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1章 紅茶は冷めて
4
話が終わると、私は王家の馬車に送られて家に戻った。
窓の外から小さな庭付きの古びた屋敷━━我が家が見えると、私はようやく一息吐けた。私は到着までの間、じっと屋敷を見つめていた。
ボロボロになった外壁は建物の年期を示し、味を出している一方で、この家の危うさを示しているようだった。
それが気になって、じっと眺めていると、二階の窓に人がいることに気が付いた。
━━あれは金髪だから、シンシアね。
冷静に分析する最中、彼女はくるりと身体を転換させて、窓辺から消えた。
だから、私も視線を外して空を見た。茜色の空が、今の生活の終わりまで告げているように思えて、私は寂しい気持ちになった。
そうして、馬車が我が家の門前に止まると、私は静かに降りた。庭には、シンシアがいて、彼女は私を見ると駆け寄ってきた。
「よかった。帰って来られて……」
彼女は泣きそうな顔でそう言いながら私の手を取った。
御者は私達の様子を一瞥すると、何も言わずに去っていく。
シンシアは馬車が去っていくのを目で追っていた。
「庭の花の水やりはもう終わったの?」
「いいえ、今日はまだ……」
「お父様と植えた花が枯れてしまったら、お母様が悲しむから。ちゃんと管理をしてちょうだい」
シンシアは何かを言いたげに私の顔を見た。けれど、彼女は頷くだけで、黙ってじょうろを取りに行く。
私は彼女の後ろ姿を見送ってから、屋敷の中に入った。
「ただいま戻りました」
エントランスで声をかけると、二階の吹き抜けから顔をひょっこりと出したのは、侍女のマーサだった。
「おかえりなさいませ、お嬢様」
少し曲がった腰のマーサは、ゆっくりとした動作で私のもとへやって来る。
「奥様がお待ちですよ。後でお茶をお持ちしますね」
「大丈夫よ。話はすぐに終わると思うから」
「左様ですか……。では、私は夕飯の支度をいたしますね」
マーサはそう言うとゆっくりと厨房に向かった。
私はその背を見届けると階段を上った。廊下の奥にあるお母様の部屋まで行き、扉をノックした。
「お母様、ディアナです。ただいま戻りました」
「どうぞ」
返事とともに、私は入室する。
「おかえりなさい」
そう言ったお母様の目は、いつにも増して腫れていた。私が出かけている間に泣いていたのだろう。私がこの家から去る未来を想像して、悲しんでいたのかと思うと、心が痛くなった。
辛い話は早く終わらせてしまおう。
私はお母様の斜め横の席に座ると、すぐに本題を切り出した。
「婚姻の話を、正式に同意してきましたわ。手紙以外にも結婚に関する条件がありましたが、問題ないと思ったのでその場でサインをしました」
私は鞄から契約書の入った封筒を取り出して、お母様に渡した。彼女は中身を見て、腫れた瞼にも関わらず、目を大きく見開いた。
「これは……。こんな条件、あんまりだわ」
「そうでしょうか。ラルフ殿下の亡き後も王宮に縛られるなんて、考えただけでも地獄ですから。追い出されるのは、こちらにとっても好都合かと」
「でも、10年も再婚できないだなんて、これじゃあ、あなたは若くして未亡人になったまま、一生を終えるというの?」
正直なお母様の意見に、思わず苦笑をしてしまった。
「若くしてだなんて、ラルフ殿下に失礼ですよ」
そう言うと、ようやく失言に気が付いたらしい。お母様は手で口元を覆い隠した。
でも、それは一瞬のことで、彼女は姿勢を正した。
「でも、そんな条項は、やっぱりおかしいわ。あなたの再婚を、一生行わせないようにしているとしか思えない」
「そうですね」
現在22歳の私は、あと数年経てば「行き遅れ」と揶揄される年齢だ。
不謹慎な話ではあるけれど、もし仮にラルフ殿下が今年のうちに亡くなったとしても、再婚が許されるのは32歳になってから。その年齢では、次の貰い手を探すのは難しくなるだろう。
でも、私はそれでもよかった。どうせ、好きな人とは結婚できないのだから。家を守るという使命もないなら、彼以外の人と結婚するつもりなんて、絶対にない。
「でも、再婚の必要はないでしょう?」
笑顔の私とは対照的に、お母様の表情が険しくなった。
