耳長族と小人族

DAIGY

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耳長族と小人族

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 ある島に、耳長村という村がありました。その村には耳長族という背丈30cm位の、耳の長い生き物が住んでおりました。彼らの耳は自分の背丈ほどもあり、ギザギザの形をしていて、のこぎりのようで、尻尾も同じくらいの長さでした。彼らは地面に大きな穴を掘って、地中で暮らしています。彼らの大好物は何と言っても雑草です!!雑草が沢山生い茂るこの村は、耳長族にとって命の次に大切な場所でした。

 耳長族にとって、この村は天国と思いきや、何とこの村には耳長族にとって、厄介な天敵もおりました。それは小人族です。小人族は、耳長族とほとんど変わらぬ背丈でしたが、小人族は耳長族よりも遥かに高い知能を持っていたものですから、とても厄介な天敵でした。そして、小人族にとっても耳長族は厄介な天敵でありました。ですから、耳長族と小人族は昔からの敵同士なのです。
 なぜ、こんなにもお互いを敵視しているのかと言いますと、耳長族の家(土の中)の上に、小人族が自分達の家を建ててしまう為、耳長族も抵抗して、小人族の家の床を食い破って出口を作るものだから、さあ大変です。小人族は怒って、耳長族の大好物である雑草を全部引っこ抜いて燃やしてしまいました!!それを見た耳長族は烈火のごとく怒って、一族を率いて、小人族の大切にしている畑を踏み荒らし、めちゃくちゃにして、作物を全て食べ尽くしてしまったものだから、もう大変!!耳長族と小人族は戦争を始めてしまったのです。ですから、二つの一族は今でも冷戦状態にありました。 


ある日のこと、耳長族のリーダーであるフレックが村中の耳長族達を集めて何やら話しをしていました。
 「俺はもう我慢できねえ」フレックの目が爛々と光っています。「俺達の島で、小人族がのさばっているのが…この島は俺達のもんだ!!」フレックが群衆に向かって言い放った。
 「そうだ!!そうだ!!」
 「この島は俺達のもんだ!!」ほとんど全ての耳長族達は、群れのリーダーであるフレックに同調した。
 「奴らに!目に物を見せてやれー!!」フレックは全ての耳長族に向かって叫んだ!
 「おーーー!!!」そして耳長族は結束しました。


一方、小人族達はというと、これまた小人族達のリーダーであるデッカロンが、小人族達を集めて話し合いをしていました。
 「よーし!みんな聞いてくれ!!」デッカロンは小人族の中でも特別大きくて頭も賢かったので、小人族全員がデッカロンを見上げ、デッカロンの演説を熱心に聞いておりました。「この島は誰のもんだ!?耳長族の島か!?いいや、違うだろう?この島は俺達、小人族のものだろう!?」デッカロンが叫ぶと、「そうだ!!この島は俺達小人族のもんだ!!」と、小人達は口々に言い出しました。
 「奴らに目にものを見せてやれーーー!!」デッカロンが小人族に向かっていい放ちました。 
 「おーーーーーーー!!!」小人族は結束しました。


ある晴れた日のことです。耳長族の小さな子供が、小人族の村に間違って迷いこんでしまいました。その子供は『キュウ』と言います。キュウはまだ小さいけれど、とても食いしん坊でした。美味しい雑草を食べているうちに、小人族の村に来てしまったのです。そうとは知らず、キュウは一生懸命に雑草を食べ続けています。すると、目の前の家から小人が出てきました。キュウは雑草を食べるのをやめて、小人を見つめました。小人もキュウを見つめました。二人はお互いにしばらく見つめ合っていました。危険を察知したキュウが、あわてて逃げ出そうとしました。
 「待って!!」小人がキュウに向かって叫びました。キュウが振り向くと、小人はおいでおいでをしています。二人はまた見つめ合いました。しばらく見つめ合ったあと、小人がキュウに言いました。「僕の家の庭の雑草、ぜーんぶ食べていいよ」キュウは目をパチクリしました。「畑の作物以外なら何を食べてもいいからね」小人が言うと、キュウはまたまた目をパチクリしました。今まで小人族から、こんなに優しい言葉をかけられたことが無かったからです。
 「僕、君の庭の雑草を全部食べてもいいの?」キュウは目を輝かせて小人に聞きました。「もちろんだよ」キュウは飛びはねて喜び、庭中を走り回った。
 「おいらはポポル。君の名前は?」ポポルがキュウに聞きました。「僕はキュウ!!」 
 「キュウって言うのか……ねぇキュウ、おいらの友達になってよ!」
 キュウは嬉しくて、返事の代わりに庭中を駆け回った。それからキュウとポポルは友達になりました。


