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城に呼ばれた女の子
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都に帰った俺たちだが、当然ながら姫様は城に帰った。
「帰りたくないのよ! あんな暇なところ!」
帰れよ……。
だいたい、あんたが護衛をまいて姿を消していたせいで、船から埠頭へ上陸するときにお嬢や爺がめちゃくちゃ疑われてたわ!
こうさかて屋敷に戻り、姫は勇者ランドのお土産をあちこちに配るらしく出かけていった。
どうせ、あのイケメンのところで長居すんだろ。
交尾は大人になってからにしろよと言ってやりたい。
爺はというと、エドワードの世話をしないといけないということで彼と出掛けた。監禁生活が長かったので、病院にいっていろいろと検査を受けるみたいだ。
暇だ。
俺は暇になった。
と思って庭でゴロゴロしていると、屋敷にスタスタと歩いて姫様が入ってくるではないか!
待て待て待て!
お前は城に帰れよ。
「ロイ、レイチェルは出掛けたの?」
俺はここではただの犬だ。
喋れないんだ。
ということを伝えたいので、クンクンと内定みせた。
「あ、そうか。ごめんなさい」
彼女が俺を抱き上げる。
「聞かれたらまずいわよね。小声で話して」
「お嬢はお土産を配りに。爺はエドワードを連れて病院に行ったぞ」
「じゃ、レイチェルが帰ったら明日、迎えを寄越すからお城にお茶に来てと伝えてね」
「俺は話せないっつったろ」
「あ、そうか。ごめんなさい」
この姫様は強いが頭が弱いのではなかろうか。
あ、クレアがいる。
彼女に伝えておけとカテリーナに指示を出す。
「姫さん、クレアに言っておけ。伝わる」
「そうね。クレアー!」
明るい姫様の声に、彼女は飛び上がってこちらを見た。そしてあわてて駆け寄ってくると、姫さんの腕から俺を奪うようにとり、一礼する。
「先ほど庭をゴロゴロしていて汚くなっています。申し訳ありません」
「え? いいのよ。ロイは可愛く素敵なビーグルだもの」
さすが二の仲間だ。
「それでね、レイチェルに伝えてほしいんだけど、明日の一時に迎えを寄越すからお城に来てほしいの。お茶をしましょうと」
「はい。かしこまりました。必ず伝えます……え? ……えー!?」
クレアの反応にカテリーナは笑う。
「そんなに驚くことないじゃない。友達になったのだから。それではよろしく」
姫が去った直後、クレアは凄まじい速度で走ると屋敷に入り、出会う使用人に片っ端から声をかけ、忙しく細々を伝え始めた。
ドレスの用意だとか、お土産を用意とか、馬車の手配をなどなど、それはもう大変そうだ。
だけど、そろそろ飯にしてくれんかな?
俺は忙しく動く使用人たちを眺め、だれか気づいてくれないかと待つが、皆無視する。
キッチンへと忍び込み、勝手に飯を食べることにした。
場所はわかっとるのだ。
問題は、この姿では届かぬ高みにあることだ。
魔法でドックフードの袋を浮かして、降ろそうとしたが、封が開けられていた袋から一斉に中身がこぼれ落ちてきた。
ドックフードの滝!
ばらばらーとキッチンに広がったドックフードたちよ!
我がもとに集え!
はむはむはむはむはむはむはむ……
「あんた、なにしてんの?」
ふりかえると、クレアがいた。
「お嬢様の明日の準備で忙しいときにー!」
俺はクレアに首をつまみ上げられ、猫のように運ばれ、納屋に閉じ込められる。
甘い。
俺は魔王のビーグルだぞ?
こんなもん余裕だ。
納屋を脱出した時、玄関のほうが賑やかだった。
「ええ!? わたしがお城に!? やった! 本当に誘ってくださったのね!」
「ですがお嬢様! 明日はお城でチュウショク会も開かれております。さまざまな紳士淑女がいらっしゃるでしょう。恥ずかしくないお姿で登城なさいますように」
「ええ? これじゃダメかなぁ?」
「だめです」
お嬢、安心せよ。
俺がついていって、いいように都合つけてやるからな。
まかせておけぃ。
「帰りたくないのよ! あんな暇なところ!」
帰れよ……。
だいたい、あんたが護衛をまいて姿を消していたせいで、船から埠頭へ上陸するときにお嬢や爺がめちゃくちゃ疑われてたわ!