「殿下は、借金を肩代わりしてくれる上に、家族の生活が保障されるだけのお金を用意していただけるのですよ? そこまでしてくださるなら、私が殿下の品位や面子と言ったものを守るのに協力するのが筋ではありませんか」
お母様は唇を噛んだ。お父様が亡くなってからというもの、すっかり手入れが疎かになって、荒れてしまった唇。噛みしめることで血が出てしまわないかとハラハラする。
「……そうだけれど」
お母様は返答とは裏腹に、納得ができないようだった。
私はお母様を安心させたくて笑顔を作った。そうして、平然と嘘を吐いたのだ。
「心配しなくても大丈夫ですよ。ラルフ殿下は思慮深くお優しい方でしたから」
殿下と面会をしたのは、一時間にも満たない時間だった。それも必要最低限の言葉を交わしただけに過ぎない。そんな状態で、彼の人柄が分かるはずがない。まして彼は、特別私に優しくしてくれたわけでもなかった。
私は嘘がバレないようにお母様の瞳から目を逸らさずに微笑み続けた。
すると、お母様の瞳が揺れ始めた。
それは、娘の人生を台無しにしてしまったという後悔がそうさせるのか。あるいは、私に対して何もしてあげられないという無力感からなのか。
私は嘘を補強するために、鞄の中から銀貨の入った袋を取り出した。
「そういえば、殿下は私の決断の早さに感心なさって、銀貨をくれたのです。『これで家族との婚前のお祝いをするといい』とおっしゃってくれたのですよ」
銀貨のどっさりと入った袋をテーブルの上に置いた。本当は、ただの支度金として与えられたものなのだけれど、殿下にはとことん優しい男になってもらおう。
「私達の結婚は、2週間後に行われるそうです。それまでの間に毎日ご馳走を食べても、このお金は尽きないでしょう。……そうだ、結婚前日に大きなホールケーキを買ってきて、みんなで食べるのはどうでしょう? ダニエルもシンシアも、きっと喜びますわ」
胸の前で手を合わせて破顔してみせる。
そうやって、明るい空気を演出することで、お母様の胸に宿っている罪悪感を消し去りたかったから。
でも、太陽は私の意志を汲んでくれない。
窓の外から差し込んでいた夕日は沈みかけたせいで、部屋の中が暗くなっていく。
私は窓の外を見て、沈む夕日を憎らしく思いながら、そっと蝋燭に火を灯した。
窓の外から小さな庭付きの古びた屋敷━━我が家が見えると、私はようやく一息吐けた。私は到着までの間、じっと屋敷を見つめていた。
ボロボロになった外壁は建物の年期を示し、味を出している一方で、この家の危うさを示しているようだった。
それが気になって、じっと眺めていると、二階の窓に人がいることに気が付いた。
━━あれは金髪だから、シンシアね。
冷静に分析する最中、彼女はくるりと身体を転換させて、窓辺から消えた。
だから、私も視線を外して空を見た。茜色の空が、今の生活の終わりまで告げているように思えて、私は寂しい気持ちになった。
そうして、馬車が我が家の門前に止まると、私は静かに降りた。庭には、シンシアがいて、彼女は私を見ると駆け寄ってきた。
「よかった。帰って来られて……」
彼女は泣きそうな顔でそう言いながら私の手を取った。
御者は私達の様子を一瞥すると、何も言わずに去っていく。
シンシアは馬車が去っていくのを目で追っていた。
「庭の花の水やりはもう終わったの?」
「いいえ、今日はまだ……」
「お父様と植えた花が枯れてしまったら、お母様が悲しむから。ちゃんと管理をしてちょうだい」
シンシアは何かを言いたげに私の顔を見た。けれど、彼女は頷くだけで、黙ってじょうろを取りに行く。
私は彼女の後ろ姿を見送ってから、屋敷の中に入った。
「ただいま戻りました」
エントランスで声をかけると、二階の吹き抜けから顔をひょっこりと出したのは、侍女のマーサだった。
「おかえりなさいませ、お嬢様」
少し曲がった腰のマーサは、ゆっくりとした動作で私のもとへやって来る。
「奥様がお待ちですよ。後でお茶をお持ちしますね」
「大丈夫よ。話はすぐに終わると思うから」
「左様ですか……。では、私は夕飯の支度をいたしますね」
マーサはそう言うとゆっくりと厨房に向かった。
私はその背を見届けると階段を上った。廊下の奥にあるお母様の部屋まで行き、扉をノックした。
「お母様、ディアナです。ただいま戻りました」
「どうぞ」
返事とともに、私は入室する。
「おかえりなさい」
