大東亜戦争小噺

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南雲さん03

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 「し 司令なんという事を・・・ 敵の潜水艦が寄ってきますどうするんですか」
顔を真っ赤にして源田は南雲=伸一に詰め寄った。草鹿は泰然として突っ立っていた。
 「ここで宣戦布告しなとこの先日本は永遠に卑怯者呼ばわれされるからな」
 「・・・・」
 「潜水艦が寄ってきたら叩くまでだろ」 
 「小野 全艦に通知 水中探信儀係にヒロポンを打つよに全艦に通知せよ」
 「ヒロポンをですか・・・」
 「そうだ わが海軍の水中探信儀の性能は他国と比べたら下の下だからな だから
  かわりにヒロポンで人の能力をあげて対処するのさ ドーピングだドーピング」
 「復唱 どうした 小野」
 「はっ 水中探信儀係にヒロポンを打つよう全艦に通知します」
 「うむ」
 「ななな なんとそんなことが許されるのか・・・」
源田の顔が赤から青にかわっていた。草鹿は以前泰然として突っ立ったままだった。
 「責任は俺がとる気にするな源田」
南雲=伸一は猿の腰掛にすわり直した。
艦長長谷川と航海参謀雀部はひそひそ話をしていた。
 「司令 今朝から人が変わっていませんか艦長」
 「航海参謀 君もそう思うか」
 「はい いままでは源田さんが艦隊の指揮をとっていましたから」
 「司令はお飾りでしたから なぜ人がかわったようになったのか不思議でしょうがないです」
 「そうだな・・・」
 「おい そこの二人なにひそひそはなしているんだ」
 「俺は なにも悪いものを食ったわけじゃないぞw」
 「「失礼しました」」
艦隊右翼側が騒がしくなった・・・ 谷風と浜風が最大船速で突き進んでいく。
 「第十七駆逐隊司令杉浦大佐から 我 敵潜水艦を発見 迎撃すとの無電がはいりました」
 「早速きたか どれお手並み拝見といこうか」
 「言わんこっちゃない」 源田は吐き捨てるようにいった。 草鹿は相変わらずだった。
南雲=伸一は源田の悪態を無視して双眼鏡で谷風と浜風を追っていた。
 「敵潜 深度50 直下です」 水中探信儀係が叫ぶ
 「谷風に深度60で爆雷を投下するよう伝えろ」
 「全く20と60メートルでしかセット出来ないのは問題だよ」
ぼやく浜風艦長折田中佐であった。
 「投下準備よし」
 「投下」
 ”ポン ポン ポン” 爆雷投下機から爆雷が威勢よく海面に投下されていった。
数秒後轟音とともに複数の水柱が海面にたちのぼった。
 「敵潜 まだ健在ですさらに潜行しています」
 「逃がさんぞ」
今度は谷風、浜風合わせて計18個の爆雷を投下した。
すると海面に大量の重油が浮かび上がってきた。5分後両艦の探信儀係は
海中での誘爆音を聞いた。その後両艦は1発づつ爆雷を念のため投下様子をみたが
探信儀は無反応であった。
 「撃沈です 艦長」
 「うむ やったな」
あれから40分後 南雲=伸一に”敵潜撃沈”の報告が届いた。
 「撃沈したか うんうん ご苦労 よくやったと返信してやれ」
 「はっ」
撃沈の知らせを聞いて源田はほっとしていた。 草鹿は変わらずであったw
 「安心するのはまだまだ ま~た敵潜が寄ってくるかもしれんぞw」
 「冗談はやめてください」
赤城艦橋内で南雲=伸一と源田が言い合いをしていた。一方淵田は・・・
ダイヤモンドヘッドが朝日色に染まる景色を見てうっとりとしていた。
 「隊長 真珠湾が見えてきました いよいよですね」
その言葉でハットし現実に戻った。
”いかんいかん 俺としたことが”
 「おう 気合いを入れろよ」
淵田は発進前に南雲=伸一から奇襲ではなく強襲だからなと念をおされたのを思い出した。
”強襲か やってやるさ”
淵田は信号弾を2発上空に向けて撃った。サーっと黒い煙が2本空に描かれた。
淵田は電信員水上兵曹に全軍突撃の電信を打たせた。
 「トトトトトト」
その合図と同時に急降下爆撃隊の高橋少佐が獲物めがけて急降下していった。
蒼龍から発進した雷撃隊の森一飛曹操縦員は一路真珠湾を目指してワイアナ山脈を
ジグザグに飛行していた。一機ごとに高度をさげいった。真下に200機もの
P-40がずらりと並んでいるホイラー飛行場がひろがっていた。
 「やばいやばい あれが上がってきたら俺らはお陀仏だぞ 撃て撃て」
しかし悲しいかな7.7mmでは効果薄であった。
 「なんで?!」
目の前に工廠よりに係留された戦艦カリフォルニアがせまったきた。
高度5メートル距離250メートル 対空砲火が激しい自分に向かって光のアイスキャンディーが
飛んでくる様はどこか現実離れをしていた。
 「よう~い 撃て」
魚雷が発射され同時にがくんっと機体が浮き上がった。
 「お~ 当たった当たった」
加藤一飛曹が叫んだ。 あとはこの場から逃げるのみである。
グワーッ 横合いから火達磨になった雷撃機が敵艦に突っ込んでいった。
ガガガ 自機が被弾した両翼を見たガソリンは吹いていなかった。
 「あっちち ケツが焼ける」
加藤が素っ頓狂な声をあげた。 加藤の座席クッションから煙が上がっていた。
 「ばかやろ 早く捨てろ」
加藤がクッションを機外に捨てた。森は焦っていた高度がなかなか上がらない。
ようやく洋上にでた時後ろをふりむいた真珠湾に禍々しい黒煙の柱が幾つも立ち上っていた。
 「加藤さんケツ大丈夫かいw」早川二飛曹が笑いをこらえながら聞いてきた。
 「ケツがヒリヒリして座れん くそアメ公が」
 「割れなくてよかったじゃないですかw」
 「馬鹿野郎 はじめから割れてるだろうが」
 「帰ったらメンタムでもぬっとけ」
 「いや それやったらよけい酷くなりますって」
機内で3人の笑い声が響いた。






 







 
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