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本編
始動
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護衛の一部が怪我したらしい、屋敷が慌ただしい。
リヒトールが帰宅したはずなのに、緊張した空気にシーリアは気が付いた。
「リヒトール様はご無事なの?」
護衛の一人に聞いてみると、
「もちろんです、我々がそのような失態をするはずがありません。」
彼らの自信に安心する。
でも、護衛が負傷するような何かがあったと思うと、リヒトールが心配で仕方ない、早く姿を確認したい。
たくさんの人が動いてる、何かが起こる、誰も何も教えてくれない。
伝令馬や伝書鳩が放たれている、ここに来てから商会の仕事で見慣れたものだが、何かが違う。
今、私のすべきことは待つことだ、私が騒いだら邪魔になる。
リヒト様が、私の全て、この恋を得た時から、穏やかな人生ではないと知っていた。
私兵隊と武器庫の方が特に騒々しい、侍女達も普段と変わりないようにしてるけど、わかる。
かがり火が用意され、大量の馬の嘶きがする、火薬の臭い。
「シーリア」後から声をかけられた。
「リヒト様」お帰りなさいのキスをする。
リヒトールは軍服らしきものを着ていた、マクレンジー軍の軍服なのだろう、この国の軍服ではない。
黒地に金ボタン、機能性重視だが、詰襟に腕章、腰には剣、黒髪のリヒトール自身が黒い獣のようである。
「かっこよすぎ、ドキドキが止まらない。」
シーリアの赤い顔を見て、リヒトールの機嫌が良くなったのがわかる。
「もう一度出かける、しばらく帰れないと思う。」
一体何をしようとしているのか、商人が軍服を着るなんて、危険なことに違いないのだ。
リヒトールはシーリアの手をとり、騎士のキスをした。
「私に幸運を願ってくれ。」
リヒトールに連れられて玄関先に行くと、すでにリヒトールの黒い大きな軍馬が用意されていた。
馬にまたがると、リヒトールはシーリアに振り返り大声をあげた。
「我妃に国を盗ってこよう!!!」
兵士たちの歓声があがる、それは大きく振動しているように聞こえる。
我妃と言った、クーデターだ!
ヒステン王国を潰して乗っ取るつもりなんだ。
リヒトールにとって、ブリューダル王国の革命は実験だったんだ、この為の。
瞬時にさとり、リヒトールに答えるように声を張り上げた、
「私の全ての兵に幸運を。必ず生きて戻ってきなさい。」
私の役割は、兵士を鼓舞することだと。
私の言葉に答えるように、大地が震えた、それは兵士達の息吹だ。
国なんていらない、リヒト様だけでいいのにと思っていても口にだせない。
これがリヒトール・マクレンジーなんだ。
長い夜が始まる。
どこから集まったか、長い軍列がすべて王城に向かった後、パトリシア達侍女に周りを守られて自室に戻った。
これからマクレンジー邸は警備が手薄になる、行動は最低限に抑えねばならない。
毎夜、リヒトールに愛された部屋で今夜は一人無事を祈る。
自分に武力があったなら、一緒に駆けていけただろうに、もしなんて考えても仕方ない、武術は訓練したけど、人並み以下だった、付いて行っても足でまといだ。
信心深いとはいいがたいが、この時ばかりは神に祈りたい。
どうか、あの人を守って。
クーデターで無血というわけにはいくまい、その犠牲はどうなるの。その誰かにも私のように大切に思っている人がいるはず。
リヒトール様が私に妃を与えるなら、その犠牲はどれほどのもので、私にその価値があるのか。
考えて答えがでるものではない、やめた、考えるのやめた。
できることをするだけだ、これから私はその犠牲の上に生きていくんだから、私が後ろ向きになってどうする。
側近に守られてリヒトールの黒い軍馬は駆ける。
先頭をエメルダ連邦国から戻ってきたシュバルツ、その後をリヒトール、脇をケインズ、ウィリアム、後ろをポール、ダーレンが固めて疾走する。
