カラダの恋人

フジキフジコ

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ココロの恋人(高校生編)

7.一線を越えたい

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咄嗟にトモはベッドに両腕を衝いたから、オレの胸に倒れることはなかったけど、前髪がオレの額にくっつきそうな距離で静止した。
トモははっとして身体を離そうとした。
けど、こんな好機をオレが逃すと思う?

オレはつかんだトモの腕を離さないで、もう一方の手をトモの制服の細いタイに伸ばした。
スルスルと指に絡めながらそれをほどく。
タイの下の、一番上のボタンをはめていないシャツの襟元から、艶かしい鎖骨が覗いた。

ゴクン、とオレは生唾を飲み込む。
トモの首の後ろに腕を伸ばして、自分の方に倒して、そこに口づける。
「こ、んの…」

トモはきっと、この前みたいに雰囲気に飲まれて、オレがこんなことをしてるんだって思ってるんだと思う。
抵抗したいのに、オレが傷つくだろうと考えて、困惑しているのがありありとわかる。
そう思うとさすがに良心がチクチク痛んだ。
本当はオレだって、ちゃんとおまえのこと好きだって言って、おまえにもちゃんと好きだって言ってもらって、こういうことをしたい。

けど、おまえはきっとオレが男ってだけの理由で、オレを受け入れない。
そういうとこ、イヤになるくらい固いだろ、おまえは。
でも、友情のためなら、失恋して傷ついてる親友のためなら、許せるんだよな、おまえって。
それってさあ、なんか間違ってねえか?

けど、そういうトモの情につけこむことしか出来ないオレはもっと間違っている。
しょうがない、恋は盲目っていうだろ。
いつかきっとおまえに告白して、それでおまえにもぜってえオレのこと好きにさせてみせるから、オレにはその自信があるから、だからとりあえず、させて。

見事な自己完結方で感傷を吹っ飛ばしたときはもう、オレはトモの顎や耳の後ろにキスするのに夢中になっていた。
「…トモ」
欲しいって、そういう気持ちでトモの名前を呼ぶと、トモの身体がビクンって震えた。
反応が返ってくることが、ますますオレを煽る。
何かに急き立てられるように、オレはトモの制服のブレザーを脱がせて、真っ白なシャツのボタンに指をかけた。

なんか、制服って厭らしいよな。
シャツの下には何も着ていないトモの胸がオレの目の前で露になって息を飲む。
早く、その胸の下の鼓動を確かめたかった。
オレのと同じようにドキドキと高鳴ってる?
オレはトモを抱き寄せて反転し、自分が上になった。
いろいろスルにはやっぱりこの体勢の方がいい。

「…紺野」
トモが怯えた目でオレを見上げる。
それはまるで得体の知れないものを見るみたいな、そんな目つき。
「トモ、頼む…」
頼むから、今更オレを拒まないでくれよ。
だって、オレもうこんなだよ?
って、いうようにトモに腰を押し付けるとトモは顔を真っ赤に染めた。

その隙にオレはトモの唇を塞ぐ。
3度目のキスでもやっぱりトモは苦しそうにもがいている。
けど、根気よく焦らさないでゆっくり舌を合わせていたら、段々要領がわかってきたみたいで、トモもおずおずと応えてくれた。

キスでトモの気を逸らしておいて、オレは手をトモの下肢に伸ばす。
ズボンのベルトとホックを外すまで、トモは気がつかなかった。
やっとオレの手が、緩んだズボンの隙間から侵入したときになって、何事っというように身じろいだ。
けど、もう遅い。
おまえの大事なモノはオレの手の中だ。

「やめ、やめ、やめろって、こ、こ、こんのぉ」
そんな震える声で言ったって、おまえがちゃんと感じていること、もうわかってんだぜ。
キスで、こうなったんだな。
フッ、可愛いやつ。

「いいから、じっとして。トモ、目、つぶって」
トモはもうヤケクソ!って感じで、顔を逸らしてきつく瞼を閉じた。
どうせ、もう一回手を貸しあった仲だから、とか思って無理矢理自分を納得させてるだろ、おまえ。

