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感動の再会
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洗面台の鏡の中から手が出て来た。
「ぎゃああああああああ!!」
「マリコ!」
名を呼ぶ声は悲鳴に打ち消される。
女子トイレから聞こえる女子学生の叫び声に、人が駆け付け集まって来る。
マリコの目の前に男が立っているが、恐怖でマリコは顔を見る事さえできない。
「こ、ここ、ここは女子トイレよ!!」
男がマリコに蹴りだされた。
「お母様。」
え?お母様?
マリコが恐る恐る顔をあげるとシンシアがいた。
「シンシア!」
あふれる涙と共にマリコがシンシアに抱きつく。
「あれ、シンシアがいる、じゃギルバートは?」
「先程、お母様に蹴りだされましたわ。」
後ろにはアレクセイ、ジョシュア、関脇もいる。
「ここ女子トイレ!!」
男3人が追い出された。
外では誰かの声がする。人が集まって大騒ぎになているらしい。
「女子トイレにチカンです!」
「ごめんなさい、ごめんなさい。身内なんです。
見ての通り外国人でよくわからなかったんです。
びっくりして大声出しただけなんです。」
マリコが、集まった人に頭を下げてチカン容疑を否定している。
「警察は呼ばないで、身内なんです。」
ギルバート、アレクセイ、ジョシュア、シンシア、関脇とどれもが完全に外国人の容姿だ、身内と言うには無理があり過ぎる。
「ちょっと!
ギルバート何してるのよ!」
「マリコだ!マリコ、マリコ!」
竜王様は番を堪能するのに忙しい。
指を絡めたり、頬を撫でたり、口づけしようとして、マリコに阻止されている。
ギルバートは超絶イケメンであるが、夢を壊しそうなぐらいの崩壊ぶりである。
マリコの肩に顔を埋めて匂いを嗅いでいる。
チカンではなくとも、変態だと証明していた。
「同意の上です!
警察呼ばないでーーー!」
認めたくはないが警察は困る、マリコは変態を認めた。
アレクセイ達はちゃかり、その場に来た学生達にいろんな事を質問している。
「この国は初めてで良く分からないんだ。」
アレクセイはシンシアを周りに集まる男子学生からしっかりガードしている。
反対に女子学生に封じ込められたのは、ジョシュアと関脇だ。
「どこの国から来たの?」
「日本語うまいですね。」
「どんな関係でここに?」
矢継ぎ早の質問に関脇がびくつくのを、ジョシュアが肩寄せると黄色い声があがっている。
「真理子、ちょっと真理子。」
由香ちゃんが近寄ってきたけど、説明しようがない。
「ギルバートって本当にいたの?!」
話の通りイケメンだが、これは違うだろう、と由香の顔に出ている。
誰だっていい事しか話したくない、マリコもそうだった。
「この通り。
ごめんね、もう行くから。」
ギルバートの手を握り、逃げるように大学を出る。
大学に興味津々なアレクセイは名残惜しそうだったが、そんな余裕はない。
「どこか人目につかない場所から戻りましょう。」
アレクセイが言うが、どこにいても目立ち、視線を集めている。
こいつら顔面偏差値高すぎ、マリコが心の中で溜め息をつく。
私が産んだのに、アレクセイなんて母の要素ゼロじゃないか、母の記憶だけが唯一の遺伝かもしれない。
「お土産を買ってあるの、取りに戻りたい。
電車に乗るんだけど。」
「母上、時間の猶予は余りありません、急ぎましょう。」
電車が魅力的だったらしく、アレクセイの許可がでた。
大学を出ると高層ビルに目を見張り、車、電車、人の多さ、街頭スクリーン、全てにカルチャーショックを受けているアレクセイ達。
「母上の記憶の通りだ。」
興奮しているアレクセイを初めて見たかも、小さな頃から落ち着いた子供だったとマリコは変な感動をしている。
電車には関脇が大喜びだ、ホームに電車が入ってくるのをワクワクして見ている。
3歳児と同じで可愛い。
「ねえ、その服装、ここで違和感がないんだけど、どうしたの?」
ポロシャツにパンツ、ギルバートとアレクセイはさらにブレザー、シンシアはひざ丈のワンピースにハンドバック、この世界仕様になっている。
「私が母上の記憶を元に作らせたのです。
ここで目立ちたくありませんでしたからね。」
その容姿では無理だろう、キラキラだぞ。
電車を降り家への道を歩くも人々が振り返る、私だって他人だったら振り返ってみるよな、と思うマリコ。
ギルバート一人でもすごいのに、一群だ、美形一家様お通りである。
マリコの家には誰もいなかった。
母も父も仕事で、弟は学校である、ごく普通の日本人家庭。
人気のないリビングに入り、カーテンを開ける。
「さよならも言えない。」
ギルバートが迎えに来ると確信して書いてあった手紙を取りだし、食卓テーブルに置くと涙がこぼれた。
「マリコ。」
マリコの肩を抱くギルバートがマリコの涙をぬぐう。
「だって、もう会えない。」
娘の夫だと、ギルバートを紹介したかった。
孫だよ、ってアレクセイ達を見せたらどんなに喜んだろう。
スマホで撮ったギルバートやアレクセイ達と一緒の写真を両親と弟に送る。
「ごめん、マリコ。
それでも連れて行く。」
「うん、ギルバートがいいの。」
「それでは、戻りますわよ。」
シンシアが取り出したのは、ポチの手鏡である。
「マリコ、おしゃべりな鏡とポチがマリコを待っているよ。」
ギルバートがマリコに防護の魔法をかけ、両手で抱きしめる。
「言ってなかった、会いたかったギルバート。」
マリコがギルバートにくるまれて言う。
「私もだよ、マリコ。」
ギルバートのマリコを抱きしめる腕に力がはいる。
「二度と離さない。」
変態に言わしてはいけない言葉であろう。
「ぎゃああああああああ!!」
「マリコ!」
名を呼ぶ声は悲鳴に打ち消される。
女子トイレから聞こえる女子学生の叫び声に、人が駆け付け集まって来る。
マリコの目の前に男が立っているが、恐怖でマリコは顔を見る事さえできない。
「こ、ここ、ここは女子トイレよ!!」
男がマリコに蹴りだされた。
「お母様。」
え?お母様?
マリコが恐る恐る顔をあげるとシンシアがいた。
「シンシア!」
あふれる涙と共にマリコがシンシアに抱きつく。
「あれ、シンシアがいる、じゃギルバートは?」
「先程、お母様に蹴りだされましたわ。」
後ろにはアレクセイ、ジョシュア、関脇もいる。
「ここ女子トイレ!!」
男3人が追い出された。
外では誰かの声がする。人が集まって大騒ぎになているらしい。
「女子トイレにチカンです!」
「ごめんなさい、ごめんなさい。身内なんです。
見ての通り外国人でよくわからなかったんです。
びっくりして大声出しただけなんです。」
マリコが、集まった人に頭を下げてチカン容疑を否定している。
「警察は呼ばないで、身内なんです。」
ギルバート、アレクセイ、ジョシュア、シンシア、関脇とどれもが完全に外国人の容姿だ、身内と言うには無理があり過ぎる。
「ちょっと!
ギルバート何してるのよ!」
「マリコだ!マリコ、マリコ!」
竜王様は番を堪能するのに忙しい。
指を絡めたり、頬を撫でたり、口づけしようとして、マリコに阻止されている。
ギルバートは超絶イケメンであるが、夢を壊しそうなぐらいの崩壊ぶりである。
マリコの肩に顔を埋めて匂いを嗅いでいる。
チカンではなくとも、変態だと証明していた。
「同意の上です!
警察呼ばないでーーー!」
認めたくはないが警察は困る、マリコは変態を認めた。
アレクセイ達はちゃかり、その場に来た学生達にいろんな事を質問している。
「この国は初めてで良く分からないんだ。」
アレクセイはシンシアを周りに集まる男子学生からしっかりガードしている。
反対に女子学生に封じ込められたのは、ジョシュアと関脇だ。
「どこの国から来たの?」
「日本語うまいですね。」
「どんな関係でここに?」
矢継ぎ早の質問に関脇がびくつくのを、ジョシュアが肩寄せると黄色い声があがっている。
「真理子、ちょっと真理子。」
由香ちゃんが近寄ってきたけど、説明しようがない。
「ギルバートって本当にいたの?!」
話の通りイケメンだが、これは違うだろう、と由香の顔に出ている。
誰だっていい事しか話したくない、マリコもそうだった。
「この通り。
ごめんね、もう行くから。」
ギルバートの手を握り、逃げるように大学を出る。
大学に興味津々なアレクセイは名残惜しそうだったが、そんな余裕はない。
「どこか人目につかない場所から戻りましょう。」
アレクセイが言うが、どこにいても目立ち、視線を集めている。
こいつら顔面偏差値高すぎ、マリコが心の中で溜め息をつく。
私が産んだのに、アレクセイなんて母の要素ゼロじゃないか、母の記憶だけが唯一の遺伝かもしれない。
「お土産を買ってあるの、取りに戻りたい。
電車に乗るんだけど。」
「母上、時間の猶予は余りありません、急ぎましょう。」
電車が魅力的だったらしく、アレクセイの許可がでた。
大学を出ると高層ビルに目を見張り、車、電車、人の多さ、街頭スクリーン、全てにカルチャーショックを受けているアレクセイ達。
「母上の記憶の通りだ。」
興奮しているアレクセイを初めて見たかも、小さな頃から落ち着いた子供だったとマリコは変な感動をしている。
電車には関脇が大喜びだ、ホームに電車が入ってくるのをワクワクして見ている。
3歳児と同じで可愛い。
「ねえ、その服装、ここで違和感がないんだけど、どうしたの?」
ポロシャツにパンツ、ギルバートとアレクセイはさらにブレザー、シンシアはひざ丈のワンピースにハンドバック、この世界仕様になっている。
「私が母上の記憶を元に作らせたのです。
ここで目立ちたくありませんでしたからね。」
その容姿では無理だろう、キラキラだぞ。
電車を降り家への道を歩くも人々が振り返る、私だって他人だったら振り返ってみるよな、と思うマリコ。
ギルバート一人でもすごいのに、一群だ、美形一家様お通りである。
マリコの家には誰もいなかった。
母も父も仕事で、弟は学校である、ごく普通の日本人家庭。
人気のないリビングに入り、カーテンを開ける。
「さよならも言えない。」
ギルバートが迎えに来ると確信して書いてあった手紙を取りだし、食卓テーブルに置くと涙がこぼれた。
「マリコ。」
マリコの肩を抱くギルバートがマリコの涙をぬぐう。
「だって、もう会えない。」
娘の夫だと、ギルバートを紹介したかった。
孫だよ、ってアレクセイ達を見せたらどんなに喜んだろう。
スマホで撮ったギルバートやアレクセイ達と一緒の写真を両親と弟に送る。
「ごめん、マリコ。
それでも連れて行く。」
「うん、ギルバートがいいの。」
「それでは、戻りますわよ。」
シンシアが取り出したのは、ポチの手鏡である。
「マリコ、おしゃべりな鏡とポチがマリコを待っているよ。」
ギルバートがマリコに防護の魔法をかけ、両手で抱きしめる。
「言ってなかった、会いたかったギルバート。」
マリコがギルバートにくるまれて言う。
「私もだよ、マリコ。」
ギルバートのマリコを抱きしめる腕に力がはいる。
「二度と離さない。」
変態に言わしてはいけない言葉であろう。
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