ある日のこと、キュウとポポルはお弁当を持って近くの山へピクニックに出掛けました。気持ちのよい、晴れた日でした。山の頂上へ着くと、二人は大きな岩に腰かけて、小人村と耳長村を見下ろしました。
 「僕達の村を山の上から見下ろすと美しい村だよね」キュウがポポルに言いました。「でも、争いが絶えなくて嫌だな」ポポルがキュウに言いました。
 「ねぇ、キュウの両親はおいらと君が毎日会っていることを知っているのかい?」ポポルは何気なくキュウに聞いた。
 「僕の両親は、僕が産まれて間もない頃に死んじゃったんだ」キュウは悲しそうに言いました。
 「本当かい?おいらの両親も、おいらが産まれてから数年で死んでしまったよ」ポポルも悲しそうに言いました。 
 「僕たち、似た者同士だ!!」キュウがちょっと驚いた顔をして言った。
 「そうだね。僕たち、不思議と似通っているね」ポポルも頷いている。
 「お昼にしようか」ポポルは持ってきた荷物をほどいて雑草を取り出しました。
 「うわー、それ僕の大好物!!」キュウが喜びました。ポポルも嬉しそうです。ポポルは赤いリンゴをたべ、キュウは雑草を食べはじめました。「美味しいね」二人が言います。それから二人は、時の経つのを忘れておしゃべりしました。


日が沈みかけて、夕暮れになると「そろそろ帰ろうか」とポポルが言いました。「でも、二人とも両親がいないということは…どれだけ遅く帰っても怒られない!!」キュウが目を輝かせて言いました。「わざわざ一人ぼっちの家に帰らなくていいんだ!!ねえ、僕を君の家に泊めてくれない?僕、一人ぼっちはもう嫌なんだ!!」キュウの目がうるうるしている。「え!?おいらの家に君が泊まるの?」ポポルの目も輝き出した。「うん、僕……僕…ダメかなあ?」キュウは泣きだしそうだ。「え…え…それって…とってもいいよ!!」ポポルは目を輝かせ、喜んだ。こうして耳長族のキュウと小人族のポポルの二人だけの暮らしが始まりました。何とも奇妙な組み合わせである。


 ある朝、いつもポポルの後に起きるキュウは、その日ポポルよりも早く起きて朝食を用意していた。今日は何と言ってもポポルの誕生日でしたから、キュウはポポルにとって最高の日しようと思っていました。けれど、キュウは朝食のパンを焦がしてしまいました。だけど、目玉焼きは綺麗に焼くことができたので、キュウはほっとしましたようです。そうこうしているうちに、ポポルがやっと起きてきました。
 「わあーーー!おいらの好きな目玉焼きトーストに、リンゴのヨーグルトだ!!」
 「キュウ、おいらの為に早起きして作ってくれたのかい?」
 「う…うん!」キュウは照れて笑った。「ポポル、お誕生日おめでとう」今度はポポルが照れて笑った。ポポルはキュウが焦がしたパンを食べて、美味しいと言って幸せそうな顔をしていました。キュウも、そんなポポルを見て幸せそうに笑いました。
 午後は2人魚釣りをして過ごすことにしました。ポポルは魚を食べることも、魚釣りも大好きだったので、これには大喜びでした。そんなポポルを見てキュウも嬉しくなりました。
 2人は湖に釣糸をたらして、魚が釣れるのを待っています。
 「ねぇポポル、僕ポポルと出会うまで小人族が恐かった…。でも、ポポルと出会って小人族があんまり恐くなくなったよ!」キュウが言った。
 「おいらも耳長族が恐かった。でもキュウみたいな耳長族もいるということが分かって、耳長族のことあんまり恐くなくなったんだ!他の耳長族もキュウみたいないい奴らだといいのに…。」ポポルが言った。
 「ほんとに、他の小人族もポポルみたいにいい小人だったらいいのに。」キュウが言った。

 「キュウ、魚が沢山釣れたことだし、そろそろ家に帰ろうか?」
 「うん。そうだね」キュウが頷いた。
 その日の夜は楽しかった。夕飯は2人で釣った魚を使って、ポポルの大好物アクアパッツァを作った。そしてデザートのアップルパイに、キュウの大好きな茹でた雑草!
 2人はさっそく夕飯にかぶりついた。「このアクアパッツァ美味しいよ!」ポポルがアクアパッツァをほおばりながらキュウに言った。「君が茹でた雑草もね」キュウも茹でた雑草を美味しそうにほおばりながら言った。
 「そういえば、おいらが食べる物をキュウは食べたことが無いよね…このアクアパッツァを食べてみてよ。きっと美味しいから」ポポルは魚の切り身をキュウの口元にもっていった。
 「ポポルも僕の大好きな茹でた雑草を食べてみなよ」と言ってキュウもポポルの口元に茹でた雑草をもっていった。2人はお互いに口元の食材を見つめた。ポポルとキュウは意を決して、口元に突き付けられたものを食べてみた。「………………!!」「………………!!」
 「このアクアパッツァって言う食べ物、悪くないよ!!」キュウが言った。
 「この茹でた雑草もね」ポポルは少し不思議そうな顔をして茹でた雑草を食べている。そして最後に、美味しそうに焼けたアップルパイを2人で分けて食べました。
 その日、ポポルとキュウはフカフカのベッドの中で、次は何の料理を作ろうかと話し合いながら眠りに落ちていきました。
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