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62あるべきところ① ※
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それほど気持ちが高まっていないなと、ルイは初めに自分のことを勘違いしていた。ただ現実はその逆だった。レオポルドのむやみやたらな口説き文句と、愛情の深さだけ満たされていく抱擁。重ねられるキス。持ち上げられた顎の先から、滴る彼の唾液。
「もう少しだけ、いいか?」
「ん……ぅうくち……おかしく、なる……」
理性が飛んでいく。ルイは気持ちでつながっているぶん、身体まで素直になる余裕は持てなかった。だが、レオポルドに口を暴かれ、すみずみまで触り尽くされると、どうしても抑えがたいものがあった。
我慢と抑制。ずっとずっとルイが抱えてきたものが、ここにきて全て解けていく。
「レオ……さま、もっと……」
どうしてだろう。言わないと落ち着かない。彼と離れるのが怖いからか。それとも、自分も予想以上に欲情していたのだろうか。ルイは思いのままに反応する我が身に、疑問を持たずにはいられない。
「ルイ。離れるな」
「した、しびれ……る」
情熱的に求めてくれる夫のことを直視できない。唾液が口を出入りするたび、ルイは目をぎゅっと瞑った。
唾液が酒気を呼び込むかのように、ルイの顔はみるみるうちに赤くなっていく。恥ずかしい、けど十分すぎるくらいの満足感も、届けてきてくれる。
好きだ。好きなんだ、この幻惑に包まれた感触が。
彼が背中を引き寄せる。どこもかしこも逃げ場はない、あるのは彼の狂おしいほどの執着心と、それに応えたいと願う自分の本心。
(私がレオ様を支えるんだ)
自分しかいない。自分以外あり得ない。彼の隣にいるのは、他の誰であっても務まらない。レオポルドの健気な愛情を、肯定できるのはこの世でたった一人しかいない。
「わたし。ですから」
「なにが、ルイなんだ」
「あなたと……ここにいるのは。いつだって」
場に酔っぱらっている。レオポルドの愛撫に身が跳ねて、心が跳ね上がる。心臓の音がうるさくて、こちらの思っていることを訴えかけてくる。
大人とか、子どもとか。男とか、女とか。そういう合理で成り立っているわけじゃないと、いまさら説明もいらないことだが。
マルクス王子にはわかるまい。王妃様にも、どんなに見知った人間たちでも理解はできまい。
「だからはなさないで」
「あぁ。俺は離さないよ」
ぎゅっと手を握り合う。すき間なんて残したくない、彼に共鳴するようにルイも力をこめる。
8年間。彼との別れ、寄り合った8年間という歳月。長いようで短かった。誰よりも贅沢で、豊かで、穏やかで幸せな時間をもたらしてくれた彼を想う。
「だいすき、レオ様」
喉につかえていた言葉がぽろりとこぼれた。色々なしがらみの中で、あふれる気持ちを無視できなくて、先走ってしまったかもしれない。でも届ける機会は今しかないとも思った。
出会えてよかった。
彼と巡り会って、たくさんの感情に囚われながら、人間らしく生きていたことだ。それも生涯のなかで見れば大きな財産だろう。なんでもない日常が、彼のおかげで色鮮やかなものになったのだから。
「俺も……!!俺も大好きだよ、婚礼のときからずっとこの気持ちは変わらないままだ」
レオポルドの手がルイの腰を持ち上げる。寝台にそっと仰向けにされた側は、熱い呼吸を絶やすことはない。
~~~~~
手もとから消えそうなものほど、必死に追い求めるのが人間の性であろう。ルイはレオポルドと同じように欲望をさらけ出していた。手をつないで、口と口を合わせて充実感を味わう。
レオポルドが上で腰を揺らすたびに、ルイは顔に渋面を貼り付ける。形だけのサインである。痛みなんて、ない。ましてや嫌悪感なんてあり得ない。
「痛いか?ルイ」
「い……いいえ、それほどは」
レオポルドが気負う声を聞きたくて、意地を張るように発声する。彼の困り顔、カッコ悪い姿が愛おしくて揶揄いたくなる。立派なところも、変に幼稚で意固地なことも知った後だとなおさら。彼の隣にいることが嬉しくて仕方がない。
「今日は暴れないのか?」
「ん……んぅ、ご所望とあらばたたきますよ」
「いやごめん。冗談です」
「ふふ、あははっ!!」