軍馬の蹴る土煙で辺りがくすんでいく。
夜明け前に城を制圧したい、夜は始まったばかりだ。
リヒトールが帰宅したはずなのに、緊張した空気にシーリアは気が付いた。
「リヒトール様はご無事なの?」
護衛の一人に聞いてみると、
「もちろんです、我々がそのような失態をするはずがありません。」
彼らの自信に安心する。
でも、護衛が負傷するような何かがあったと思うと、リヒトールが心配で仕方ない、早く姿を確認したい。
たくさんの人が動いてる、何かが起こる、誰も何も教えてくれない。
伝令馬や伝書鳩が放たれている、ここに来てから商会の仕事で見慣れたものだが、何かが違う。
今、私のすべきことは待つことだ、私が騒いだら邪魔になる。
リヒト様が、私の全て、この恋を得た時から、穏やかな人生ではないと知っていた。
私兵隊と武器庫の方が特に騒々しい、侍女達も普段と変わりないようにしてるけど、わかる。
かがり火が用意され、大量の馬の嘶きがする、火薬の臭い。
「シーリア」後から声をかけられた。
「リヒト様」お帰りなさいのキスをする。
リヒトールは軍服らしきものを着ていた、マクレンジー軍の軍服なのだろう、この国の軍服ではない。
黒地に金ボタン、機能性重視だが、詰襟に腕章、腰には剣、黒髪のリヒトール自身が黒い獣のようである。
「かっこよすぎ、ドキドキが止まらない。」
シーリアの赤い顔を見て、リヒトールの機嫌が良くなったのがわかる。
「もう一度出かける、しばらく帰れないと思う。」
一体何をしようとしているのか、商人が軍服を着るなんて、危険なことに違いないのだ。
リヒトールはシーリアの手をとり、騎士のキスをした。
「私に幸運を願ってくれ。」
リヒトールに連れられて玄関先に行くと、すでにリヒトールの黒い大きな軍馬が用意されていた。
馬にまたがると、リヒトールはシーリアに振り返り大声をあげた。
「我妃に国を盗ってこよう!!!」
兵士たちの歓声があがる、それは大きく振動しているように聞こえる。
我妃と言った、クーデターだ!
ヒステン王国を潰して乗っ取るつもりなんだ。
リヒトールにとって、ブリューダル王国の革命は実験だったんだ、この為の。
瞬時にさとり、リヒトールに答えるように声を張り上げた、
「私の全ての兵に幸運を。必ず生きて戻ってきなさい。」
私の役割は、兵士を鼓舞することだと。
私の言葉に答えるように、大地が震えた、それは兵士達の息吹だ。
国なんていらない、リヒト様だけでいいのにと思っていても口にだせない。
これがリヒトール・マクレンジーなんだ。
長い夜が始まる。
どこから集まったか、長い軍列がすべて王城に向かった後、パトリシア達侍女に周りを守られて自室に戻った。
これからマクレンジー邸は警備が手薄になる、行動は最低限に抑えねばならない。
毎夜、リヒトールに愛された部屋で今夜は一人無事を祈る。
自分に武力があったなら、一緒に駆けていけただろうに、もしなんて考えても仕方ない、武術は訓練したけど、人並み以下だった、付いて行っても足でまといだ。
信心深いとはいいがたいが、この時ばかりは神に祈りたい。
どうか、あの人を守って。
クーデターで無血というわけにはいくまい、その犠牲はどうなるの。その誰かにも私のように大切に思っている人がいるはず。
リヒトール様が私に妃を与えるなら、その犠牲はどれほどのもので、私にその価値があるのか。
考えて答えがでるものではない、やめた、考えるのやめた。
できることをするだけだ、これから私はその犠牲の上に生きていくんだから、私が後ろ向きになってどうする。
側近に守られてリヒトールの黒い軍馬は駆ける。
先頭をエメルダ連邦国から戻ってきたシュバルツ、その後をリヒトール、脇をケインズ、ウィリアム、後ろをポール、ダーレンが固めて疾走する。
軍馬の蹴る土煙で辺りがくすんでいく。
夜明け前に城を制圧したい、夜は始まったばかりだ。
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