跡取りはいずこへ~美人に育ってしまった侯爵令息の転身~

芽吹鹿

文字の大きさ
36 / 75

36触れないで② ※


 くすぐったい。ハヤセは敏感にアルベールの吐息を受けて、上手く意識を集中させることはできなかった。


 肌と髪を撫でつけながらぎこちなく触れ合いがなされる。初めこそ力加減もいい加減だったが、徐々に余裕が出てきた。


「後ろを向いて。そこに手をつけるんだ」


 言われるままにハヤセは寝台に四つん這いになった。下着越しに、アルベールの熱い息が当たる。這うように背中を指でなぞられると、ゾクゾクと背筋が震えた。


「我慢、しないからな」


 ガチャガチャと装具の音が聞こえてから、ハヤセはじっと目を閉じた。この状況をあまり深く憂いてはいない。恥辱で死にそうだが、それもハヤセの展望した未来の内にあった。


 アルベールが暇になった片手を使って、丹念にハヤセに触れていく。脚の先から、下腹部。臀部からじっくりと生殖器にかけてまで。


「あ……アルベール」


 下着の膨らみは小ぶりで、アルベールの手では握り潰してしまえるほど。そこを目掛けて軽く擦ってやる。そこはダメ、とハヤセが目で合図を送っても止まることはない。


「ぐっ……うぅっ…………だめ」


 ハヤセの生殖器への弄りは特に時間をかけて行われた。下着には淫靡な染みができ、あられもない姿からさらに情けない声まで加わることになる。


 自慰の仕方もまともに知らないハヤセにとっては我慢いかないものだったらしい。顔は紅潮して、未知の快感に耽っている。


「悪いがこっちの相手も……してくれ」


 アルベールは己の猛々しい肉棒を、ハヤセの手に握らせた。「ひっ……」と前から小さな悲鳴があがるのもお構いなし。相手よりも何倍もある大それたそれを、ぐいぐいと下着越しに押し当てていく。


 黒いレース柄の下着をめくると、尻穴は粘り気のある液体で浸されていた。
 周到なものである。準備の良いことにハヤセはそれもこれも想定済みであったらしい。アルベールはしばし呆気に取られながらも、処理の済んでいるそちらに手を伸ばした。


「俺が誘いに乗ることは……はじめから織り込み済みだったわけか」


「ふ……ううぅ」


「答えろよ。お前は俺が色仕掛けに負けるだろうと、そう思っていたんだろ?」


「いっ……つぅ……いた……い」


 細い脚を震わすハヤセが、苦し気に呻く。ぐちゅぐちゅと淫らな音に身を任せながら、容赦なく指が穴に入っていく。


「俺がどれだけ恋慕に囚われたか。劣情に負けそうになったことか」


 中をかき回す。「なぁハヤセ」とため息交じりに言い捨てた後、アルベールは中指を穴の先に突き立てた。


「は……あ…………ぐっ」


「昔には戻れないぞ。もう」


 痛い。尻に何をされているか判然としない。身体が強引に開かれるようで、ハヤセは苦悶に身をよじった。


 身体の内に尖った刺激が注がれていく。尻穴も生殖器も、どちらも訳が分からないままに攻めを受ける。その中でハヤセは何かが爆ぜる予感のような、前兆のようなものを感じ始めた。


「あぁ……んぁアルベール!!な、なにかっ」


 強く情けのないアルベールの指圧。ハヤセの股間をぐりぐりと捏ねるように弄り続けている。

 身が爆ぜる。ハヤセは未知のことに戸惑う視線を送った。薄目を開くと、寝台の枕と赤レンガの内壁がはっきりと見えるだけ。あとは動きを止めてほしい張本人の影しか追えなかった。