自ら服を脱いでいる。愛撫を受け入れて、相手に応じるように腰を引いている。「挿れて」と無言のうちに指し示すことで、レオポルドには心を見透かされているかもしれない。
「あ……はぁ、もう。笑わせないでっ……ください」
「笑わせたつもりはないんだが」
「んぅ……でも。ふふっ、レオ様」
「ん?」
喘ぎ声と愉快な笑いが、いかにも併存している。ルイの心境を揺さぶるのは、いつだって夫の行動によるところが大きかった。ある意味では、このおかしな空間を作ったのはレオポルドと言っても過言ではない。
「はっ……はぁ、レオ様。もっとうごいて!!」
彼の温もりが前から後ろから、どこに気をやっても感じ取れる。ルイにとっては、寝台に寝そべっているだけで贅沢なことだった。
束縛心が頭を覆い尽くしている、ルイも、レオポルドも互いに生きている実感がわいてくる。
「どこにいてもお前を離さないよ」
「あっ……さっききいたっ、から」
「なら。もっと伝われ」
ぱちんと大きな水音が腰の密着部からしてくる。激しい快楽がルイの頭を巡ることはなく、むしろ鈍くて甘い電撃が駆けていく。射精欲よりもさらなる刺激を欲したくなる。
腕を掴まれて、腰を揺すられて乳首をつままれて。尻はもうじきレオポルドに順応してしまうのだろう。自分の中身をすべてかき出されている感覚のなか、ルイはそれなりに意識がある。
「もっと、んっ……あなたを!!」
「あぁわかってるよ」
「あなたを刻んで!!」
ずんずんと腹に響いてくる衝撃。それらを頑張って受け入れて、彼が打ち付ける力強さを感じている。
雄々しいものがせり上がってくるレオポルド、何もかもを外に打ち出してくる。それを止める意志も、術もルイは持ち合わせていない。
離れたくない。その意志だけで互いを強固に結び付けていた。
「い……んぅう。あっ……」
ルイは自分の中をうごめくものに引いて押されて、はしたない嬌声を散らした。ようやくレオポルドとわかり合えた気がして、慎ましさなどとうに捨て去っている。
既に自分の弱さや恥ずかしい恰好を露出しているのだから、認めることにしている。憂いはない。
「んっ……レオさま……!!レオさま……」
熱をたっぷり共有することで、レオポルドと長くいられるような気がする。別れていた時間を埋め合わせるよう繋がっていたい、それが今のルイには、最も重要なことだった。
「もう少しだけ、いいか?」
「ん……ぅうくち……おかしく、なる……」
理性が飛んでいく。ルイは気持ちでつながっているぶん、身体まで素直になる余裕は持てなかった。だが、レオポルドに口を暴かれ、すみずみまで触り尽くされると、どうしても抑えがたいものがあった。
我慢と抑制。ずっとずっとルイが抱えてきたものが、ここにきて全て解けていく。
「レオ……さま、もっと……」
どうしてだろう。言わないと落ち着かない。彼と離れるのが怖いからか。それとも、自分も予想以上に欲情していたのだろうか。ルイは思いのままに反応する我が身に、疑問を持たずにはいられない。
「ルイ。離れるな」
「した、しびれ……る」
情熱的に求めてくれる夫のことを直視できない。唾液が口を出入りするたび、ルイは目をぎゅっと瞑った。
唾液が酒気を呼び込むかのように、ルイの顔はみるみるうちに赤くなっていく。恥ずかしい、けど十分すぎるくらいの満足感も、届けてきてくれる。
好きだ。好きなんだ、この幻惑に包まれた感触が。
彼が背中を引き寄せる。どこもかしこも逃げ場はない、あるのは彼の狂おしいほどの執着心と、それに応えたいと願う自分の本心。
(私がレオ様を支えるんだ)
自分しかいない。自分以外あり得ない。彼の隣にいるのは、他の誰であっても務まらない。レオポルドの健気な愛情を、肯定できるのはこの世でたった一人しかいない。
「わたし。ですから」
「なにが、ルイなんだ」
「あなたと……ここにいるのは。いつだって」
場に酔っぱらっている。レオポルドの愛撫に身が跳ねて、心が跳ね上がる。心臓の音がうるさくて、こちらの思っていることを訴えかけてくる。
大人とか、子どもとか。男とか、女とか。そういう合理で成り立っているわけじゃないと、いまさら説明もいらないことだが。
マルクス王子にはわかるまい。王妃様にも、どんなに見知った人間たちでも理解はできまい。
「だからはなさないで」
