お妃さま誕生物語

すみれ

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本編

リヒトール教団

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そこは、人里離れた山奥の隠れ家。
「リヒトール様、この新薬を使われるんで?」
「ああ、すぐに量産に入ってくれ。実験もしてくる。」
決して、人の命を救うための薬ではない、爆薬といわれる類いの薬だ。
いかれた研究者として、牢獄に繋がれていた私を救いだし、ここで好きなように研究させてくれる。
家族を実験に使って失敗したのがいけなかった。
人は家族とはいえ人間を使うことがダメといい、私は失敗したことがダメだと思ってる、きっと他人とは相容あいいれられない。  



思わぬ拾い物をした、アレの頭は面白い、ちょうど紛争地帯がある。
大国が隣の小国の鉄鉱山を狙ってに進軍した、私も欲しいと思った程の良質の鉱山だ。純度が高いため、作業行程が短縮できる。小国が大国を打ち破る、これほど武器としてのアピール効果の大きいものはないだろう。




ケインズ・ド・ガンダーは留学時代の友人、リヒトール・マクレンジーから連絡を受けた。
「隣国から進軍されているのを追い返さないか?」
やつらが鉱山を狙ってるのはわかるが、兵隊数はこちらが圧倒的に不利、半分にしかみたない。
マクレンジーは商人だ、見返りを要求するだろうが、勝ち目のない戦いはしない、貴族とちがって。

学生時代から、リヒトールにはリヒトール教といわれる信者がいた。
何事にも動じない、天才的な頭脳、感情を感じさせない無表情だが、整った美しい顔。
食堂に入り込んだ子猫を不衛生だとゴミ箱に捨てたこともあった、生きてるのに。

女はリヒトールに群れていて、気が向けば抱いていたようだ、ただし、その後女がもめても、トイレを使ったが、使用料がたりなかったのか、ぐらいにしか思ってないようだった。
そこら辺の王侯貴族よりも、金のあるマクレンジー商会の嫡男、女にとっては魅力があるんだろう、自信家で執着質の女が多かった。リヒトールは全てのことに興味無さそうでいたが、周りの使い方を知っていた、自分ではなく、周りを動かすのだ、その頭脳と権力を使って。

そして、リヒトール教ができあがった、大半が男だったが、女達でリヒトールに男性を求めるものは淘汰された。
悪魔のささやき、そんなものに魅せられた者達の集団だが、規制は取れていた、そこには知能の高いものが集まったからか、表向き社会に反するような者はいなかった。
表面にでなかっただけで、出国しマクレンジー商会に入る者、マクレンジー商会の手足となる者、様々だが、自国の王でなくリヒトールに忠誠を誓い、心酔する者達だった。

リヒトールが正式に商会を引き継いだ後の躍進はすさまじかった。この世界でマクレンジー商会の入ってない国はない、扱ってない物もないだろう、それが正規のルートでなくても。


結局、私は王に進言し、マクレンジー商会からの融資を受けて新型爆弾を導入した。
戦場は恐怖のるつぼに叩き込まれた、それは敵も味方も。
怖ろしい威力だった、悪魔の武器だ、山が吹き飛ぶ、数百の人間が一瞬で欠片になる。あっという間に万の単位の敵兵は半分よりも減った。

私の横を黒い軍馬に乗ったリヒトールが黒髪をなびかせて駆ける。
口の端を持ち上げて、リヒトールが笑う。

「面白いな。」

悪魔に魅入られるとは、このことだろう、この時私は自分が落ちたのを知った。


終戦締結にもマクレンジー商会の庇護ひごの元、隣国の広大な領土を得るように調印に持ち込んだ。
リヒトールは鉄鉱山に執着することもなく、マクレンジー商会の流通ルートでの販売のみでよしとした。
「国を潰しては、商売にならないからな。お互いにもうけるんだよ、投資した分を返してもらわねばならないし。」
そう言って、製鉄加工の指導者を派遣してきた、これで今までの過程に無駄が多かったとわかった。

今回の武勲でリヒトールは我国の伯爵位を得たが、興味のないようだった。
私は父から継いだばかりの爵位を弟に譲り、リヒトール・マクレンジーの後を追った。



マクレンジー商会に入った私は、まず私兵隊の改革に手を付けた。敵国を始め、リヒトールはかなりの敵がいる、それも国単位の。

兵隊でもバカでは駒にしかならない、弾よけではなく、弾を叩き潰す必要があるのだ。
武力はもちろん知識も叩き込んだ、使える者しか生き残らなかったが、それがさらに人を集めた。
能力に応じて正統な報酬を与えるのが知れ渡ると、餓えた者が集まった。
それは最初の段階で死ぬ気でやる気のある者というふるいにけられた者達ということだ。

最低で3ヶ国語を話せるようにし、文字・数学・化学を叩き込んだ、それは俊敏な判断力の礎となり他国に間者として潜り込んだ時に彼らの命を守るものだからだ、その意味をわかるものだけが生き残った。

マクレンジー商会の勢潤な資金力あってこそできたものだった、そこら辺の国より資金力があるうえに、リヒトールの判断で全て自由に使えるものだから。


いつの間にか、どこの大国よりも強力な軍隊ができあがり、軍隊に志願してきたのに、才能を認められ商会にまわされる者が多く輩出し、それは商会をさらに潤わさせた。
教育を受ける機会なく入隊してきた者が、教育で才能を見いだされ、開花し、リヒトールに登用されていくルートができあがった。

マクレンジー商会では、貴族とか平民とか関係ない、能力のある者がのし上がる、ただ、貴族の方が幼少の頃より教育を受けているのでスタート時点で有利であるというだけだ。





「あの新型爆弾はその後見たことがありませんが?」
いつだったか、リヒトールに尋ねたのは随分昔の事だ。

「あの威力では、すぐに勝敗がついてしまうからね、威力を弱める研究をさせている。
もっと小さくさせて、持ち運べる方がよかろう、

戦争は長く続く方が儲かるだろう、つまらないしね。」

私、ケインズ・ド・ガンターは、リヒトール・マクレンジーの側に常にいる、側近と呼ばれる一人だ。
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