの言葉に、ミューレゲイトは素直に問う。
「どうしたらいい?」
「前世でのお前の方針、最初に間違いであったと認め、謝罪しておいたほうがいい。それから誘いと条件だ」
「わかった」
鷹の羽で作ったペンは、書き心地がよくミューレゲイトの好みだ。
大樹の家で、大魔導士を隣に手紙を書く魔王は、誠意を込めて間違いを認め謝罪の言葉を記す。
「どうだろう?」
魔法の光が漂う室内で、魔王が手紙を大魔導士に見せる。
彼女の背後から、手紙をのぞき見るアラギウスは頷いた。
「いいと思う」
「よかった。あー文章は苦手だ」
「得意な奴なんていないよ」
「お前は得意そうだが?」
「得意じゃない。読むのは好きだが」
「そうか……林檎酒、飲むか?」
「飲む……魔道書の古代文字、俺の知らない言葉があるんだ。翻訳頼めないか?」
「いいだろう。任せろ」
ミューレゲイトは林檎酒の入った瓶を魔法で手繰り寄せ、杯もふたつ、呼び寄せた。空間をすいっと動いて二人の手に収まる瓶と杯。
アラギウスが、部屋の隅に積み重ねた書物の山を前にごそごそとして、重い本を手にミューレゲイトの隣に戻る。
頁をめくるアラギウスと、酒を飲むミューレゲイト。
「あ、ここだ。この頁だ」
「ここは古代ラーグ文字のなかでも特殊な慣用句が使われているな。乙女のような潤いを与えよという意味に訳せるけど違う。聖なる水を飲めという訳が正しい」
「聖なる水……バルボーザの魔道書にたびたび出るこの文章は、全て聖なる水を飲めという意味か?」
「前後の文章で変わる。赤線を引いてくれ。その箇所を訳しておこう」
「……原書にはしたくない。写本してからする」
「忙しいのに無理じゃないか?」
「寝る時間を削ればいい」
アラギウスはそういうと、彼女にどけと言う。
ミューレゲイトは席を譲り、書斎兼食卓兼居間のテーブルにアラギウスが向かい、作業を始めた。
彼女は、彼の背を眺めながら微笑んでいた。
これは、ミューレゲイトが村の図面を一手に引き受けてくれたお礼だとして、アラギウスの家名をとったのである。
人手……魔手が増えて開発は順調だ。
魔物たちは、魔王直々に誘いを受けて喜び参加している。彼らは皆、魔王を殺されてから今日まで苦難の日々を過ごしていたらしい。
オーガの巨体が軽々と岩を運び、ゴブリンやコボルト達が家屋の組み立てを粛々と行う。多くの魔物が集まったので、当初の村では規模が足りなくなったが、ダークエルフ達が森の精霊を説得し、湖の周囲の木々に移動をしてもらうという離れ業をしてみせたことで、有効面積が当初の十倍となり、町造りへと進化している。
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アラギウスは、「もちろんだ」という返答を読んでいたので、すでに用意していた図面を広げながら質問したが、答えは違った。
「不要だ。わらわはあの家でいい」
「あの家?」
「木の家、居心地いいんだ」
「……なんだかお前のことを尊敬してきた」
「尊敬しろ! もっとしろ! うふふふふふ」
嬉しそうに笑うミューレゲイトはとても美しく、二人の近くで作業をしていたオーガの手がとまる。
「おい、さぼるな!」
魔王に叱られ、巨体を小さくしたオーガが岩を運ぶ。
町の中央に、神殿が作られているが、像などは置かない造りだ。ここは、魔物――といっても様々な種族、部族が同時に、それぞれの信仰する神への祈りを捧げる場として造られようとしている。
「この神殿は、いつでも誰でも入ることができるようにしよう」
ミューレゲイトの言葉に、アラギウスは頷く。
(ミューレゲイトは、それぞれの信仰を保護しようというのだな? 魔族だから竜王バルボーザを崇めろと強いるものばかりと思っていたけど違うんだな)
だが、そのほうがいいと彼も思った。ここで、懸念事項を話し合いたいと口を開く。
「今後の方針に関して相談がある」
「なんだ?」
「町を造り、国を創り……やらないといけないことがたくさんある。まず食料確保だ。今は森に入って自給自足しているが、魔物が集まれば足りなくなるし、森も枯れてしまうだろう」
「名案はないか?」
「農場を経営しようと思うんだが、どうだろう?」
「場所は?」
「森の南だ。森から流れ出た水が川となって……ローデシアの中でも豊かな土地だと思う。畜産など考えている」
「魔手がいるな……しかし畑をつくる知識をもつ者がいるかな? 魔族に」
「ホビット達を誘いたい」
アラギウスの提案に、ミューレゲイトは目を輝かせた。
「ホビットか。あいつらはいいな。おもしろい奴らだ……」
「賛成してくれるか?」
「する。だが、わらわが行けば脅えるかもしれん。お前のほうがいいかもしれない」
「……町を造る監督がいなくなる」
「……まずは手紙を出してみよう。ホビットの長(おさ)に、豊かな土地があるから移って来いと誘おう……彼らも人間達の結界で追いやられているから」
ミューレゲイトはそこで口を閉じ、チラリとアラギウスを見る。大魔導士は視線を送られて尋ねた。
「どうした?」
「すまん。お前も人間だった」
「気にしないでくれ。別になんとも思わない」
「……うん。それから、結界が出たからちょうどいい。結界の対策はどうする?」
ミューレゲイトが心配するのは、ローデシアに魔物の国をつくると、人間達はこれまでのように聖女を派遣し結界をはりめぐらして、魔物たちが暮らせなくなるようにしてしまうのではないかというものだ。
「その対策は、今はない」
アラギウスは答えたが、その表情を見たミューレゲイトは微笑む。
「でも、自信があるのだろう?」
「攻撃魔法と支援魔法……それは必ず交わるものだ。必ずみつける」
大魔導士は、責任をもって請け負うと魔王に伝えた。
-Myihlgeat-
過去、世界を震撼させた魔王の中の魔王ミューレゲイトは、多くの竜、人間、魔族の生命力を吸い取り最強となった竜とサキュバスのハーフである。念じた相手を魅了してしまう能力は戦う前から相手を敗北せしめる特殊さで、勇者隊が一五〇年前に現れなければ、本当に世界を制覇していたかもしれない。
彼女は前世、魔物たちのために人間を滅ぼそうと決めた。
しかし敗れた。
彼女は復活し、今度こそはと意気込んだが、敗れた原因を分析するなかで、過去の過ちを認め、違う方法で魔物たちを守ると決めた。
人間は外圧に対して強い。恐ろしいほどに強くなる。個体は弱いが、集団になるととても手強い。だから排除するのは非常に難しい。
であれば、人間が暮らさない土地に、魔物が暮らす国をつくり、完全なる棲み分けを行うことで両者は共存できるのではないかと期待したのだ。
だが方法がわからない。奪うことしか知らなかったからである。
どうしたものかと悩む日々で、彼女は現れた男に感謝した。
アラギウス・ファウスだ。
その力と知識を彼女は熟知していた。
なにせ、自分を倒すほどの力をもつ大魔導士なのだから。
勇者隊も、彼がいなければ魔王を倒すことなど不可能だっただろう。
運よく、これはミューレゲイトにとって運よく、アラギウスは人間の国家から追放された。そして、敗れた腹いせに不老不死の呪いをかけたミューレゲイトを恨んでいる様子がない。
魔道書を読ませるという条件で、アラギウスは協力してくれるという。
彼女は喜び、魔物集めを担当すると、忙しくあちこちと移動し、出会った魔物たちをかたっぱしから誘った。
魔王に誘われて、嫌がる魔物はいない。
コボルト、ゴブリンの複数の部族が募集に応じて移住を決めた。そしてオーガやオークといった力仕事を得意とする部族も加わり、ダークエルフ達もローデシアの森に集まり始めた。
増え始めた数をまかなうのに、前世では略奪でよかったが今回はそうもいかない。
農場を始めたい。
アラギウスがホビット達を誘うと提案してくれたことで、ミューレゲイトは手紙を書いた。
前世ではミューレゲイトの方針によって戦いを好まない者達は阻害された。その時のことがあるので、彼女は彼らに身の安全を保障し、財産も保証する約束を記した。
「まだ足りないな」
アラギウスの言葉に、ミューレゲイトは素直に問う。
「どうしたらいい?」
「前世でのお前の方針、最初に間違いであったと認め、謝罪しておいたほうがいい。それから誘いと条件だ」
「わかった」
鷹の羽で作ったペンは、書き心地がよくミューレゲイトの好みだ。
大樹の家で、大魔導士を隣に手紙を書く魔王は、誠意を込めて間違いを認め謝罪の言葉を記す。
「どうだろう?」
魔法の光が漂う室内で、魔王が手紙を大魔導士に見せる。
彼女の背後から、手紙をのぞき見るアラギウスは頷いた。
「いいと思う」
「よかった。あー文章は苦手だ」
「得意な奴なんていないよ」
「お前は得意そうだが?」
「得意じゃない。読むのは好きだが」
「そうか……林檎酒、飲むか?」
「飲む……魔道書の古代文字、俺の知らない言葉があるんだ。翻訳頼めないか?」
「いいだろう。任せろ」
ミューレゲイトは林檎酒の入った瓶を魔法で手繰り寄せ、杯もふたつ、呼び寄せた。空間をすいっと動いて二人の手に収まる瓶と杯。
アラギウスが、部屋の隅に積み重ねた書物の山を前にごそごそとして、重い本を手にミューレゲイトの隣に戻る。
頁をめくるアラギウスと、酒を飲むミューレゲイト。
「あ、ここだ。この頁だ」
「ここは古代ラーグ文字のなかでも特殊な慣用句が使われているな。乙女のような潤いを与えよという意味に訳せるけど違う。聖なる水を飲めという訳が正しい」
「聖なる水……バルボーザの魔道書にたびたび出るこの文章は、全て聖なる水を飲めという意味か?」
「前後の文章で変わる。赤線を引いてくれ。その箇所を訳しておこう」
「……原書にはしたくない。写本してからする」
「忙しいのに無理じゃないか?」
「寝る時間を削ればいい」
アラギウスはそういうと、彼女にどけと言う。
ミューレゲイトは席を譲り、書斎兼食卓兼居間のテーブルにアラギウスが向かい、作業を始めた。
彼女は、彼の背を眺めながら微笑んでいた。
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