15 / 31
第二章 人の想い【過日譚】
魔弾製造施設
しおりを挟む
計画通り昼過ぎから歩き始めると、夜も深くなったところで林の中にひっそりと建つ魔弾製造所へと辿り着いた。
「さぁ、オルド。
そいつらを呼び出せ。
変な真似はするなよ、穏便に済ませたいんだ」
「分かった。
言う通りにしよう」
オルドが一人建物に近づき衛兵と話を進めている間、ミィには申し訳ないが後ろ手に縛らせて貰った。
オルドの手下として振る舞う為、致し方ないとはいえあまり気分のいいものではなかった。
暫くし、建物から数人出てくるとオルドが手招きをし出した。
「こいつで間違いないか?」
衛兵とは別の白衣を着た人物にミィのフードを取り確認させると、何度か頷きにやけた。
「そうですとも、こいつだ。
手間取らせやがって。
さぁ、こっちへ来い」
「まぁまぁ、焦らずとも。
報酬と交換といきましょうか」
「ふん。
そうですな、では中でお渡ししましょう」
白衣の男二人に先導され、建物の中を奥へ奥へと進む。
一番奥であろう扉を抜けると、地下へと続く螺旋階段が現れそれを降りた。
悪さをするヤツはつくづく地下が好きだなと思っていると、上とは違い真っ白な壁に覆われた通路が延びている。
その光景に一瞬だが立ち止まったミィを見逃さなかったオレは小声で確認してみた。
「ここに見覚えが?」
静かに頷いたミィの表情は固く、母を心配しているように見えた。
「では、こちらへ」
白衣の男がガラスの扉を開け中へ促すと、そこは何の変哲もない事務的な殺風景な部屋だった。
「これで宜しいですかな?」
オルドの前に報酬を差し出すと、ミィを引き渡し交渉成立だと握手を交わした。
「おっと、そのまま動くなよ。
オルドも手を離すんじゃねぇぞ」
アルが静かに剣を引き抜き、二人の横に並ぶ。
「なんだ、これは!
冗談では許されんぞ!」
白衣の男がオルドに罵声を浴びせるが、手を離すことはなかった。
「冗談?
貴様らのしていることが分かっているのか!?」
あまりに意味の解らないことに腹が立ち、オレも魔法銃を引き抜く。
「何が狙いだ、オルド!」
「私だってこんな結末は望んでいなかったんですよ。
私の部下も店もコイツらに壊滅状態にさせられ、仕方無く協力しているだけなんです」
事情を理解したのか舌打ちをし、オルドとオレ達を交互に睨む。
「さぁ、母親を返してもらおうか?
どこにいる!?」
「ここにはもう居ない……」
「っ!!
まさか!」
視界に映るミィの表情が強張る。
「本当に居ないだけだ。
今も生きているかは知らんが」
「へえへえ。
悪党ってのは言い回しが上手いもんだよなぁ。
いっつも感心するぜ。
なら、単刀直入に聞こうか……今、どこに居る?」
オルドが体を震わせたのを感じた白衣の男も、身の危険を感じたのか少し怯え出した。
「ルドル……魔都ルドルだ。
あそこに連れていかれた」
「あんな所に?
ウソつくんじゃねぇぞ!」
「ほ、ほんとだ。
ウソだと思うなら研究室へ案内しよう」
「そうしてもらおうか」
そこは部屋から少し行った先にあった。
機械仕掛けの分厚い扉、更にガラスの扉と二重の扉を抜けると白衣を纏った所員が数名作業していた。
「所長、いかがなされ……」
所員の一人が異常に気づき懐へ手を伸ばした。
「やめとけ。
コイツを盾にすることになる。
オマエらは向こうの隅に集まっておけ」
アルの一言が所員を棒立ちにさせ、所長の頷きを見ると素直に従った。
「どうだ?