「とめ、てっ!!いま……んあっ」


「達するようにしているからな。もうすぐだろ」


 溢れかえるほどの血脈を集め、怒張した肉棒はもはやハヤセの片手に収まらない。堪らずハヤセは手を離し、自分の顔を覆うように両手を被せた。


「だめっ……もう!!うっ、ぐぅ……!!」


 首をめいいっぱい振り、ハヤセは意識の混濁を紛らわせた。

 頭が熱にのぼせていくようで、視界が霞んでいく。それとは別にはらはらと、下着の内側で己の熱が放出されていくのがわかる。


 長い放心。壁から崩れ落ちたような背の感覚が、美しい容貌を歪めさせる。


「気持ちいいか?」


「はぁ……ああ、あぁ…………んんぅ」


「激しくイクのも悪くないだろう。ハヤセ」


「ぇあ……ぃひ……い……イク……?」


 口を引き結んでハヤセは余韻に浸っていた。肌が触れて、痩身が打ち震える。
 終わるはずがない。アルベールの剛腕が掴みかかって来れば、それもわかることだった。

感想 11

あなたにおすすめの小説

【完結】一生に一度だけでいいから、好きなひとに抱かれてみたい。

村松砂音(抹茶砂糖)
BL
第13回BL大賞で奨励賞をいただきました! ありがとうございました!! いつも不機嫌そうな美形の騎士×特異体質の不憫な騎士見習い <あらすじ> 魔力欠乏体質者との性行為は、死ぬほど気持ちがいい。そんな噂が流れている「魔力欠乏体質」であるリュカは、父の命令で第二王子を誘惑するために見習い騎士として騎士団に入る。 見習い騎士には、側仕えとして先輩騎士と宿舎で同室となり、身の回りの世話をするという規則があり、リュカは隊長を務めるアレックスの側仕えとなった。 いつも不機嫌そうな態度とちぐはぐなアレックスのやさしさに触れていくにつれて、アレックスに惹かれていくリュカ。 ある日、リュカの前に第二王子のウィルフリッドが現れ、衝撃の事実を告げてきて……。 親のいいなりで生きてきた不憫な青年が、恋をして、しあわせをもらう物語。 ※性描写が多めの作品になっていますのでご注意ください。 └性描写が含まれる話のサブタイトルには※をつけています。 ※表紙は「かんたん表紙メーカー」さまで作成しました。

僕の事を嫌いな騎士の一途すぎる最愛は…

BL
記憶喪失の中目覚めると、知らない騎士の家で寝ていた。だけど騎士は受けを酷く嫌っているらしい。 騎士×???

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話

gina
BL
親友と同時に死んで異世界転生したけど、 立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話です。 タイトルそのままですみません。

「オレの番は、いちばん近くて、いちばん遠いアルファだった」

星井 悠里
BL
大好きだった幼なじみのアルファは、皆の憧れだった。 ベータのオレは、王都に誘ってくれたその手を取れなかった。 番にはなれない未来が、ただ怖かった。隣に立ち続ける自信がなかった。 あれから二年。幼馴染の婚約の噂を聞いて胸が痛むことはあるけれど、 平凡だけどちゃんと働いて、それなりに楽しく生きていた。 そんなオレの体に、ふとした異変が起きはじめた。 ――何でいまさら。オメガだった、なんて。 オメガだったら、これからますます頑張ろうとしていた仕事も出来なくなる。 2年前のあの時だったら。あの手を取れたかもしれないのに。 どうして、いまさら。 すれ違った運命に、急展開で振り回される、Ωのお話。 ハピエン確定です。(全10話) 2025年 07月12日 ~2025年 07月21日 なろうさんで完結してます。

家を追い出されたのでツバメをやろうとしたら強面の乳兄弟に反対されて困っている

香歌奈
BL
ある日、突然、セレンは生まれ育った伯爵家を追い出された。 異母兄の婚約者に乱暴を働こうとした罪らしいが、全く身に覚えがない。なのに伯爵家当主となっている異母兄は家から締め出したばかりか、ヴァーレン伯爵家の籍まで抹消したと言う。 途方に暮れたセレンは、年の離れた乳兄弟ギーズを頼ることにした。ギーズは顔に大きな傷跡が残る強面の騎士。悪人からは恐れられ、女子供からは怯えられているという。でもセレンにとっては子守をしてくれた優しいお兄さん。ギーズの家に置いてもらう日々は昔のようで居心地がいい。とはいえ、いつまでも養ってもらうわけにはいかない。しかしお坊ちゃん育ちで手に職があるわけでもなく……。 「僕は女性ウケがいい。この顔を生かしてツバメをしようかな」「おい、待て。ツバメの意味がわかっているのか!」美貌の天然青年に振り回される強面騎士は、ついに実力行使に出る?!

将軍の宝玉

なか
BL
国内外に怖れられる将軍が、いよいよ結婚するらしい。 強面の不器用将軍と箱入り息子の結婚生活のはじまり。 一部修正再アップになります

【16話完結】スパダリになりたいので、幼馴染に弟子入りしました!

キノア9g
BL
モテたくて完璧な幼馴染に弟子入りしたら、なぜか俺が溺愛されてる!? あらすじ 「俺は将来、可愛い奥さんをもらって温かい家庭を築くんだ!」 前世、ブラック企業で過労死した社畜の俺(リアン)。 今世こそは定時退社と幸せな結婚を手に入れるため、理想の男「スパダリ」になることを決意する。 お手本は、幼馴染で公爵家嫡男のシリル。 顔よし、家柄よし、能力よしの完璧超人な彼に「弟子入り」し、その技術を盗もうとするけれど……? 「リアン、君の淹れたお茶以外は飲みたくないな」 「君は無防備すぎる。私の側を離れてはいけないよ」 スパダリ修行のつもりが、いつの間にか身の回りのお世話係(兼・精神安定剤)として依存されていた!? しかも、俺が婚活をしようとすると、なぜか全力で阻止されて――。 【無自覚ポジティブな元社畜】×【隠れ激重執着な氷の貴公子】 「君の就職先は私(公爵家)に決まっているだろう?」