「あぁ。俺は離さないよ」
ぎゅっと手を握り合う。すき間なんて残したくない、彼に共鳴するようにルイも力をこめる。
8年間。彼との別れ、寄り合った8年間という歳月。長いようで短かった。誰よりも贅沢で、豊かで、穏やかで幸せな時間をもたらしてくれた彼を想う。
「だいすき、レオ様」
喉につかえていた言葉がぽろりとこぼれた。色々なしがらみの中で、あふれる気持ちを無視できなくて、先走ってしまったかもしれない。でも届ける機会は今しかないとも思った。
出会えてよかった。
彼と巡り会って、たくさんの感情に囚われながら、人間らしく生きていたことだ。それも生涯のなかで見れば大きな財産だろう。なんでもない日常が、彼のおかげで色鮮やかなものになったのだから。
「俺も……!!俺も大好きだよ、婚礼のときからずっとこの気持ちは変わらないままだ」
レオポルドの手がルイの腰を持ち上げる。寝台にそっと仰向けにされた側は、熱い呼吸を絶やすことはない。
~~~~~
手もとから消えそうなものほど、必死に追い求めるのが人間の性であろう。ルイはレオポルドと同じように欲望をさらけ出していた。手をつないで、口と口を合わせて充実感を味わう。
レオポルドが上で腰を揺らすたびに、ルイは顔に渋面を貼り付ける。形だけのサインである。痛みなんて、ない。ましてや嫌悪感なんてあり得ない。
「痛いか?ルイ」
「い……いいえ、それほどは」
レオポルドが気負う声を聞きたくて、意地を張るように発声する。彼の困り顔、カッコ悪い姿が愛おしくて揶揄いたくなる。立派なところも、変に幼稚で意固地なことも知った後だとなおさら。彼の隣にいることが嬉しくて仕方がない。
「今日は暴れないのか?」
「ん……んぅ、ご所望とあらばたたきますよ」
「いやごめん。冗談です」
「ふふ、あははっ!!」
自ら服を脱いでいる。愛撫を受け入れて、相手に応じるように腰を引いている。「挿れて」と無言のうちに指し示すことで、レオポルドには心を見透かされているかもしれない。
「あ……はぁ、もう。笑わせないでっ……ください」
「笑わせたつもりはないんだが」
「んぅ……でも。ふふっ、レオ様」
「ん?」
喘ぎ声と愉快な笑いが、いかにも併存している。ルイの心境を揺さぶるのは、いつだって夫の行動によるところが大きかった。ある意味では、このおかしな空間を作ったのはレオポルドと言っても過言ではない。
「はっ……はぁ、レオ様。もっとうごいて!!」
彼の温もりが前から後ろから、どこに気をやっても感じ取れる。ルイにとっては、寝台に寝そべっているだけで贅沢なことだった。
束縛心が頭を覆い尽くしている、ルイも、レオポルドも互いに生きている実感がわいてくる。
「どこにいてもお前を離さないよ」
「あっ……さっききいたっ、から」
「なら。もっと伝われ」
ぱちんと大きな水音が腰の密着部からしてくる。激しい快楽がルイの頭を巡ることはなく、むしろ鈍くて甘い電撃が駆けていく。射精欲よりもさらなる刺激を欲したくなる。
腕を掴まれて、腰を揺すられて乳首をつままれて。尻はもうじきレオポルドに順応してしまうのだろう。自分の中身をすべてかき出されている感覚のなか、ルイはそれなりに意識がある。
「もっと、んっ……あなたを!!」
「あぁわかってるよ」
「あなたを刻んで!!」
ずんずんと腹に響いてくる衝撃。それらを頑張って受け入れて、彼が打ち付ける力強さを感じている。
雄々しいものがせり上がってくるレオポルド、何もかもを外に打ち出してくる。それを止める意志も、術もルイは持ち合わせていない。
離れたくない。その意志だけで互いを強固に結び付けていた。
「い……んぅう。あっ……」
ルイは自分の中をうごめくものに引いて押されて、はしたない嬌声を散らした。ようやくレオポルドとわかり合えた気がして、慎ましさなどとうに捨て去っている。
既に自分の弱さや恥ずかしい恰好を露出しているのだから、認めることにしている。憂いはない。
「んっ……レオさま……!!レオさま……」
熱をたっぷり共有することで、レオポルドと長くいられるような気がする。別れていた時間を埋め合わせるよう繋がっていたい、それが今のルイには、最も重要なことだった。
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