居ないのが確認出来ただろう?」
「ミィ、ここか?」
「うん……ここで間違いないにゃ……」
怒りなどより母が居なかったということに落胆しているようだった。
「あそこにある資料を見れば私の言ったことを信じて貰えるんだが」
「いいだろう。
どれだ?」
一つの机を指差した所長は引き出しを開け、紙を次から次へとめくっていくと一枚の紙を取り出した。
「これだ。
読んでみるがいい!」
アルが受け取った瞬間、紙の下に隠していた魔法銃を取り出した。
「さぁ、オルド。
そいつらを呼び出せ。
変な真似はするなよ、穏便に済ませたいんだ」
「分かった。
言う通りにしよう」
オルドが一人建物に近づき衛兵と話を進めている間、ミィには申し訳ないが後ろ手に縛らせて貰った。
オルドの手下として振る舞う為、致し方ないとはいえあまり気分のいいものではなかった。
暫くし、建物から数人出てくるとオルドが手招きをし出した。
「こいつで間違いないか?」
衛兵とは別の白衣を着た人物にミィのフードを取り確認させると、何度か頷きにやけた。
「そうですとも、こいつだ。
手間取らせやがって。
さぁ、こっちへ来い」
「まぁまぁ、焦らずとも。
報酬と交換といきましょうか」
「ふん。
そうですな、では中でお渡ししましょう」
白衣の男二人に先導され、建物の中を奥へ奥へと進む。
一番奥であろう扉を抜けると、地下へと続く螺旋階段が現れそれを降りた。
悪さをするヤツはつくづく地下が好きだなと思っていると、上とは違い真っ白な壁に覆われた通路が延びている。
その光景に一瞬だが立ち止まったミィを見逃さなかったオレは小声で確認してみた。
「ここに見覚えが?」
静かに頷いたミィの表情は固く、母を心配しているように見えた。
「では、こちらへ」
白衣の男がガラスの扉を開け中へ促すと、そこは何の変哲もない事務的な殺風景な部屋だった。
「これで宜しいですかな?」
オルドの前に報酬を差し出すと、ミィを引き渡し交渉成立だと握手を交わした。
「おっと、そのまま動くなよ。
オルドも手を離すんじゃねぇぞ」
アルが静かに剣を引き抜き、二人の横に並ぶ。
「なんだ、これは!
冗談では許されんぞ!」
白衣の男がオルドに罵声を浴びせるが、手を離すことはなかった。
「冗談?
貴様らのしていることが分かっているのか!?」
あまりに意味の解らないことに腹が立ち、オレも魔法銃を引き抜く。
「何が狙いだ、オルド!」
「私だってこんな結末は望んでいなかったんですよ。
私の部下も店もコイツらに壊滅状態にさせられ、仕方無く協力しているだけなんです」
事情を理解したのか舌打ちをし、オルドとオレ達を交互に睨む。
「さぁ、母親を返してもらおうか?
どこにいる!?」
「ここにはもう居ない……」
「っ!!
まさか!」
視界に映るミィの表情が強張る。
「本当に居ないだけだ。
今も生きているかは知らんが」
「へえへえ。
悪党ってのは言い回しが上手いもんだよなぁ。
いっつも感心するぜ。
なら、単刀直入に聞こうか……今、どこに居る?」
オルドが体を震わせたのを感じた白衣の男も、身の危険を感じたのか少し怯え出した。
「ルドル……魔都ルドルだ。
あそこに連れていかれた」
「あんな所に?
ウソつくんじゃねぇぞ!」
「ほ、ほんとだ。
ウソだと思うなら研究室へ案内しよう」
「そうしてもらおうか」
そこは部屋から少し行った先にあった。
機械仕掛けの分厚い扉、更にガラスの扉と二重の扉を抜けると白衣を纏った所員が数名作業していた。
「所長、いかがなされ……」
所員の一人が異常に気づき懐へ手を伸ばした。
「やめとけ。
コイツを盾にすることになる。
オマエらは向こうの隅に集まっておけ」
アルの一言が所員を棒立ちにさせ、所長の頷きを見ると素直に従った。
「どうだ?
居ないのが確認出来ただろう?」
「ミィ、ここか?」
「うん……ここで間違いないにゃ……」
怒りなどより母が居なかったということに落胆しているようだった。
「あそこにある資料を見れば私の言ったことを信じて貰えるんだが」
「いいだろう。
どれだ?」
一つの机を指差した所長は引き出しを開け、紙を次から次へとめくっていくと一枚の紙を取り出した。
「これだ。
読んでみるがいい!」
アルが受け取った瞬間、紙の下に隠していた魔法銃を取り出した。
0
あなたにおすすめの小説
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
公爵令嬢は結婚式当日に死んだ
白雲八鈴
恋愛
今日はとある公爵令嬢の結婚式だ。幸せいっぱいの公爵令嬢の前に婚約者のレイモンドが現れる。
「今日の結婚式は俺と番であるナタリーの結婚式に変更だ!そのドレスをナタリーに渡せ!」
突然のことに公爵令嬢は何を言われたのか理解できなかった。いや、したくなかった。
婚約者のレイモンドは番という運命に出逢ってしまったという。
そして、真っ白な花嫁衣装を脱がされ、そのドレスは番だという女性に着させられる。周りの者達はめでたいと大喜びだ。
その場所に居ることが出来ず公爵令嬢は外に飛び出し……
生まれ変わった令嬢は復讐を誓ったのだった。
婚約者とその番という女性に
『一発ぐらい思いっきり殴ってもいいですわね?』
そして、つがいという者に囚われた者の存在が現れる。
*タグ注意
*不快であれば閉じてください。
「お前を愛する事はない」を信じたので
あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」
お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる