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本編
シーリア回想
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彼と初めて会ったのは、王妃教育の合い間の時間を部屋から抜け出して、花壇のすみで隠れていた時。
忘れる事はない、大事な思い出。
私は、人よりも決してよくできる方じゃない。普通だと思う。
けど、周りはそうは見てくれない。
王宮での教育の後、公爵家で復習した。ダンスはお兄様につきっきりで教えてもらった。
頑張ってできるようになったら、もっとと望まれてしまう。
少し疲れた。
足音で目が覚めた。
いつの間にか寝ていたらしい。
黒髪が陽に輝いてキラキラしている。深い緑の目に吸い込まれそう。
「お兄様はだぁれ?」
リヒトール・マクレンジー、王妃教育で習った。
各国の表も裏も操ることのできる要注意人物。
怖い話ばかり聞く。
マクレンジー商会から物資を準備し、マクレンジー商会から買った武器で戦争をする。
朝食のパンを作る小麦もマクレンジー商会の流通経路を使う。
ドレスを仕立てる絹は、マクレンジー商会の関連工場で生産される。
マクレンジー商会ほど、各国に流通組織をもっているところはない。
ある国に伝染病が流行った。それは致死率が高く、伝染力も強かった。
リヒトール・マクレンジーは、薬を納入する条件として、病人の多い2カ所の都市を閉鎖するよう要求した。
その病気に対抗できる唯一の薬は初期症状の患者にしか効かないからだ。結果、周りの国に感染者はなく、閉鎖された都市で1万人が亡くなった。
深い緑色の瞳、普通の人に見える。
あぁ、きっと普通の人が怖いんだ、誰もが同じなんだ。そこで行動できるかの違いなんだと思う。
大人の男性だ、黒髪がステキ、2歳年上のアランが子供にみえる、実際にまだ子供だし。
私も子供に見られてるかと思うとショック、いつか、振り返るような美女になってやるんだからと思うとなんだか楽しい。
美貌と教養を合わせもった絶世の美女にって想像したら、誰だそれは、と我ながら思ったりして。
クスクス笑ってしまったら、マクレンジー様もつられたのか微笑んでくれたわ、なんか勝った気分。
あれから、いつでも目の端でリヒトール・マクレンジーを探してる。
年に何度か、王宮で見かける。あの時みた笑顔を見かけることはない。
見ちゃダメだと思うのに、目が追ってしまう。
視線がからまる、うれしい。自分でも自覚している。
私は王太子の婚約者、でもアランに微笑むこともできない、他の人を想う心がやましいからだ。
どうやったら、婚約者から降りれるかと考えてばかりいる。
だからといって、リヒトール様と結婚できるとは思っていないけど、他の人はイヤ。
公爵家が醜聞を負うようなことになってはいけない。
マクレンジー様か爵位で呼ばなければいけないんだけど、私の中ではずっとリヒトール様と呼んでる、心の中では宮廷マナーなんて関係ない。
アランが私から飽きればいいんだ、すれ違うようにしよう、アランにとって不快な女になるように。
登城する時間をほんの少しずらすだけで、アランと会うことがめっきり減った。
一緒に居る時はこちらから話しかけない、さりげなく退屈な時間になるよう心がけるって、結構むずかしいって悟った。
アランだけでなく、陛下や王妃様と在席していることも多い、私の大きな努力は小さな結果にしかならない。
いつの間にか、リヒトール様はグレネド伯爵と名乗っていた。
没落貴族を買収したらしい、彼の噂は早い、一挙一動を注目されているから。
すごく忙しい人のはずなのに、セルジオ王宮でよく見かける。
どうしても期待してしまう。バカな私、こんな子供、相手にされやしないのに。
お父様にもお兄様にも、婚約を辞めたいとお願いしたが、ことは簡単にはいかない。
国のためには、このまま結婚するのがいいとわかっている、今さら、他の人で王妃教育が間に合うのかとか、貴族間のバランス、10年の婚約という長い公認。
アランは王太子とはいえ、従兄で、どうしても家族枠でみてしまう。嫌いになれないので、避けるようにした結果、アランの方もよそよそしくなった。
自分で仕向けたのに、寂しく思ってしまう。
ただの従兄でいたいなんて贅沢、両方を得ることなんてできないのは、わかってる。
ここのところ、アランには常に恋人がいたようで、アランに対する罪悪感が少し和らいだ。。
そして、穏便に婚約解消を願っていた。
忘れる事はない、大事な思い出。
私は、人よりも決してよくできる方じゃない。普通だと思う。
けど、周りはそうは見てくれない。
王宮での教育の後、公爵家で復習した。ダンスはお兄様につきっきりで教えてもらった。
頑張ってできるようになったら、もっとと望まれてしまう。
少し疲れた。
足音で目が覚めた。
いつの間にか寝ていたらしい。
黒髪が陽に輝いてキラキラしている。深い緑の目に吸い込まれそう。
「お兄様はだぁれ?」
リヒトール・マクレンジー、王妃教育で習った。
各国の表も裏も操ることのできる要注意人物。
怖い話ばかり聞く。
マクレンジー商会から物資を準備し、マクレンジー商会から買った武器で戦争をする。
朝食のパンを作る小麦もマクレンジー商会の流通経路を使う。
ドレスを仕立てる絹は、マクレンジー商会の関連工場で生産される。
マクレンジー商会ほど、各国に流通組織をもっているところはない。
ある国に伝染病が流行った。それは致死率が高く、伝染力も強かった。
リヒトール・マクレンジーは、薬を納入する条件として、病人の多い2カ所の都市を閉鎖するよう要求した。
その病気に対抗できる唯一の薬は初期症状の患者にしか効かないからだ。結果、周りの国に感染者はなく、閉鎖された都市で1万人が亡くなった。
深い緑色の瞳、普通の人に見える。
あぁ、きっと普通の人が怖いんだ、誰もが同じなんだ。そこで行動できるかの違いなんだと思う。
大人の男性だ、黒髪がステキ、2歳年上のアランが子供にみえる、実際にまだ子供だし。
私も子供に見られてるかと思うとショック、いつか、振り返るような美女になってやるんだからと思うとなんだか楽しい。
美貌と教養を合わせもった絶世の美女にって想像したら、誰だそれは、と我ながら思ったりして。
クスクス笑ってしまったら、マクレンジー様もつられたのか微笑んでくれたわ、なんか勝った気分。
あれから、いつでも目の端でリヒトール・マクレンジーを探してる。
年に何度か、王宮で見かける。あの時みた笑顔を見かけることはない。
見ちゃダメだと思うのに、目が追ってしまう。
視線がからまる、うれしい。自分でも自覚している。
私は王太子の婚約者、でもアランに微笑むこともできない、他の人を想う心がやましいからだ。
どうやったら、婚約者から降りれるかと考えてばかりいる。
だからといって、リヒトール様と結婚できるとは思っていないけど、他の人はイヤ。
公爵家が醜聞を負うようなことになってはいけない。
マクレンジー様か爵位で呼ばなければいけないんだけど、私の中ではずっとリヒトール様と呼んでる、心の中では宮廷マナーなんて関係ない。
アランが私から飽きればいいんだ、すれ違うようにしよう、アランにとって不快な女になるように。
登城する時間をほんの少しずらすだけで、アランと会うことがめっきり減った。
一緒に居る時はこちらから話しかけない、さりげなく退屈な時間になるよう心がけるって、結構むずかしいって悟った。
アランだけでなく、陛下や王妃様と在席していることも多い、私の大きな努力は小さな結果にしかならない。
いつの間にか、リヒトール様はグレネド伯爵と名乗っていた。
没落貴族を買収したらしい、彼の噂は早い、一挙一動を注目されているから。
すごく忙しい人のはずなのに、セルジオ王宮でよく見かける。
どうしても期待してしまう。バカな私、こんな子供、相手にされやしないのに。
お父様にもお兄様にも、婚約を辞めたいとお願いしたが、ことは簡単にはいかない。
国のためには、このまま結婚するのがいいとわかっている、今さら、他の人で王妃教育が間に合うのかとか、貴族間のバランス、10年の婚約という長い公認。
アランは王太子とはいえ、従兄で、どうしても家族枠でみてしまう。嫌いになれないので、避けるようにした結果、アランの方もよそよそしくなった。
自分で仕向けたのに、寂しく思ってしまう。
ただの従兄でいたいなんて贅沢、両方を得ることなんてできないのは、わかってる。
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