オレはトモのズボンを下着ごと一緒に取っ払う。
ギョッとしたトモが起き上がろうとするのを、まあまあと宥めるように抱きしめて。
オレが手を使ってあやしたトモのそれは、オレの手の中でどんどん量感を増す。

「…ん…っ、はぁ…ああ」
小刻みに身体を震わせて喘ぐトモの反応がたまんなく嬉しい。
もっと、感じさせたい。
気持ちよくなって欲しい。
オレはごく自然に、自分の欲望からトモのそれを口に含んだ。

「ちょっ!こ、こんの!やだっ!…やめろっ!」
やだ、やめないね。やめるもんか。
絶対イカせてやる。
天国、見せてやるぜ、トモ。
なんかワケのわかんない闘志に燃えて、オレはトモのそれを舌で愛しまくった。

「も、も、も、でる……ぅ」
言ってトモはどこから探したんだか、ティッシュの箱でオレの頭を叩いた。
「離せっ!!」
オレがトモを離すと、トモは自分でティッシュを当てて、その中に射精した。
「…んっ…はぁあ」

トモのイク瞬間の顔が見れて思わぬ役得だったが、その後、トモはベッドに横になり、壁の方を向いて、オレには背中を向けて、黙りこくったまま身動きしない。

「トモ…ねえ、トモってば」
まさか寝ちゃってんじゃ、ねえよな。
そんなおまえ、セックスしたあとにすぐ寝ちゃうなんてサイテーだぞ。
それにオレまだ、してねーじゃん。
下半身むきだしで、上にシャツだけ着てるセクシーな格好を見せつけられて、オレの、暴れちゃってるよ?

「トモ」
後ろから耳に息をかけるように言ってやると背筋を震わせながら「わっ!」と悲鳴をあげる。
それでもまだこっちを向かない。
オレはトモの背中に自分の胸をぴったりくっつけて、甘えるように言う。

「オレまだイッてないんだけど、手伝ってくんねーの?」
ビクンと背中が動いた。
「…わ、わかってるよ。今、勇気を奮ってるんだ」
勇気?ちょっと待てよ、勇気ってナンだよ。
愛し合うのに、どうしてそんなモンが要るんだよ。

「けど、おまえよく出来るな、他人のアレを口に…ごめん、やっぱ、オレ、無理」
「え?別に口でシテくれなくてもいいよ」
「は?なんだ、そーなのお?おまえ、それを早く言えよ。オレ心配して損した。ぜってえ、おまえにさせられると思って冷や汗が出たぜ」
トモは心からほっとしたように言って、ベッドの上に起き上がった。

オレはトモの手首を引いて、もう一度横にしてトモの身体の上に乗りかかる。
「なんだよ、手でいいんだろ?」
「あのね、そうじゃなくてえ…」
かわいくねだるように言いながら、オレはトモの下半身に手を伸ばした。
「やめろ、オレはもういい」
きっぱりと遠慮するトモの両脚の間に身体を割り込ませて、オレはトモの脚を開かせて後ろの入り口に指で触れた。

「ここに、挿れさせて」
「…冗談、だろ?」
トモは表情を強張らせて、それでも一生懸命に健気な笑顔を浮かべながら言う。
「やめろって、趣味の悪い冗談言うの」
「本当に、冗談だと思うの?」
「無理だって、何言ってんだよ。そんなとこにそんなモン、入るわけねーだろ」
「やってみなきゃ、わかんねーじゃん」

試しにオレは触れていた指をちょっと挿れてみた。
「ぎゃああああ!やめ、やめ、やめろ!なんで、なんでオレがここまでしなきゃなんねーんだよっ!」
追い詰められてトモは、やっと筋道の通った質問をした。
しまった、気づかれた。
「だって、オレたち親友だろ?」
「親友がこんなことするかっ!」
もっともだ。
トモの頭がだんだん冴えてきたらしい。
ちっ。
「だったらこうしない?トモはオレのココロの恋人」
トモは絶句して、オレを見上げた。



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