そう言ったお母様の目は、いつにも増して腫れていた。私が出かけている間に泣いていたのだろう。私がこの家から去る未来を想像して、悲しんでいたのかと思うと、心が痛くなった。
辛い話は早く終わらせてしまおう。
私はお母様の斜め横の席に座ると、すぐに本題を切り出した。
「婚姻の話を、正式に同意してきましたわ。手紙以外にも結婚に関する条件がありましたが、問題ないと思ったのでその場でサインをしました」
私は鞄から契約書の入った封筒を取り出して、お母様に渡した。彼女は中身を見て、腫れた瞼にも関わらず、目を大きく見開いた。
「これは……。こんな条件、あんまりだわ」
「そうでしょうか。ラルフ殿下の亡き後も王宮に縛られるなんて、考えただけでも地獄ですから。追い出されるのは、こちらにとっても好都合かと」
「でも、10年も再婚できないだなんて、これじゃあ、あなたは若くして未亡人になったまま、一生を終えるというの?」
正直なお母様の意見に、思わず苦笑をしてしまった。
「若くしてだなんて、ラルフ殿下に失礼ですよ」
そう言うと、ようやく失言に気が付いたらしい。お母様は手で口元を覆い隠した。
でも、それは一瞬のことで、彼女は姿勢を正した。
「でも、そんな条項は、やっぱりおかしいわ。あなたの再婚を、一生行わせないようにしているとしか思えない」
「そうですね」
現在22歳の私は、あと数年経てば「行き遅れ」と揶揄される年齢だ。
不謹慎な話ではあるけれど、もし仮にラルフ殿下が今年のうちに亡くなったとしても、再婚が許されるのは32歳になってから。その年齢では、次の貰い手を探すのは難しくなるだろう。
でも、私はそれでもよかった。どうせ、好きな人とは結婚できないのだから。家を守るという使命もないなら、彼以外の人と結婚するつもりなんて、絶対にない。
「でも、再婚の必要はないでしょう?」
笑顔の私とは対照的に、お母様の表情が険しくなった。
「殿下は、借金を肩代わりしてくれる上に、家族の生活が保障されるだけのお金を用意していただけるのですよ? そこまでしてくださるなら、私が殿下の品位や面子と言ったものを守るのに協力するのが筋ではありませんか」
お母様は唇を噛んだ。お父様が亡くなってからというもの、すっかり手入れが疎かになって、荒れてしまった唇。噛みしめることで血が出てしまわないかとハラハラする。
「……そうだけれど」
お母様は返答とは裏腹に、納得ができないようだった。
私はお母様を安心させたくて笑顔を作った。そうして、平然と嘘を吐いたのだ。
「心配しなくても大丈夫ですよ。ラルフ殿下は思慮深くお優しい方でしたから」
殿下と面会をしたのは、一時間にも満たない時間だった。それも必要最低限の言葉を交わしただけに過ぎない。そんな状態で、彼の人柄が分かるはずがない。まして彼は、特別私に優しくしてくれたわけでもなかった。
私は嘘がバレないようにお母様の瞳から目を逸らさずに微笑み続けた。
すると、お母様の瞳が揺れ始めた。
それは、娘の人生を台無しにしてしまったという後悔がそうさせるのか。あるいは、私に対して何もしてあげられないという無力感からなのか。
私は嘘を補強するために、鞄の中から銀貨の入った袋を取り出した。
「そういえば、殿下は私の決断の早さに感心なさって、銀貨をくれたのです。『これで家族との婚前のお祝いをするといい』とおっしゃってくれたのですよ」
銀貨のどっさりと入った袋をテーブルの上に置いた。本当は、ただの支度金として与えられたものなのだけれど、殿下にはとことん優しい男になってもらおう。
「私達の結婚は、2週間後に行われるそうです。それまでの間に毎日ご馳走を食べても、このお金は尽きないでしょう。……そうだ、結婚前日に大きなホールケーキを買ってきて、みんなで食べるのはどうでしょう? ダニエルもシンシアも、きっと喜びますわ」
胸の前で手を合わせて破顔してみせる。
そうやって、明るい空気を演出することで、お母様の胸に宿っている罪悪感を消し去りたかったから。
でも、太陽は私の意志を汲んでくれない。
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私は窓の外を見て、沈む夕日を憎らしく思いながら、そっと蝋燭に火を灯した。
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