ルイとレオ~幼い夫が最強になるまでの歳月~

芽吹鹿

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50祝福と束縛③

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 縋れるのは過去だけ。今のレオポルドは、どこへなりとも飛んで行ってしまうと、ルイはそう思っていた。彼は心の孤独に対して、脆く、そして弱かった。

「気持ち悪い大人でごめんなさい」

 ルイはそう言って、レオポルドの懐に潜って、泣きたそうな顔を埋没させていった。未来の門出を祝うはずなのに、またこれほど格好悪い姿を見せている。裸どうしで抱き合っているのだから元も子もないのだが。
 矛盾した感情を、すべて理解してくれとは言わない。言えるわけがない。でもレオポルドに向ける愛情の大きさだけは、どうしても伝えきりたかった。

「俺はそばにいて良いのか?」

「いて。どうかお願いだから。私のもとから離れないで」

 今だけは。せめて大人らしくなんて考えないようにしよう。彼を最も愛している人間として、心からの言葉を紡いでいく。互いに依存しあっている、極めて煩雑な絆であるが。ルイにはこれしかなかったから。

(私の存在理由はあなただけ)

 そう言い続けられたら、どんなに楽だろう。少なくともレオポルドはルイの台詞に喜んだかもしれない。でもその言葉が呪いのように彼につき纏うかもしれなかった。だからいつだってルイは我慢してきた。弱い心を通わせようとすればするほど、彼への愛情は重たくなっていく。

「わかった。もうぜったいに離さないからな」

「うん……うん、ありがとうレオ様」

 固い手のひらから温もりを感じる。その手が髪を撫でてくれるだけで満足できる。ルイは偽りのない気持ちで、レオポルドに付き合うことができていた。

「俺たちはふたりでひとつだ」

「重たいですね。その言葉は」

「ルイも大概だったぞ?」

 きまり悪そうにレオポルドは乾いた笑いを漏らす。つられるようにルイは今日の内で一番大きな笑い声をあげた。

「私はずっと、こんなでしたから」

「寂しいなら手紙で書いてくれてもよかったじゃないか」

「それは……ちょっと。レオ様の人生のお邪魔になるのが忍びなくて」

「邪魔なんて考えるもんか」

 レオポルドには幸せになってほしい。ルイのかねてよりの願いが、手紙の内容を仰々しくしていたことは確かである。ひとまず王宮のことを書き連ねて、自分の近況は添えるだけ。

「俺の夢は、お前がいないと意味がないんだから。ルイには一生そばに居てもらわないと困る」

 レオポルドを縛りつける未来が色濃くなっていく。
 切ないなぁ、とルイは思った。それなのに顔つきはどこか安心したように緩みきっている。自分のもとから離れないと知り、ひどく幸福を感じられた。これだから未成熟で大人げないと、ルイは自虐したくなるのである。
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