こうさかて屋敷に戻り、姫は勇者ランドのお土産をあちこちに配るらしく出かけていった。
どうせ、あのイケメンのところで長居すんだろ。
交尾は大人になってからにしろよと言ってやりたい。
爺はというと、エドワードの世話をしないといけないということで彼と出掛けた。監禁生活が長かったので、病院にいっていろいろと検査を受けるみたいだ。
暇だ。
俺は暇になった。
と思って庭でゴロゴロしていると、屋敷にスタスタと歩いて姫様が入ってくるではないか!
待て待て待て!
お前は城に帰れよ。
「ロイ、レイチェルは出掛けたの?」
俺はここではただの犬だ。
喋れないんだ。
ということを伝えたいので、クンクンと内定みせた。
「あ、そうか。ごめんなさい」
彼女が俺を抱き上げる。
「聞かれたらまずいわよね。小声で話して」
「お嬢はお土産を配りに。爺はエドワードを連れて病院に行ったぞ」
「じゃ、レイチェルが帰ったら明日、迎えを寄越すからお城にお茶に来てと伝えてね」
「俺は話せないっつったろ」
「あ、そうか。ごめんなさい」
この姫様は強いが頭が弱いのではなかろうか。
あ、クレアがいる。
彼女に伝えておけとカテリーナに指示を出す。
「姫さん、クレアに言っておけ。伝わる」
「そうね。クレアー!」
明るい姫様の声に、彼女は飛び上がってこちらを見た。そしてあわてて駆け寄ってくると、姫さんの腕から俺を奪うようにとり、一礼する。
「先ほど庭をゴロゴロしていて汚くなっています。申し訳ありません」
「え? いいのよ。ロイは可愛く素敵なビーグルだもの」
さすが二の仲間だ。
「それでね、レイチェルに伝えてほしいんだけど、明日の一時に迎えを寄越すからお城に来てほしいの。お茶をしましょうと」
「はい。かしこまりました。必ず伝えます……え? ……えー!?」
クレアの反応にカテリーナは笑う。
「そんなに驚くことないじゃない。友達になったのだから。それではよろしく」
姫が去った直後、クレアは凄まじい速度で走ると屋敷に入り、出会う使用人に片っ端から声をかけ、忙しく細々を伝え始めた。
ドレスの用意だとか、お土産を用意とか、馬車の手配をなどなど、それはもう大変そうだ。
だけど、そろそろ飯にしてくれんかな?
俺は忙しく動く使用人たちを眺め、だれか気づいてくれないかと待つが、皆無視する。
キッチンへと忍び込み、勝手に飯を食べることにした。
場所はわかっとるのだ。
問題は、この姿では届かぬ高みにあることだ。
魔法でドックフードの袋を浮かして、降ろそうとしたが、封が開けられていた袋から一斉に中身がこぼれ落ちてきた。
ドックフードの滝!
ばらばらーとキッチンに広がったドックフードたちよ!
我がもとに集え!
はむはむはむはむはむはむはむ……
「あんた、なにしてんの?」
ふりかえると、クレアがいた。
「お嬢様の明日の準備で忙しいときにー!」
俺はクレアに首をつまみ上げられ、猫のように運ばれ、納屋に閉じ込められる。
甘い。
俺は魔王のビーグルだぞ?
こんなもん余裕だ。
納屋を脱出した時、玄関のほうが賑やかだった。
「ええ!? わたしがお城に!? やった! 本当に誘ってくださったのね!」
「ですがお嬢様! 明日はお城でチュウショク会も開かれております。さまざまな紳士淑女がいらっしゃるでしょう。恥ずかしくないお姿で登城なさいますように」
「ええ? これじゃダメかなぁ?」
「だめです」
お嬢、安心せよ。
俺がついていって、いいように都合つけてやるからな。
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